goo blog サービス終了のお知らせ 

里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

「廃業」ではなく「事業譲渡」を

2017年12月15日 | 社会・経済

「中小企業2000万人」の雇用が超危ない

          プレジデントオンライン2017.12.13

   中小企業を経営する60歳以上のうち66.1%は「後継者不在」だという。日本全体の事業所の数をかけあわせると、約2000万人の雇用が潜在的な危機にあるといえる。どうすれば危機を防げるのか。ひとつは経営者に「廃業」ではなく「事業譲渡」を決断してもらうことだ。中小企業の「事業承継M&A」に取り組むFUNDBOOKの畑野幸治社長が、現状に警鐘を鳴らす――。

「事業を承継できる人材がいない」

   この数年、中小企業で親族や従業員以外の「第三者への承継」が増えています。「中小企業白書2017年版」によれば、5年以内に承継した中小企業の内、第三者への承継は、39.3%。20年前は5.5%、10年前は10.9%だったので、着実に増えています。

   親族や従業員のなかに「事業を承継できる人材がいない」という問題がある一方で、見逃されている事実があります。大企業のM&Aとは異なり、中小企業のM&Aは、従業員の雇用がそのまま維持されるなど、友好的なM&Aになりやすいという点です。

   中小企業は株式を非公開としているケースがほとんどです。上場している大企業では、M&AでTOB(公開買い付け)のような「敵対的買収」が行われるケースがあります。大株主になってしまえば、従業員の意向を無視して、リストラや資産売却を進めることができます。

   しかし非公開企業であれば、いくら買収を希望しても、譲渡企業の株主が納得しなければ、M&Aは成立しません。「従業員の雇用を維持してくれ」と約束を取り交わすこともできます。

   これまでは、後継者がみつからないという理由で、「廃業」という選択肢を選ぶ経営者が少なくありませんでした。しかし廃業は従業員や顧客、仕入先などに影響を与えます。結果的には日本経済全体に悪影響を及ぼすとも考えられるはずです。

   このため私はFUNDBOOKという企業で、中小企業を対象にした「事業承継M&A」の事業に取り組んでいます。多くの中小企業は、事業承継の問題に早期に取り組む必要に迫られています。いまどんな状況にあるのか。大きな課題は以下の3点です。

日本の中小企業が抱える3つの課題

   1点目は、急速な少子高齢化に伴う日本市場の縮小です。日本では現在、少子高齢化が進んでいます。このままでは2050年までに人口は3分の1の9708万人になると予測されています。つまり、現在の市場が3分の2になるのです。

   2点目は、後継者問題の深刻化です。日本の起業率は5%程度にとどまっており、経営者の平均年齢が上がりつづけています。1998年には56歳だったボリュームゾーンは2016年に66歳となっています。一方で、帝国データバンクの調査によると60歳以上の経営者のうち66.1%が「後継者不在」と回答しています。現在70歳前後の「団塊の世代」が、これから次々と引退していきます。そのとき廃業を余儀なくされる中小企業が続出する恐れがあります。

   3点目は、グローバル化に伴う競争の激化です。日本市場の縮小を予想し、大企業は数十年前から着実かつ積極的に海外市場を開拓してきました。たとえばキッコーマンはしょうゆを海外で売るために、1974年に米国で工場をつくっています。一方、中小企業の海外進出は思うように進んでいません。

   今後の企業経営はこれまで以上に複雑性が高く、資金的な体力が必要になってくると考えられます。ところが日本の99.7%を占める中小企業の大半は、その準備ができていません。規模が大きく、成長意欲のある第三者に事業承継を行うことは、日本経済にとって重要な課題だと考えています。

企業の大量廃業で損をするのは誰か

   もし中小企業が大量廃業に追い込まれれば、最も深刻な影響を被るのは地域経済です。『中小企業白書2016年版』によれば、日本の中小企業の企業数は380万社。それに前述の後継者不在率の66.1%をかけると、約250万社の企業が後継者不在と推計できます。中小企業の平均従業員数は8.8人となるので、これから30年の間に、潜在的には2210万人の雇用が危機にあるといえます。これは日本の労働人口の半分に達する数値です。

「ハッピーリタイア」をむかえる方法

   では第三者への事業承継とはどのように行われるのか。2つの事例を紹介させてください。最初の事例は、調剤薬局のワタナベドラッグ(仮称)です。開業は1994年。夜間営業など地域密着型経営で業績を拡大し、直近の店舗数は3店舗になっていました。ところが2016年の薬価改定で売上が減少。自身の両親介護の不安もあり、事業承継を考えるようになりました。

