
先週末9日のEUサミットの賞味期限は予想外に短いものになった。14日はイタリア5年国債の入札が行われ、その条件が6.47%と同5年債のユーロ導入後の最高水準を突破することになった。この後、イタリア10年債の流通利回りが上昇を始めると、欧州株は下落基調を強め、10年債もイタリア財政が維持不能と目される7%を突破。この流れの中で、ユーロは売られ対ドルレートで今年1月以来となる心理的節目1.30ドル割れる水準まで売り込まれると投資家の警戒感は一気に高まり、株式から商品まで総売り状態に見舞われることになった。
この中で1640ドル前後の水準でもみ合っていた金だが、ファンドの見切り売りに急落。ドル建て価格の下値支持ラインとなってきた200日移動平均線(1610ドル前後)を割りこむと、ファンドのストップロスの売りに下げに拍車が掛った。結果的にコメックスの先物価格は76.20ドル安の暴落状態に。似通った投資理論に基づくファンドのプログラム売りが下げに拍車をかけるのは、9月の下げと同類項といえる。200日線に続き1600ドルという心理的な節目を下回ったことも下げ圧力となり、この下は1560ドルさらに9月26日の1535ドルが意識されることになった。
足元の市場は、再び“恐怖”が支配する状況にある。ユーロ圏を中心とするカネの流れが急激に細ることを意味する「流動性危機」が意識され、財政赤字削減よりもむしろ景気後退の規模が拡大し、さらに財政への圧迫が増すという流れを市場は危惧している。その中で、欧州中央銀行(ECB)による国債の買い取り拡大はECB自身とドイツの反対によって拒否され、前日のFOMC(連邦公開市場委員会)では追加緩和の可能性もやや後退したことから、市場の不安心理は再び高まることになった。またユーロ圏で繰り出される対応策が市場を納得させられなくなっている点も指摘できるだろう。金市場でも、これだけ下げ圧力が高まるとポールソンの売りが噂に上ったり、少し前から見られている手持ちの金現物を使った銀行の資金調達なども話題になり、弱材料として広がるという展開となっている。売りの主体はファンドだが、現物の動きにもいつも以上に気を配らねばならない状況となってきた。こうした動きは年明けのユーロ圏での国債償還、借り換えに際しての混乱に乗じて高まると想定してきた。今日明日のユーロ圏とNYの状況を注視。
そうは言っても、私自身今はダブルトップをつけて調整中と見てますので、慎重であるに越した事ない、と思いなおしました。
御教示有難うございました。