亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

今夜のNY株が見もの

2013年06月13日 18時07分15秒 | 金市場
今日の日本株が正念場の1万2500円を割れて引けたので、さらに弱気が広がる状況になりそうだ。中国株はじめ他のアジア株も売られ、流れはヨーロッパに受け継がれている。つまり株安連鎖。

ポイントは先月5月22日のバーナンキFRB議長の議会証言以降、近い将来の緩和策の縮小の有無を巡ってNY株式市場や債券市場が不安定化していること。このテーマは年始から金市場では先行して売り材料として捉えられ、いわば“お馴染みの”ものといえるが、ここまで反応してこなかったNY株や債券市場の動向を見ていると、イケイケドンドンで上昇してきたこれら市場の金融相場も転機を迎えたということだろう。日本株もまた、しかり。実際に昨夜のNYダウは126ドル安の1万4995ドルで取引を終えたが3日続落は今年に入って初めてのことだと。このニュースなど、はぁそうですか・・・という程度だが、それだけ上げていたということ。つまりNYは連鎖を止められるのか否か。さすがのNY株も調整局面入りということか。

いずれにしても金融相場から業績相場にうまくシフトできるか否かのポイントともいえるが、肝心の世界景気の見通し自体がパッとしない。

12日は世界銀行が世界経済見通しを発表したが2013年の見通しを下方修正した。中国やブラジルなど新興・途上国の予想以上の景気減速と、欧州の景気後退が深刻化していることが背景となっている。世界経済の成長率を1月時点の2.4%から2.2%に引き下げ、ユーロ圏についてはマイナス0.6%とした。世界経済はゆっくりと立ち直っているが「回復はおぼつかない足取りで、まだら模様」としている。このあたりは米国景気の見通しを示すこのところのFOMCの声明文とほとんど同じ見立てといえる。

「おぼつかない足取り」にも関わらず大本のFRBの中で緩和策の縮小を探る動きが出ていることに市場は不安を持っているわけだ。視点を変えるなら、これだけ主要中銀が緩和策を採用し、ばらまきをし、今もしているのにも関わらず、この程度の成長を維持するのがやっとという捉え方もできよう。かといって、ばらまきが長引けば長引くほど出口が遠くなる。(過去何度も指摘し、)新著にも書いたがFRB自体が誤算を重ねている。世銀の見通しが正しければディスインフレ傾向も続くので、雇用以外にもその点にも配慮が迫られることになる。

金市場という視点では、インドルピーが5月初めから10%近く対ドルで売られており、だからこそ政府は経常収支の赤字を抑えるために金輸入に規制を掛けてきているのだが、これもFRBのスタンス変更を予想した資金の逆流が根本にあるわけだ。他の新興国の株式市場などもさげ基調を鮮明にするのも、同じ。出口は難しい。いま日本時間の18時だが、今夜のNY株が見もの。


高校時代の同級生から連絡があり、大阪梅田の書店で新著を見かけ購入してくれたと。アリガト!京都からも同様の連絡が。。

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2 コメント

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本の紹介 (余談の人)
2013-06-14 10:51:34
 私も書店になかったので、取り寄せてよんでいます。丁寧にわかりやすく書いてあるのでたすかります。友人ふたりに紹介しました。
 
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ありがとうございます (亀井)
2013-06-18 00:16:48
お久しぶりですね。ありがとうございます。

タイトルから感じるイメージとは異なる流れや現状を整理してもらえる内容と自分では思っています。

そもそも、こうしたタイトルを念頭においていませんでしたから。したがって、多くの方に目を通してもらいたと思っています。
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