しかし息子は大手商社の社内弁護士で、退職は考えられません。そこで事業譲渡を検討し、最終的には大手薬局チェーンに譲渡しました。ワタナベドラッグのオーナーは「独自で進めていたらいつまでたっても事業承継が進まず、最終的には廃業していたのではないか」と振り返ります。

   2つ目の事例は、廃業からM&Aに切替えたタナカ物流(仮称)です。35年前に田中社長が創業したタナカ物流は、トラック30台と自社倉庫を保有する年商5億円の中小物流会社です。安定した業績を残してきましたが、田中社長も65歳となり、気力や体力の面で徐々に衰えを感じ始めていました。一人息子がいましたが、東京の大企業に就職しており、後を継ぐ気がありません。役員や幹部社員に後を託すという事業承継の道も模索しましたが、銀行に1億5000万円の借入金があり、その全額を田中社長が個人で連帯保証していました。また、自宅も借入金の担保にしており、こうした負債を役員や幹部社員が肩代わりするのはほとんど不可能です。

田中社長は最終的に吉田物流(仮称)にタナカ物流の株式を100%譲渡することを決めました。吉田物流の売上高は約10億円。経営者はまだ40代で、田中社長は息子に会社を託すような思いで譲渡を決めました。その後、役員や従業員はいっさい変わらず、待遇も維持されました。グループ力が強化されたため、今まで以上に仕事が増え、業績も右肩上がり。田中社長は、経営から身を引き、株式譲渡代として2億円あまりを手にして、「ハッピーリタイア」を迎えることができました。

選択肢は、親族内承継、上場、廃業、M&Aの4つ

   中小企業の廃業は深刻な社会問題です。M&Aは廃業を防ぐ有効な手立てですが、その後、グループ企業として結果が出なければ、譲る側、譲り受ける側のお互いが損をすることになります。トラブルを避けるためには、知識や経験をもったM&Aアドバイザーが必要です。

FUNDBOOKはM&Aアドバイザリーの専門会社ですが、ほかにも地域の会計事務所や銀行・信用金庫などがM&Aを仲介するケースもあります。

   事業承継におけるオーナー社長がとれる選択肢は、親族内承継、上場、廃業、M&A(親族外承継)の4つしかありません。廃業してしまうと、お客様や従業員をはじめ仕入先など、関係者に迷惑をかけ、長年培ってきた技術やノウハウもすべて失われてしまいます。日本経済にとってもマイナスです。前もって事業承継に備え、ぜひ廃業することだけは避けてください。

 

 

畑野 幸治(はたの・こうじ)     FUNDBOOK 代表取締役CEO

   1983年生まれ。大学在学中に株式会社Micro Solutionsを創業し、2016年11月より株式会社BuySell Technologiesの代表取締役に就任。翌年に同社の全株式を譲渡、2017年9月に株式会社FUNDBOOKの代表取締役に就任。M&Aプラットフォーム事業を展開している。


睡眠剤・抗不安剤ーすごいぞ、この薬の量

2017年12月14日 | 健康・病気

日刊ゲンダイ ヘルスケア

【睡眠剤・抗不安剤】20代の処方量は10代の3倍以上

        by 永田宏  2017年12月14日

   睡眠剤・抗不安剤の年間処方量は約35億7000万錠。国民1人当たりにすると、年間約28錠。言うまでもなく、年齢や性別によって違ってきます。<表>には15歳から5歳刻みで、男女1人当たりの処方量を載せました。

 

 14歳以下の処方量はごくわずかなので省略しました。15歳以上、つまり高校生になる頃から、数字に表れるようになってきます。思春期に伴う悩みや問題が増える時期です。とはいえ、男女とも大した量ではありません。

  ところが20歳になると、その量が男女とも3倍以上に跳ね上がります。ロゼレム、ソラナックス、ワイパックスなど、不安神経症やうつ病と、それに伴う心身症を治療するクスリが処方されています。大学でもそれらの精神的・肉体的不調を訴える学生が増えています。

