亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金価格、これ以上の下値は限定的

2021年03月01日 20時44分15秒 | 金市場
パート1.実需編

前週末2月26日のNY市場の金価格は、昨年6月の水準まで売られる大幅続落となった。

長期金利の動きはやや沈静化したものの、市場は前日までの混乱の余韻の中で市場環境の変化の有無や、変化があるとしてその程度を探る動きが続いた。1770.90ドルで取引を開始した金は、26日の清算値(通常取引終値)は1728.80ドルと、昨年6月18日以来の低水準で終了となった。取引時間中の安値は昼前に付けた1714.90ドル。NY午前の中頃までは1770ドル前後での落ち着いた値動きだったが、米国株式市場が取引を開始した時間帯に、再び長期金利が動意付き1.5%を超えると株安の流れが復活し、主要通貨に対しドル高につながったところで金市場でも売りが広がった。節目の1750ドルを割れたことで、ファンドの売りが膨らんだ。前日比では46.60ドル安の4営業日続落で、週間ベースでは2.7%の下げとなった。

先週は、米長期金利が、一つの節目となっていた1.5%を早々に突破した上昇ペースの速さが、市場に混乱をもたらした。主要500銘柄で構成されるS&P500種の平均利回りが現状で1.48%程度となっており、それを指標の10年債利回りが一気に上抜いたことが、株式市場をはじめ市場横断的な混乱につながることに。これまで前提としてきた超低金利環境が突然崩れたことに、市場が過剰に反応したものといえる。急騰に対する市場の過剰反応ということで、金利水準自体はそれほど高いわけではない。


月末にかけて水準を大きく切り下げたことで、2月の金市場は月間ベースで6.6%安と、2016年11月以来の下げ率となった。26日の終値1728.80ドルは、昨年6月18日以来の低水準となる。ちょうど昨年4月中旬から7月中旬にかけて、3カ月ほど1670~1770ドルの価格帯に滞留しており、結果的にそのレンジに舞い戻ることになった(添付のチャート参照)。このゾーンは、売り買い双方で取引をこなした価格帯で、当時アジアではタイでの(個人の)換金売りが話題に上ったりしていた。そうした売り物を欧米投資マネーが、ETFを介して引き取るかたちで、その後のレンジの上放れにつながり、金は8月初旬にかけて過去最高値を更新することになった。

結論としては、先週1週間で水準を一気に切り下げたことから、アジアを中心とする実需の復活が期待できる価格帯に入ったと言える。実際に、インドや中国の国内価格は、国際価格に対し、一時の大幅割引状態(ディスカウント)は解消され、需要の戻りを示唆するものとなっている。アジア実需は、欧米投資マネーの動向とは、ある種のトレードオフの関係が需給上指摘できるもの。難点は、価格の押し上げ力という点で見劣りすること。下支え要因といったところだ。繰り返しになるが、昨年の1670~1770ドルのレンジに戻ることになった金価格だが、ここからの下値は限定的と思う。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 債券相場のフラッシュトレー... | トップ | NY金価格、これ以上の下値は... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事