亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金終値ベースで高値接近、FRB注視のインフレ指標も鈍化継続

2023年12月25日 15時23分02秒 | 金市場

先週末12月22日のNY金は続伸した。前日比17.80ドル高の2069.10ドルで終了し、終値としては過去最高値となった12月2日の2089.70ドルに次ぐ水準となる20年8月6日の2069.40ドルと同水準ということに。

 

発表された注目指標、11月の米個人消費支出(PEC)物価指数(デフレーター)が一段のインフレ鈍化を示したことから、2024年の早期利下げ観測が意識され、ドルが主要通貨に対し売られた買いを集めた。一時2083.10ドルまで買われたが、これは過去最高値を大きく更新した12月4日以来の高水準となる。

ただし、上昇の勢いが失われると一転して売り優勢に転じ、相場は20ドルほど水準を切り下げた。NY金先物市場では12月19日時点で、ファンドのネット買い残が重量換算で649トンに達しており、利益確定の売りが断続的に出ていることによる。それでも2060ドル台は維持して終盤まで推移し終了した。週間ベースでは33.40ドル、1.64%の続伸となった。

 

米商務省が発表した11月のPCEデフレーターは前年同月比2.6%上昇し、伸びは10月の2.9%から鈍化した。10月に21年3月以降で初めて前年同月比で3%を下回ったが、3%割れは2カ月連続となる。前月比では0.1%の低下に転じた。前月比で低下するのは2020年4月以来初めてのこと。10月は横ばいだった。米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として重視する(変動の大きい食品とエネルギーを除いた)コアPCEデフレーターは前年同月比3.2%上昇。伸びは10月の3.4%から縮小し、21年4月以降で最小で市場予想(3.3%)も下回った。前月比では0.1%上昇で10月も0.1%上昇していた。

この結果を受け米金利先物の値動きから金融政策を予想する「フェドウォッチ(Fed Watch)」ではFRBが来年3月19~20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決定する確率は約72%に上昇。市場は再び来年3月の利下げを織り込みにかかっている。

主要通貨に対しドルは売られ、ドル指数(DXY)は一時101.429と7月28日以来約5カ月ぶりの安値を付けた。その際にNY金は前述のように2083.10ドルの高値を付けた。ちなみに23年ここまでのDXYの高値は107.348(10月3日)、安値は99.578(7月14日)となっている。早晩再び100ポイント割れとなり、年明けには95ポイント方向を探るとみている。

 

インフレが落ち着く一方で、米経済の底堅さを示す指標が相次いでいる。22日発表の11月の米耐久財受注額は前月比5.4%増と、市場予想(2.0%増)以上に伸びた。ミシガン大学が発表した12月の消費者信頼感指数(確報値)は69.7と、速報値(69.4)から上方修正され市場予想(69.4)も上回った。インフレ懸念後退の中で一定の好調さを維持する経済は、FRB関係者も予想している経済のソフトランディング(軟着陸)を思わせることから、株式市場は好感。

ダウ30種平均は過去最高値の更新を続けるが、先週は多くの機関投資家が運用指標としてるS&P500種も最高値に迫った。ナスダック総合を含む主要株価3指数ともに8週連続で上昇となっている。

利下げ転換を織り込み上昇するゴールド、ゴルディロックス(適温経済)を好感して上がる株式。ゴールドと株式の同時上昇が続いている。

本日はクリスマス休暇で主要国で市場が空いているのは日本のみ。

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