  男性では50代前半に小さなピークがあり、その後はいったん処方量が落ちて、60代後半から再び増え始めます。50代前半では、抗不安剤だけでなく、ハルシオンやマイスリーなどの睡眠剤の処方も増加します。いわゆる「男の更年期」が理由でしょう。ホルモンバランスの変化や自律神経のバランスの崩れなどが、うつ病や不眠症を引き起こすのです。

■60代から睡眠剤が急増

  女性でもほぼ同様の動きですが、全年齢で男性よりも処方量がかなり多めです。女性は男性の2倍ほど、うつ病にかかりやすいことが知られています。実際、精神的な理由から大学を休む女子は少なくありません。

  20代、30代では妊娠、出産、育児などが原因で、うつ病や睡眠障害になってしまう女性もいます。働く女性が、仕事や対人関係のストレスから、精神的な不調に陥ってしまうこともあります。そして40代後半からは更年期障害。女性の一生は不安や不眠との闘いなのかもしれません。

  60代に入ると男女とも睡眠剤の処方がどんどん増えていきます。老人性の睡眠障害が増えるからです。とくに寝付きが悪い人には、睡眠導入剤が処方されます。また70歳を越える頃から、認知症患者が出始めます。認知症患者にも、抗不安剤や睡眠剤が処方されます。認知症そのものを治療する効果はありませんが、認知症に伴うさまざまな問題行動を改善する効果があるためです。

 

 【睡眠剤・精神安定剤の処方量】上位100品目で年間35.7億錠

   by 永田宏  2017年12月13日

   大学の教員をやっていて感じることのひとつは、精神的な不調を訴える学生が、目立って増えていることです。大半が軽度のうつ、心身症、不眠症などで、講義の欠席届には「心療内科を受診のため」といった理由が書かれています。他大学の先生方と会う機会に聞いてみると、やはりどの大学も似たり寄ったり。

  心療内科や精神科では、睡眠(導入)剤や精神安定剤が処方されます。私のような古い人間は、20歳前後からそういうクスリを飲んで大丈夫なのかと心配になってしまいますが、重症化する前に積極的にクスリで治療するのが、医学界の常識になっているようです。寝れば、大抵の心配や不安は治るということでしょうか。

  外来で処方されるそれらのクスリ(レセプト的には「催眠鎮静剤」と呼ばれています)は、実際にどのくらい処方されているのでしょうか。NDBオープンデータに載っている上位100品目の合計を出してみると、なんと約35億7000万錠になりました。降圧剤(61億2000万錠)や高脂血症治療薬(約49億7000万錠)には及びませんが、これほどの量が処方されているなら、飲んでいる学生がいても不思議ではありません

■人気は脳細胞表面と結合し興奮を鎮めるBZD系

   処方量のトップ10までのクスリを〈表〉に載せました。1位はファイザーのソラナックス0・4ミリグラム錠、約2億2000万錠に達しています。僅差で2位はアステラスのマイスリー錠5ミリグラム、約2億1000万錠。しかし5位に10ミリグラム錠が入っており、合計すれば1位(約3億5000万錠)になります。

  催眠鎮静剤に分類されるクスリの多くは、「ベンゾジアゼピン(BZD)系」と呼ばれるものです。1位のソラナックス錠や3位のハルシオン錠も、このグループに属します。BZD系の薬剤は、脳細胞の表面にある特殊なタンパク質と結合して、興奮を鎮める作用があります。それによって脳全体の活動が収まり、不安や緊張から解放され、眠りに導かれるというわけです。

  実質1位のマイスリー錠は、非BZD系の代表格。こちらは主に不眠症の改善に使われています。飲むとすぐに効果が表れるので、医師からも患者からも支持を集めています。心療内科だけでなく、一般内科や産婦人科などでも、患者の症状に応じて処方されています。

 

 米国では10代の「不安神経症」が急増 原因はSNSだった

2017年11月16日

   アメリカでは強度の不安を訴える10代が急増し、社会問題になりつつあります。かつて、若者の心の問題は「うつ」に代表されていました。ところが過去10年間、それに取って代わったのが「不安神経症」です。

  アメリカン・カレッジ・ヘルス・アソシエーションが昨年実施した調査によれば、大学生の実に6割以上が「強度の不安」を感じているといいます。この数字は2011年の5割から上昇しています。

  カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は1年生に対する調査を続けています。それによれば、「学生生活で、のまれそうな不安を感じた」と答えた学生は1985年には18%、2010年は29%、そして昨年は41%と激増しました。また、強度の不安を訴えて医者にかかったり、自殺する10代の数も過去10年間で2倍になったと伝えられています。

