一顆明珠~住職の記録~

尽十方世界一顆明珠。日々これ修行です。いち住職の気ままなブログ。ときどき真面目です。

「聖徳太子『十七条憲法』を読む―日本の理想」 岡野守也 大法輪閣

2008年05月25日 | 
この国の形(型)を作った人、聖徳太子。

太子は、仏教、儒教、神道を融合した世界観(コスモロジー)を構築し、真に国民の幸せになるような、ひいては生きとし生けるものすべてが平和に暮らせるような国造りを目指した。

その高邁な理想とひたむきな信念は、数百年経った今でもまったく色褪せていない、それどころか混迷した現代日本に光明をもたらす可能性さえ秘めている。

宗教を超えた宗教である仏教。
太子はその理想形である智慧と慈悲を備えた菩薩的リーダー(菩薩天子)による政治によって、日本を「和」の国にすることを目指した。

果たして、現代にその理念を生かせないだろうか?

仏教という言葉に違和感があれば、神や天地自然と言い換えてもいい・・・。

とにかく、人間の凡夫性をしっかりと自覚し、あらゆる宗教やスピリチュアリティに通底する「大いなる何者か」と私、そして全宇宙のすべての存在が、ひとつながりにつながって根源的に一体であることに目覚めていることが、菩薩的リーダーの条件といえよう。

いや、しかしそれは現実的ではないかもしれない。
いきなりそこまでいく必要はないのだ。

少なくとも一定程度、世界との一体性に気づいた政治家が現れれば、日本と世界は息を吹き返し始めるに違いないのだから。

本書を読めば、近年行われている聖徳太子の実在に関する論議がまったく浅はかで意味のないものに思えてくるだろう。

端的に言えば、肝心なのは、いたか、いないかではない。
重要なのは、太子の著述(とされるもの)が、極めて深い仏教理解(宗教体験もあったと思われる)と、鋭い人間洞察に基づいて書かれた、比類なく高い国家理念であるということである。

戦後教育によって矮小化され、ほとんど無視された聖徳太子が本書によって蘇った。

政治家はじめ、すべての日本人に読んでほしい書。

私たち日本人の祖先には、こんなにも素晴らしい天子がいたのだ・・・。




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