亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

MSCI消費者信頼感指数の低下とNY金の上昇

2022年05月17日 21時32分17秒 | 金市場

先週13日金曜日にここでJPX金の7500円割れはエントリーレベルではとしたが、その日はNY金の1800ドル割れ(安値1797.20ドル)に合わせ7500円割れとなった。週明け16日も同じように1800ドルを割れ下値が深くなり1785.00ドルまで見たが、JPX金も7405円と7400円割れを試すところまで売られた。しかし、その後のNY金、JPX金ともに反転上昇となった。本日この時間のJPX金は7601円まで反発している。

 

基本的にNY金は息の長い上昇過程にあると捉えている。ここまでのNY金の下げはドル指数(DXY)上昇の逆相関を捉えたファンドのアルゴリズムの売りによりもたらされたが、そこにキャッシュアウトのETF換金売りが重なったもの。先週末まででドル指数の上昇は6週連続となった。ドル指数が上値をどこまで伸ばすのか、見極めにくくなっている裏にFRBによる積極的な引き締め観測に加え、不安定な金融環境がある。リスクオフのドル(キャッシュ)需要の高まりがドルを押し上げ、結果的にファンドを中心にした金の売りにつながっている。ただし株式市場がパニック売りに転じるなど、さらなる市場の不安定化は安全資産としての金の特性に注目した買いが入ると思われる。

 

株式市場がパニック的な売りにつながっていないのは、空売り(ショート)の買戻しで適度に反発が見られることによる。先週末13日の反発がそれで、何か買い材料が出たわけではなく、短期的に下げ過ぎとみた売り方の買い戻しが背景とみられる。本日は寄り1時間前の時点で米株の先物が主要指数ともに大幅高となっている。小売売上高の結果を先取りしてのものかは不明だが、果たしてどうなるか。

 

先週は4月の米消費者物価指数(CPI)が前月比の伸びが、前の月に比較し鈍っていたことから物価上昇はピークに達したとの見方が広がった。ただし、タカ派で知られるクリーブランド地区連銀のメスター総裁は、物価がピークに達したとの結論に至る前に、「数カ月」は持続的に低下するのを確認したいとした。その上で、「9月のFOMC会合までに、インフレに関する月次の数字でインフレが鈍化しつつあるとの説得力ある証拠が示されれば、利上げのペースを減速させることが可能になるが、インフレが鈍化しない場合は、より速いペースの利上げが必要になる可能性がある」とした。

 

インフレに関連して注目されたのが、週末13日に発表された5月のミシガン大学消費者信頼感指数(MSCI)の速報値だった。2011年8月以来の低水準となる59.1に低下した。4月確報値は65.2で、市場予想は64だったが、大きく下回ることになった。同指数は、もともと調査項目がインフレに関連するものが多いことから、インフレに対する警戒感が消費者センチメントの低下につながっているとみられる。現況指数も63.6と、前月の69.4から低下し、09年3月以来の低水準を付けた。予想は70.5だった。 この指標をあえて取り上げるのには理由がある。それはMSCIの低下が継続する際にNY金の上昇トレンドが続いたという経験則による。この指標の低下はそのままインフレの高止まりを映す傾向があることによる。あまり知られていないポイントでもある。

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