  一体、何が起こっているのでしょうか。簡単に原因を特定することは難しいと専門家は言います。こうした症状への認知や診断の増加が、数字を押し上げている可能性もあるからです。

ただ、多くの専門家が原因のひとつとして指摘するのがSNSです。ベストの自分や日常の最高のシーンを投稿しようとするあまり、現実とのギャップに悩んだり、他人と比べて強い自己嫌悪に陥ってしまうというのです。

 SNSは人間の快楽中枢を刺激するようにつくられているため、免疫のない若者では依存症や脳の発達への悪影響も指摘されています。さらにスマートフォン自体が、それを使うことですべてをコントロールできるような錯覚に陥るため、現実社会の難しさに向き合うことが難しくなってしまうのでは、という分析もあります。

  では、どんな対策があるのでしょうか? 親はティーンを必要以上に子供扱いせず、問題に進んで直面させる。テクノロジーに触れる時間を減らす「デジタル・デトックス」なども有効とされています。


伊方原発 運転差し止め、高裁レベル初判断

2017年12月13日 | 社会・経済

 

伊方原発 運転差し止め、
  高裁レベル初判断 広島高裁

 

     毎日新聞2017年12月13日

 

   四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを広島、愛媛両県の住民が求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁(野々上友之裁判長)は13日、申し立てを却下した今年3月の広島地裁の判断を取り消し、四電に運転差し止めを命じる決定を出した。野々上裁判長は「阿蘇山(熊本県)の噴火で火砕流が原発敷地に到達する可能性が十分小さいと評価できない」などとし、火山災害による重大事故のリスクを指摘した。高裁レベルの差し止め判断は初めて。差し止め期限は来年9月末まで。仮処分はただちに効力が生じ、今後の司法手続きで決定が覆らない限り運転できない。

 

   伊方3号機は定期検査のため今年10月に停止。四電は来年2月の営業運転再開を目指していたが、差し止め決定で稼働スケジュールに影響が出ることは避けられない。四電は近く決定の取り消しを求める保全異議と、仮処分の執行停止の申し立てを広島高裁に行う方針だ。

 

  伊方3号機は2015年7月、原子力規制委員会が東日本大震災後に策定した新規制基準による安全審査に合格し、昨年8月に再稼働した。住民側は、四電の安全対策は不十分で、事故で住民の生命や生活に深刻な被害が起きるなどとして広島地裁に仮処分を申請。地裁は今年3月に申し立てを却下し、住民側が即時抗告していた。

 

  高裁の審理では、基準地震動(想定する最大の揺れ)の妥当性や火山の危険性などが争点となった。

 

  野々上裁判長は決定で、規制委が作成した安全審査の内規「火山ガイド」が、火山の噴火規模が推定できない場合、過去最大の噴火を想定して評価すると定めていることを指摘。その上で、伊方原発から約130キロ離れた阿蘇山について「四電の地質調査やシミュレーションでは、過去最大の約9万年前の噴火で火砕流が原発敷地の場所に到達した可能性が十分小さいとは評価できない」などと述べ、原発の立地として不適と断じた。

 

  さらに、阿蘇山の噴火に伴う噴石や火山灰などの降下物についても、四電が想定した九重山(大分県)噴火の「2倍近くになる」と説明。「伊方原発から見て阿蘇山が九重山より遠方に位置することを考慮しても、四電の降下物の厚さや大気中濃度の想定は過小」と判断。「住民らの生命身体に対する具体的危険が推定される」と述べた。

 

  一方、火山災害以外の地震対策などは、新規制基準の内容や規制委の判断、四電が設定した基準地震動などを「合理的」として容認した。

 

  運転差し止めの期限を巡って野々上裁判長は、広島地裁で別途審理している差し止め訴訟の判決で「仮処分決定と異なる判断をする可能性もある」などと述べ、来年9月30日までとした。

 

  東日本大震災後、差し止めを認めた判決・決定(異議審含む)は、関西電力高浜原発3、4号機(福井県、3号機は当時稼働中)を巡る昨年3月の大津地裁の仮処分など4例。いずれも地裁の判断だった。【東久保逸夫】

 

  四電は「基準地震動の合理性や火山事象への安全性の確保について、裁判所に丁寧に主張・立証を行ってきた。主張が認められなかったことは極めて残念で、到底承服できない。早期に仮処分命令を取り消していただけるよう、速やかに異議申し立ての手続きを行う」とのコメントを発表した。

