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全国戦没者追悼式-岸田首相の式辞 戦わぬ覚悟 示してこそ

2023年08月16日 | 社会・経済

「東京新聞」社説 2023年8月16日

 岸田文雄首相が全国戦没者追悼式の式辞で述べた誓いは信用できるのか。岸田政権は「防衛力の抜本的強化」を進め、自民党副総裁の麻生太郎元首相は「戦う覚悟」を唱える。平和国家を率いる指導者として示すべきは「戦わない覚悟」ではないのか。

 首相は昨年の式辞に続き、原爆投下や空襲、沖縄戦といった被害にのみ触れ「戦争の惨禍を二度と繰り返さない。この決然たる誓いを今後も貫く」と語った。

 近年の歴代首相は終戦の日の式辞で、党派を超えてアジア諸国への「深い反省」や「哀悼の意」などを表明し、加害責任に触れてきたが、首相に再登板した故安倍晋三氏が二〇一三年にこれを覆し、菅義偉、岸田両首相が踏襲した。

 アジア諸国に対する加害への反省に触れなくては、平和国家の歩みをいくら強調しても空虚に響くだけだ。岸田氏は自らの見識で加害の歴史と向き合い、自らの言葉で語るべきではないか。

 岸田政権が敵基地攻撃能力の保有や防衛予算「倍増」など防衛力の抜本的強化を進める中、麻生氏が訪問先の台湾で、中国の台湾侵攻を念頭に、日米台には「戦う覚悟」が必要だと発言した。

 台湾海峡の平和維持には抑止力が必要との指摘は一定の理解が得られたとしても、なぜ戦争準備を声高に主張し、中国を挑発する必要があるのか。極めて軽率な発言だと指摘せざるを得ない。

 麻生氏に同行した自民党議員によると、政府側とも調整を経た発言だという。戦争放棄を定めた憲法に反する発言内容は、議員個人であっても容認できないのに、首相ら政府側が承認していたとしたら事態は極めて深刻だ。

 こうした好戦的な発言が政府や自民党内で容認されるのは、アジアへの侵略で国際的に孤立し、破滅的な敗戦につながったという基本的な歴史認識が共有されていないからではないか。今を生きる私たちが次世代に伝えるべきは、戦後日本が引き継いできた「戦わない覚悟」にほかならない。

 首相は式辞で、戦後日本は「歴史の教訓を深く胸に刻み、世界の平和と繁栄に力を尽くしてきた」とも述べた。

 ならば、ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍備拡張を理由に、地域の緊張を高めかねない言動を繰り返す政権の姿勢が、平和国家にふさわしいか自問すべきである。


 今日は日照もほとんどない27℃という過ごしやすい氣温だった。明日は台風がそれたとはいえ強風には注意が必要か。あまりの暑さに妻面のビニールは風の出入りができるようにしてあるので強風には弱い。気温も明日からまた30℃超えで、最低気温も20℃超えである。風のピークは昼間なのでようすを見ながら対処するか・・・
 お盆になれば北海道では秋の気配だ。朝晩はストーブもということがしばしばだが、今年は週間天気予報を見てもまだ30℃超えが続きそうだ。


止まらぬ科学力低下 技術立国の旗、降ろすのか

2023年08月15日 | 教育・学校

終戦記念日である。
今日の「全国戦没者追悼式」においてもキシダの2枚舌が健在であった。
この記念すべき日に、これからの日本の在り方など考えていただけたらと、少し角度の違った方面から考えてみた。

 

中国新聞 社説 2023/8/13

 科学者の研究力低下に歯止めがかからない。

 研究内容が注目され、同じ分野の科学者に数多く引用される「注目論文」の数で、日本はイランに抜かれ、過去最低の13位にまで落ち込んだ。

 はなから低迷していたのではない。30~40年前は米国や英国に次ぐ世界3位だった。その後も20年ほど前までは4位を維持していた。

 おととし10位に下がって学術界に衝撃を与え、さらに昨年は韓国とスペインに追い抜かれて12位に落ちた。一体どこまで下がるのだろう。抜本的な対策が求められる。

 最新の順位は、2019~21年の平均発表数などを基に文部科学省の科学技術・学術政策研究所がまとめた。

 見過ごせないのは、政府の危機感の乏しさだ。「順位のみで議論する際には注意が必要」という。今後の状況で大きく変動する可能性があるとして、順位は気にしていないようだ。年々、深刻さを増している科学力低下をあまりにも軽んじてはいないか。

 そもそも低下を招いたのは科学技術政策の失敗だ。2004年度に政府が強行した国立大の法人化である。その研究・教育の土台を支えていた運営費交付金を最初の10年で1割以上も減らした。

 金集めに苦労する地方大学などを揺るがし、研究者の裾野を狭めてしまった。そうなれば、山の頂は低くなることは予想しなかったのか。

 同政策研究所も指摘している。注目度の高い論文を増やすには、トップクラスの大学だけでなく、「群としての研究力の向上が必要だ」と。にもかかわらず、逆のことを政府は今なお続けている。

 運営費交付金の減少を受け、多くの大学は人件費を抑え込んだ。あおりで、任期付きという非正規のポストが増え、腰を据えた研究の見通しが立てられず若手が苦しんでいる。長期にわたる基礎研究を断念せざるを得なくなったり、よりよい環境を求めて海外に出て行ったり…。

 これでは、国内の大学院博士課程への進学者が減るのも当然だ。科学技術立国を支える人材の育成基盤を政府が掘り崩したと言えよう。

 東京大学長を務めた有馬朗人・元文相は生前、自ら道を付けた国立大の独法化を失敗だったと認めていた。最近相次いだ国産ロケットの打ち上げ失敗などにも、何か影響を与えているのではないか。

 岸田文雄首相は21年秋の自民党総裁選の時から、10兆円規模の大学ファンド設立を掲げるなど科学技術に力を入れる姿勢を見せている。政権初の骨太の方針でも、科学技術立国「再興」を打ち出した。

 科学力は衰える一方だと認識しているのだろう。ただ、対応は不十分だ。10兆円ファンドにしても、資金提供先は3大学に絞られ、幅広い大学を支援して研究を底上げするには程遠い。

 鉱物資源に乏しく、食料さえ自国では調達できない。そんな日本が未来に向けて選んだのが科学技術立国だった。その旗を掲げ続けるのなら、まずは科学技術政策の検証こそが急がれる。

 

⁂     ⁂     ⁂

 

もし資金集めがコケていたら…国立科学博物館、5億円集まったけど 残るモヤモヤ感の正体

「東京新聞」2023年8月11日

 国立科学博物館(科博)が7日、インターネットを通じて寄付を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。光熱費の高騰で標本や資料を保存する資金に窮しているためだという。短時間で目標額の1億円を突破。既に5億円超が集まり、金額的には成功といえる。しかし、CFがコケていたらどうなったのだろう。学術研究に対する国の支援の在り方に問題はないのか。(木原育子、安藤恭子)

◆#地球の宝を守れ と呼びかけ

 10日、東京・上野公園(台東区)内にある国立科学博物館を見に来た。入り口でデゴイチの愛称で人気の「D51」型の蒸気機関車(SL)が出迎えてくれた。

 2つの施設のうち「日本館」は国の重要文化財に指定されている。昭和初期に造られたネオルネサンス様式の建物が、近代建築の歩みを感じさせる。中をのぞくと夏休み中だからか、親子連れでごった返していた。

 そんな科博のCF。来場者はどう思っているのか。辺りで聞いた。

 小3の長女(9つ)と年長の男児(6つ)とともに訪れた東京都八王子市の鷹見裕子さん(36)は「大賛成! ぜひ続けてほしい」と身を乗り出した。「子どもたちが恐竜の模型が大好きでよく来るが、こんなに充実した施設はない。子どもたちのためにもぜひ」と続けた。

 科博は、地球の成り立ちや自然に関する動植物の標本や恐竜の化石、鉱物の資料など500万点以上を保管する国立で唯一の総合科学博物館だ。保管には厳格な温度や湿度の管理が必要だが、光熱費が高騰。コロナ禍に伴う来館者の減少も重なり、資金繰りが苦しくなったとして、7日、CFを開始した。知名度の高さもあってか、約9時間で目標額の1億円を突破した。

 同日の会見で、科博の篠田謙一館長は「標本は未来の日本人全体の宝。こんなにも早く達成できたことに驚くとともに感謝している」と喜んだ。支援額は伸び続け、10日夕現在、5億5000万円が集まっている。

◆「国は国民に甘えてる」本来なら税金では

 しかし、金融機関をリタイアしたばかりという男性(60)は首をひねる。「資金が集まってよかったが、本来は国が税金を使ってやること。国は国民に甘えてる」と訴えた。「そもそも博物館は日本人全員の財産だが、入場料も高めで皆に等しく開かれているといえるのか」とヒートアップ。夫と一緒に来た博物館好きの女性(37)も「これで国が味を占めないといいのですが…」と冷ややかだった。

 科博周辺には外国人観光客の姿も多かったが、海外ではどうか。観光旅行中のフランス人のダフネさん(30)は「フランスでも博物館の資金が足りず、寄付を募ることはある。どこも同じね」と口角を上げた。同じく観光中の米国人のダニエルさん(47)は「父親が軍人で全博物館の入場料は生涯無料だった。満足度に応じて観覧者が入場料の額を決められる美術館もあった。運営の在り方は国によってそれぞれだ」と続けた。

◆「英国の博物館はほとんど入場無料」ここは有料

 一方、イギリスから都内の大学に留学中のエスメさん(24)は「ナンセンス!」と肩をすくめた。「英国の博物館はほとんど入場無料。資金をなぜ国民が出すのか信じられない。国の責任だ」ときっぱり話した。

 国内では最近、科博以外の博物館でもCFが導入されている。例えば国立歴史民俗博物館(千葉県)の「正倉院文書」複製制作プロジェクト。奈良国立博物館の庭園内茶室「八窓庵はっそうあん」の保存活動でも実施された。

 永岡桂子文部科学相は8日の会見で、科博のCFが目標額を達成したことについて、「文科省も鋭意予算措置を行っている」としつつ「博物館による自主的な予算獲得の努力だ」と評価。CFが博物館運営の一端になることを期待した。

◆クラウドファンディングに関係者「異例で衝撃」

 「過去の知見を集め、人々の好奇心を刺激し、未来につなげる結節点となるのが博物館。博物館にある標本は人類共通の財産だ。科博がCFで多くの国民の支持を集めたことは喜ばしいが、博物館員の1人としては複雑な思い」。こう話すのは、保全生態学を専門とする兵庫県立人と自然の博物館(ひとはく)の橋本佳延主任研究員だ。

 橋本さんが気にかけるのは、今回のCFが博物館業務の根幹を支えるものであることだ。ひとはくでも移動博物館車などの企画でふるさと納税を通じた寄付を募ったという。だが「博物館の命といえる標本の保存整理という業務を、CFで賄おうというのは異例で、衝撃だった」と述べる。「『このままでは国民の財産を守れない。窮状を知ってほしい』という科博からのSOSとも受け止めた」

◆「自助努力を求められても…」

 ひとはくも約60万点の植物標本のほか、昆虫や鳥類の剥製、恐竜の化石などを集めているが、1992年の設立から30年以上たち、老朽化に伴い旧収蔵庫の湿度などの空調に支障が出ている。光熱費の高騰に対応するため、この夏も午後5時の閉館後は人がいるエリアの空調を止めるなどして、節電にも取り組んでいる。

 こうした施設の老朽化に伴う資金難は、各博物館に共通の課題という。「自助努力を求められても、入館料は博物館法の定めもあって高額にはできない。寄付を募るとしても、学芸員が1人しかいないような小規模館では、CFを企画するのも困難で、科博のようなことは地方の博物館ではできない。科博のCFも本来は国が工面すべき費用だった」と話す。

◆勝ち組と負け組に分かれるかも

 日本の研究力を巡る問題に詳しい「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表理事は、科博などの独立行政法人(独法)に競争的資金枠を設ける国の方針を懸念する。ふるさと納税の返礼品競争と重ね合わせ、「科博のような人気館はいいが、博物館の間にCFが広がり、人気投票による資金獲得競争となったら、勝ち組と負け組に分かれ、生き残れなくなる館も出てくるのではないか。魅力的な展示や情報発信といった館の機能を競い合うのが、本来の形だ」と主張する。

 独法の科博は、収入の多くを国からの運営費交付金で賄っている。だが自助努力を重視する国の姿勢のもと、科博のような独法や国立大学への運営費交付金は、減少傾向にある。

 サイエンスライターの竹内薫さんは「欧米の博物館は、個人の寄付が日本より多い。今回のCFにより、個人寄付者の掘り起こしができたことは良い」とみる。

 一方で「博物館だけでなく、国立大でも交付金の減少は悪い結果として出ていて、影響力のある論文数の世界ランキングが落ち続けている。科学技術を含む文化芸術活動は未来への投資。交付金削減政策はすぐにでも見直すべきだ」と指摘した

