3月27日のNY金価格は反発し今年に入り16回目の史上最高値更新となった。
トランプ政権の自動車関税表明で貿易戦争拡大への懸念の再燃とともに、米経済に与える影響への警戒感もあり買いが加速した。それを受け本日の国内価格も連日の最高値更新に。JPX金は本日の日中取引で初の1万5000円台に乗せている。
自動車関税の発表を受け、27日のNY時間外のアジア時間から各国の株式市場の下げが目立つ中で、NY金は買いが先行する流れが続いた。徐々に水準を切り上げロンドンの午前、NYの早朝に買いが加速し3060ドル台乗せに。この段階で3月20日に記録していた取引時間中の最高値(3065.20ドル)を更新。ただし、NYの通常取引に入ってからは、利益確定売りに水準を切り下げ、いったんは3050ドルの節目割れに。それでも売りが一巡すると切り返しも早く、水準を切り上げながら相場は進行した。
早朝に付けた高値を上回ると昼には3071.30ドルまで付けこれが高値に。終盤にかけて利益確定の売りが出て通常取引は3061.10ドルで終了した。前日比38.50ドル高で終値ベースでも最高値を更新。
その後の時間外では買い優勢の流れに戻り、結局時間外取引は3069.10ドルドルで終了した。展開としては、ほぼ高値引けの状況に。
NYコメックスでは、中心となる取引が4月物から6月物に移行するが、理論的には2カ月分の金利分が上乗せとなる。28日の6月物終値は3090.90ドルとなった。10ドル通常より割高水準。
NY時間外の本日アジア時間には一時3124.40ドルまで買われている。 こうした中でここに来て欧米の投資銀行数行が金価格の予想の上方修正を発表しているが、27日ゴールドマン・サックス・グループは年末の予想値を上方修正した。これまでの3100ドルから3300ドルへ引き上げた。予想を上回る新興国中央銀行の需要や、金ETF(上場投信)への強い資金流入を理由に挙げている。
いつもながらゴールドマンを含め、相場展開と環境に応じ見通しを上げたり下げたりするので、「参考」という位置づけとなる。言うまでもなく足元では全体が強気に傾いている。
トランプ政権による自動車とその基幹部品に対する25%の追加関税については、欧州連合(EU)が27日、「強力な対応を準備する」と表明した。またカナダのカーニー首相(前中央銀行総裁)も「反撃する」として報復措置を取る意向を示した。米国との協力関係は「終わった」とした。それに対しトランプ大統領は自身のSNSへの投稿で「EUがカナダと協力して米国に経済的損害を及ぼすことになれば、現在計画しているよりも大規模な関税を課すだろう」とした。
欧米のエコノミストの中には、トランプ関税が世界貿易に大きな打撃を与えるとは考えていないとする向きもあるが、それは各国が報復で事態をエスカレートさせないという前提に基づいている。
3月は米株の下げが目立ったが、多くの機関投資家が指標とするS&P500種平均株価は、月末まで2営業日の取引を残すが四半期ベースで2023年以来の大幅安になる可能性が高そうだ。