日米双方の金融政策決定会合は、結局、決め手になる手段が減っており、効果はあったんだと自らが評価する政策の、限界が近づいているのではないかと思わせるものだった。効果のあるなしについては、以前から議論はあったし、それ自体は新しいものではない。ポイントは、中銀自体が、おかしいなぁ・・・、さすがに拡大にスピード感が出てもいいころなのに・・・・、やはり何か仕組みが変わったのか・・・と疑問を抱き始めたという印象が強い。
特に比較対照で“勝ち組”とされてきた米国経済をコントロールするFRBに、その傾向が強そうだ。今回、利上げを見送ったが、6週間後(11月1、2日)さらに6週間後(12月13、14日)のFOMC時に状況が大きく改善している可能性は低いのではなかろうか。声明文で表現した「リスクは均衡」という状態が続けば御(オン)の字といったところだろう。
今回のFOMCは参加者全員の経済見通し付きだが、事前に“ポイント”とここに書いた(先行きの)引上げ金利の水準はやはり下方修正された。成長率に至っては、今年の予想中央値が6月時点の2.0%から1.8%に下方修正。2017年は2.0%で維持したものの、長期的見通しはやはり2%から1.8%に引き下げられた。成長率自体にこの先もスピード感が出ないことを認めているわけだが、過熱感のない中というか以前であれば停滞とも言うべき環境下で利上げに向かおうとしているわけだ。
おそらく仮に12月に上げられたとしても、その先は当面見合わせということになりそうだ。12月に予定通り引き上げられるなら、それで当面は“材料出尽くし”ということで、金市場はむしろ動きやすくなると思われる。その前に、12月に引上げできるか否か、心もとないのだが。
金市場は、プラス材料を足掛かりにファンドが買い持ちを増やしては、整理、増やしては整理というパターンを繰り返している。そうこうしながら水準を切り上げていくものと思う。