昨夜は発表された米1月の住宅着工の数字が振るわなかったので、「これも寒波か?」と書いたが、細目をみれば気温が低い北東部で増加している一方で、より温暖な西部地区で減少するなど、必ずしも天候要因では説明できない内容だと。とくに重要な一戸建て住宅が15.9%減少の57万3000戸と2012年8月以来の低水準に落ち込んだ。それよりも天候要因は無関係の住宅着工許可件数が1月は5.4%減り93万7000戸となった。しかも減少は3ヵ月連続となる。
昨夜のもう一つ、FOMC議事録要旨は、ちょうどNY金はフロアの取引が終わり時間外の電子取引に移行した後の発表だった。発表されると金価格はストンと10ドルほど落ちた。金が反応したのは、利上げを開始すべき時期をめぐる議論がなされていたこと。もちろん今や過去の1月の時点の話ではあるし、まだ主流となる意見ではないが、金利を生まない金にとっては、利上げは大きな悪材料となる。しかし、昨夜のNY金は1300ドル割れに至るような下げにつながらなかった。昨年のような環境ならば、急落していたと思われる。結局、一連の経済指標の減速が果たして天候要因による一過性のものなのか否かという点で、市場にも迷いがあるのだろう。したがって金を大きく売り込めなかったわけだ。結局、3月7日に発表される2月の雇用統計の注目度がさらに上がることになろう。
ところでUBS(スイス・ユニオン銀行)が金価格の見通しを上方修正したとのこと。1ヵ月先の予想をこれまでの1180ドルから1280ドルに、3ヵ月は1100ドルから1350ドル。テール・リスクすなわち起きる可能性は低いが起きると影響が大きいリスクの準備として金を買う動きがあるとしている・・・ほんとかね(ならば、環境は好転していることになる)。今年の平均価格も1200ドルから1300ドルに上方修正に。上がってくると、このように修正にかかるわけだ。