 

広島高裁の野々上裁判長、今月退官へ

    毎日新聞2017年12月13日

  四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを広島、愛媛両県の住民が求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁(野々上友之裁判長)は13日、申し立てを却下した今年3月の広島地裁の判断を取り消し、四電に運転差し止めを命じる決定を出した。

  野々上裁判長(64)は岡山県出身で、1981年任官。岡山地裁所長などを経て2014年9月に広島高裁に着任した。

  広島地裁判事だった09年、救護などに携わった「3号被爆者」が被爆者手帳交付を求めた集団訴訟を担当。広島市の漫然とした事務を批判し、市による交付申請の却下処分を取り消して原告全面勝訴を言い渡している。

  今回の抗告審で、野々上裁判長は7月の初審尋の際に12月上旬に決定を出すと明示した。9月の第2回審尋では速記者を入れて双方の訴えを聴取。今月20日の定年退官も控え、迅速な訴訟指揮を執った。【東久保逸夫】


今年の漢字

2017年12月12日 | 社会・経済

今年の漢字「北」を揮毫する清水寺の森清範貫主=京都市東山区で
2017年12月12日午後2時すぎ、小松雄介撮影

  日本漢字能力検定協会は12日、この1年の世相を表す漢字が「北」に決まったと発表した。

 

わたしの心情としては『きょ【虚】』を選びたい。
「北」も作られた「虚構」のように感じられる。
「ミサイル問題」にしても脅威を助長させる煽り政策ばかりが気になった。
「拉致問題」に関しても何ら手を打たず、関係者が「死期」を迎えている。
「あなたはどこの国の総理ですか。」被爆者の言葉である。
一連の疑惑事件への対応、国会軽視・・・・・虚・虚・虚である。

また、私に関しては「4 気力や精気が足りない。」状況に陥ったこともあり、今年の漢字は、「虚」に決定。

 

 

きょ【虚】の意味  出典:デジタル大辞泉(小学館)

 [常用漢字] [音]キョ(漢) コ(呉) [訓]むなしい うそ そら から うつけ うつろ うろ

 〈キョ〉

 

1 からっぽで何もない。むなしい。「虚無/盈虚 (えいきょ) ・空虚」

 2 うわべだけで中身がない。「虚栄・虚飾・虚勢・虚名・虚礼」

 3 うそ。いつわり。「虚偽・虚言・虚構・虚実・虚報・虚妄」

 4 気力や精気が足りない。「虚弱・虚脱/腎虚 (じんきょ) 」

 5 備えがないこと。すき。「虚虚実実」

 6 邪心を持たない。「虚心/謙虚」

 7 「虚数」の略。「虚根」

 〈コ〉

 1 むなしい。「虚空・虚無僧」

 2 うそ。「虚仮 (こけ) 」

 [難読]虚貝 (うつせがい) ・虚言 (そらごと) 


ノーベル平和賞授賞式  サーロー節子さん演説

2017年12月11日 | 社会・経済

毎日新聞2017年12月11日

 【オスロ竹下理子】核兵器を初めて法的に禁じる核兵器禁止条約の採択に主導的な役割を果たした国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)へのノーベル平和賞授賞式が10日、オスロ市庁舎で開かれた。広島で被爆し、ICANと共に活動してきたカナダ在住のサーロー節子さん(85)が被爆者として初めて受賞演説し、「人類と核兵器は共存できない。核兵器は必要悪ではなく絶対悪だ。私たち被爆者は72年にわたり、核兵器の禁止を待ち望んできた。これ(条約採択)を核兵器の終わりの始まりにしよう」と英語で訴えた。

 ICANのベアトリス・フィン事務局長(35)と共に登壇し、メダルと賞状を受け取ったサーローさん。演説では「核兵器の時代を終わらせることは可能だという大いなる希望を与えてくれる」と受賞の意義を述べた。また、原爆で姉らを失った体験を語り、「みなさんに広島や長崎で亡くなった人々の存在を感じてほしい。一人一人に名前があり、一人一人が誰かに愛されていた。彼らの死を無駄にしてはいけない」と世界に呼びかけた。

