ソプラノ歌手 中川美和のブログ

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日本の地震

2011-03-12 06:13:00 | ドイツのこと
皆さま、このブログをご覧になられているという事は、少しは落ち着かれたのでしょうか。

日本は大変でしたね。日本の地震はドイツでもトップニュースです。今現在、夜の11時なのですが、かれこれ二時間、ずっと日本のニュースやってます。

幸い私の家族、友人たちには今のところ身体に影響のある被害に遭った人はいないのですが、そのご家族、親戚、友人などになってくると、全然状況は変わってきますね。とにかく無事を祈るのみです。

なので私も、もうこちらのテレビにかじりつきです。ニュース見っぱなしです。
しかし、ドイツのマスメディアも大げさに歪曲するつもりもないのでしょうが。そして、私の語学力では大雑把にしかわからないというのもありますが。

テレビという媒体の性質上、震源地付近のインパクトのある映像をいくつも流すわけで。
そういうのばかり見てたら、日本全国、こういう状態なの!?と思ってしまってかなり不安だったのですが。私の実家&友人が多い東京は、幸い、そこまでの被害ではないようですね。
でも、何時間も歩いて帰ったり、帰宅難民になってる家族、親戚、友人がいる中、自分一人がドイツでのうのうとしてるのかと思うと、何とも言えない気持ちになります。しんどくなります。
でももっとしんどいのは言うまでもなく、日本の皆なんだから、しんどいと思う事すら筋違いのような。

さて、耐久レースのようにテレビを見続けていると、
『日本は140年ぶりの最悪の自然のカタストロフィー』 とか、字幕が出て。
やめてくれ、と叫びたくなります。
でもテレビを止めるなんてできないんですけどね。心配で気になって仕方がない。新しい情報や、東京の映像が映ったりするから。仮に情報がずっと前と変わらないままでも、テレビを消してしまって、何も分からなくなるのは一番嫌。



日本で地震があったのはこちら、ドイツの時間で早朝でした。
一大事、と思い、家族や友人たちとやりとりして。ようやっと少しだけ落ち着いて、ドイツの時間で夕方に出かけたところ、こちらはとても天気が良かったのです。
お散歩してる人がたくさんいました。謝肉祭の余韻がまだ残っていて、まだほんわかした雰囲気。そんな中、おじいちゃんとお孫さんが楽しそうに手をつないで歩いているのを見て、何とも言えない感情が湧いてきました。

もう叫びたいような、泣きたいような感情で。
悲しいのと、羨ましいのと、罪悪感と、不安と、焦燥感と…上手く言えないんですけれど。本当に味わった事にないような感情がこみあげてきて。

自分にとっての故郷ってこういう事なのか、と思い知らされました。
故郷に何かが、ある。あってほしくない。
そして、そこにいる大事な人たち。かけがえのない人たち。


ドイツに来てから知り合った人たちが時々話してくれました。
故郷から逃げ出した話。留まらざるを得なかった、故郷での政変。帰れない故郷、変わっていった故郷。
それは結果としてネガティブな事であったりポジティブな事であったり、色々でしたが。日本という国で平和な時代に生きてきた私には、その話はまるで小説や映画のように現実味がありませんでした。

そして、今日。
自分の母国の映像が、まるで特撮映画のワンシーンのように、ニュースで繰り返し流されているのを見ていると、これは悪い夢ではないだろうか、と思えてなりません。

そしてそんなテレビを見てから、外に出ると、うらうらとした春の光が迎えてくれます。
子供はパンをかじりながらきゃっきゃ言っているし。
私は何をしているんだろう?
と思います。こんなやわらかな暖かな中にいて。

しかしまた、家に帰ってテレビをつければまたあの映像が流れ、メルケル首相がコメントを述べています。

同じ時間が流れているとは思えない。

故郷を離れると言うのはこういう事なのか、と、ほんの少しですが思い知らされました。
以前、人から聞いた話ですが。
作曲家たちが、どんな気持ちで故郷の曲を書いたのか考えろ、という言葉をきいた事がありました。その欠片を、少しだけ垣間見た気がします。
そして、自分がいかに日本という国を理屈抜きに愛していたかを思い知りました。

でも、今は帰ってはいけないんだな、と。
何故なら、いま日本に帰っても私には何もできないし、することなんて何もないし、(私の実家付近は特にそんなに被害もないようなので)むしろドイツにいた方が、周囲の人間にしてみれば心配の種が一つ減るのでしょうから、そちらの方が良いに決まっているんです。
理屈ではわかっているのですが、何とも言えない焦燥感にかられてなりません。

でも理性でこちらに留まりまして(そりゃそうでしょ)、とりあえず、ネットやテレビやツィッターで、日本の情報をとにかくチェックしています。

ただ、全然予想してなかった事なんですが。
こちらの知人が、昼間、私の顔を見るなり『日本、大変だね』と言ってくれ。泣いてしまい。
その後、他にも知り合い程度の認識しかなかったこちらの人たちに慰めてもらい、やはり号泣してしまいました(恥)

あー、人ってお互いがいて、生きてるんだなあ、と。
私は何もできないんですけどね・・・いつかこういう事も音楽につながるんでしょうか。

最後になりましたが、今回の地震で身体的、もしくは精神的な被害に遭われた方、それから本当に残念な事に、亡くなられた方のご冥福、そしてそのご家族、ご友人の方に心から祈りを捧げます。





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