日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

中国企業買収のメリット・デメリット

2006-09-25 | M&A
 外国企業が中国に進出する場合、合弁、合作、独資の3つの形態が一般的です。

 合弁とは所謂JV(Joint Venture)の事で、80-90年代に進出した日系の製造業の多くはこういう形をとっています。何故合弁するかと言えば、当時は中国が政策的に外資企業の中国進出に当たって国営企業との合弁を求めた事によります。中国側の目的は、合弁形態によって外資系企業のノウハウ(技術、経営管理等)を吸収しようとした事にあります。一方中国に進出する外資系企業側も、中国でのマネジメントや販路開拓については地元企業と合弁で進出した方がメリット有り、と考えて事もあります。2000年以降、徐々に中国側もWTO加盟もあり、徐々にこういう規制を解除してきており、結果的には多くの合弁企業が、外資系独資企業に業態変換をしておりますので、よく言われるように、合弁企業における経営管理の難しさが表に出てきたのだろうと推測できます。

 合作も合弁と同じようなもので、資本出資はしないものの、実質的には中国企業と共同で業務を進める事を目的に作られます。人材紹介業等、外資系企業に規制がある業態は、こういう形が多いようです。

 独資は、外資系100%企業を指します。まぁ、外資系複数者が出資した企業も、扱いとしてはこの分野に入れても良いと思います。何といっても合弁企業で合弁相手に振り回される事無く外資企業独自の意思決定で経営が出来ますので、ここ数年中国に進出している企業は大半が独資です。

 さて、M&Aを行うメリットは、一般的には「技術の獲得」、「市場の獲得」の大きく2点にあります。M&Aは時間を買う、と言う表現がありますが、自社が独自でゼロから研究開発をしたり、マ-ケティングをしながら市場を開拓すると5年、10年という単位で事業を進めるのに対し、既存の企業を買収すれば、旨くいけばそれらが直ぐに手に入ります。

 一方中国に関しては、上記に加えて「外資系企業規制業種にかかる事業を行う」という形態があります。インフラ関連、情報通信、マスコミ関連等は未だに外資系100%出資の単独では行えない事業が多く、そういう業種に属する企業は中国のきぞんの企業を買収して、同事業を行います。もちろん、厳密に言えば法的にはグレ-ゾ-ンになりますので、中国政府の政策や方針次第ではこれらの事業は中止に追い込まれるリスクが無いとはいえません。

 実は私が所属する業種はこの最後の例に属します。もちろん時間を買い市場を獲得すると言う目的も非常に大きいのですが、なにぶん外資系が単独で出来ない業務を、実質的に100%出資になるような逃げ道を作って事業展開することにしました。この辺は、日本ではまだ事例が少ないようですが、米国に株式公開している中国企業の目論見書やアニュアルレポ-トを読みますと、概要が記載されています。まぁ、法律上の規制はあるけれど、リスクはあるが、事業が出来ないわけではないと考えてください。

 そうはいっても、マスコミ関係になると許認可も非常に厳しいので、外資が入る事は現状不可能ではないかと推測します。
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