週明け7日のNY市場の金価格は、横ばいの小幅反発でほとんど動きはなかった。これは為替市場や債券市場も同じで、先週末の雇用統計の発表という注目イベントを通過し、しかも主要経済指標の発表もない環境。米国議会も9月4日まで休会となり、米国大統領も長期休暇に旅立った(「ワシントンを離れて仕事をやっている」とは本人の弁)。つまり、市場を刺激する政治がらみの材料もお休みということで、いよいよ“summer doldrums(夏枯れ)”が到来した。7日の金市場は、上下4.3ドルの範囲内に収まる値動きで、NYコメックスの通常取引は前日比0.10ドル高の1264.70ドルで終了した。為替市場も債券市場も目立った動きなし。今夜は、昨日より少し動きがあるか。
企業決算の発表も大方終了した中でNY株も夏枯れと思いきや、こちらは相変わらず悪材料には目を向けず慣性の法則のごとき値動きを続けている。NYダウは7日までで9営業日連続の過去最高値更新。合わせてS&P500、ナスダックも上昇となった。
相場格言のいうところの「もうは、まだなり(“もう上がらない” は“まだ上がる”)」状態が続いて久しい。この株高が、センチメントを逆に戸惑わせる。
今週は11日の7月の米消費者物価指数(CPI)が、唯一の注目イベント。3、4、5、6月と減速しているだけに注目度は高い。前月比20万9000人増、失業率4.3%という労働市場の好調さが物価に波及しているかどうかがポイント。「インフレに対する上向き圧力が非常に小さいためFRBは経済成長を抑制するために利上げを行う必要はない」とは、7日、テネシー州ナッシュビルの講演でのセントルイス連銀ブラード総裁の発言。今年、FOMCでの投票権は持っていない。「インフレ率の低迷は一時的なものではなく、モノとサービスの価格低下につながる技術革新などの長期的な要因が背景にある可能性があり、懸念に値する」ともしている。この意見に同調する市場関係者は多いのだが、答えはこの2ヵ月ほどで出る。