◆クラファン、当たり前なら「この国は終わり」

 「文科省が『お金がないならクラファンすればいいじゃん』と思うようだったら、この国は終わりだな。これは博物館行政に対する痛烈な批判だと受け取るべき」と、X(旧ツイッター)に投稿したのは東大公共政策大学院の鈴木一人教授(国際政治)。「貴重な自然史資料を守り、研究の場を守り続けてほしい」と、科博のCFに協力した1人でもある。

 学術研究に冷たい日本の現在地をこう憂える。「明治以来、先進国に追いつけ追い越せの一点張りで、ハコモノは造っても専門家に任せたまま。国としての哲学がないことが今回のCFが社会現象になって露呈した。日本における知の蓄積を生かしていくのか、それとも後世に残さない国でいいのか。国の在り方そのものが問われている」

◆デスクメモ

 防衛省は2024年度予算の概算要求で過去最大の7兆円台の防衛費を計上する方向だという。財源や使途の適正さが不明確でも増額に突き進む。一方で、運営に不可欠な電気代の支払いに苦しむ国立の施設がある。武器に金を使うが、学術にはケチる。それでは文化的な国と言えまい。(北)


「軍事費」集めに必死のキシダ自公政権。
恥も外聞もなく「軍拡」にまい進だ。
倒すしかない聞く耳持たぬ政権。 

台風の進路が変わってきた。昼頃の情報では北海道直撃だったが西にそれた。
風予報も下がったが雨予報もなくなってしまった。

 


国民に「戦う覚悟」を求める岸田政権下の原爆、終戦記念日の空々しさ

2023年08月14日 | 社会・経済

日刊ゲンダイ2023/08/12

 台湾有事を想定し、日米や台湾に「戦う覚悟」を求めた自民党の麻生副総裁の発言が“失言”じゃなかったことは衝撃だ。

 訪台に同行した麻生派議員がテレビ出演で、「当然、政府内部を含め、調整をした結果だ」と明かし、毎日新聞(10日付)は〈講演に先立ち、首相官邸や外務省、国家安全保障局(NSS)と入念に発言内容を調整していたと、政府関係者は指摘する〉と伝えている。つまり対中国で「戦う覚悟」を持つことは、岸田政権の明確な意思なのだ。

 9月以降の日中首脳会談を模索する中で、対中強硬の保守層に向け、岸田首相は中国と妥協しない強い姿勢をアピールする狙いがあった、などとも解説されている。麻生発言は「あくまで抑止力の強化を強調したもの」だとの擁護もあるが、憲法9条で「戦争放棄」を規定し、「専守防衛」を掲げてきた戦後日本の方針転換を、またしても見せつけられた。

 日本にとって特別な月である8月に、「戦う」という言葉を軽々しく使う感覚に戦慄を覚える。広島・長崎の原爆忌に終戦の日が続く。平和の尊さを噛みしめ、無数の失われた尊い命に祈りを捧げ、二度とあの悲劇を繰り返さないと誓う大事な時ではないのか。

 軍拡を標榜し、核抑止力を正当化する岸田政権の正体が、今年5月のG7広島サミット以降、完全に割れた。「核兵器なき世界という理想の実現を目指す」と、岸田は繰り返し言ってきたのに、フタを開けてみれば、岸田の肝いりでまとめた核軍縮文書「広島ビジョン」は防衛目的の核兵器を肯定するものだったからだ。地元広島選出の政治家なのだからと期待した被爆者たちを、どれほど落胆させたことか。

 そんな岸田が、6日の広島での平和記念式典や台風の影響でビデオメッセージでの出席となった9日の長崎での式典で、「わが国は世界で唯一の戦争被爆国として『核兵器のない世界』を実現するため、非核三原則を堅持しつつ、たゆまぬ努力を続けます」などと挨拶しても、空々しさしか残らない。

文明が核をなくすか、核が文明を破壊するか

 被爆者のサーロー節子さんは、岸田が核抑止論を前提としていることに「核なき世界をライフワークと言いながら、矛盾おびただしい」と痛烈に批判。広島市の松井一実市長は平和宣言で「核抑止論は破綻していることを直視すべきだ」と訴えた。長崎市の鈴木史朗市長も核抑止論を否定し、「原子雲の下で人間に何が起こったのかという原点に立ち返るべきだ」と強調した。

 こうした被爆地の悲痛な訴えを、「聞く耳」首相はどう受け止めたのか。心が揺さぶられることはないのか。

 参列を見送った長崎の原爆が炸裂した9日の午前11時2分に、官邸を訪れていた公明党の山口代表とともに黙とうを捧げたことを、岸田は同日夕のぶらさがり取材で記者団に明かしていたが、いかにもわざとらしい。予定されていた長崎の被爆者団体との面会は、日程を再調整して月内にも実施する方針だという。核抑止を是としながら、被爆者らにはいつものように「核兵器のない世界を目指す」と伝えるのだろう。安っぽい平和パフォーマンスと言わずして何と言う。

 15日の終戦記念日には、全国戦没者追悼式で「不戦の誓い」を述べるのだろうが、「戦う覚悟」を振りかざす政権の言葉は空虚にしか響かず、寒々しい。

 元参院議員の平野貞夫氏はこう言う。

「岸田首相の特徴は自分の意思がないこと。『戦う覚悟』も『核抑止論』にこだわるのも、米国の意向を聞いてしまうからでしょう。岸田首相は『核兵器のない世界が理想』と言いますが、政治家の言う『理想』とは『やらない』と同義語です。戦争というのは人の命と暮らしを破壊するもの。これに対する基本的な感覚が乏しいのではないか。終戦から78年経って、今は最悪の状態です。憲法9条を提案した幣原喜重郎元首相は、『文明が核をなくすか、核が文明を破壊するかのどちらかだ』と言っています。核兵器をなくさなければ、人類は滅びる。核をなくす運動の先頭に立つのが、日本人の役割なのではないですか」

二枚舌首相が説く「核の傘」は現実には存在しない

 ところが、バイデン米国におもねる首相は、核兵器を全面的に違法化した「核兵器禁止条約」の批准どころか、与党の公明党も求める締約国会議へのオブザーバー参加すら拒否する。「核兵器国が1カ国も参加していない。核兵器国を条約に近づけるのが唯一の戦争被爆国の責任だ」などと言い訳する腰抜けだ。

 岸田は終戦の日の直後の17日から訪米する。ワシントン郊外の大統領山荘キャンプデービッドで開かれる日米韓首脳会談は、米国の核戦力を含む拡大抑止、つまり「核の傘」の強化が焦点。さっそく、米国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は「歴史的な話し合いになる」と期待感を示した。バイデン大統領はやる前から、3カ国の首脳会談を定例化することを日韓に打診し、毎年実施される方針が固まったという。会談では、対中軍事包囲網の強化も確認されることになるのだろう。元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。

「岸田首相は『核抑止論』を述べていますが、現実には『核の傘』なんて存在しないのです。例えば、中国が日本に核兵器を発射すると脅したとする。日本は同盟国の米国に助けてほしい。そこで米国は中国に対して、『日本に核兵器を撃つなら米国は中国の都市に核兵器を撃つ』と伝える。その抑止効果によって中国は日本への核兵器発射をやめる──というのが日本の考える核抑止です。しかし、『中国の都市を核攻撃するのであれば、我々は米国の都市に核攻撃する』と中国に反論されたら、これを容認できる米国の政治家はいません。そうした実態を知らずに日本では『核抑止論』という言葉が使われているのが現実です。生半可な知識で核使用の方向を強化するようなことは、広島選出の政治家の政策ではありません」

■日本は“戦争準備”に入った

 倒錯しているのは、岸田政権がこれほど、中国を敵視するような発言や行動を取っているのに、一方で、中国からのインバウンド拡大に期待感を持っていることだ。中国政府が10日に中国人の日本への団体旅行を解禁。コロナ禍以前の“爆買い”が復活すれば日本経済に押し上げ効果が生まれる。そんな中国に対し、「戦う覚悟」と挑発するのはどうかしている。

 政治評論家の本澤二郎氏はこう言った。

「岸田首相が軍拡路線なのは、防衛費を5年間で43兆円に倍増させ、世界第2位の軍事大国を目指している時点で明確です。日本は明らかに“戦争準備”に入ったと言うしかない。自身の後見役の麻生副総裁に『戦う覚悟』と発言させるなど、岸田首相の外交政策は、広島や長崎への原爆投下を経験した国として真逆のことをやっている。岸田首相は護憲リベラルという宏池会の伝統を投げ捨て、平和憲法の精神まで破壊しようとしている。宏池会が輩出した池田勇人、大平正芳、鈴木善幸、宮沢喜一の元首相らが生きていたら、どこかに突き落とされているはずです」

 鎮魂の8月に、原爆の悲惨さを口にしながら、その一方で「戦う覚悟」と好戦的な二枚舌首相。国民はこれにどう応えるのか。

 岸田政権がこのまま続けば、この国は破滅、本当に「いつか来た道」である。


「自民党に殺される」前に・・・・!


広島からすべての国の政府への手紙

2023年08月13日 | 社会・経済

原水爆禁止2023年世界大会で採択

  「しんぶん赤旗」2023年8月8日

 

 原水爆禁止2023年世界大会・ヒロシマデー集会(6日、広島市)で採択された「広島からすべての国の政府への手紙」は、次の通りです。

 

 原爆投下から78年目の8月6日に広島に集った私たちは、すべての国の指導者に、核兵器廃絶にむけた緊急の行動を訴えます。

 ロシアのウクライナ侵略がつづき、核兵器が使用されかねない重大な情勢に直面しています。開発されたばかりの一発の原子爆弾は、数万の市民を無差別に殺戮(さつりく)し、ここ広島を一瞬にして「地獄」と化しました。かろうじて生き延びた被爆者も、後遺症や差別に苦しめられました。今日の近代化された大量の核兵器の一部でも使用されるなら、それは人類の破滅につながります。核兵器を使用することは、いかなる状況でも断じて許されません。私たちは、国際社会がその脅威を根絶するために、ただちに力を尽くすことを訴えます。

 5月に広島で開かれた主要7カ国首脳会議(G7)は、核兵器は「侵略を抑止し、戦争と威圧を防止する」と、「核抑止力」論を公然と宣言しました(「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」)。「核抑止」とは、ヒロシマ・ナガサキの惨劇をもたらすことを前提にした威嚇に他なりません。私たちは、被爆地と被爆者を愚弄(ぐろう)するこの宣言を断固として拒否します。被爆地・広島から発信すべき真のメッセージは、核兵器の使用とその威嚇を許さず、核兵器のない世界を一刻も早く実現することに他なりません。

 現実に戦争が進行し、軍事的緊張が高まっているからこそ、軍縮、とりわけ核軍縮の前進が強く求められています。私たちは現在、オーストリアのウィーンでひらかれている第11回核不拡散条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会が、「核軍備撤廃の有効な措置に関する交渉」を行うことを定めた第6条とともに、「核軍備の完全廃絶」の誓約(2000年)、「核兵器のない世界の平和と安全の達成」とそのための「枠組」づくり(2010年)など、これまでの再検討会議の合意を実行する実質的な成果をあげることを求めます。

 史上初めて核兵器を違法化した核兵器禁止条約(TPNW)が発効し、支持と参加が広がっていることは、私たちにとって大きな希望です。第1回締約国会議が、政治宣言と行動計画を採択し、条約の運用がはじまっていることを心から歓迎します。TPNWは「核兵器のない世界」という目標達成にむけてNPTを補完するものであり、矛盾するものではありません。NPTに参加するすべての国が、TPNWを支持し、参加することを訴えます。

 私たちは市民社会の一員として、諸政府、国連機関と共同して、「核兵器のない世界」の実現にむけて尽力する決意を表明します。原水爆禁止2023年世界大会に参加した私たちは、日本の政府が「核の傘」への依存をあらため、核兵器禁止条約に参加するよう力を尽くします。

 あなた方が、この広島からの訴えに応えて、行動されることを心から希望します。

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米NY原爆犠牲者追悼集会

米平和団体「ピース・アクション」ニューヨーク州支部事務局長 エミリー・ルビノさん(28)の発言

2023年8月12日【国際】

 米ニューヨーク市内で8日に開かれた原爆犠牲者追悼集会での平和団体「ピース・アクション」ニューヨーク州支部事務局長エミリー・ルビノさん(28)の発言を紹介します。(ニューヨーク=島田峰隆)

 

被爆者の声受け継ぐ

 私たちはきょう、米国による広島と長崎への原爆投下から78年の日にあたって、20万人を超える原爆犠牲者を追悼し、地球と人類のために核兵器のない世界を実現する決意を新たにしようとここに集まりました。

 特に今年は、原爆の父といわれる科学者オッペンハイマーの映画が上映されているなかでこの日を迎えています。私たちは原爆で直接的に被害を受けた人々、ウラン採掘や核実験など核兵器の開発から使用までのあらゆる段階で被害を受けた人々の声にもっと光を当てる必要があります。

世代を超え

 日本の被爆者の平均年齢は80歳台です。被爆者の経験や知見を次世代が受け継ぐ運動、世代を超えた核廃絶運動を強めることがますます重要になっています。それは核兵器のない持続可能で公正な未来のために必要です。

 私たちは放射性廃棄物がもたらす被害を知っています。福島第1原発の放射能汚染水を太平洋に放出する計画やニューヨーク近郊のインディアンポイント原発からの汚染水流出に反対し続けなければなりません。

 核兵器禁止条約には92カ国が署名し、批准国は68カ国です。私たちは核兵器廃絶に向けて重要な前進をつくり出しています。しかしさらに前進を続けなければなりません。

全面廃絶へ

 米国をはじめ核保有国の責任を問い、既存の軍備管理条約の義務を守らせることだけでなく、全面廃絶に向かって努力し、世界を核戦争の瀬戸際から引き戻すことを求めなければなりません。

 私たちピース・アクションの仲間がいま、日本で開催中の原水爆禁止世界大会に海外代表として出席しています。ニューヨークでの集会を含めて核廃絶へ世界各地で催しが行われていることを考えると勇気づけられます。

 みなさんと一緒にこの集会に参加し、世界の核廃絶運動の一部を担えていることを誇りに思います。


 アメリカでこのような集会がもたれ、日本に代表を送り核廃絶運動の一翼を担っていること、世界の大きな変化と希望になっています。戦争に突き進む岸田自公政権を一日も早く倒しましょう。8月の総意です。


【海外の反応】「アメリカ史上最大の汚点だ!」米国シンクタンクが公表した広島長崎の原爆投下の真実に世界中が驚愕…!

