
このところ毎週末にCFTC(米商品先物取引委員会)が発表するNY金先物取引におけるファンドのポジションに変化が表れている。静かにショート(売り建て玉)が積み増しされている。“積み増し” などと書くと、如何にも特定のファンドが目的を持って動いているような誤解を招きそうなので、表現を換えると「ショートが徐々に増えている」。誰がどんなポジションを持っているかは、特定はできない。一方、以前も書いたがロング(買い建玉)の手仕舞い売りは、終わっている。先週発表されたデータは、12月13日までの集計値。つまりFOMC(連邦公開市場委員会)後の下振れの動向については、今週末23日に発表される。
その13日時点の内容は、ファンドのネット・ロング(買い越し量)が402トンとなった。この数値はオプション取引分を除いたもの。ちなみに米大統領選投票日当日は、ロング901トン、ショート226トン、差し引きしてネット・ロング675トンだった。そのロングが714トンに減り、ショートが312トンに増え、差し引き402の買い越しというわけだ。ネット・ロングは、今年の7月5日のピークの982トン(過去最高)からは60%の減少となる。直近でショートが一番減ったのは9月6日の194トンだった。
ファンドは、この先の下げに賭けて来ている。今回のFOMCに際して2017年末の金利見通しが上方修正され利上げ見通しが2回から3回になったことで、さらにショートが増えたものとみられる。この戦略は当たるのか。ショートの増え方が漸増つまり徐々に増えていることから見て、ドル金利とドル・インデックス(DXY)の上昇に応じて、プログラム的に増えたものと思われ、腰の入ったショートではないのではないかと思う。つまり、金利とドルが反落するとあっさりとカバー(買い戻し)されるのではないか。何かをきっかけに、株式市場の調整が始まれば、ここまでの流れが逆転し、その矛先は金市場にも及ぶのではないか。
さて、今夜・・・・というより日本時間の明朝(午前3時30分)、イエレン議長の講演が予定されている。
本日は東京でも夕焼けに映える富士がきれいだった。