亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

下値を試すNY金、タカ派バイアスのFOMC

2023年06月12日 20時55分02秒 | 金市場

先週のNY金は週間ベースで続伸となった。週を通して主要経済指標の発表が限られる中で、翌週13日発表の5月米消費者物価指数(CPI)および13~14日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、連日模様眺めの小動きに始終した。

もともと米連邦準備制度理事会(FRB)高官が政策関連の発言自粛(ブラックアウト)期間に入っていることもあり、市場横断的に手掛かり難の環境といえた。今回のFOMCでの利上げ見送りバイアスを考慮した上で1950ドルをやや上回る狭い範囲のレンジ相場を想定していたが、連日高値は1980ドル台となり9日につけた1987.80ドルが週足の高値となった。

終値は1977.20ドルで、週足は7.60ドル、0.38%高で終了。レンジは1953.80~1987.80ドルとなった。

円建てJPX国内価格だが、NY金のこう着状態の中で、ドル円相場が140円をやや下回る139円台での滞留となったことで、こちらも狭いレンジでの取引が続いた。JPX国内金価格は5月1日以降先週末までの27営業日中、終値で見て8700円台が24営業日を占め、残り3営業日が8800円台となっている。過去最高値圏での滞留が続いている。

 

先週はオーストラリアとカナダの中央銀行が市場の予想に反して利上げに踏み切り、主要中銀のインフレ警戒姿勢の強さを示した。高インフレの定着を防ぐため、FRBも引き締め的な金融政策を維持するとの観測が強まりNY金の上値を抑えた。

6日にオーストラリア準備銀行(中央銀行)が2会合連続となる利上げを発表。4月に据え置いた後、5月に再開していたが、2会合連続の利上げがサプライズとして受け止められた。インフレ上振れリスクを背景にしており、インフレ抑制には時間がかかるとの見方が改めて意識されることになった。

さらに翌7日にはカナダ銀行(中央銀行)が3会合ぶりの利上げを発表。主要中銀として初めて3月に据え置きに踏み切り、4月の会合でも据え置いていたが、物価上昇圧力が根強いため、利上げの再開となった。これで政策金利は4.75%と、2001年以来の高水準に設定された。「物価を2%の目標へと持続的に回帰させられるほど、政策金利が十分に引き締め的ではなかった」とした。

 

今回のFOMCでは利上げは見送られるとの見方が大勢となっている。ただ、高インフレに対する警戒感からタカ派姿勢は維持し、今後のデータ次第では7月に利上げを実施する可能性を示唆する公算が大きいとみられており、こうした見方を先週のオーストラリア、カナダ両中銀 のサプライズ利上げは裏付けることになった。

 

今週は言うまでもなくFOMCの結果がNY金の方向性を決めることになる。今回の会合では利上げは見送られるとの見方が大勢となっている。ただ、複数のタカ派メンバーの理解をパウエル議長がどう取り付けるか、意見が割れているだけに今後の展開を読む上でも全会一致の決定となるか否かも含め注目となる。

高インフレに対する警戒感からタカ派姿勢は維持し、今後のデータ次第では7月に利上げを実施する可能性を示唆する公算が大きいとみられる。

地区連銀総裁のみならずFRB理事の中にもタカ派的見解があり割れている。いわばタカ派バイアスがかかった会合を受けNY金は今週下値を試す局面を想定。しかし上昇トレンドが終わることはないと思う。

前日13日の消費者物価指数(CPI)がアクセント。

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