「天皇制」を守るために国民を犠牲にしたともいえるわけですね。

 なでしこジャパン世界ランク5位決定だそうです。ベスト8で最高です。


なでしこジャパンー楽しさ・魅力伝えた選手たち

2023年08月12日 | 行事

「しんぶん赤旗」2023年8月12日

 

 終了の笛が響き、今大会の日本の挑戦は終わった。選手は芝生を背に空を見上げたり、しゃがみこみ悔しがった。

 スウェーデンは立ち上がりから日本の中盤を徹底マーク。体を寄せ、自由にさせなかった。PKなどで2点を奪った。

 ただ日本もあきらめなかった。後半20分ごろからパスがつながり押し込み始める。すると4万人超が集まったスタジアムは「日本コール」が湧き上がった。その熱気は42分にMF林がゴールを決めると最高潮に。GK山下は「後半の日本コールは、今までのサッカー人生で聞いたことのないものだった」と振り返った。

 試合後、池田監督は選手たちに「持っているものは出した。胸を張っていこう」と声をかけたという。その言葉通り、日本のサッカーは世界を驚かせた。5試合で15得点。相手に応じて柔軟にたたかい、ゴールを決めたのは8人。誰が出ても活躍した。何より選手は楽しそうで、サッカーの魅力を十分に伝えた。

 それは、この日の観客の反応が物語っている。日本人サポーターだけでなく、ニュージーランドの人たちが大きな声援を送り続けた。

 試合後、ピッチで選手は輪をつくった。熊谷主将はこう言ったという。

 「これを見てサッカーをめざそうと思ってくれる人が必ずいる。やり続けよう」

 選手は一列に並び、観客に礼をした。スタジアムは、大きな温かい拍手に包まれた。選手たちに「ありがとう」と言いたい。(前野哲朗)

 

⁂      ⁂     ⁂

 

 惜しい試合であった。スエーデンは徹底的になでしこを研究し、その術にはまってしまった感じが否めない。さらに体格の差は歴然としてボールを持つと体を寄せて弾いてしまう。しかし、そんな中でも快進撃を続けてこれたのだ。それに後半20分からの猛攻は素晴らしかった。スエーデンの2得点よりなでしこの1点の方が素晴らしかった。

1点を返してからの猛反撃にスウェーデン選手たちの顔は引きつっていた。もう少し時間があれば、いやもう少し早く反撃に出ていれば勝てた試合だったと思った。「フィジカルの差」を埋めるのはスピードと技だろう。要は戦術上、スエーデン監督が一枚上だったということだ。でも池田太監督の若手選手の育成は素晴らしい。

いろいろな面で、なでしこjが話題に上がった。

ユニフォームもその中の一つ。

なでしこジャパン、女子W杯で大暴れ!初披露のピンクユニも「芸術品」と海外絶賛

5日に行われたノルウェー戦ではピンク色のアウェイユニフォームを今大会で初めて着用。BBCも「この日本のユニフォームは芸術品」と誉めちぎっていた。

この鮮やかなユニフォームは、“再び世界一へ”という決意を新たにする象徴としてSUNRISE(サンライズ)をコンセプトに、幻想的な朝の空模様をグラデーションで表現したもの。

これまでになかった色合いだが、海外での評価は高いようだ。

これからもWEリーグはじめ、国内外の選手に注目と声援を送りたい。

今日は日航ジャンボ機123便墜落事件の日。
事件の解明を望みたい。

雨宮処凛がゆく!15年前、なぜ船は沈んだのか〜

2023年08月04日 | 事件

『黒い海 船は突然、深海へ消えた』


兆単位の税金をかけてトラブル…その割に利便性は?

2023年08月11日 | 生活

「マイナ制度ここがおかしい」 サイボウズ青野慶久社長に聞く

「東京新聞」2023年8月11日 
 
 トラブルが相次ぐマイナンバーカードに、3年前から警鐘を鳴らしてきたIT企業の経営者がいる。ソフトウエア開発「サイボウズ」(東京都中央区)の青野慶久社長(52)だ。企業のデジタル化を進めてきた視点から、マイナカードに突っ込みたいところとは—。(聞き手・嶋村光希子)
 

 あおの・よしひさ 大阪大工学部情報システム工学科を卒業後、松下電工(現・パナソニック)を経て、1997年松山市でサイボウズを設立。2005年から現職。同社は東証プライム市場に上場し、連結売上高(22年12月期)は220億6700万円。選択的夫婦別姓の実現を目指す活動も進める。3児の父で3回の育休を取得した。愛媛県今治市出身。52歳。

◆誰かのメンツや利権のためにやっているとしか

 —マイナカードの問題点は。
 国の利便性を高めようと新しいシステムを作っても、多額の投資に見合う効果が出ているかを問いたい。コストをかけすぎている上、制度設計に問題がある。カードの交付はわざわざ国民に申請させて、自治体の窓口に取りに来させている。こうした古くさい手法で手間のかかることをやっているから、便利さはむしろ下がっている。
 マイナンバー自体は国民の出席番号のようなものとして必要性は理解できる。だが、新しくプラスチック製の物理的なカードを発行して全国民に持たせる必要があるのかは疑問。僕たちの税金を兆単位で使い、時間も多く奪われている。それを強引に進めることで、どんどん被害が拡大する。制度が破綻する前にいったん立ち止まるべきだ。
 —政府はマイナカードを「デジタル社会のパスポート」と呼んで普及を急ぐが、拙速な姿勢に批判が広がる。
 今やマイナカードを配ること自体が目的化している。生まれたばかりの赤ちゃんにカードを配ることにどんな意味があるのか。認知症の高齢者にカードを渡して、セキュリティーは大丈夫なのか。コストもリスクも増大する一方だ。
 政治的には、やめるという意思決定ができないのが大きな問題。失敗したプロジェクトをやめられず、誰かのメンツや利権のためにやっているとしか思えない。

◆「カード実物」驚きのアナログ感

 —3年前から投稿サイト「note」上で問題点を指摘してきた。きっかけは。
青野氏が3年前にマイナカードの疑問点を指摘した投稿サイト「note」の画面

青野氏が3年前にマイナカードの疑問点を指摘した投稿サイト「note」の画面

 4年前、知人のIT社長に「マイナカードの仕様がひどい」と実物を見せてもらった。カードは番号部分が隠れるようになった透明ケースに入っており、アナログ感に驚いた。
 普及していないから計画はつぶれるかと思いきや、菅義偉政権になってむしろ加速しそうになり「ちょっと待て」と。やめるなら今じゃないかと声を上げた。「このシステムおかしくない?」と。少しでも変わるといいなとの思いで発信してきた。
 —最近になって誤登録など多くのトラブルが続出し、情報漏えいへの不安も根強い。
 トラブルが相次いでいるのは当初の予想通り。自治体の現場では膨大な手作業が発生している。手作業にはミスも起きやすい。
 「政府に情報を預けるのが不安」「いろんな情報をひも付けると他人に見られるのでは」といった懸念の声も聞かれる。特に怖いのは投薬の履歴が見られる機能。プライバシー情報の中でも秘匿ひとく性の高い情報で、漏れればトラブルのもとになる。

◆「国だから何も言われないのはおかしい」

 —一方で、こうしたITサービスでは多少のトラブルはつきものという見方もある。
 トラブルを定量的に測った方が良い。例えば銀行のシステムで何千人ものミスがあれば大問題。しばらく営業停止となりうる規模だ。決済サービスにしても、他人の口座への入金が1件、2件でなく何千件起きたというなら、一回それを停止しろとなる。それが国だから何も言われないのはおかしい。
 兆単位の税金をかけて、これだけのトラブルを起こしてこの利便性。どう見てもバランスが悪く、全体像を見て議論するべきだ。「トラブルはつきもの」と言われればそうだが、10万円で作ったシステムがちょっとトラブっているという話とは意味が違う。
 
 —どんなシステムや制度が理想か。
 まず「誰の何の困り事を解消して便利になる世の中を作りたいのか」を改めて考えなければならない。マイナカードの機能をスマホアプリで使えることを前提に再設計すればコストも下がる。
 例えば幼い子どもの急病で病院に行く際は、健康保険証と乳幼児医療証、病院の診察券などをそれぞれ持って行かなくてはならない。それが、子どもを抱えてスマホ一つだけ持っていけばいいとなれば便利だ。
 ほかにも、おじいちゃんやおばあちゃんが安心して暮らすにはどうしたらいいか。単にマイナカードを渡すのではなく、彼らをどう見守るかが重要。顔のデータを登録して、ひとり歩きした際はすぐに分かるようにするなど。そうしたことにデジタル技術を活用したい。
 —岸田文雄首相は「デジタル敗戦は繰り返さない」と強調している。
 デジタル化は「魔法のつえ」のように、マイナカードを配れば一気に解決するものではない。1枚の紙をどうなくすか、目の前の作業をどう楽にするか。日々の地道な改善の積み重ねによって、徐々に進んでいくものだというのがIT企業を26年間やってきた実感。そこから逃げてはいけない。魔法のつえを振ろうとしてはいけない。
 
⁂     ⁂     ⁂
その一方でサントリーの不買運動が起きているそうだ。
 

サントリー新浪社長「保険証廃止の納期を守れ」発言に非難殺到、不買運動に発展! 財界のマイナ強行論の背景にある“企み”

「リテラ」2023.08.05 より一部抜粋。

この岸田首相の強硬姿勢の一方で、いま批判が高まっているのが、経済同友会の代表幹事であるサントリーホールディングスの新浪剛史社長だ。SNS上では、「#サントリー不買運動」というハッシュタグが誕生し、ついにトレンド入りを果たした。

 なぜ、マイナカード問題が「サントリー不買運動」に発展しているのか。それは、新浪社長の、ある発言に批判が殺到しているからだ。

 その発言は、今年6月28日におこなわれた経済同友会幹事としての記者会見で飛び出した。当時からマイナカードの相次ぐトラブルに批判が数多く寄せられていたが、この日、新浪代表幹事は「マイナンバーカードについてはいろいろと不手際があったことはその通りだ」としながらも、「絶対に後戻りせず、しっかり進めてほしい」「ミスが起きたからやめよう、後戻りしようとやっていたら、世界から1周も2周も遅れていると言われる日本のデジタル社会化は、もう遅れを取り戻すことができなくなる」と発言。さらに、マイナンバーの普及への取り組みを政府に強く求めた上で、こう述べたのだ。

「そして、納期。納期であります。この納期(2024年の秋)に間に合うように、ぜひとも仕上げていただきたい。私たち民間はこの納期って大変重要でございます。納期を必ず守ってやりあげる。これが日本の大変重要な文化でありますから、ぜひともこの保険証を廃止する。これを実現するように、この納期に向けてしっかりとやっていただきたい」

こうした財界の利益のために「国民監視」に利用したいと望んでいるからであろう。現状はむしろ政治家や財界人を監視する「カード」が必要なのではないか?


