1月22日のNY金価は続伸した。トランプ政権の貿易政策や不法移民問題など政策を取り巻く不透明感から、リスク回避の際の受け皿とされる金(ゴールド)が買われた、というのが一般的な解説になる。
しかし、実態としては選挙戦時の大言壮語を含む公約と政権発足後に公表されている政策方針のかい離に、追加的な政策発動があるのではと市場内に残る警戒感が不透明要因となり金市場では買いが見られているということだろう。
トランプ大統領は、就任日の20日には自身のコアな支持者受けのする政策発表や政治的パフォーマンスに始終したが、市場で予想されていた一律関税や対中関税の即日発動を見送った。
21日は欧州連合(EU)に関税を課す考えを表明した。また、中国からの輸入品に対して2月1日から10%の関税発動を検討していると明らかにした。ただ中国製品に対する10%の関税は、選挙運動中に約束した60%の税率よりもはるかに低い。カナダやメキシコからの輸入品には2月1日から25%の関税をかける意向を示したものの、それもどうなるか具体策や着手を見ないと動きが取れないとの疑心暗鬼が生まれている。
第1期政権と比べ周到な準備をした上で政権スタートに臨んだと見られていたが、不透明感が漂い市場は方向性を出せないでいる。
NY金についても2800ドル台の高値を突破できないと、チャートとしては2番天井形成ということで、目先の正念場ということか。早晩、上抜くとは思うが。手掛かり材料待ち。
22日は、そうした中で上昇が目立っていたドルが序盤に対ユーロを中心に売られ、ドル指数(DXY)は一時107.749と2週間ぶりの安値に沈みNY金はNY早朝に一時2774.40ドルと昨年10月31日以来3カ月ぶりの高値を付けた。一方で高値警戒感もあり以後はNY時間を通し2760~2770ドルの狭いレンジ取引を繰り返し、目立った動きは見られず、そのまま2770.90ドルで通常取引は終了した。前日比では11.70ドル高だった。その後の時間外取引でもレンジ内の動きが続き、時間外取引は2766.30ドルで終了。
過去最高値水準となる値位置に対し、ドル円相場が主に156円台で滞留したことから、本日23日は大阪取引所の先物価格JPX金は、日中取引で高値引けの1万3943円で最高値を更新。午前に発表された10%の税込みで表記される現物の店頭小売価格も1万5283円と昨年10月に記録していた過去最高値を更新している。
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