亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ドローンの軍事転用が高める地政学リスク

2019年09月17日 22時43分16秒 | 国際情勢
サウジの石油施設に対するドローンの攻撃は、最近も起きており、またかというのが最初の印象だったが、国際ニュースの映像を見てすぐに規模の大きさが違うことに気づいた人は多かろう。先週、たまたまドローン技術が軍事分野で非常に伸びているという内容の原稿を読んだところだった。昨年10月にペンス副大統領が、中国を非難する演説をし、「米国に挑戦する国」としたうえで、徹底的に対抗すると宣言するということがあった。新たな冷戦の始まりという評価があったが、実際にその後ファーウエイに対する制裁が具体化した。その時期に中国はドローンの軍事利用についてここにきて技術革新が目覚ましく、多くのドローンのコントロールを一元管理できるシステムを開発し、米国が遅れを取っていることに気付いたという話を何かで読んだ。その情報が正しいのか否かは確認できなかったが、その後の流れはなるほどという展開で今も続いている。

今回の攻撃については、10機程度のドローンが使われたとされるが、先んじてやはり同じサウジ東部の油田(シェイバー油田)のドローンを使った攻撃が発生していた。今回と同じ武装組織フーシによるものとみられたが、フーシが拠点を置くイエメン中西部から1000キロ以上離れた場所だったことが、サプライズとされた。小型で超低空飛行が可能ゆえにレーダー網に探知されずに標的に接近できるドローンだが、これだけの長距離からの攻撃が可能となると、防ぎようがないのではとの懸念が生まれていた。そうした折に今回の攻撃が発生している。被害の大きさから巡航ミサイルが使われたとの見方もあるが、それほど軍事的にも衝撃的な事件のようだ。今日になってアメリカが襲われた石油施設の衛星写真を公開したとのことで、その写真ではそれぞれの重要施設が同じ個所に攻撃の跡が残っていたが、まさにドローンが極めて正確にコントロールされていたことを思わせるものだった。

しばらく、石油施設はいつ襲撃されるかわからないという点で、今後の市場にこれまで以上に警戒感を持たせることになりそうだ。。ただし現時点で急騰したとはいえ原油価格はこのところのレンジの範囲内であり、事態の長期化の有無を市場は確認しようとしている。

それにしても国連総会が開かれ、その機会を利用して米国とイランの首脳会談があるのではとの見方や、一度はあきらめたサウジアラムコ新規公開が秒読みに入ったというタイミングでの今回の事件。それらを阻止したい力が働いている。



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