亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

炭鉱のカナリア

2019年07月18日 21時05分52秒 | 金融市場の話題
17日のNY金は、あれやこれや買い材料を搔き集めたような状況で結局、通常取引終値で7月3日の水準を超え1423.30ドルで終了。2013年5月14日以来となる戻り高値の更新となった。高値の更新が静かに進んでいるのが今回の上昇相場の特徴と言える。もっとも、NY金は1350ドル程度を下値にした調整があっても不思議はなかったものの、それもないままに推移していることになる。

ここまで続いてきた株高を正当化する業績が、どうも心もとない状況になりそうな気配があり、株高と資金調達と景気拡大の順のパターンが崩れそうな予感が株式市場に広がっているイメージだ。一昨日、金の先行きを読むのに株価にも注意と書いたのは、全般に警戒モードの広がりを感じることによる。

17日は主要3指数ともに下落となった米国株式。米鉄道貨物輸送大手CSXが第2四半期決算を発表、利益が予想を下回ったことに加え、通年の売上高予想を下方修正したことが地合いを悪くした。CSXのような貨物輸送企業の業績見通しは、いわゆる「炭鉱のカナリア」で、先行きの景気見通しの手掛かりになってきた経緯がある。この点で似たような銘柄にUPSがある。貨物の低迷に市場は貿易摩擦激化の影響を読み取り、警戒感を強めることになった。CSX株は1日で10.3%下落し、1日としては2008年以来の大幅な下げという。つまりリーマンショック時以来の下げに。同業のユニオン・パシフィックも6.1%の大幅安となるなど関連株は軒並み売られることになった。マイクロソフトが今週発表だったか?

もう一つはIMFが年次報告(「対外部門の安定性に関する報告書」)にて、短期のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に基づきドルは6~12%過大評価されているというのもあった。何でこのタイミングに、かかる報告書が出てくるのか?という感じだが、放っておくと合衆国大統領がドル安礼賛のような発言をしかねないので、代わりにレポートを書いたのだろうか。基軸通貨発行国ではあるものの経常収支大赤字国である米国は、あくまで「強いドルは国益」としてドルの信認を維持するのが建前。無用な発言で混乱を招くのを避けるために、かかるレポートが出てきたというのは、穿(うが)ち過ぎか。。。。どっちにしても、これも金価格を押し上げた。

明日の日経朝刊に、M&Aの減損が世界で16兆円と、リーマン後最大になっているとの記事が出るようで、よお~く読みましょう。バブルの綻びになるのか否か。いろいろカナリアが鳴いている・・・でなく、鳴かなくなっている。
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