ETF残高の減少について

まず金価格の話から。さすがに１１５０ドル接近の水準では、売り買い交錯といった状況。欧州金融機関のストレステストは基準の甘さが指摘されるものの市場に混乱なく受け入れられたこと。さらに米国景気回復の足踏み状態は続いているものの、発表されている４－６月期企業業績がおおむね良好であることから、金融市場の環境は落ち着いたというか、状態としては宙ぶらりんの状況。金市場にとっては動きずらい環境といえる。

そこに金市場に避難していた資金の一部が月末接近で撤退という流れ。この流れはETFにも表れている。最大銘柄「SPDRゴールド・シェア」は２７日に約１９トンとまとまった減少が見られ、これで月初から３８トンの減少となった。６月は５２トン増えており、逆の流れといえる。例年７月は“出入り”の動きが出やすい月だが、目先の環境の安定から他資産への資金シフトを図る動きも見られている状況。ただし多くは滞留したままとなっている。

じつは月初から、このETFの動向は注視してきた。というのも年金基金などの運用主体は７月の下半期をにらんだ資産内容の組み換えを行うタイミングでもあるからだ。流動性の高い「SPDRゴールド・シェア」で見ることになるが、おそらく今月は先月比でマイナスとなると見られる。ちなみにマイナスとなったからといって、その方向性が変るわけではない。ちなみに昨年０９年７月は４７トン強減っている。今回は直前の２ヵ月で１６０トン増えた直後で市場環境の“凪（なぎ）”状態のなかでのことゆえ、昨年と同じ規模の減少となったとしても、やはり大口の投資家の運良方針の変更という判断は、これだけでは下せないということ。


２８日は次回８月１０日に開催が予定されているFOMCの政策判断の材料となる「地区連銀経済報告書（通称ベージュブック）」が発表された。前回６月の報告では「全12地区で改善」としていたが、今回は「経済活動は拡大を続けているが、２地区はおおむね水準が変わらなかった」とし「他の２地区は拡大ペースの鈍化」を指摘、回復はしているがペースは落ちているという内容だった。雇用についても「「緩やかに改善」ではあるものの、派遣やパートタイムが改善の中身という指摘となった。さらにこの日発表された６月の米耐久財受注も予想＋０．９％に対し－１．０％と２ヵ月連続の減少となった。こうしたネガティブな材料と足元で発表される企業業績の好調さが綱引き状態となっている。