今日はW杯女子なでしこJの試合だった。 
TVがないので観れるところをAIに尋ねた。
FIFA公式ページで観れるというので「登録」。
無事全部見ることができました。
でも、残念な結果でした。
それでも残り30分の攻めは凄かった。
この時間に1点を返し、猛攻が続いた。
しかし「運」もなかった。

なぜ人は「男性は狩猟、女性は採集」を信じてしまうのか…

2023年08月10日 | 生活

約8割の狩猟採集社会で女性は狩りをしているのに

プレジデントオンライン7/30(日)

 

「男性は狩猟、女性は採集」という説が流布したのはなぜなのか。名古屋学院大学教授の今村薫さんは「『男は仕事、女は家庭』という固定観念は、戦後、日本経済の高度成長とともに形成されたもので、歴史的に日の浅いものであるといわれる。しかし、この近現代の産業社会における女性の位置づけを相対化することなく、時空間を超えた唯一の真実であるかのように考えたことが、『男は狩猟、女は採集』という定説に縛られてきた原因だ」という――。

■文明人の都合でさまざまに語られてきた

 「男は仕事、女は家庭」という現代社会の性別役割分業について、しばしば次のように言ってこれを擁護する人がいる。このような分業は太古の昔からおこなわれてきたことである。現在の狩猟採集民は、社会的分業や社会的階級が最も少ない社会であるが、この社会においてさえ、「男は狩猟、女は採集」という性別分業が見られる。人類の祖先も、男は妻子を養うために遠くまで狩りに出かけ、女はベースキャンプの近くで育児と家事に専念しながら片手間に採集もおこなっていたのだ。これは、きわめて「自然な」ことなのである、と。

 アフリカ、オーストラリア、極地方などで現在も暮らす狩猟採集社会については、先進諸国の「文明人」の都合でさまざまに語られてきた。それは、狩猟採集民は、文明にとりのこされた野蛮で劣った人々であるという蔑視から、彼らこそが平和で平等主義を実現させた理想社会に住んでいるといった称賛まで、語る側の幻想を押しつけられたものであった。また、冒頭で述べたように、人類の進化や社会制度の起源を考える際に、たびたび現存する狩猟採集社会が引き合いに出されてきた。

■男性中心の研究が多かった

 20世紀半ば、サルからヒトへという人類の進化がようやく事実として定着するようになると、狩猟活動が人類の進化を力強く推進したという「狩猟仮説」がまっさきに主張された。狩猟のために武器や道具を使うことが、人類の道具製作や直立二足歩行、脳の大型化などの進化をもたらしたというのである。この仮説において狩猟をおこなう者は当然男性であり、人類の半分を占める女性が何をしていたかについては誰も想像しようともしなかった。

 1960年代にはいって、狩猟採集民が実際にどのようにして暮らしているのかという研究が盛んになり、『Man the hunter(人間、狩りをする者)』(1968年)という画期的な論文集が出版された。この中で著者たちは、狩猟採集民の食生活において、植物性食物が動物性のものよりずっと安定的で多くのカロリーを占めていることを指摘し、採集活動の重要性を明らかにしたが、しかし、本全体としては男性がおこなう狩猟活動に焦点が置かれていた。また、題名の「Man」が、「人間」というよりも「男性」を意味していることからも分かるように、当時の狩猟採集民の研究は男性中心の視点に偏ったものであった。

■フェミニスト人類学者が提示した「採集仮説」

 1970年代に盛んになったフェミニズム運動のもとで、『Woman the gatherer(女性、採集する者)』(1983年)が出版され、女性が人類の進化に重要な役割を担ったという「採集仮説」が展開された。人類最初の道具は石器ではなく、採集に使う掘り棒(植物の根茎を掘り出す道具)や採集物を運ぶための蔓性のネットや籠である。女性たちが集団で採集に出かけ、食物をキャンプで待つ子どもたちに与えるために持ち帰るようになったのが、ヒトへの道の第一歩である。この仮説が強調する点は、「仲間に分け与えるために運搬する」ということであり、男性がキャンプへ肉を持ち帰るようになったのは、食物分配が習慣として定着したのちのことであるという。

 これまでの狩猟仮説は遺跡で発見される石器を根拠にしてきたが、採集仮説で重要な運搬道具は、いずれも朽ちやすく遺跡には残らない。採集仮説はそうした自説の不利な点を自ら指摘しつつ、現在の民族資料などを使いながら女性からの視点を主張したのであった。

 このように、人類の進化についての理論にも、どちらのジェンダーの側に立つかによって見方が大きく変わってくる。

 男性中心主義の「狩猟仮説」にたいして、フェミニスト人類学者たちは「採集仮説」を提示して女性の重要性を主張したのだが、この主張により、「男は狩猟、女は採集」という性別分業のイメージがかえって強調される結果となった。

■性別分業は生物学的に根拠があることなのか

 そして、性別分業は生物学的に根拠のあることであるとさえ言われるようになった。

 子どもを産み、母乳を与えて育てるという行為は女性にしかできないことであり、この出産と授乳のために女性は行動圏が狭められ、ベースキャンプの近くで木の実や果実、野草などを採集するにとどまった。一方、男性は広い範囲を動き回り、すぐれた運動能力でもって野生動物を倒し、その肉を女・子どものいるベースキャンプまで持ち帰り分け与えた。

 つまるところ、性別分業の根本原因は、女性の生殖機能という「解剖学的宿命」にあるという意見である。

 しかしながら、現実の狩猟採集民の生活をつぶさに見てみると、女性は妊娠と出産という生殖機能にのみ彼女の人生を費やしているわけではない。私は1988年より、アフリカのカラハリ砂漠に暮らす狩猟採集民サン(「ブッシュマン」の名称で有名)の社会、生活、文化をフィールドワークによって詳細に分析してきた。その研究結果に基づいて、狩猟採集民の性別分業の実態を説明したい。

■一人ですべてをこなすオールラウンド・プレーヤー

 サンの女性は、近年においても犬を連れて狩猟し、罠を仕掛けて鳥や小型の動物を捕まえている。採集の途中で動物の足跡を見つけると、女性たちが足跡を追跡して獲物に近づき、ついには掘り棒で殴って仕留めることは、よくあることである。また、トビウサギに特化した猟法で女性たちが円陣を組み、集団でこの小動物を次々追い詰め狩猟する場面を私は目撃したことがある。

 他の民族例を挙げると、アフリカの熱帯雨林に住むムブティ・ピグミーは、男女が共同でネット・ハンティングをおこなうし、オーストラリアのアボリジニ女性が犬を使って小型動物とカンガルーを狩猟する例、女性が本格的に狩猟に加わるフィリピンのアグタの例も報告されている。

 また、採集活動のほうに目を向けると、採集はブッシュで生きぬく基本であり、男性もまた日常的に採集をおこなう。とくに男性たちが騎馬猟などで1カ月以上キャンプを離れてブッシュの中で生活するときは、男性もまた植物についての知識を持ち、自分で野生の植物や薪、水を集め、料理できなければ生き延びることができない。狩猟採集民は、一人ですべてをこなすことができる「オールラウンド・プレーヤー」であり、これこそが彼らが階層のない平等主義的な社会を築いてきた根底にあるのである。

■母親になってからも変わらず狩猟をおこなっている

 さて、今年の6月に狩猟採集民の女性が狩猟活動に重要な役割を果たしてきたことを示す研究が発表された。アンダーソン博士(シアトル・パシフィック大学)の研究チームが投稿した論文によると、女性は先史時代から狩猟に深く関わってきたという。例えば、ペルーの9000年前の遺跡からは、狩猟道具と共に埋葬された成人女性が発見されている。また、南北アメリカの先史時代において、大型動物を狩猟していたと考えられる27遺跡を分析したところ、女性が大型動物のハンターとして男性と同じくらい狩猟に参加していたことが明らかになった。

 アンダーソン博士たちは、女性が狩猟をおこなっていた証拠を考古学の遺跡に求めるだけでなく、近年から現代に生きる狩猟採集民の民族誌の中から探ろうとした。この目的のため、過去100年間に公開された数十の学術論文に記載されている、北米、アフリカ、オーストラリア、アジア、オセアニアの63の狩猟採集社会における狩猟活動の実態を分析した。その結果、それらの社会の約8割の社会で女性が狩猟活動に参加しており、母親になっても変わらず狩猟を行っていることが明らかになった。

 さらに、女性の狩猟の9割近くは、偶然獲物に出くわしたからおこなう場当たり的なものではなく、あらゆる大きさの獲物を意図的に狙って狩るものである。鳥やウサギといった小動物だけでなく、大型動物を狙ったものも多かった。

 アンダーソン博士たちは、狩猟採集社会において男性が狩猟を、女性が採集をおこなうという定説を覆すべきであると結論づけている。

■性別分業は宿命ではない

 最後に、性別分業は女性の出産と授乳という「解剖学的宿命」にあるという説について検討してみよう。現実の狩猟採集民の生活を見てみると、女性は妊娠と出産という生殖機能にのみ彼女の人生を費やしているわけではない。

 サンの女性は、出産の直前までブッシュを歩き回って狩猟や採集などをしており、「ブッシュの中で子どもを生んだ」という彼女たちの経験談も残っている。出産後は乳飲み子を背負ってブッシュに出ている。1~2歳になると、同じキャンプに住む大人たちや、兄姉たちに子守りを任せて母親は出掛けることができる。また、父親も育児に参加し、キャンプで皮なめしの作業をしながら子どもたちを傍らで遊ばせたり、子どもを肩車したりして知人を訪問しているといった光景はよく見られる。実際、サンに限らず多くの狩猟採集社会では、余暇時間が大量にあるために、女性の諸活動は母親としての役割から大きな制約を受けることはないのである。

 「男は仕事、女は家庭」という固定観念は、戦後、日本経済の高度成長(男性のサラリーマン化)とともに形成されたもので、歴史的に日の浅いものであるといわれる。しかし、この近現代の産業社会における女性の位置づけを相対化することなく、時空間をこえた唯一の真実であるかのように考えたことが、「男は狩猟、女は採集」という定説に縛られてきた原因なのである。

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今村 薫(いまむら・かおる)

名古屋学院大学現代社会学部 教授

1960年生まれ。1991年京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学。博士(理学)。専攻は生態人類学、アフリカ・中央アジア地域研究。主な著作に、『砂漠に生きる女たち カラハリ狩猟採集民の日常と儀礼』(どうぶつ社、2010年)、『ラクダ、苛烈な自然で人と生きる 進化、生態、共生』(編著、風響社、2023年)などがある。


 面白い論文と思っチェックしておいたが、8月いろいろと論ずべき課題が多く、今日までになってしまった。

 こちらも暑い日が続いている。
しかも北海道らしいカラッとした天気ではなく非常に蒸し暑い。
元の予報では雨だったのだが☁になり実際は晴れだった。
なんと、当たらん事よ!


長崎からのよびかけ

2023年08月09日 | 社会・経済

原水爆禁止2023年世界大会・長崎決議

 

「しんぶん赤旗」2023年8月9日

 8日の原水爆禁止2023年世界大会・ナガサキデー集会(閉会総会)で採択された決議「長崎からのよびかけ」は次の通りです。

 

 私たちは失敗した核抑止政策に逆戻りはしません。私たちは人間にとって必要のない核兵器に資金を提供することに逆戻りしません。私たちは取り返しのつかない環境汚染に逆戻りしません。私たちは未来を生きる世代の命を危険にさらし続けることはしません。世界中の指導者のみなさん、私はあなたに懇願します。あなたがこの惑星を愛しているなら、この条約に署名してください。核兵器はこれまでずっと道徳に反するものでした。そして今では法律にも反するものです。一緒に世界を変えて行きましょう。

 ――核兵器禁止条約採択 を受けた節子サーローさ んの演説より

 米国による長崎への原爆投下から78年―。世界は、ロシアのウクライナ侵略がつづくなか、核兵器使用が現実化しかねない危険な情勢に直面しています。被爆地・長崎に集った私たちは、被爆者とともに訴えます。核兵器は、いかなる状況においても決して使用されてはなりません。

 すべての核兵器は、一刻も早く完全に廃絶されなければなりません。私たちは、原水爆禁止2023年世界大会「国際会議宣言」を支持し、ただちに行動に立ち上がるようよびかけます。

 核兵器の使用とその威嚇は、紛争の平和的解決を定めた国連憲章を踏みにじるものであり、いかなる状況においても決して許すことはできません。ロシアは核による威嚇を直ちにやめるべきです。G7広島サミットは「核抑止力」論を公然と主張して、被爆者の心を逆撫でしました。NATO首脳会議が核兵器への固執を再確認したことも決して許せません。軍事対軍事、核対核の悪循環は事態を一層悪化させるだけです。

