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Discover 奄美大島!

語源探索は果て無し

2009-09-14 11:30:44 | 名前・地名・語源
P9140253我が家の自転車のキーホルダー、ゴーヤーマン。

思えば、彼がゴーヤー伝道師だったんではないでしょうか。
NHKのちゅらさん。2001年放映ということは、もう8年も経ったんですねー。これで一気にゴーヤという名前と野菜そのものが全国区になった気がします。

さて、ニガウリの呼び名について、一つ前の記事のコメント欄で、S54年発刊の「琉球列島 植物方言集」の内容を教えていただきました。S54年といえば1979年、ちょうど30年前です。30年前の時点で、奄美の多くの地域で「ニガウリ」の訛った形で呼ばれていたので、他のは淘汰されてしまったんでしょうね~

それから、一つ前の記事のトラックバック、mizumaさんの記事の中で取り上げられているかぼちゃの呼び名「トッツブル」の語源。mizumaさんが唐の瓜(トオウリ→トゥヴリ→トッツブリ)?、とおっしゃってますが、私も全く同感です。
で、前にそのことを書いた記事を今読み直してみたら、自分でも読むのがイヤになるくらい長くてまどろっこし~。

南島雑話にかぼちゃの奄美名が「トウツブル」と「ボウブラ」、二つあるので、形によって区別されたのではないかーという考察だったんですけど、あの時は「唐の瓜」→「トウツブル」の流れを、「ツブル」は奄美で頭の意味だというので、どっちかはっきりわからないけどーという結論に達したのでした。(でも、唐の瓜と思います、私は!)

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ニガウリと、トッツブルについてのお話は、ここらで幕引きにするとして、こういうのを調べると、どんどん横道にそれて楽しいです。(え?違う?)

上にリンクした「まどろっこしい」記事にも書きましたが、古語の「つ」には格助詞の役割があって、有名どころが「まつげ」の「つ」。(目の毛→まつげ)

他に、今でも残っている「つ」はないかなーと探してみたら、「きけ わだつみのこえ」とか、元ちとせさんの歌う「ワダツミの木」にもあるワダツミ。神話に出てくるワタツミという神様なんですが、これ、ワタ+ツ+ミ に分解できるんですね。ワタは古語で海、ツは前述の格助詞「の」、ミは「神霊」です。
(→Wikipediaにもありました)

あとは、一昨日。おとといと言いますが、元はおとつい←ヲトツヒ。(今も「おとつい」って言う人いますよね!)
古語辞典を引くと、「をと」=彼方ですから、「彼方の日」と言う意味。
宇崎竜童も「ちょっと前なら覚えちゃいるが、1年前だとちとわからねぇなぁ。」と歌ってましたが、2日前が彼方なんですから、仕方ありません。

そんなわけで、語源がどーしたと言われたらそれまでなんですが、楽しいです。そして、インターネットで自分でも調べられるし、コメントでも教えてもらえることもありがたいです。

ムンヌシリハテヤネン。
大好きな奄美のことわざ。


にがうり、奄美での方言名は?

2009-09-12 01:24:48 | 名前・地名・語源
Photo
(写真は、今夜のうちのおかず...じゃなくて、フリー素材屋Hoshinoさんから借りてきました

2週間もサボってしまいました。
この間、何をしていたかというと、9月に入り子ども達の学校や幼稚園が始まって、うかれすぎて(?!)ブログを書く気分になれず。いえいえ、疲れて子どもと一緒に早寝が多かったかな。
とにかく、一度間を空けてしまうとダメですねー。

奄美で迎えた5回目の夏休みは、今までの夏休みの中で一番遊びほうけてしまいました。
まだブログに書いてないネタもいっぱいあったのですが、やっぱり感動したその時でないと、なかなか書く気になれなくてー。

そんなわけで、ずいぶん間が空いたもののまだ我が家は今のところ新型インフルエンザの襲撃にも会わず、相変わらず元気にやっています。



さて、本日の話題は久々に語源。長いです。リンク貼りまくり。備忘録。

「奄美でゴーヤ(ー)をなんと呼ぶのかな?」という私のTwitterでのつぶやきに、mizumaさんが真摯に応え色々調べて下さっているのですが、あまり人任せにしっぱなしでちょっと良心が痛んできたので、久々に自分でもググってみました。
そもそものお題は、にがうりは奄美でなんと呼ばれているか?

