壁際椿事の「あるくみるきく」

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『キヤノン方式のセル生産で意識が変わる会社が変わる』を読んだ

2010年09月10日 | 読書(ノンフィクション、実用)
『キヤノン方式のセル生産で意識が変わる会社が変わる』(酒巻久著、日本能率協会マネジメントセンター)を読みました。著者は、キャン電子株式会社の元社長で、1999~2005年度の7年間で、売上高こそ横ばいながら、売上高経常利益率を8.8倍(1.5%→13.2%)、株主配当を13倍(4円→52円)と経営改善した方です。

同社は、それまで、ベルトコンベアで製品を流し、1人が1工程を受け持って部品を組み付けるライン生産をしていたのを、一人が多工程を受け持つセル生産方式に切り替え、高い生産性を上げています。

一般的にベルトコンベア方式のほうが生産効率が良いと思われますが、コンベアは重設備で多額の設備投資を要する、段取り替えに時間がかかる、というデメリットもあります。

適した生産方式は、ファッションの流行のように、セル生産とコンベア生産を繰り返す、という意見は面白かったです。少品種大量生産が適した成長期はコンベア生産で、対して、多品種少量生産が求められる成熟期はセル生産で、ということです。景気は循環しますからね。生産様式も、社会同様、一本調子でなく、らせんを描いて進化していくのです。

もちろん、製造部門の効率だけでなく、間接部門のカイゼンにも言及されています。工場やオフィスの生産性を上げたいとお考えの方は、ぜひ。