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子育て支援金 どこが問題

2024年03月03日 | 生活

歳出改革 負担増世代も

「しんぶん赤旗」2024年2月26日

 負担が増えるのか、それとも増えないのか―政府の説明が迷走している政策の一つに「子ども・子育て支援法」関連法案があります。同制度で行われようとしている「負担」の実態に迫ります。(島田勇登)

 「歳出改革で、一定の負担が増える世代が特に高齢者層に出てくる」―。「少子化対策」の財源の一部として公的医療保険料に上乗せ徴収する「子ども・子育て支援金制度」創設を巡っての、武見敬三厚労相の答弁(15日、衆院予算委員会)です。

国民反発のなか

 政府は16日、「子ども・子育て支援金制度」を含む関連法案を閣議決定しました。保険料の上乗せに対する国民の反発もある中、政府は「実質的な負担は生じさせない」と弁明しますが、負担増を避けられないことは明らかです。

 同法案について、こども家庭庁は「『こども未来戦略』(2023年12月22日、閣議決定)の『加速化プラン』に盛り込まれた施策を着実に実行するため」のものだと説明。概要として、(1)「加速化プラン」において実施する具体的な施策(2)子ども・子育て支援特別会計(いわゆる「こども金庫」)の創設(3)子ども・子育て支援金制度の創設―を掲げています。

 「加速化プラン」の具体的な施策の中には、▽妊娠期の負担軽減のために妊婦のための支援給付の創設▽妊婦等に対する相談支援事業の創設▽自営業・フリーランスなどへの支援措置として国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料の免除措置―があります。

 法案を巡り、問題となっているのが、「子ども・子育て支援金制度」の徴収と「実質的負担なし」の根拠とされる「歳出改革」です。

医療・介護削減

 政府は少子化対策に必要な財源として28年度までに年3・6兆円を確保する方針です。この内、「歳出改革」による公費節減効果で約1・1兆円を生み出すとしています。同庁の説明では、支援金制度は「社会保険制度を通じて拠出する仕組み」であり、「社会保障改革(『歳出改革』)の徹底と賃上げ」により「実質負担の軽減」を強調しますが、そもそも実質賃金は岸田政権のもと21カ月連続で前年を下回っています。政府はこれまで、「支援金」を徴収しても「実質的な負担は生じない」理由として、「歳出改革」「賃上げ」を挙げていました。ところが、同法案に関する日本共産党への政府説明で、こども家庭庁担当者は「基本としては歳出改革で。賃上げは付随的なもの」だと説明。負担軽減と言いながら、実態が医療・介護などの公費負担1・1兆円削減がメインだと露呈しました。

全面的な社会保険化懸念(2024年2月27日)

 「歳出改革」を行うことは、介護利用料2、3割負担の対象拡大など医療・介護サービスの削減を意味します。

 「支援金」の負担額は月平均で2026年度300円弱、27年度400円弱、28年度500円弱とする方針です。この経過期間のあとも支援策の拡大とともに、子育て世帯も含め、負担額は拡大していきます。また、高齢者など子育てを終えた家庭にとっては、給付なき負担となることも問題です。

世代間の分断へ

 政府は「能力に応じて全世代が支え合う全世代型社会保障を構築する」としていますが、富裕層優遇税制の是正や大企業の内部留保の活用には手を付けようとしません。

 「歳出改革」は、結果として、世代間の分断を生んでいます。

 「子ども・子育て支援金制度」を含む関連法案に関する政府へのヒアリングで、日本共産党の議員らが、児童手当などはこれまで企業の『子ども・子育て拠出金』と公費で賄われていたと指摘した上で、「今回の『支援金』は、保育などの分野に保険方式を入れていくきっかけになるのではないか」と質問しました。

