亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金120ドル6.2%下げた2月

2023年02月28日 20時01分31秒 | 金市場

駆け足で過ぎ去る2月。1日早いが2月をまとめておこう。

 

最終日を前に27日のNY金は前日比7.80ドル高の1824.90ドルと6営業日ぶりの反発となった。前週末までとは異なりNY時間外のアジア時間に一時1812.00ドルまで売られた後に、その後は狭いレンジの取引を繰り返しながらロンドン、さらにNY午前と水準を切り上げながら相場は進行し、切り上げた水準を維持して終了した。ただし、高値は1827.30ドルまでで上値は重かった。

 

2月3日の1月米雇用統計以降、先週24日の米個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)に至るまで、強い経済データの発表が相次ぎ、米連邦準備理事会(FRB)が従来の予想以上に利上げが必要になるとの見方から、米長期金利とともにドルも上昇。その一方で、0.25%の利上げを決めた2月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)直後こそ、1975.20ドルと昨年4月以来の高値を付け、以後水準を切り下げたNY金。

この間に米10年債利回りは、1月19日の3.321%を底に週明け2月27日には一時3.979%までつけ3.918%で終了。一方、NY金への影響が大きいドル指数(DXY)は、2月2日の100.82から27日は一時105.359まで買われ、その際にNY金は27日1812.00ドルまで売られることになった。

 

2月に入って発表された一連の米国経済指標の好調さについては、当初は(月初の前月比雇用者増加数などは)、イレギュラーな要素が紛れ込んだものとの指摘がされていた。

しかし、その後も好調な指標の発表が続くうちに、市場では米国経済の好調さは一過性の戻りではないとの見方が強まり、FRBによる利上げ打ち止め観測は大きく後退。一方で、続いても利上げは3月、5月まで(各0.25%)との見通しは、6月の会合(FOMC)まで延長されるとの見方が織り込まれることになった。

そうなると、政策金利の水準は現在の4.50~4.75%から5.25~5.50%まで切り上がることになる。この水準は12月のFOMCにて示されたメンバーの予測(中央値で23年末5.1%)を上回るものでもある。

先週末の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)の予想外の加速は、FRBが重視している指標とされることから、7月の会合での利上げ継続観測も浮上している。

 

昨年FRBは、11月に向け4会合連続で異例の0.75%の利上げを実施、12月には0.5%に利上げ幅を縮小した。歴史的な引き締め策の効果がそろそろ現れ始めるタイミングと捉え、利上げ幅を縮小し、様子を見るという方針だった。そして年明け23年2月1日の会合では、さらに利上げ幅を0.25%に縮小。パウエルFRB議長は会合後の記者会見にて「(物価の伸びが鈍化する)ディスインフレのプロセスが始まった」と明言した。NY金の2月の高値1975.20ドルはこれに反応したものだった。

興味深いのは、2月に入り強い指標発表が続いていた2月17日のボウマンFRB理事の発言だった。

同理事は「これまでの措置が定着していないか、効果を発揮していないことを示すデータが続いている」とした上で「政策金利が十分に制約な水準に到達していない」とした。 地区連銀総裁ではなく、FRB執行部たる理事の間でも、2月に発表された指標を巡っては、見通しの揺れが見られている。

 

新型コロナ禍からの回復という、従来にない環境の中で、ロシアのウクライナ侵攻という不透明要因が加わり、経済自体も不安定している。

したがって、経済指標自体の振れ幅が拡大しているとみられ、やはり単月での判断にはリスクが伴うと思われる。

 

2月に現れた変化がトレンドを形成するか否かは、3月のデータを見る必要があると思われる。

3月あるいは4月に、再び環境が大きく変わる可能性は否めない。

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