故郷の明日香はあれど青丹よし
奈良の明日香を見らくしよしも
=巻6-992 大伴坂上郎女=
古い飛鳥の里もよいけれど、今が盛りの奈良の明日香を見るのはすばらしいものです、という意味。
元興寺の里を詠んだ歌。「元興寺」は、蘇我馬子が建てた飛鳥の法興寺を平城京遷都後に移転した。そのため「奈良の明日香」と呼ばれた。
元興寺のある奈良町の高台にある瑜伽(ゆか)神社にこの歌碑があるが、
神社から、遠くかすかに大和三山を望むことができる。
今の奈良の都が素晴らしいと言っている裏に、昔の飛鳥の都への望郷の念がこめられているようにも思う。