 こども家庭庁の担当者は、財源のあり方としては「新しい考え方だ」「あしき前例にならないようにしている」などと答えました。

低所得者滞納も

 「支援金」の医療保険料への上乗せ徴収は、実質的な収入増のない中で、低所得者の医療保険料滞納につながる恐れがあります。

 将来的には「支援金」適用分野の拡大による既存の保育制度の全面的な「社会保険化」も懸念されます。保険料の引き上げやサービスの削減なども起こり得ます。子育て支援関連の給付の差し止めの恐れがある安易な保険化の道は許されません。(おわり)

 

児童福祉理念に反する

 北明美・福井県立大学名誉教授の話 子育て支援策の全面的な「社会保険化」が、政府による「子ども・子育て支援金」制度で行われようとしています。

 これまで日本の公的保育は、公費負担(税)と事業主拠出金と保育料等を財源としてきました。しかし、「支援金」は、国民健康保険など医療保険に上乗せして徴収され、その分公費負担割合は引き下げられます。

 そもそも、このようなやりかたで児童手当を支給している国は一つもありません。例えば、ドイツやスウェーデンなどでは、全額国費負担で、所得制限なしで児童手当を支給していますし、企業が財源の多くを負担するフランスでも被用者からの保険料徴収はありません。

 支援金が財源に組み入れられれば国民健康保険のように滞納による給付停止などペナルティーが生じる恐れがあります。支援金納付を受給の権利に直結させる保険原理を子育て支援策に持ち込むのは、児童福祉の理念に反します。

 「支援金」の導入は児童手当制度の破壊と保育の公的保証の後退を意味します。徴収の始まる2026年度までに食い止めることが求められます。

 

国保値上げの危険 自治体8割強

24年度 共産党試算

「しんぶん赤旗」2024年2月26日

ストップへ声と運動広げよう

 いまでも高すぎる国民健康保険料・税が、2024年度から全国各地で値上げされる危険が迫っています。日本共産党政策委員会の調査で、各都道府県が市町村(東京23区や広域連合を含む)に示した「標準保険料率」に基づき4人家族のモデル世帯で計算したところ、25日までに分かった23都道府県937市町村のうち8割強で値上げとなることが判明しました。

 実際の保険料(税)率は6月ごろまでに決まりますが、3月議会に税率改定の条例案を提出している市町村が数多くあります。

 この937市町村は全国の5割強にあたります。調査では、都道府県が示した標準保険料率どおりに市町村が保険料率を改定した場合を想定し計算。24年度の保険料は23年度と比べ、給与年収400万円の4人世帯は83%の市町村で値上げになり、給与年収240万円の単身世帯の場合は77%の市町村が値上げになりました。

大阪府をはじめ

 モデルの4人世帯の場合、保険料率を「完全統一」する大阪府をはじめ、宮城、岡山、広島、佐賀、大分の6府県が全市町村で値上げ。千葉、青森、山口3県は1市町村を除いてすべて値上げとなりました。東京都も値下げとなるのは島部の4村だけで、島部以外はすべて値上げです。

 値上げが多いのは、標準保険料率が、市町村が独自に保険料を抑えるために行う一般会計からの繰り入れをやめさせることを前提に示されるため、前年度の保険料率より高くなっていることが多いからです。ただ、標準保険料率は制度上、「参考値」にすぎません。最終的に保険料率を決めるのは市町村です。

生活に追い打ち

 一方で、24年度の保険料率をすでに決定・公表したのが全国で40市町村余り確認できましたが、モデルの4人世帯で計算すると、9割以上が値上げとなっています。このままでは標準保険料率に沿って値上げを強行する市町村が多数にのぼる危険性があります。

 国保の保険料はいまでも、同じ年収の会社員が支払う健康保険料と比べ2倍も高いのが実態です。国保加入者の高齢化・貧困化が進む一方、自公政権が国庫負担の削減・抑制を続けてきたためです。

 国保料をさらに値上げすれば、物価高騰で厳しい暮らしに追い打ちをかけることになります。値上げストップの声と住民運動を広げることが重要です。


「国保」滞納者に対する容赦ない「差し押さえ」が問題になって久しい。
差し押さえる相手がちがうのではないか?
「国民年金」も月額6万円程度しかない。