日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

栄家の血脈 (CITIC物語)

2006-09-25 | 中国関連書籍書評
最近読んだ本ですが、投資関係の方であればご存知でしょうCITICという企業の創立者一族に関する小説です。CITICという企業名について、私は中国に車では良く知りませんでした。金融・投資・不動産を中国本土で手広く行っており、江沢民と関係が有るという事だけ中国人から聞いた事があります。
 たまたま、1年半ほど前、ある日本の方が、この企業のオ-ナ-の姪っ子と知人であり、その関係で日本の商売を中国に展開したいから手伝わないか、といわれて興味を持った次第です。

 上海に住んでいますと、共産革命前の上海の金持ちは大半香港に逃げたと聞く反面、旧疎開地域に住む上海人から、昔は私の家は会社を経営していてお金持ちだったのに、という愚痴を聞く事も結構あります。一般的な小金持ちの場合、資産は全て政府に没収され、一家没落になったケ-スが多いと理解していたのですが、やはり例外はあるようで、この本の主人公、栄毅仁、栄智健親子が典型ですね。

 日本でも、三井・三菱等の旧財閥の成長の最大の要因は、維新政府幹部との深い繋がりにあった事は衆知の事実ですが、現代中国のお金持ち達は同じような経緯をたどって成長しているのだと思います。まぁ、事業成功の可否は政府とのコネによる事は有名んま事実ですけどね。今の中国のそういう問題に対して色々非難の声が多いのですが、元々日本も似たり寄ったりだったのだろうと考えるべきでしょうね。私の場合、最初の会社がゼネコンで、かつ何故か社長秘書などをごく短期間務めていたこともあり、ある分野における日本の実態は中国と大差ないじゃん、と思います。

「栄家の血脈」自体は、清朝、国民等時代、共産革命、その後の文化大革命と解放改革と、日本と比べても激動の時代であったこの100年間、中国の資産家一族がいかに駆け抜けてきたか、という側面での小説としても面白いですし、現代中国でのビジネスの成功要因など、ビジネス書としても十分に読み応えがありました。

 事業成功要因として、政府との強いコネに加え、成長する事業をベ-スに借金をしまくり、その借金を全て次の事業に突っ込んでいく、という考え方は、かっての日本の不動産バブル時代を思い起こさせますし、借金が投資に変わっていますが昨今のインタ-ネット関連企業を想起させます。個人的にはバブル崩壊の真っ只中で所属した会社や、一時は一斉を風靡したお客さん(不動産屋さん)達が死んでいくさまを見てきただけに、現在のネット関係企業のカルチャ-には大きく違和感を感じるのですが、市場が成長している時には、栄家と同じような動きをしないとその中で勝つ事は出来なのではないかと思わされます。



栄家の血脈―激動の大陸を疾走する赤い資本家の誓い

東洋経済新報社

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