亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

サーキット・ブレイカー発動

2006年04月21日 11時55分19秒 | 金市場
昨夜は銀座の中華薬膳のお店で会食。そこで最近の貴金属市場について、モメンタム(勢い)主導相場なので行くところまで行かないと止まらんね、どこで止まるか相場次第、まずはlet it goみたいな話になり、この部分で見方は一致。色々な話題が出て、そこは楽しく散会。興味深い話を聞くことができて勉強になった。家に帰って、明け方3時に東京では地震。それで飛び起きたが、休む前にチエックしたNYに大きな変動は無かったので、レートを再チエックすることもなく、そのまままた寝てしまった・・・で、朝起きてびっくり。マーケットで大地震が起きていた。シルバーが大暴落。金もそれに連れ安。

ETF(上場投信)認可を囃(はやし)して投機人気化してきたシルバーは、このところ珍しく貴金属市場全体を引っ張るという状況まで見られていたが、瞬く間に自壊してしまった形。そう、まさに自壊。「ハチの一刺し」の「一刺し」の材料は見当たらないわけ。「パーティを楽しみましょう。でも踊るときは出口の近くでね」という株式市場の相場環境と投資スタンスを示すときに個人的に好んで使う言葉があるんだけど、まさに昨夜のシルバーがこれ。

ブルームバーグの市況解説に“市場動向強気センチメント”指標の紹介がされていて、今週初めのそれはシルバーに関しては97%が強気だったとのこと。こういう数字が後から報じられるのも、相場激変後によくある話だが、それだけシルバー相場参加者全体がカンカンの強気になっていたということ。で、崩れ始めて我先に飛び降りるというパニック状態に。“ブラックThursday”怪我人続出状態の惨事になってしまった。ドイツ銀行のディーラーがトレード中に卒倒し救急車で運ばれた・・などという噂も流れている様子。

ところでNYの株式市場には「サーキット・ブレーカー」といって価格激変の折に取引を一時中断するというルールがある。例の87年のブラック・マンデー後に設けられたもので、確か1998年の大手ヘッジファンド「LTCMの破たん」騒動の際の急落時に適用されたと記憶している。NYコメックス(商品取引所)にも同じようなルールがあって、シルバーの場合、1日の値動きが前日比で1.5ドルを越えると15分間取引を中断しその後再開というルールがあり、今回はそれが適応されるほどの大荒れとなった。「中断ルール」については正直言って今回始めて知ったが、取引は一時的にストップするが日本のようにストップ高、安というような値幅には制限はない(これ株式市場も同じ)。まぁコメックスでみて前日比13.7%安は、足元の金価格に当てはめれば前日比87ドル安ということになるので、スポット価格での金の20ドル余りの下落幅は、“それで収まった”という理解になる。

収まったのは、銀に連れ安で急反落となったが、原油価格は相変わらず高止まり、中東情勢に打開の方向は見えず、米国の「双子の赤字問題」は元より急な解決策はなく、金を取り巻く基本的な環境に変化は見られないということ。つまり環境は、変わっていない。冷静になるという意味でも、これは金市場にとって、いい調整局面となりそう。

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