このまま沈静化とは誰も思っていていなかった北朝鮮情勢。次なる摩擦も引き続きミサイル発射でもたらされるであろうことは想定内といえた。しかし、本日早朝に各テレビ局を緊急放送対応に走らせた状況は、はやり一線を超えたことを表す。
予告なしに日本の上空を通過したということは、北朝鮮側の技術の未熟さから日本国内に着弾というケースもありえるわけで、こちらは迎撃ミサイルの発射で対応ということになる。失敗なのか意図的な攻撃なのかという判断は、緊張状態の中で短時間では難しく、それは(形の上では)交戦状態に入ったことを意味し、米軍も即応体制に入ることになるのだろう。
よってここまで疑心暗鬼が広がっている中で、「通告のあるなし」は、偶発的な衝突の拡大を防ぐ意味でも大事な要素となると思われるが、それを求めても無視ということか。今回の事件はそうした面で一歩踏み込んだ危機という捉え方になると思う。
この騒動に反応して金が買われ本日のアジアの時間帯は、28日の引け値からはジャンプスタートの1320.50ドル始まりで直ぐに1330.50ドルまで買われ、これがロンドンに入るまで本日の高値だった。その後、更新したが、本番は今夜のNYだろう。どうなるか、じっとウォッチ。ちなみに、ここまでの安値は1318.90ドルで、いわゆる「窓開け」の状態にある。今夜のトランプ政権の出方が見もの。
というのも記憶に新しいが、トランプ大統領は先週22日の演説で、ミサイル発射を見合わせていた北朝鮮に対し「金正恩氏はアメリカを尊敬し始めている」、「おそらく、そうはならないかもしれないが、何か前向きなことが起きるかもしれない」としていたからだ。このニュースを見た際に、水面下での交渉が今でも続いているのだと改めて思ったのだが、結局この発言は、読みが甘かったということになっただけに、どう出るか。
一般的にこうした“有事対応の金の上昇”は、長続きしないのが経験則の教えるところ。しかし、今回の問題は今後どう転ぶか見えず、さらに緊張が高まる可能性高く、この限りに非ずといったところだ。まして9月は米連邦政府の債務上限問題に2018年の予算案(あるいは暫定予算案)の成立など、時限的な課題が控えているし、FOMCもある。そこに北朝鮮情勢の緊張の高まりが乗ると、それぞれの材料が共振した際に金の上振れ、ドルの下振れが予想される。ただし、その伸びきった水準は維持できずに、反落も避けられないだろう。
平和ボケにアラートという感じだが、これが仕組まれたものなら、良くできている。実際に、そうしたシナリオを語る人もいるのだが・・・。それにしても頑丈なところや地下に逃げろと言われても、どうする!?というのが、実際のところで、窓際から離れるとか、そんなところか。