飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
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万葉アルバム(奈良):山の辺、石上神宮

2012年08月22日 | 更新情報
     (写真文書を追加しました)


未通女(をとめ)らが袖(そで)布留(ふる)山の瑞垣(みづかき)の
久しき時ゆ思ひき我(われ)は
   =巻4-501 柿本人麻呂=


少女たちが袖を振る布留の石上(いそのかみ)神宮の垣、その古い垣のように昔から変わらず、ずっとあなたを思っていた、という意味。

自分を思う妻への感謝の気持ちを込めた歌。娘子らが袖を振る、布留の山とかけている。「布留」はいまの奈良県天理市布留町で、石上神宮の周辺をさす。
瑞垣(みづかき)は、神社の垣根のことだが、この歌では神代からの遠い昔からをたとえている。

未通女(をとめ)は万葉仮名らしい表現で、万葉時代に少女のことを「おとめ」と呼んでいた証しであり、それを万葉仮名として当て字で表現したのが「未通女」であり、それが後の代に「乙女」となった。
万葉時代は文字は未文化で、圧倒的に話し言葉であり、語り伝えた歌が多い。
万葉の語源は、万(よろず)の言(こと)の葉からきているというが、まさにその通りと思う。


石上神宮 拝殿
鎌倉時代初期の建立とされ、拝殿としては現存する最古のもので国宝に指定されている。(写真は2010/12 以下同様)


参道のたもとにみえる万葉歌碑
この万葉歌碑は石上神宮の参道向かって左手に建っている。


万葉歌碑
昭和43年4月の建立で、石材は旧内山永久寺の北門跡にあった敷石が用いられているとのこと。高さ2.3メートル、横巾は1.4メートル。刻まれる文字は、『元暦校本万葉集』から採られている。