 フィン事務局長も演説し、「核兵器が使われるリスクは冷戦が終わった時よりも大きくなっている」と指摘。「私たちの運動を批判する人たちは、私たちのことを現実に基づかない理想主義者だと言う。しかし私たちが示しているのは、唯一の理にかなった選択だ」と強調し、核保有5大国の米露英仏中に、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた計9カ国を名指しして条約への参加を呼びかけた。

 授賞式には日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳(てるみ)代表委員(85)と藤森俊希事務局次長(73)、松井一実・広島市長、田上富久・長崎市長も出席した。ノルウェー・ノーベル賞委員会のアンデルセン委員長は核兵器なき世界へ向け新たな機運を作ったことに敬意を表した。

 核兵器禁止条約は核保有国の核軍縮の停滞を背景に、今年7月に122カ国が賛成して採択されたが、米国の「核の傘」の下にある日本などは交渉に参加しなかった。この日の授賞式も核保有5大国の駐ノルウェー大使は欠席した。

 

ノーベル平和賞 

サーロー節子さん演説要旨

 

 サーロー節子さんが10日、ノーベル平和賞授賞式のオスロで行った演説の要旨は次の通り。

 

・核兵器は必要悪でない。絶対悪だ。

 ・核兵器禁止条約を核兵器の終わりの始まりにしよう。

 ・条約は光だ。この光を分かち合おう。

 ・光は、かけがえのない世界を存続させるために私たちが傾ける情熱であり、誓いだ。

 ・米国が原爆を私が住んでいた広島に投下した時、まだ13歳だった。

 ・私の愛する都市は1発の爆弾で消滅した。

 ・住民らは燃やされ、炭になった。その中には私の家族と351人の級友が含まれている。

 ・4歳のおいの小さな体は溶けて肉の塊に変わった。

 ・広島と長崎で死を遂げた二十数万の魂を身の回りに感じてほしい。

 ・皆さんに、広島の倒壊した建物の中で耳にした言葉を繰り返す。「諦めるな。頑張れ。光が見えるか。それに向かってはっていくんだ」

 ・核武装した国々の当局者と、いわゆる「核の傘」の下にいる共犯者たちは、私たちの証言を聞け。警告を心に刻め。

 ・世界中の国は条約に参加し、核の脅威を永久になくしてほしい。

 

 【略歴】サーロー節子さん

  1932年広島市生まれ。トロント大大学院修了。13歳のとき広島で被爆し、姉やおいを失う。55年にカナダ人と結婚し、同国に移住して核廃絶運動に尽力。これまで国連総会の委員会など世界中で開かれる国際会議で、被爆証言を重ねてきた。カナダ政府が民間人に贈る最高位勲章オーダー・オブ・カナダを受章した。(共同)


朝の除雪車が行ってからの降雪がひどかった。
昼頃にもう一度来るかなと期待していたが、やっぱり来なかった。
きょう昼頃には雨の予報。
この雪を片づけなければ、雨で重い雪になってしまう。
日中はザクザクの雪も、夕方にはコチンコチン。


タネの注文

2017年12月10日 | 自然・農業・環境問題

野口種苗の種はいつでもあるとは限らない。
すぐに品切れになってしまう。
ある時に注文しておかなければならない。

来年はどうしようか?
体調を見ながらやるしかないので、種を購入してもできるかどうかわからない。
それにメインはミニトマトだ。
ハウスを建てる作業から始めなければならない。
無理はできない。

今年自家採種した種で様子を見た方が賢明か。

YouTubeにこんなのができていましたので紹介します。

バクロスTV#1 テレビでは話せない!ここだけの本当の話!!市民バクロスTV 第1回 今、食があぶない!


虐待された子どもたち

2017年12月09日 | 事件

子どもが親を刺す事件も「親を殺したい」虐待された子どもたちの本音と実態

        週刊女性PRIME  2017年12月7日

 

 かつて虐待してきた母親との関係を10年かけて修復しつつある田中さん

 10月28日、北海道・伊達市で19歳の女性が父親の背中を数回刺した。父親は自ら救急車を呼んだという。彼女は両親、妹2人、弟の6人家族。

  無職の父に代わり、彼女が働いて一家を養っていた。幼いころから父親の暴力がひどく、事件後、「殺せば状況が変わると思った」と述べている。

  同じく北海道・南幌町では3年前、女子高校生が祖母と母を殺す事件が起こっている。彼女は真冬に全裸で外に立たされ、水をかけられたり、生ゴミを食べさせられたりしていた。

