週明けの市場でも金価格のこう着状態が続いている。狭いレンジの中での前日比での上げ下げが続いて13日は3.50ドル高の1788.30ドルが終値ということに。高値は1792.00ドルまで、1800ドルを伺うほどの強さは見られない一方で、下値も1782.20ドルとしっかりで、まさにFOMC待ちの状況にある。
一方、産業用需要の比率の高いプラチナは9.60ドル安の924.60ドルとなり、金との価格差(863.70ドル)は9月中旬以来3カ月ぶりの大きさとなった。中でもパラジウムの下落が目立ち、この日の終値1674.70ドルは、手元の資料では2020年3月23日以来の安値水準となる。世界経済が新型コロナパンデミックで混乱していた時期以来の水準となる。
過去、何度も繰り返すように、貴金属の保有で王道を行くなら「GOLD(金)」を持つのが肝要と思う。特にリーマンショックに代表される国際金融危機以降ここまでの環境、さらにこの先は、金の保有は有効な分散投資と思う。ドルの急激なばら撒きにより米国が経済を立て直そうとし、それが一定の実を結んでも、副反応ともいえるバブルの醸成などは避けられず、終息に向けた過程で波乱を起こさずに運営(operate)できるかが試されることになる。拡大期および終息期の折々のリスクに直面するに従い、金保有に対する意識はゆっくりと高まっていくものと思われ、いまもその途上にあると位置付けている。
もちろん環境がはまれば、シルバーやプラチナが突飛高することは否定しないが、それまでじっと我慢できるなら、それぞれの好みや方針もあろうから保有については御随意に。
いずれプラチナとパラジウムの価格が以前のようにプラチナの方がパラを上回る時がやって来るのは、自明の理といえる。なぜなら自動車はEVに置き換わるわけで、排ガス浄化触媒のパラジウムは必要なくなる。プラチナも同じ用途の必要はなくなるが、現時点で水素関連で新たな需要が見込まれていることから、素材として生き残る可能性があることによる。もちろんパラに新たな使い道が開発されれば、この限りにあらずということに。
さてオミクロンへの警戒が再び高まっている。13日は感染が急拡大する英国で初めて感染者の死亡が確認された。前日にジョンソン英首相は、英国はオミクロン株による感染の「津波」に直面していると発言。この日は、ジャビド保健相がオミクロン株は首都ロンドンで向こう48時間以内に主流になるとの見方を示した。英国政府は18歳以上を対象に新型コロナワクチンの第3回目接種を呼びかけ、希望者が急増していると伝えられている。
折しも米連邦準備理事会(FRB)による年内最後の連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控え(14~15日)、テーパリング(量的緩和の縮小)加速が既定路線として織り込まれ、利上げ前倒し観測も根強いことから米株は下落。週明けの主要3指数はそろって1%前後(ダウ30種は320ドル安)の下げとなった。一方、長期金利は低下傾向が続いた。これは前週末発表の11月の消費者物価指数(CPI)が、前年同月比6.8%と約39年ぶりの伸びとなったこととは、整合性が取れないもの。FRB風に表現するなら「コンナンドラム(conundrum、なぞ)」ということになろう。債券市場は、中長期で経済の先行きを懸念するかのような動きとなっている。こちらも、足元のオミクロン株拡大懸念を映してのものか。
一方、FRBに関しては、3月中にはテーパリングを完了させ、6月から7月には利上げを実施するとの見方が市場内で固まりつつある。今回の焦点は、参加メンバーによる経済予測により示される予想値の分布図(ドット・チャート)が示す、22年の利上げ回数と、22年のインフレ予想がどの水準に落ち着くかにある。さらに長期の金利(FFレート)予想やインフレ予想も重要なポイントとなる。 今夜は11月の米生産者物価指数PPIが発表される、こちらも高目の数字が出ることは想定内。
12月12日日曜の夕刻のポッドキャスト更新済
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ところで、ヤクルト素晴らしかったですね。こんなにまじめに日本シリーズ見たの初めてです。野球の面白さ凝縮でした。