~語源にハマる~
昨日のお話の続きです。
予めお断りしておきますが、あんまり読んで実になることはありません(^^;
私の備忘録みたいなものなので...すみません!
しかも、ものすご~く長いです。いつもの推敲力の無さを露呈。
* * * * * *
さて、現在奄美の方言で「トッツブル」と言われる島かぼちゃ。
奄美に流された薩摩人の名越左源太さんの日記には、かぼちゃは「ボウブラ」「トウツブロ」の2種類の表現になっている。
使い分けに区別はあったのか?というお話。(
こちらの記事のコメント欄)
私は、せっかくだから、区別して使い分けしていたら面白いな~と思い、そういう仮説のもと、調査開始!
**********************************************************
まず、
ボウブラ。
これは簡単にわかった。
ボウブラ=菊座形 -①
である。
以下、証明...じゃなくて説明。
(私ナンチャッテ理系でありまして ^^;)
ボウブラの語源は、ポルトガル人が長崎へカボチャをもたらした時、ポルトガル語の「Cambodia abóbora」(カンボジャ・アボボラ=「カンボジアのウリ」の意)といったのが訛ったのではないかとされている。(*1)
カンボジャ・アボボラの前半がカボチャ、後半がボウブラになったわけだ。
だから、ボウブラという名前はカボチャほどではないにせよ、全国的に広がっていて(*2a)、「ボウブラ」で検索すると色々な地域のものがヒットした。
⇒『ボウブラ』という呼び方は、薩摩・九州限定ではない。
この時持って来たのは、日本カボチャと呼ばれる菊座形のもの。1541年(*2b)とか1549年(*2c)の説があるようだが、とにかくその頃。
そして、それから百数十年後
和漢三才図会という1700年代初めに出版された百科事典に、ボウブラはまんまるで真桑のようにかどがある(=菊座形)とあるそうだ。(*3)
![Kabocha_1 Kabocha_1](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/07/cd4bef2485f3c80c69142cc164ca3fb1.jpg)
日本カボチャは、皮の色は黒に近い緑だが(*6)、形だけを見れば、島カボチャの
←このタイプは『ボウブラ』の範疇かな~?
以上、ボウブラ=菊座形 のお話。
*********************************************************
お次は
トウツブロ。現代でいうところの
トッツブル。
これは、奄美限定の言葉だ。検索しても、他地域で引っかからなかった。
トウツブロ...トウ、ときてカボチャというと、
トウナスが思いつく。
カボチャは漢字で書くと、南瓜。これは「南京瓜」の略。そういえば、「ナンキン」って言いますねー。
先ほどの『和漢三才図会』には、南京=唐茄子ということで、洋梨型すなわち茄子形であることが書かれてあるそうで。(*4)
少なくとも、この時代にカボチャはボウブラとトウナスの2種類に分けられていたのだ。
![Kabocha_2_2 Kabocha_2_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/43/f075737c45177bc4e0375f7db033ff15.jpg)
島カボチャ的には、
←これが「トウナス」。
これでまず、
トウナス=茄子形 -②
というのが成り立つ。
ここで、
トウナス=トッツブル -③ が成り立てば
ボウブラ=菊座形 -①
トッツブル=茄子形 (②③より)
というわけで、左源太さんも、形によってボウブラとトウツブロ(トッツブル)を使い分けしていたということで、バッチリ説明がつく。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
それでは、 トウナス=トッツブル -③ は成り立つのか?
私が初めて「トッツブル」という言葉を耳にしたとき、「シブリ」の仲間のように感じた。
シブリとは、奄美の言葉で冬瓜(とうがん)のことだ。形や大きさも、カボチャ(茄子形)に近いものがある。
(こんなことなら一緒に写しておけばよかったが、1枚目の写真の左にチラっと写っている緑の瓜がシブリ)
これは沖縄でも「シブイ」と似たような発音で、語源は「渋いウリ」ではなく、白ウリ。(*7)
なるほど、切ったら中は真っ白ですもんねー。シブリの語源も同じであろう。
奄美で「ブリ」が瓜なら、カボチャを「トウツブリ」と呼んでいた時があったのかもしれないなー。
トウ=唐 ツ=の ブリ=瓜。
(ツは古語で「~の」の意味があるので。ま「つ」げ=目「の」毛...)
