
昨夜の金価格の70ドル超えの材料となった英国のインフレ率。1月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で4.0%となった。すでに12月の数字が3.7%となったことから注目はされていた。イングランド銀行(BOE)は、日銀や米FRBとは異なり、一定の物価上昇を目標とする政策を取ることを掲げており(インフレ・ターゲット)、その水準が2.00%となっている。2ヵ月連続でその基準値を大きく上回ったことから、キングBOE総裁は財務大臣に宛ててなぜ目標を外す結果に至ったのかという理由と対応策を書簡にして送ることになった。
近く利上げに向かうとされるのだが、悩ましいのは英国の景気がいいのかというと、そうでもないこと。景気の状況からは利上げは考えにくい。そもそも英国の物価上昇の背景には、ポンド安(輸入物価の上昇)のところに原油価格の上昇が見られたこと、さらに日本の消費税にあたる付加価値税(VAT)が財政再建を理由に1月4日にこれまでの17.5%から20%に引き上げられたことがある。つまり景気動向とは関係なく物価は上がっているのは事実で、中央銀行は難しい対応を迫られているわけだ。大学の授業料の大幅値上げで学生がデモをしていることは日本でも報じられていたが、英国は欧州の例に漏れず緊縮財政を敷いている。デフレ策を取っているわけで、そこに引き締め策を重ねることになるわけだ。必然的に利上げ幅は小幅になるだろう。ユーロ圏の先行き同様に英国の動向も経済学の実験のようなのだ。
ドイツ連銀のウェーバー総裁の辞任など欧州がチャプチャプしてきている。欧州の病は慢性疾患といえ、小康状態を挟みながら油断をすると症状が出てくる。
内容とはまったく関係なく写真は今朝の東京の夜明け。外に出たらきれいだったので戻ってカメラを取り出した。遠くにスカイツリーが見えるのだが、この写真ではワカラナイだろうなぁ。