亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

重いバトン

2006年03月15日 18時35分41秒 | 金融市場の話題
さて発表された米10-12月期の経常収支の中で、注目していた所得収支は結局約16億ドルの黒字になっていた。10-12月期のデータは24億ドルの赤字だったが、7-9月期のデータが今回の発表で当初の5億ドルの黒字から49億ドルの黒字に上方修正されたのが効いて通年では黒字となった。きのう黒字になったとしてもギリギリでなんとか黒字となりそうとしたが、そのとおりだった。ニュース性を帯びるとした赤字にはならなかった。したがって、どのメディアを見ても所得収支の急減について取り上げたものはない。それでも8000億ドルを超えた経常収支の赤字の規模は、それなりのインパクトを持った。2月の小売売上が予想よりマイナス幅を拡大したり(1月が良過ぎた反動も)、業界では名の知られた調査会社(メドレー・グローバル・アドバイザー)が、米国の利上げ打ち止めは近いとの観測レポートを流したことが効いたとか、いろいろ指摘されているが、ドル売りの基本的な環境を作ったのはこの赤字の額だろう。

これまでの、景気刺激策の“澱(おり)”が溜まったという表現もできるが、米国が走り続けると赤字もついてくるという、構造問題化しており、バーナンキ新FRB議長の渡されたバトンは、とても重いバトンだということ。走りながら落っことしそうになるくらい重いバトンだが、それでも歩くわけにはいかないというレースなんだ。おりしも同議長が民主党議員の質問に答えた書簡が昨夜公開されていたが、財政赤字の拡大に警鐘を鳴らした内容となっていた。前任のG議長がたびたび指摘していたので、だれが考えても問題点は同じということだろう。結局、米国「双子の赤字」問題は足元の材料にはならないのだが、いずれの時点でか、何かを引き金に、市場参加者の意識レベルが急上昇するという類の材料のように見える。この環境の中では、金価格はかつてのように、元の水準に戻ってしまうというようなことは考え難いというわけ。

さて、この所得収支については、今夜の日経CNBCエクスプレス内で取り上げることになっているのだが、どういう風にしようかと、ただ今思案中。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 然(さ)は、然(さ)りながら | トップ | 1月の米国債、海外民間部門は... »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ドバイが熱い (いつも拝見しております)
2006-03-15 19:57:51
出来高ですけど・・・エネルギー充填中!

XAUもなかなかがんばってますね。



東京は一頃に比べ、閑古鳥が鳴いてますが・・・

熱い市場が東から西へと移るから下値がかたいのかもしれませんが・・・憶測憶測・・・

次はCME?

市場を巡り、上がる???
返信する
連邦債務法定上限引き上げ (いつも拝見しております)
2006-03-16 12:16:56
お疲れさまです。



ドルはファンダメンタルが無視されているのではと思わせる昨今の動きです。



取り上げている、所得収支もそうですが、今は連邦債務法定上限問題がこれだけ危機迫っているというのに、金利もドルもほとんど動きません。



ここまでくれば、「金」を買わずにはいられないのですが、「金」も静かですね。



ドルもニューエコノミーと化しているのでしょうか?

マーケットも麻痺しているとしか思えません。

カジノマネー(ドル)の魅力に皆つい買ってしまう?
返信する
3回目だろうと4回目だろうと・・・ (いつも拝見しております)
2006-03-17 22:45:06
お疲れさまです。



どうやら関係なさそうですね。

しかし、もう少し議論があってもいいと思うのですが、それすらない・・・できない???



欧州市場でGM関連一波乱・・・

GM救済となれば財政出動、イラク空爆に財政出動、イランに攻めれば財政出動、何かあれば財政出動・・・



う~む・・・何があってもおかしくないけど、とりあえずは何もない。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金融市場の話題」カテゴリの最新記事