 ロシアがウクライナ侵略を直ちにやめ、撤退することを強く求めましょう。軍事ブロックによる世界の分断を許さず、国連憲章擁護の立場で結束し、国連総会決議に基づく解決をめざしましょう。ロシアのウクライナ侵略を口実に、核大国が核不拡散条約(NPT)の核軍縮交渉義務やこれまでの合意の履行に背を向けるのを許してはなりません。日本政府が唯一の戦争被爆国として、こうした義務や合意の履行のために行動するよう強く求めましょう。

 核兵器禁止条約は、第1回締約国会議で「ウィーン宣言」を採択するとともに、核兵器使用と核実験の被害者支援を含む「行動計画」を策定し、国際法として機能し始めています。この条約を力に、草の根の運動と市民社会、諸国政府の共同を大きく発展させ、今日の危機をのりこえていかなければなりません。

 すべての国の政府に対し核兵器禁止条約への支持と参加を求めましょう。第78回国連総会、核兵器禁止条約第2回締約国会議(11月27日~ニューヨーク)、第11回NPT再検討会議(2026年)の準備委員会を節目に、諸国政府と市民社会、草の根の運動の共同を発展させましょう。日本政府が、第2回締約国会議に少なくともオブザーバー参加して、開始された被害者支援への国際協力に加わるよう求めましょう。

 被爆の実相をひろめ、核兵器の非人道性を告発しましょう。すべての地域で「原爆展」や被爆体験を語る集いにとりくみましょう。原爆症認定制度の抜本的改善と原爆被害への国家補償の実現めざし、被爆者援護・連帯の活動を強めましょう。広島・長崎の「黒い雨」の被害者に対する国による全面救済を実現しましょう。日本と韓国の被爆者と世界の核被害者の活動を支援しましょう。

 G7広島サミットが「核抑止力」を公然と主張したことへの議長国・日本の責任は重大です。岸田政権は、アメリカの「核の傘」への依存を一層深め、「抑止力」強化を口実に、憲法違反の大軍拡や「敵基地攻撃能力」の保有、沖縄など南西諸島の軍事化など日米軍事同盟のもとでの「戦争する国」づくりへと暴走しています。これはアジア・太平洋地域の平和と安全を脅かすものにほかなりません。

 9条改憲の企てを阻止しましょう。「敵基地攻撃能力」の保有、軍事費倍増など、大軍拡に反対しましょう。戦争法を廃止しましょう。「オール沖縄」のたたかいに連帯し、辺野古新基地建設の断念、普天間基地の即時返還を求めましょう。朝鮮半島の非核化と東アジアの平和構築のため、憲法を活かした外交を求めましょう。日本政府が「核抑止力」論から脱却し、核兵器禁止条約に署名・批准することを強く求めましょう。条約への署名・批准を求める署名運動や自治体意見書の運動をいっそう発展させましょう。日米核密約の破棄、非核三原則の厳守・法制化を求めましょう。

 福島第一原発事故の「ALPS処理水」(汚染水)の海洋放出に反対し、原発ゼロ、気候危機の打開、貧困と格差の克服、軍事費削減とくらし・福祉・教育の拡充、ジェンダー平等、LGBTの権利拡大を求める運動など、人間らしく生きたいと願うすべての人びとと手を携え、人間の尊厳のための壮大な共同をつくり出しましょう。

 被爆者とともに、若い世代とともに、未来を切りひらいていきましょう。

 ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ ノーモア・ヒバクシャ ノーモア・ウォー 長崎を最後の被爆地に!(原文のまま)


昼からの雨予報も逃げてしまった。
雨も少ない、日照も少ない。
畑にはとんでもない天気だった。


仁藤夢乃-風俗で妊娠し、路上で出産した女性を追い詰めたもの

2023年08月08日 | 事件

バカなフリして生きるのやめた

仁藤夢乃(社会活動家)

 Imidas連載コラム2023/08/08

 

 風俗店に勤める女性が客との間で妊娠し、子どもを遺棄したというニュースが報じられた。こうした事件は後を絶たず、女性を責める声ばかりが大きくなっている。中には路上で出産せざるを得ないまでの状況に、女性たちを追い詰めたのは誰か? 風俗で子ども妊娠するとはどういうことなのか?

赤ちゃん遺体遺棄事件の裏にあったのは?

 2023年7月21日、愛知県常滑市で今年4月にマンションの共用トイレ内で出産した赤ちゃんの遺体を実家の庭に埋めた罪に問われた29歳の女性に対し、名古屋地方裁判所が有罪判決を言い渡した。

 報道によると、法廷の中で裁判官は「風俗店で避妊をせずに妊娠したうえ、出産後周囲に相談もしていない。短絡的な犯行と指摘せざるを得ず、酌むべき事情はない」と指摘。他にも「遺体をタオルに包んだだけで、ごく浅い穴を掘って埋めた行為はみずから産んだ赤ちゃんを弔う気持ちがない」(裁判官)、「無責任で、悪質というほかない」(検察官)といった意見もあったという。

 しかし、それらはあまりにも彼女が置かれた状況に理解がない言葉だと言わざるを得ない。被告人の女性は大学を出て保育士をしていたが、人間関係のもつれから退職。その後は風俗店で働くようになった。避妊せずに性行為をすることもあり、そうするうちに妊娠したという。彼女は一人暮らしで、メンズ地下アイドル(メン地下)に月100万円貢いでいたとの情報もあり、5~6年前からいわゆる「推し」の応援に金を使い、自らは携帯代や光熱費すら払えず、家の電気を止められたことが何度もあった。一人暮らしをしていた場所も、その「推し」の活動場所の近くだったようだ。

 メンズ地下アイドルらは、ホストクラブの従業員のように女性たちに色恋営業(本気で恋愛しているように思い込ませて女性に金を使わせる手法)をかけて金を使わせたうえ、中には一人のファンにCDを1000枚購入させたり、チェキ撮影会などの名目で利益を上げたりすることもある。そんなメン地下が色恋営業で女性に近づき、親元や友だちから引き離して近くに住まわせること、将来一緒に暮らそうなどと言って期待させておいて、風俗店などでより多くの金を稼いでくるように働きかけることはよくある話だ。

女性から金を巻き上げる「メンズコンカフェ」

 さらにメンズ地下アイドルのマネジメント事務所は、JKビジネスの規制後に登場した「コンカフェ」(コンセプトカフェ : 特定のコンセプトに合わせた衣装や内装で、女性従業員が飲食以外のサービスも提供する店)や風俗店とつながっていることが少なくない。なぜなら少女や女性に所属のメン地下に貢がせたり、「メンズコンカフェ」(メン地下たちがホスト役をつとめるコンセプトカフェ)で多額の金を使わせたりしたうえで、コンカフェや風俗店を紹介して彼女らを働かせるというのが新たな性搾取の手口の一つだからである。

 23年4月、東京・新宿歌舞伎町にあるメンズコンカフェの従業員の男が、風俗営業法違反で逮捕された。男は18歳の少女2人に声をかけてつながり、一人の少女は性売買で稼いだ9カ月分の売り上げ約50万円を、もう一人の少女は約5カ月間で30万円のシャンパンを含む約33万円をこの店で使わされていた。この店は21年7月にオープン以降、月々1000万円ほどの売り上げがあり、警察はそのうち8割程度を20歳未満への酒類提供などによるものとみている。

 5月に摘発された歌舞伎町の別の店では、16歳の女子高校生を2度にわたって午後10時以降に入店させ、1本40万円のシャンパンを頼ませるなどして、約85万円を請求したことで店長や従業員が逮捕された。

 また、1月にはメンズ地下アイドルの男2人が警視庁に逮捕される事件もあった。彼らはそれぞれのファンだという2人の17歳少女に対し、18歳未満と知りつつわいせつな行為をした疑いをもたれている。被害は複数回にわたり、少女2人はどちらも自分が「推す」容疑者に恋愛感情を抱き、「推し活」としてグッズ購入などに約50万円、約300万円を使ったと報じられている。

 このように少女たちへの性加害に対して、警察も少しずつ動くようになってはいる。とはいえ中学生の少女がメンズコンカフェで50万円を使わされ、その支払いのため性売買させられていた事件でも店の男は「少女と性行為をした罪」でしか起訴されず、未成年者と知りつつ多額の金を使わせたり、色恋営業で詐欺を働いたり、性売買に誘導したりということでは捕まえられていない。少女たちが体を売ったり、大金を使うことも「彼女たちが自分の意思でやったこと」と責任のがれができる構造を、メン地下やコンカフェ経営者、性売買業者らが作っているのだ。

 今回の事件においても、当のメンズ地下アイドルやその所属事務所が警察から事情聴取を受けた。しかし、特に問題にはならなかったとのことである。

お金がないと彼との関係を維持できない

 常滑市の事件で被告人の女性は妊娠に気づかず、「毎年夏バテするので、今回も夏バテかなと思っていた」と供述したという。妊娠に気づくこともできない状態だった彼女が、共用トイレの中で一人きりで出産した。どれだけ怖く、孤独だったか想像するだけで胸が痛む。

 そうして生まれた赤ちゃんは死産だった。捜査関係者によると、赤ちゃんの体重は2000~2500gと新生児の平均体重より軽く、早産だった可能性もあったという。「生理が来ないな」と思った時に、いち早く病院へ行けていたら女性は産む/産まないの選択ができ、赤ちゃんも亡くならずに済んだ可能性もある。でも彼女には病院へ行けるだけの金も、健康保険証もなかったという。

 法廷での「誰かに連絡しようとは思いませんでしたか?」との問いに、「自分の中でも何が起こっているか分からず、携帯料金も支払えていなくて、連絡できる状況ではありませんでした」と答えた彼女。病院を受診することもできず、相談できる人もいない中、突然の出産で死産となってしまった。彼女は死体遺棄で有罪となり、決して赤ちゃんを殺害したわけではないけれど、ネット上では「子どもを殺した」と誹謗中傷されている。

 当時の生活状況について、「自分の趣味にお金を使い、電気やガスも止まっていた」とも答えている。そうした彼女の金銭感覚を責める声も多く上がっているが、その前に背景にも目を向ける必要がある。

 ホストやメン地下などに色恋営業をかけられ、「キミのことが好き」「大事だよ」などと騙される中で、女性が「お金を使わないと彼との関係を維持できない」「もっと頑張らないと彼に嫌われてしまう」と考えたり、その男性を応援することだけが自分の生きがいのように感じたりすることはよくある。彼女についても、自分の生活より「推し」の男に金を使うことを最優先しなければという思考になっていたのかもしれない。

 本人は「趣味」と言ったとしても、本当にそうなのだろうか? ホストクラブやメン地下、メンズコンカフェなどでの散財を「推し活」「趣味」とメディアも報じることで、少女や女性たちに「趣味だから」「好きでやっていることだから」と納得させ、自己責任を内面化して性売買に自ら向かうよう誘導する。これは、洗脳による搾取の手口でもある。

彼女は「流されて」犯行におよんだのか?

 虐待があったり、頼れる家族がいなかったり、生活費がなかったり、とさまざまな事情を抱えて性売買せざるを得ない状況にある女性は多くいる。そして、性売買に染まると「癒しが必要だ」とホストクラブやメンズコンカフェに誘われる機会も多くなる。性売買に関わっていなくても、初めは「お金を使わなくていいから」「初回は1000円だけだから」などと、街やSNSで業者の男たちが女性に声をかけてくる。

 そこで女性に借金を背負わせたり、男性を応援するのに金が必要だと思わせたりしていく。彼女らはより多くの金を性売買で稼げるようにと美容整形や豊胸を勧められ、さらに借金がふくらんでいく。すると今度は闇金業者や買春者らが、借金の返済や生活苦に乗じて近づき、「お金を貸す」と言って見返りにさらなる性売買を行わせる。

 やがて電気やガスが止まり、家賃滞納で住居も失うと、「うちに住めばよい」と言って住まいを提供して逃げられなくする。そうして返済が滞ると、「家族や友人にばらすぞ」などと暴力や言葉で脅しをかけ取り立てる。中には障害を持っていたり、貧困や虐待などを背景に、性売買するしか選択肢がない女性もたくさんいる。

 再び常滑市の事件に話を戻すと、彼女は死児を出産した後、マンションの自室に戻り赤ちゃんの遺体を浴室に置いたという。「現実を受け止めきれず、視界に入れたくないと思った。見えなくなればどこでも良かった」と供述している。その後、母親に相談しようと実家へと向かったが、家族と顔を合わせたら「怒られるのでは……」と思って話せなかったという。そもそも相談できる人がどこにもなかったから、ここまできてしまったのだ。

 彼女は赤ちゃんを実家の花壇に埋める際、くるんでいたタオルを取ることができず、顔も見られず、「私でごめんね……育ててあげられなくてごめんね……」と罪悪感を覚えたという。直視できないというのは、その現実の重さを感じていたからではないだろうか。