唐の瓜なら、唐茄子と一緒ではないか。
トウナス=トウツブリ→転じてトウツブロ(左源太さん)→トッツブル
そんなに不自然でもないですよねぇ??
はっ!昨日のコメント欄で「きさん」が、「トッチブリ♪トッチブリ♪」って!
ブリって言うんですねー。
ン?しかもシブリのなんとかってー。わーん意味がわからないです、きさん。
やはりシブリと関係あるんでしょうか??
でもとにかくよしっ!③が成り立った!おめでとう~!!
トッツブルは茄子形かぼちゃだったのだー。
でも、そうは問屋が...??
*****************************************************************
実は、カボチャを買う時にお店の人が「
この丸い(菊座形)のはトッツブル、と呼ぶけど、長いのはトッツブルとは言わない。ただカボチャって呼ぶわねぇ」と教えてくれた。
ま、サンプルがたった一人、年配でない方だったので、ここはシマッチュの多くのお話を聞いてみたいものだがー。
お店の人の言う通りなら、丸っきり思っていたのと反対じゃ~
最初に挙げたコメント欄にほーげっちゅさんが書いていらっしゃる通り、奄美では「ツブル」「ツィブル」は頭のことだそうだ。(
奄美方言音声データベースにもカボチャの項に「唐・頭」と...)
結局、語源は瓜→ブリ→ブルの流れでなく、頭の「ツブル」?
そして頭といえば、やはり菊座形のほう?...。(まあ、人間の頭ならむしろ茄子形の方が近い気もするものの)
仮説敢え無く散り、ボウブラもトッツブルも菊座形で区別がなくなってしまった (^^;
それでも...。
もともとは、唐茄子と同じように、ひょうたん形がトウツブリ、それをいつしかカボチャ全般にいうようになり、「ツブリ」の部分が「ツブル(頭)」と似ているしので、頭のような菊座形の方だけトッツブリと広まっていき、語源もそちらのほうからと解釈された。
...な~んていうのだったらなぁ~
(↑イツマデモジセツニコダワル)
まあ、左源太さんも気分次第、あるいは島の人から「トウツブロ持ってきましたよー。」と言われればそう書き、言われなければ自分の言葉である「ボウブラ」を書いていただけなのかもしれない (^^;
それにしても、もともとは茄子形であったはずの「ナンキン」や「トウナス」が、現代において形の区別なく、十把一からげにカボチャのことを指してているわけで。(ボウブラも同様)
区別がなくなるってちょっとつまらないなぁ~
========================================
はい、以上お読みいただいた通り、結局ボウブラとトウツブロに使い分けがあったかどうかは不明でありました (-o-)>
ここまでお付き合い下さった方(bizaさん、ほーげっちゅさん!)ごめんなさ~い<(_ _)>
しかも、最後の方は検索結果じゃなく、私の勝手な推測のゴリ押しでしたね~(^^;;
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
本来なら調べた「出典」を書いておくべきですが、なにせ文献を紐解いたわけでなく、ネット検索だけなのでそもそもの情報の正否が不明です。(ネット検索のコワイところ)
出典代わりに、以下に上の文の参考にしたサイトを記載しておきます。
*1→
Wikipedia
*2ab,*5→
味の素 旬のカレンダー
*3,*4,*8→
珍獣様の博物誌
(↑この方はすごいです。瓜にハマってます。私どころじゃなく)
*2c,4→
パティスリーかぼちゃの花
*6→
食材辞典
*7→
沖縄の食べ物
◎名前・地名・語源のカテゴリー作りました~