なぜそんなことを思ったかというと、奄美ではカボチャは「とっつぶる」、冬瓜は「しぶり」など、瓜系の野菜には標準語とは全く違う呼び名を持っているものがあるので、にがうりはどうかしら?と思ったわけで。

●ちなみに、にがうりの和名は蔓茘枝(ツルレイシ)
これはフルーツの茘枝(レイシ、「ライチ」の方が一般的ですよね?)みたいに、ゴツゴツした外観から。

なるほど、鹿児島で「レイシ」と書かれて売られているのをよく見かけたのはのは、ツルレイシの「蔓」を取っちゃったんですね。

●沖縄の「ゴーヤ」「ゴーヤー」の語源は、中国語で「苦瓜」は「クー グア」、「苦瓜叶」「苦瓜葉」が「クー グア イエ」と発音するので、これらの変化から... というのがゴーヤ大好きというHPに載っています。

また、
鹿児島では「レイシ」と書かれているのは見かけたものの、会話では「ニガゴイ」の方が一般的だったような気がします。

鹿児島での「ニガゴイ」の「ゴイ」って何?と以前から不思議だったのですが、こちらに答えがありました。
「苦胡瓜(ニガキュウリ」→「ニガゴウリ」→「ニガゴーイ」なんですね。ゴイはキュウリだったのか~。確かに「ニガゴリ」も聞いたことがありました。「ニガゴイ」「ニガゴリ」は鹿児島に限らず、熊本や宮崎あたりも似たような感じのようです。



さてさて、本題の奄美です。「ゴーヤ」はやっぱり沖縄名であって、奄美ではそう呼ばないようです。
もぱぴさんも、古仁屋のご実家に「ゴーヤ」と言っても通じなくて、「にがうり」だったら通じた、とおっしゃってました。
(そういや、あの時も調べかけて、すぐやめちゃったんだったわ。すっかり忘れてました。)

でも、にがうりは島の方言ではないでしょうし... 「トッツブル」とか「シブリ」の系統から離れていると思い、方言データベースを見たら、ありました!

ツルレイシは、『とーグリ』 詳しくは、こちら

これを見つけてかなり感動!最初、ニガウリで引いていたので見つからなかったけど、和名がツルレイシとわかったので、そっちでやったらヒットしました!

こちらのページに、奄美では「トーグリ」「トフゴリ」と呼ばれるというのも発見!この記事の中の「亡くなった胤森さん」というのは胤森弘さんという広島の方言研究家で、沖縄奄美地方の方言にも大変詳しい方だったようですね。

もう、この辺りから、色んな記事にどんどん飛んで、私の夜は更けていく...



そうだ!方言名といえば、佐源太さんだ!

南島雑話も見てみました。
「レイシ」を発見!しかし、「子(み)、秋より冬に至り熟す。色紫、核(たね)多く、子(み)は村童喰ふ。味あまし。」ということで、これは果物のライチだわ。

しかし、野菜の項にありましたただ名前を羅列してあるところですが(南島雑話2 P.171)
「錦茘支」と書いて「ニガウリ」と振り仮名があり、下に「トフゴリ」。
やっぱりトーゴリなんですねー。しかもすぐ近くにトフツフロ(南瓜)と冬瓜(シブウリ・トフグハ)なんかもあり。さすが佐源太さん。でも佐源太さん、レイシみたいにどんなものかとか料理法とか解説してくれたらよかったのにー。

さてさて。
トー、トウとくれば「唐」とすぐ思っちゃうんですが(唐胡瓜→トウゴリ)、違うかな。前にもそんなゴタクを並べてやたら長々書いた時がありました。どうやら私は瓜の語源が気になる体質らしいです。(→



トーゴリとかトフゴリで検索しても、何も出てきません。
mizumaさんが、島の年配の方にヒヤリングして下さったところ、「ニガグリ」だそうです。(先にリンクした方言データベースにも、ニガグリは載ってましたね。)

ところで、奄美はすもものことを「イグリ」って言うんですよね?スモモもモモも、モモのうちじゃなくて、瓜のうち???イグリのグリとニガグリのグリは違うのかしら。
語源って難しい~



「グリ」の部分は生き残ったけど、「トーグリ」「トーゴリ」は今は島じゃ死語なのでしょうか。

シブリとかトッツブルは生きているのに...。
不思議だー。

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【追記】
死語かと思ったら、見つけました!

庭職人 津里のページ というHPの中の「標準樹木名と別名・方言などの対応表」で、「レ」をクリックしたら出てくるExcelの表です。
レイシの別名:コガゴイ(鹿児島)  
         デンシ(奈良)
       トーゴーリ(長崎)
        トーゴリ(宮崎)
        トゴイ(鹿児島)
        ニガゴーリ(福岡)
        ヘーウリ(山梨)
        ベースケ(徳島)

奄美ではないけれど、九州の一部でトーゴリっぽいのが...

ふぅ。疲れた。よけいわかんなくなった...