 裁判官は「出産した時、自分の部屋に戻った時、実家に行った時……やり直す機会はいくらでもあった。目の前の現実を見たくない気持ちは分からなくもないが、流されすぎではないか」「心配なのはこれから。また状況に流されて楽な方を選んでしまうのではないか?」と問いかけたという。

 私は、彼女が「流された」「楽な方を選んだ」とは思えない。彼女は一人で耐えること、自分だけで問題解決することを選ばされた。それしか選択肢がなく、ずっと一人で抱えてきたのではないか。女性を貧困に陥らせて、一人ぼっちにさせて性売買に追いやり、心身を傷つけて、今回のように犯罪者にする。そういう社会構造がこの国にはある。むしろ何も考えていないのは、彼女を妊娠させた男だが、その責任が問われることはない。

女性を妊娠させ、孤立させた社会の闇

 性売買をする女性たちは、毎日複数の男性たちからレイプされ続けるような状況の中で生きている。金にものを言わせた性行為は、一番簡単な支配方法なので、買春者はここぞとばかりに無理な要求をつきつける。「生」(コンドームなどを使わない性交)や「中出し」(生挿入のまま膣内射精すること)などはその典型例だ。

 裁判官は「風俗店で避妊をせずに妊娠した」と言う。しかし性売買の現場を見ると、妊娠経験のない人のほうが少ないのではないかと思うほど、中絶や妊娠出産を繰り返している女性は多い。それも1度や2度ではない――といううこともよくある。

 性売買によって妊娠しても、誰にも相談できずにいる女性は多い。経済的な理由で病院にも行けない。そうして妊娠したことを受け止められないまま、路上で出産に至る女性が多いことも私たちは知っている。妊娠について正しい知識を教わる機会のないまま性搾取されていたり、避妊薬が買えなくて悩んでいたりする、そんな女性たちに「ピルをやるから中出しさせろ」と言ってレイプする男性もいるが、彼女たちはむしろそのことに感謝してしまうほど孤立している。

 出産したての赤ちゃんを施設に預け、路上に戻って来て性売買をしている女性と出会うこともある。借金があるから、家賃を払わないといけないから、男に渡さないといけないから、それしか自分にはできることがないから――と、すぐに戻ってくる。男たちも気にしないどころか、妊婦風俗や母乳風俗で働かせる。お腹の大きい妊婦をレイプしたり、母乳を飲んだり、それすら売り物になるのが今の日本社会だ。

 確かに日本社会は、売春防止法でいわゆる「本番行為」を禁止している。しかしそれは建前であり、たくさんの女性が性売買で妊娠している。買春者のほうも、責任を問われないことを知っているから「生」「中出し」をする。スカウトなどの斡旋者や斡旋業者の責任も問われない。勝手に女性が「本番」をしたのだと言い逃れし、自分たちは知らなかったと被害者面できるようになっている。

 それを警察も司法もわかっていて、女性だけが批判されたり処罰されたりすることが繰り返されている。売春防止法の「勧誘罪」でも、捕まるのは常に女性だけである。私はある警察官から「警察は女性を捕まえることしかできない。だから、あなたたち支援者の活動に頼るしかない」と、はっきり言われたこともある。

 そうして、似たような事件は今も全国で繰り返し起きている。

 23年1月、大阪市で住居不定・風俗店従業員の33歳の女が、路上で出産した女児の遺体をかばんに入れてコインロッカーに遺棄したとして逮捕、起訴された。彼女はビジネスホテルを転々としつつ毎月約35万円の給料をホストクラブで使い、交際していたホストにも借金があった。これまでに死産を含めて12回出産し、子どもを施設に預けているが、今回は家がなく保険証も切れていて病院に行けなかったという。

 札幌でも、風俗店で妊娠した女性が子どもを遺棄する事件があった。この女性は22年5月に札幌市内のホテルで赤ちゃんを出産し、直後に湯を張った浴槽に沈めて窒息死させたうえ、遺体をクーラーボックスに入れてコインロッカーに放置。殺人と死体遺棄の罪に問われ、懲役5年の実刑判決が出た。彼女の弁護団は「風俗店で男性客に無理やり性行為をされ妊娠。生まれた赤ちゃんを目の当たりにして混乱し、極度に疲弊した状態で、自分をコントロールする能力が低下していた」「ADHDグレーゾーンなどの被告の知的能力の影響で誰にも相談できずにいた」と主張しているそうだ。

 これ以上、こうした悲劇を繰り返さないためには、性売買に関わる女性に自己責任を押し付けるのではなく、背景にある性搾取の構造を理解して、それらを変えるよう行動することである。まずは買春者や業者を処罰する法律などを整備し、性売買せざるを得ない状況にある女性たちにそこから抜け出すための具体的な選択肢を提示して、関係を作り、支えることが必要だ。


Colaboの活動がどうゆうものであるのかが理解いただけるのではないだろうか。


被爆者「『核抑止』は原爆そのもの」

2023年08月07日 | 社会・経済

首相、世界に広がる核廃絶の声に背

 

「しんぶん赤旗」2023年8月7日

 

 「『核抑止』は被爆者への国家の欺瞞(ぎまん)であり、すり替えであり、ごまかしです。被爆者にとって『核の抑止』とは、原爆そのものであり、原爆のきのこ雲そのものなのです」―2023年原水爆禁止世界大会の国際会議で胎内被爆者の濱住治郎さんは魂の怒りを込めて訴えました。

 8月6日、岸田首相は、この思いに反し核兵器の存在を正当化する「核抑止」にしがみつく姿を示しました。広島平和記念式典でのあいさつでは「核兵器のない世界」を言いながら、昨年同様、核兵器禁止条約には一言も触れず、NPT(核不拡散条約)にさえ言及しませんでした。一方で、首相は5月の主要7カ国(G7)広島サミットで発信した「核軍縮に関するG7広島ビジョン」をあげ、「核軍縮の進展に向けた国際社会の機運を今一度高めることができました」と“成果”を誇りました。

 しかし同ビジョンは、ロシアや中国の核軍拡を非難する一方、米国などの核兵器を「存在する限り、防衛目的に役立てる」として肯定。“広島出身”を名乗る総理大臣が被爆地・広島から核の威嚇で相手を脅す「核抑止」を発信したことに、被爆者から怒りと落胆の声が巻き起こりました。

 これに対して、広島市の松井一実市長は平和宣言で、「核による威嚇を行うという為政者がいるという現実を踏まえるなら、核抑止力論は破綻している」と例年にない強い言葉で断言し、「広島ビジョン」を批判。各国の為政者に対し、「核抑止論からの脱却」を強く求めました。

 世界大会の国際会議で、被爆で両目とも失明した妹が「わたし、何の罰を受けているの?」との言葉を残し、44歳で亡くなった話を語った長崎の被爆者の横山照子さん。生き残っても死ぬまで苦しみを与え続ける核兵器の残酷なまでの恐ろしさに海外の市民団体の参加者は涙を流しました。初めて同大会に参加し被爆者の証言を聞いたアメリカのマーガレット・エンゲルさんは、若い世代として核兵器廃絶の運動を引き継いでいきたいと決意を語りました。核兵器廃絶の声は国や言葉、世代の違いを超え大きなうねりとなり世界中に広がっています。

 被爆者の思いを無視し、同条約の枠組みに入ることを拒み続ける人物が被爆国の首相でいることを日本・国際社会はこれ以上容認できないでしょう。(石橋さくら)

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広島 こども代表「平和への誓い」

誰もが平和だと思える未来を

2023年8月7日

 6日に広島市の平和記念公園で開かれた平和記念式典で、「こども代表」の勝岡英玲奈(かつおか・えれな)さん(12)=市立牛田小学校6年=と米廣朋留(よねひろ・ともる)さん(11)=市立五日市東小学校6年=が行った「平和への誓い」は次の通りです。

 

みなさんにとって「平和」とは何ですか。

争いや戦争がないこと。

差別をせず、違いを認め合うこと。

悪口を言ったり、けんかをしたりせず、みんなが笑顔になれること。

身近なところにも、たくさんの平和があります。

 

昭和20年(1945年)8月6日 午前8時15分。

耳をさくような爆音、肌が焼けるほどの熱。

皮膚が垂れ下がり、血だらけとなって川面に浮かぶ死体。

子どもの名前を呼び、「目を開けて。目を開けて」と、叫び続ける母親。

たった一発の爆弾により、一瞬にして広島のまちは破壊され、悲しみで埋め尽くされました。

 

「なぜ、自分は生き残ったのか」

仲間を失った私の曽祖父は、そう言って自分を責めました。

原子爆弾は、生き延びた人々にも心に深い傷を負わせ、

生きていくことへの苦しみを与え続けたのです。

 

あれから78年がたちました。

今の広島は緑豊かで笑顔あふれるまちとなりました。

「生き残ってくれてありがとう」

命をつないでくれたからこそ、今、私たちは生きています。

 

私たちにもできることがあります。

自分の思いを伝える前に、相手の気持ちを考えること。

友だちのよいところを見つけること。

みんなの笑顔のために自分の力を使うこと。

 

今、平和への思いを一つにするときです。

被爆者の思いを自分事として受け止め、自分の言葉で伝えていきます。

身近にある平和をつないでいくために、一人一人が行動していきます。

誰もが平和だと思える未来を、広島に生きる私たちがつくっていきます。


美しい花を咲かせるように、美しい社会を創りましょう。


広島きょう被爆78年

2023年08月06日 | 社会・経済

原水爆禁止2023年世界大会

国際会議宣言

「しんぶん赤旗」2023年8月6日

 広島市で閉幕した原水爆禁止2023年世界大会・国際会議で5日、採択された「宣言」(全文)は次の通りです。

 

 世界はいま、ウクライナでの戦争と核威嚇など核兵器使用の現実の危険が高まる重大な情勢に直面している。世界から広島の地に集った私たちは、被爆者とともに訴える。核兵器は、いかなる状況においても、決して使用されてはならず、そのすべてを一刻も早く完全に廃絶すべきである。

 78年前の8月6日と9日、アメリカ軍が広島と長崎に投下した原子爆弾は、瞬時にして両都市を破壊し、人類が体験したことのない、「この世の地獄」と言われる惨状をもたらした。1945年末までに21万人の命が奪われ、かろうじて生きのびた被爆者たちも、放射線による疾病をはじめ後遺症に苦しみ、社会的、経済的差別をうけた。この悲劇を決してくり返させてはならない。

 世界には今なお約1万2500発の核兵器が存在している。その廃絶は、人類の死活にかかわる緊急の課題である。

 ロシアのプーチン政権は、侵略と核兵器による威嚇を直ちにやめなければならない。核兵器への固執をつづけるアメリカ、イギリス、フランス、中国など他の核保有国の責任も重大である。核兵器の使用とその威嚇は、紛争の平和的解決を定めた国連憲章の原則を正面から踏みにじるものであり、その廃絶こそが国連総会第1号決議に沿ったすべての国の責務である。

 G7広島サミットが「核抑止力」論を公然と主張し、被爆者と被爆地を愚弄したことは、断じて許されない。今年7月に開かれたNATO首脳会議は、安全保障にとって「核兵器が唯一無二の存在」だとし、核兵器にしがみつく態度を改めて表明した。

 NATOの拡大やアジア・太平洋地域での軍事連携強化など、アメリカを中心とした軍事ブロックの強化は、世界を分断し、軍事対軍事、核対核の危険な悪循環をつくりだし、事態を一層悪化させている。北朝鮮が国連安保理決議に違反してミサイル実験を繰り返している。日米韓も「核抑止力」を含む軍事的対抗を強化している。これによって朝鮮半島をめぐる状況はいっそう危険なものとなっている。

 核大国が核軍縮に背を向けるなかでも、核兵器禁止条約を力にした世界の流れはひきつづき発展している。条約には68カ国が批准し、署名国は92カ国と国連加盟国の半数に迫っており、締約国を広げる努力もつづいている。このゆるぎない流れは「核兵器のない世界」をめざす、大きな希望である。

 核兵器禁止条約は、国際社会が一致し、市民社会と共同するならば、世界を動かす大きな力を発揮しうることを示した。この国際的共同をさらに発展させるとともに、各国政府に条約参加を迫る運動を強化することが、「核兵器のない公正で平和な世界」を実現する道である。

 我々は以下のことを要求し、各国の運動と国際的な共同を発展させる。

 ―核兵器の使用とその威嚇は、国連憲章と国際人道法に反するものであり、いかなる状況のもとでも決して許されない。すべての国がこれを厳格に守ることを強く求める。核兵器によって安全をはかろうとする「核抑止力」論はいかなる理由によっても決して正当化し得ず、断固として退けられなければならない。

 ―核兵器禁止条約は、核兵器使用と核実験の被害者への支援など、第1回締約国会議で策定された「行動計画」の具体化と実践がはじまり、国際法として機能しつつある。11月27日からニューヨークで第2回締約国会議が開かれる。締約国とも協力して、すべての国が条約を支持し、参加することを求める。

