亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

方向感の出なかった米8月CPI

2023年09月14日 18時52分06秒 | 金市場

今後の米連邦準備理事会(FRB)の政策を見通す手掛かり材料と目された、8月米消費者物価指数(CPI)が発表された13日のNY市場の金価格は、続落となった。

発表された内容は、受け取る側の立ち位置により良くも悪くも解釈できる方向感の出にくいものだった。

 

ひとつはっきりしたのは、来週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)はメンバーによる経済予測の発表を含むいわば節目の会合ではあるものの、おそらくパウエル議長自身も記者会見などで方向感を示唆する話はできないだろうということ。引き続き、現れる経済データ次第の政策判断という発言になるものと思われる。したがって利下げ転換の時期も見通せない状況が続きそうだ。

結局、内容的には期待外れということで金市場のセンチメントを高める要素はなく、13日の金市場は方向感のない中で売りが先行することになった。NY金は、前日比2.60ドル安の1932.50ドルで終了。8月22日以来3週間ぶりの安値圏での滞留が続いている。狭いレンジを下向きに推移という展開に。

 

8月の米CPIは前年比3.7%上昇した。伸びは2カ月連続で加速し、市場予想の3.6%も上回った。ただ、食品・エネルギーを除くコア指数は前年比4.3%上昇と、伸びは7月の4.7%から鈍化し、2021年9月以来約2年ぶりの小幅な伸びにとどまった。来週のFOMCで金利が据え置かれる可能性が高まった。

総合指数は前月比では0.6%上昇し、昨年6月以来最大の伸びとなった。足元の原油高で総合指数の伸びが加速することは織り込み済みだったが、実際にガソリン価格が8月に入り高騰し、前月比10.6%上昇と、前月の0.2%上昇から急加速し、CPIの伸びの半分以上を占めた。コア指数は前月比で0.3%上昇で過去2カ月は0.2%上昇だった。

 

来週のFOMCでの利上げ見送り観測を変える内容ではないものの、その次の11月会合を巡っては米大手投資銀行間でも(0.25%の)利上げ有無につき見方は分かれている。

CPIの内容が判明した直後に米債市場では、10年債利回りが急伸し一時4.365%と8月21日に付けていた2007年11月以来の高水準を突破。ただし取引の薄い中で瞬間的な取引で付けたもので、その後はすぐに落ち着き4.259%と前日より0.027%低下して終了。

前日水準に戻ったことは、債券市場の投資家の金利見通しが大きく変化していないことを表している。

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