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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金9営業日続落も資金流出は限定的という印象

2023年10月06日 21時18分27秒 | 金市場

10月5日のNY金は前日比3.00ドル安の1831.80ドルで終了、9営業日続落となった。今年8月17日に至る9営業日に並ぶ続落となった。売られ過ぎだろう。

テクニカル指標として短期筋(ファンド)がこのところ注目してきた短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に交差する、いわゆるデッドクロス(デス・クロス)がこの日示現した。当面、弱気基調が継続することを示唆する指標とされるが、金市場を取り巻く環境を分析するに、ここからさらに値を崩すことは考えにくいと思う。

9営業日続落の背景は、周知のように米長期金利の想定外の高騰とそれに伴うドル指数(DXY)の戻りにあるが、金利急騰は同時に米国景気にも悪材料となるもので、市場で受け入れが進んだ米経済ソフトランディング観測自体を危うくするものでもある。一方で、米国議会の混乱による新年度入りしたばかりの米政府機関の一部閉鎖懸念など、いわゆる地政学リスクの存在もある。米国経済にしても世界経済にしても、楽観的見通しを持つには遠く、したがって金市場にこれまで滞留してきた資金が、大規模で抜け出している現象は足元では見られない。

短期筋の資金の出入りによりもたらされたのが、9月下旬以降ここまでの下げと言える。

テクニカル指標の悪化にしても、1900ドルという心理的節目割れに乗じて、投機的売り攻勢が奏功し目先筋は下げのモメンタムを作ることに成功したのは確かだろう。これにしても、新規のショート(売り建て)を中長期的に保持し積み増すというものではなく、利益が乗ると早々に買戻して益出しをしながら、次のショートを作るというもので、いわゆる下げ相場の回転が利いているに過ぎないと思われる。

この点で5日時点で50日移動平均線が200日線をわずかに下回ったことでデッド・クロス示現とはいうものの、わずかに下回っただけで、現時点で意味のある形にはなっていない。 本日発表される、9月の米雇用統計を市場は注視しているが、結果に対する金市場の反応は今後を判断する上で有力な手掛かりになりそうだ。

 

5日の米10年債利回りは、上昇一服となった。4.777%まで見たものの、ここまでの(価格の)下げに対する押し目買いと、目先筋の買戻しもあり4.708%で終了した。前日は一時4.887%まで付けた後に4.579%まで低下するなど、1日で0.3%(30bp、ベーシスポイント)もの値動きをしたことから、それ自体が天井圏(価格は底値圏)特有のものという印象だった。

 

もうひとつ目に付いたものに、ここに来ての原油価格の急落がある。1週間前の9月28日に米国産原油WTIは一時95.03ドルまで買われていた。サウジとロシアによる協調減産継続の一方で、ソフトランディング濃厚とされる米国経済など需要も底堅く推移するとの見方が、価格を押し上げ、インフレ再燃すら懸念されていた。利上げ継続観測から原油上昇はNY金の売り手掛かりとされた。それが、今週に入り米国でのガソリン在庫の想定外の増加や、長期金利の急騰が景気を冷やし原油需要を抑えるとの見方から急落状態で12%ほど下げることなった。値動きの背後に透けて見えるのは、確たる見通しの下での上昇というより、目先筋の投機的攻勢による上昇が馬脚を現したという印象となる。

 

本日発表の米9月雇用統計・非農業部門雇用者数(NFP)は、17万人増の予想となっている。8月は18万7000人増だった。平均時給は前月比で0.3%増が予想されている。前月は0.2%増だった。失業率は前月の3.8%から3.7%への改善が予想されている(いずれもダウ・ジョーンズ)。果たして、どうなるか。

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