 ―2026年の第11回核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけた準備がはじまった(第1回準備委員会、7月31日~8月11日、ウィーン)。すべての締約国、とりわけ核兵器国が条約第6条の核軍縮交渉義務と、核兵器廃絶の「明確な約束」をはじめとする再検討会議の累次の合意を誠実に履行することを強く求める。

 ―非核地帯の強化と拡大を求める。核保有国はこれらの条約の実効性を担保しなければならない。中東非核地帯の実現にむけた努力を歓迎し、その早期実現を求める。北朝鮮は核兵器、弾道ミサイル開発を止め、すべての関係国に朝鮮半島の非核化と平和の実現にむけた努力を再開することを求める。南シナ海、東シナ海での地域の緊張は一方的行動によらず、外交的・平和的に解決するよう求める。

 ―ロシアはウクライナへの侵略を直ちにやめ、すべての軍隊を撤退させなければならない。原発を軍事標的にするなど国際人道法に反する行為は許されない。国際社会は、世界の分断に抗して国連憲章の擁護で団結し、国連総会決議に基づく解決を求めるとともに、平和と公正を求める努力を支持し、平和の秩序の再建・強化に力を尽くすべきである。軍事的な対立と分断を深め、問題の解決を阻害する軍事ブロックにもとづく対応をやめるべきである。地域紛争を国際法にもとづいて、平和的に解決することを求める。仮想敵をもたない包摂的な枠組みこそ、すべての国の安全を共通に保障する。軍事費の増大に反対し、大幅な削減を要求する。

 G7サミットが「核抑止力」論を公然と主張したことについて、議長国であった岸田政権の責任はきわめて重大であり、恥ずべきものである。被爆地からの真のメッセージは、核兵器のすみやかな廃絶である。ヒロシマ・ナガサキを体験した日本が、アメリカの「核の傘」への依存をあらため、核兵器禁止条約を支持し、参加することを強く求める。

 岸田政権は、アメリカの「核の傘」への依存をいっそう深めるとともに、「抑止力」の強化を口実に、憲法違反の大軍拡と「敵基地攻撃能力」保有に進もうとしている。沖縄をはじめとする南西諸島の軍事化など、日本はアメリカの対中戦略の最前線基地にされようとしている。さらには、アジアとNATOを結び付ける中心的役割を果たそうとしている。これらの根本には、日米軍事同盟を絶対視する政治がある。我々は、日本政府が唯一の戦争被爆国として、また戦争放棄の憲法を持つ国として、それにふさわしい行動をとることを求める日本の運動に連帯する。

 我々は、世界の反核平和運動に以下の行動をよびかける。

 ―ヒロシマ・ナガサキの被爆の実相をはじめ、核兵器使用と核実験の非人道的な結末を普及し、核兵器廃絶を共通の要求とする国際的な共同行動を成功させよう。日本と韓国の被爆者や世界の核被害者の活動を支援しよう。

 ―核兵器禁止条約の非締約国、とりわけ、核保有国や「核抑止力」に依存する国々で、条約への支持・参加を求める運動を強めよう。

 ―第78回国連総会、核兵器禁止条約締約国会議、NPT再検討プロセスなどを節目に、各国の運動を大きく結集し、諸国政府と市民社会の共同を発展させよう。禁止条約第2回締約国会議に呼応した国際共同行動を成功させよう。

 ―軍事費の削減、外国軍事基地の撤去、軍事同盟の解消、枯葉剤など戦争被害者への補償・支援と被害の根絶、平和教育の推進、国連憲章の原則に基づいたウクライナにおける戦争の終結など、様々な平和運動との共同を発展させよう。

 ―くらしと命、人権を守り、原発ゼロ、気候危機の打開、ジェンダー平等、自由と民主主義を求める運動など、多様な運動との連帯を発展させよう。

 今日の重大な情勢を打開するうえで、諸国民の世論と運動が決定的である。我々は、被爆者とともに、そして常に新しい若い世代の参加の輪を広げ、前進する決意である。


「安らかに眠ってください 

  過ちは繰り返しませぬから」

50㎜のいい雨が降った。
雨も必要だが、太陽も必要なのだが・・・
暫く☀マークがない。


日本の「家族」に何が? 

2023年08月05日 | 事件

“札幌遺体切断事件”の衝撃 家庭内で噴出する猟奇的で残虐な事件

AERAdot 2023/08/02

北原みのり

 

 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、家庭で起きる猟奇的な「家族の事件」について。

 

 女友だちが青ざめてこんな話をしてくれた。

 元カレの妻、という人からある日LINEにメッセージが入っていた。元カレのアカウントからである。

「○○の妻です。あなたのことは○○から聞いてます」

 あまりに怖くてすぐにブロックしたそうだが、それでも不安が募っているという。彼女がその男と恋愛関係にあったのはもう何年も前、男が結婚する前のことだ。ところが男が半年前に結婚してから、週に数度のペースで男からLINEが送られてくるようになった。内容はほぼ全て、妻にフライパンで殴られている、後頭部を蹴られている、ナイフを突きつけられている、炎天下のベランダに出されている、食事を与えられない……という虐待の記録である。1度はナイフを突きつける妻の手を払ったところ「骨が折れた」と大騒ぎになり(折れていなかった)、警察に通報されたこともあったという。

 どこまでが本当のことかは分からないが、朗らかで誰にも優しく(そしてとても優柔不断)、人気者の男だったはずが突然会社を辞めたり、昔からの人間関係を次々に切ったりするなど、悪い方向に変化して結婚生活に問題があるのは明らかだった。もちろん彼女は友人として「結婚を終わらせるしかない」とアドバイスをし続けたのだが、その度に彼は「彼女は間違っていない。彼女は可哀想なんだ。お前みたいな強い女には分からない。彼女は1人では生きられない。可哀想なんだ」とだいぶ失礼な方法で妻をかばい、「それは虐待だよ、逃げるしかないんだよ」とこちらが言い立てるほど、妻からの洗脳が深まり固定化していく……というような状況だったという。

「友だちとも家族とも縁が切れてる状態だから、何年後とかに、○○区の民家で白骨死体が発見とかいうニュースにならないか、心配なんですよね」

 いつか生死に関わる事件に発展してしまうのではないかと不安だが、何もできることもないですよね……と彼女は言った。

 事件の多くは家庭内で起きている。

 性暴力の多くも家庭内で起きている。

 家族というのは、底なしに暴力的になれるものだということを私たちは様々な事件から知ってはいるはずだが、それにしても、最近の日本で起きている「家族の事件」というものは、もはや乱世の世、羅生門ばりの凄まじさを見せているようにすら思う。

 6歳の子を母親や叔父ら家族4人が殺し、スーツケースで遺棄したとされる神戸の事件は、加害者の残虐性が際立っていて言葉を失うあまりだったが、感想を述べることすらためらわれるレベルで想像の限界を超える猟奇・残虐・暴力性の高い事件が家庭内で噴出している。

 また今年3月には、大津地裁で、57歳の女性が同居中の25歳男性に食事を与えず、大やけどを負わせるなどして死亡させた事件の判決があった。共犯者は21歳の彼女自身の息子で、殺されたのは女性のボーイフレンドだったという。彼女には他にも別の3人の同居男性に対する傷害罪もある。口に食パンを詰め込み窒息させるなどして、脳に障害が残ったという記録もある。私はこの事件が気になって、加害者の実家があった広島まで行くなど個人的に調べていたのだけれど、これほどの猟奇的な事件ですらワイドショーや全国紙が深く掘り下げないほど、今の日本はこんな猟奇的で残虐な家族内事件に溢れているということなのかもしれない。

 歌舞伎役者の猿之助被告の両親に対する自殺幇助罪についても事件の解明が待たれる……と、一応「定型」の言葉を使ってみるが、「事件の解明が待たれる」などということなどあるのだろうか……とどこかで諦めるしかないのが、家族内事件である。家族関係があるからこそ、日常を共にする家族だからこそ加速化される暴力。狂気を含み、猟奇的ともいえるあまりに内省的な思考は、なぜ家族内で熟成されてしまうのだろうか……ということを社会が思考しなければ、このような家庭内の事件はなくなることはないのかもしれない。

 家族内事件、その極めつきが、今、世間をにぎわしている「木原事件」と「札幌首狩り家族事件」だろう。どちらも「週刊文春」のタイトルから取ったものだけれど、文春の身も蓋もないタイトルには目が離せない。「首狩り家族」の文字を見たときは目を疑ったが、殺人の送り迎えをするような父親、切った首を自宅に持ち帰ったことを認識していたという母親など、いったいここに至るまでにどのような会話が、どのようになされていたのか想像を絶するものがある。ただこの事件、単純な「猟奇」というよりは、男性から暴行を受けたという話が一部報じられている。もし事実だとするならば、精神科医であり、患者から信頼されていたという父親が、医療にも法にも頼らず、つまり一切の公助を頼らず、家族だけで、つまり究極の自助で解決をしようとした点が、時代を象徴するようにも感じられる。なぜそこまで絶望できたのか、極端の選択を選ぶまでに何があったのか。

 また木原官房副長官の妻の前夫の死にまつわる事件=文春によれば「木原事件」は、週を重ねるごとに、記者自身も想定していた域を超えた凄まじい内容になっている。自殺として処理された前夫の事件に「事件性がある」と再調査が行われた際、妻が重要参考人として警察に呼ばれたこと、結果的に「事件性がない」と警察庁長官が発表したが、そのことに「自殺を示す証拠はない」「事件性がある」と真っ向から反論をはじめた元捜査員の登場など、目が離せない状況だ。現職の官房副長官が「巻き込まれた」事件が今後どのように発展するのか分からないが、これも結局は家族の話である。家族の話であり、男女の話であり、合理的な判断や理屈を超えた「家族の事件」である。

 すごい時代を生きていると思う。結婚は愛の象徴のように語られ、家族愛こそが正義・善であるかのようにうたわれ、敵は家族の外にあるかのように喧伝される社会で、家族の中で起きる殺意、暴行、虐待はエスカレートしているようだ。何年に1度起きるか起きないか、日本中が注目するレベルの衝撃度の高い猟奇的な事件がここまで続くと、これはもう「日本社会」の問題でしかない。日本の家族に何が起きているのか。それこそ、「真相の解明が待たれる」。


ワールドカップ女子サッカー決勝トーナメント、日本対ノールウェー戦が今まさに行われている。がんばれ!見たいけどテレビなし。勝ちました!!ベスト8です。この時間、誰も訪問者なしですか・・・

急に寒くなった。今日も22℃止まり。


雨宮処凛がゆく!15年前、なぜ船は沈んだのか〜

2023年08月04日 | 事件

『黒い海 船は突然、深海へ消えた』

 マガジン9 
   第644回:15年前、なぜ船は沈んだのか〜『黒い海 船は突然、深海へ消えた』の巻(雨宮処凛) | マガジン9 (maga9.jp)

 重度障害の当事者である市川沙央さんが小説ハンチバックで芥川賞を受賞したことが大きな注目を集めているが(まだ読んでない。読みたい)、この5月に第54回大宅壮一ノンフィクション賞を、そして7月に本田靖春ノンフィクション賞を受賞した『黒い海 船は突然、深海へ消えた』がすごい。

 著者は伊澤理江さんで本作がデビュー作。しかし、デビュー作とは信じがたいほど丹念な調査報道によって未解決事件の闇を少しずつ暴いていく。

 本書が取り上げるのは、2008年に起きたある海難事故。

 太平洋上で碇泊中の中型漁船が、突如として沈没。17人もが命を落としたのだ。が、現場は「沈みようがない状況」だったという。

 犠牲者の数から言っても大事故。しかし、あなたはこの事故を覚えているだろうか。リーマンショックや秋葉原無差別殺傷事件、そして年末には年越し派遣村のあった年に起きた事件を、私はまったく覚えていなかった。いや、覚えていないどころか、最初から知らなかったのだろう。一報を耳にした記憶もないのだ。

 この、「多くの人の記憶にない」ということも、奇妙な事故の重要なキーワードである。

 事故が起きたのは、千葉県銚子市沖の洋上。犬吠埼から東へ約350キロという太平洋の真っ只中。

 2008年6月23日。この日、第58寿和丸は「パラ泊」中だった。「パラ泊」とはパラシュート・アンカーを使った漂泊のことで、船体は安定し、安全性が高いものだという。この日の波は高かったものの海はさほど荒れていたわけではなく、20人の船員たちは束の間の休息を楽しんでいた。

 しかし、午後1時を過ぎた頃、右舷に「ドスン」という衝撃が走る。7〜8秒おいて「ドスッ」「バキッ」という二度目の衝撃。波で傾いたのであれば、傾きは間もなく戻るそうだ。が、船体は戻ることなく急激に傾き、2度の衝撃からわずか1〜2分で転覆。

 海に投げ出された者もいれば、船内に残された者もいた。

 20人のうち、助かったのはわずか3人。その時、船のどこにいたかというわずかな違いが生死を分ける結果となった。船とともに沈まずとも、海に投げ出されては長くは持たない。偶然、浮きなどにつかまり、小型ボートに辿り着いた3人だけが奇跡的に助かった。現場からは4人の遺体が回収され、行方不明者は13人。船は深海5000メートルに沈んだ。

 それから、3年。やっと公表された調査報告書に、生存者や関係者は大いなる違和感を抱いたという。

 事故原因が「大波」によるものだとされていたからだ。

 しかし、波が原因で、これほど急激に船が沈むことはないという。また、生存者たちは誰もが「2度の衝撃」をはっきり覚え、証言していた。しかし、報告書ではそれが重視されることはなかった。

 何より重要だったのは、生存者たちだけでなく、救助にあたった僚船(同じ船団の船)の乗組員も目撃した「大量の黒い油」だ。

 海に投げ出された生存者は、溺れかけながら油の混じった海水を飲み、髪も体も油まみれだったという。なんとか小型ボートに乗り、ボートにあったタオルで顔や体を拭くと、布は油で真っ黒になったそうだ。

 それだけではない。僚船で救助にあたった乗組員は、海に浮いている数人を引き上げたが、海は油で真っ黒。引き上げた人たちの体も油まみれで、滑ってしょうがないことから4人がかりで引き上げたという。すぐに人工呼吸などをしたが、息を吹き返すことはなかった。

 しかし、報告書では油の量はほんのわずかなものとされているのだ。

 著者がこの件を知ったのは、偶然のことだった。別の取材をする中でたまたま耳にしたのだ。しかし、まるで何かに導かれるかのように猛然と取材を進めていく。

 なぜ、いつ漁を再開してもおかしくない状況の船が水深5000メートルに転覆したのか。135トン、全長48メートルの船体をひっくり返すような波や風ではなく、沈みようがない状況だったのに、なぜ悲劇は起きたのか。

 事故を調べていくうちに、第58寿和丸と同様の「謎の事故」は、世界各地で起きていることがわかってくる。しかし、取材すればするほどに著者の前にはさまざまな壁が立ちはだかる。なぜなら、それは軍事機密に触れることだからだ。

 詳しくは本書を読んでほしいが、読んでいて思い出したのは、この事故の7年前である2001年に起きた愛媛県立宇和島水産高校の漁業実習船「えひめ丸」の事故だ

 本書にも、この事故についての記述が登場する。

 ハワイ近海の太平洋上を航海中に、船体に轟いた2度の衝撃。そこから沈没まで、わずか5分。乗組員35人のうち、助かったのは26人。8人の遺体が船内から見つかり、一人は現在も行方不明。

 えひめ丸乗組員の命を奪ったのは、海中から急浮上してきた米国海軍の原子力潜水艦「グリーンビル」だった。事故当時、海面には油が漂い、救命ボートに逃れた生徒や船員らも油で汚れていたという。

 「資料を読み込めば読み込むほど、沈没に至る状況が第58寿和丸とそっくりだ。新たな取材の扉が開いたような気がした。そして、膨大な資料をさらに精読し、私は確信を持ち始めた」

 著者はこのように書いている。

 ひとつの漁船事故から浮かび上がる、海を舞台にした各国の壮絶な覇権争い。

 15年前の事故が今、問い直されている。


1985年 ( 昭和 60年) 8月12日の日航ジャンボ機123便事件を思い出させる。もうじき38年である。これも「軍事機密」のひとつとしてあやふやにされているのだろう。

今日は朝から雨の予報であったのだが、7時からの雨が8時になり、10時になり14時になり、今16時、雨音を立てて降ってきたので安堵している。

 


夏場の「長い昼休み」が全人類を救う理由

2023年08月03日 | 自然・農業・環境問題

地球の“沸騰化”を阻止せよ。

 

まぐまぐニュース!2023.08.03 by 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』

今夏もまた人命に関わる酷暑に襲われている世界各国。人類が自らが招いた結果とは言うものの、このまま座しているばかりでは状況の好転は望めません。我々に打てる手はないのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、温暖化の一番の原因を火力発電とした上で、温室効果ガスをダイレクトに減らす方法を提示。「夏場の長い夏休み」を強く推奨しています。

 

沸騰化する世界を救う「夏の長い昼休み」。最も効果的な温暖化対策

最近、暑い日が続いていますね。この暑さは殺人的ですね。10年前とは明らかに気候が違いますし、年々、暑さが過酷になっていきます。20年後には、日本に住めるのか不安になるほどです。おそらく、多くの人が同じような不安を持っているのではないでしょうか?

国連は「今は地球の温暖化ではなくもはや地球の沸騰化である」という表現で、各国に対策を求めました。先進国の集まりであるG20が温室効果ガスの80%を排出しており、国際会議により各国に温室効果ガスの削減義務が課せられているのですが、なかなか効果が上がりません。

温室効果ガスを削減するために、工場に省電力の設備を導入したり、植樹をしたりしていますが、なかなか効果は表れていません。このままでは効果が表れる前に、地球が沸騰してしまいそうです。

ところで、温室効果ガスの排出の一番大きな原因は火力発電です。電力には「貯められない」という欠点があります。最近では蓄電池も進歩していますが、国全体の供給を賄えるような蓄電技術はまだ開発されていないのです。そのため発電側は、つねに電力消費量が増えたときに対応できる体制をとっています。そして電力が平常よりも増えたときに、もっとも活動するのが火力発電なのです。

水力発電や太陽光発電などは、天気や気候に左右されるものなので、そう簡単に発電量を増減できません。原子力発電も、こまめに発電量を調節できるものではありません。だから電力量の調整を担っているのは、火力発電なのです。電力消費が大きい時期に、その増えた分の発電を行っているのは、発電量の調節をしやすい火力発電なのです。

逆に言えば、電力消費の多い時期に、電力消費量を抑えれば、ピンポイントで火力発電の発電量を減らすことができるのです。それはすなわち温室効果ガスをダイレクトに減らせるのです。

ピーク時の電力消費量をもっとも引き上げている場所

電力消費量のピーク時というのは実は夏です。一日あたりの電力消費量は冬の方が大きいのですが、冬は人々が活動する昼間は、暖房の電力消費量が減るので、ピークの電力消費量はそう大したことはないのです。しかし夏の場合は、人が活動する昼間にエアコンの使用もピークに達するので、瞬間的な電気消費量が増えるのです。

だから、夏の昼間の電力消費量を下げれば、火力発電の発電量を大きく減らすことができ、すなわち温室効果ガスを大きく減らすことができるのです。

そして夏のピーク時の電力消費量をもっとも引き上げているのは、実は小売業や飲食業なのです。百貨店やショッピングモールなどの大型商業施設で使われている冷房こそが、電力消費を引き上げている最大の要因なのです。また冷房というのは電力を喰うだけではなく、屋内を冷やすために熱気を外に排出するので、外気の温度を直接的に上昇させる作用があります。都市部の気温が上がる「ヒートアイランド現象」も冷房が要因の一つとされています。

世界中が夏場に長めの昼休みを取れば解決する地球温暖化

だから地球の温暖化を防ぐためにもっとも手っ取り早い方法は、夏の昼間の商業施設の冷房を切ることです。たとえば、12時から17時までは商店は営業を全国的に停止する(飲食店は13時から17時まで)などをすればいいのです。12時から17時までの5時間を営業しないとしても、商店にはそれほど影響はありません。夏は、真っ昼間はあまり外に出ないようにしている人が多いはずで、百貨店、ショッピングモールなどもお客さんはあまり多くありません。客は多くないけれど、冷房はガンガンにかかってます。その無駄を省けばいいのです。

また営業側から見ても、閉店時間をその分、伸ばせばいいだけなのでそれほど影響はないと思われます。また、ほかの店もその時間は営業していないわけなので、ライバルに後れを取るというようなことも生じないはずです。

もともと暑い国などでは、夏の暑い時間は昼寝をする習慣があったりもします。夏の暑い時間に活動しても、疲れるだけですからね、それは合理的な生活習慣でもありました。その習慣と省エネルギーを絡めるのです。つまりは、世界中が夏の暑い時間に長めの休憩を取れば、温暖化問題の解決に向かうということなのです。


「これで解決」とは単純にいかないでしょうが、一つの提案として検討の余地があるように思います。
早急に何らかの「手」を打たなければならない状況です。中国の大洪水もあります。

今日は予想どうり5時間ほどの雨で3㎜てところです。
まだ、明日明後日と予報が出ていますのでもう少し期待しています。


なぜ、猛暑のニュースで地球温暖化に言及しないのか?

2023年08月02日 | 自然・農業・環境問題

テレビで天気情報を伝えていた気象予報士が考察

SNS上で「日本のメディアは、猛暑についての解説でも、頑なに温暖化について触れようとしない」という疑問の声があがっています。その理由を、東京キー局に出演経験のある気象予報士が考察します。
 
 

今年も日本を猛暑が襲っています。日本だけでなく世界中で暑さが厳しく、グテーレス国連事務総長は「地球沸騰化の時代が来た」と警告しました。

そんな尋常ではない暑さの中、SNS上では「日本のメディアは、猛暑についての解説でも、頑なに温暖化について触れようとしない」などの意見が出ています。

なぜ猛暑のニュースで地球温暖化に触れないのか、テレビに出演していた気象予報士の立場から、考えていきます。

天気コーナーは誰が作る?

天気コーナーで伝えられる内容は、気象予報士の一存で決まると思われがちですが、放送制作はチームプレイです。放送する内容を事前にプロデューサーやデスク、ディレクター、他の出演者と話し合います。気象予報士の多くが契約キャスターで、立場はあまり強くありません。個人的な感覚ですが、地方局や自分のコーナー尺が短いほど自由にできます。一方、東京キー局や長い尺の場合、色々な人と調整が必要です。

現状、テレビ局やラジオ局にいる気象予報士はあくまで「天気予報」や「防災」の情報発信を担うことを期待されていると思います。地球温暖化を伝えてほしいという番組側や上層部からの直接的・継続的な要求を、少なくとも私は聞いたことがありません。

私自身は、自分のコーナーで伝えたいという思いをいつも持っていました。しかし、天気コーナーの尺は限られており、多くの人が気になる明日の天気を伝える時間を削ってまで伝えることか?という葛藤がありました。

また、ワンマンプレイで温暖化との関連を伝えた場合に視聴率が落ちるなどすれば、自分に対する叱責があり出演が危うくなるのでは?という心配もありました。日々の業務にも忙殺され、温暖化との関係を放送する交渉を進めることもできませんでした。

テレビ局やラジオ局で働く気象予報士は、自分の専門である“気象”に科学的に忠実な印象があります。気象予報士は日々気象を予測しているので「気象」の専門家ではありますが、厳密には「気候」の専門家ではないのです。

猛暑の要因は温暖化だけではない

そもそも猛暑には様々な要因があります。よく気象的要因で説明されるのは「チベット高気圧と太平洋高気圧が重なって」「フェーン現象で」などです。

それに加えて「ヒートアイランド現象」そして「地球温暖化」があります。猛暑とはそのように複数の要因によって起こっているということを、気象予報士は一通り理解しています。

そして、この中で気象予報士が専門といえるのは、「高気圧」や「フェーン現象」といった気象要素です。

もし「今すぐに」伝えたいのであれば、先行研究を読み一般論として伝えることになります。多くの研究が、人為的な要因による温暖化の影響で、陸域での猛暑が頻発するようになったと結論づけています(たとえば*1, *2, *3)。人為起源の地球温暖化が、2013年や2022年の日本の猛暑の発生確率を高めたという研究もあります(*4, *5)。

温暖化を報道するためには?

ここまでは「気象予報士が天気コーナーで温暖化に触れづらい理由」という、後ろ向きな実情を中心に話してきましたが、天気コーナー以外のニュースでも同じことが言えると思います。

ニュースはこれまでと同じような論調や作り方を繰り返すことが多く(私はこれを以前「前例踏襲型の、定型文の報道文化」と表現しました)、地球温暖化に触れようとするならば、デスクやプロデューサーとの調整が必要でしょう。

その工程を踏んでまで地球温暖化を報道しようという人は、残念ながら、そう多くないように感じます。そもそもニュースは尺の奪い合いという点や、他にもさまざまなハードルがあります。

しかし、街中で皆さんの会話を聞いていると「昔はこんなに暑くなかったよね。温暖化だよね」という声が聞こえてきます。このような素朴な感想に対して、科学的な説明をしていくのも、報道機関の役割ではないでしょうか。

マスコミ内での意識醸成やチーム編成の見直しも必要ですが、組織改革には時間がかかります。「温暖化についてもっと触れるように」という指示がトップから現場に下るような流れを作ることも必要ではないかと思います。