  祖母の犬を散歩させるため、門限は夕方5時で、いつも走って帰っていたという。そして、いつしか少女には祖母と母への殺意が芽生えた。同居する姉もまた、「祖母と母がいなくなればいいと思っている」と知り、彼女は決意した。

 ■虐待の定義

  この事件を知った彼女の同級生やその親たちは非公開の家庭裁判所での審理を求める署名1万人分以上を集めて札幌地検に提出している。

「被害者はこの子のほうだ」という同情の声は大きかった。

  決して、このふたりが特別だったわけではない。ネットには「親を殺したい」という子どもたちの書き込みが複数見られる。そして、その裏には虐待という実態が潜んでいることが多い。

  日本で児童虐待防止法が施行されたのは2000年。児童とは18歳未満で、現在の虐待の定義は以下のとおりだ。

1.身体への暴行

2.児童へのわいせつ行為と、わいせつ行為をさせること

3.心身の正常な発達を妨げる減食・長時間の放置

4.保護者以外の同居人による前記の行為と、その行為を保護者が放置すること

5.著しい暴言・拒絶的対応・著しい心理的外傷を与える言動を行うこと

 

「中学生になったころから母親を殺そうとずっと思っていました」

  そう話すのは、会社員の渡辺美佳さん(仮名・27)。…

母親は結婚しないままに美佳さんを出産し、飲食業を営む祖母と3人で暮らしてきた。

 「小さいときから母の束縛がひどかったんです。何もかも母の決めたとおりでないと殴る蹴る。しかも顔や手足など見えるところには痕を残さない。高校を決めるときも母が勝手に自分の卒業した高校を受験する手はずを整えていた。

 でも、私は内緒で行きたい高校を受験しました。そこに受かってからも“おまえはバカ、あんな学校に行って”と嫌みを言われ続けました」

 ■3年前の大ゲンカで発した言葉

  自分の人生が母に支配されていると痛感したそのとき、美佳さんの心にたまった殺意があふれ出た。深夜、台所で包丁を握りしめる。今なら母は熟睡しているから刺せる。

  だが、そこでふっと祖母を思った。母を刺殺したら、祖母は孫に娘を殺されたことになる。祖母を苦しめたくなかった。いっそ自分が死のうかとも思ったが、祖母が悲しむ。彼女はまな板に包丁を思い切り突き刺し、そのままにしておいたという。

 「そのころ、高校で担任が顧問をやっている部活に無理やり入れられたんです。高校と地域の店がコラボして商品を作る部活で、最初は興味を持てませんでした。

 でも、地域の人たちと話し合って商品を開発して、イベントに出店したときはうれしかった。先生は私に会計係を命じてくれました。責任を感じて、それからは部活に夢中になりましたね」(渡辺さん)

  それと同時に、母親の過干渉もそれほど気にならなくなった。…

それでも数年前まではたびたび衝突。殺意を抱くこともあった。極めつきは3年ほど前の大ゲンカ。

 「あんたなんか産まなきゃよかった」と言った母親に、「よく知らない男に股を開いた女に言われたくない」と言い返した。母親は黙り込み、以来、あまり干渉しなくなったという。娘が母親を乗り越えた、と母も実感したのかもしれない。

 「成長する過程で、親から離れて精神的に自立するプロセスとして親の死を願うことはありますが、実際に手をかけることとはまったく違う」

  そう言うのは、大妻女子大学人間関係学部教授で心理学者の福島哲夫さん。程度の差こそあれ、虐待されて育った子どもは親の気持ちばかり忖度し、いい子として頑張ってしまうケースが多いそうだ。

  成長して親を憎むことがあったとしても、それをすぐ自分で否定して罪悪感に悩む。そう仕向けられ育っているのだ。

 ■「クソ」「死ね」と日常的に言う親

   「心理学に『ストックホルム症候群』というものがあります。誘拐事件や監禁事件などの被害者が犯人と長時間過ごすことで、犯人に過度の同情や好意を抱くことをいいますが、虐待された子どもも同じような心理に陥っていることが多いんです」(福島さん)

  福島さんは都内でカウンセリングルームを主宰している。母親が「子どもに問題がある」と連れてくるのだが、母親に席をはずしてもらって子どもだけに話を聞くと、ふだんから「バカ、ブス」と罵倒されているケースが多いという。…

「クソ、死ね、は当たり前のように言っていますね。それが言葉の暴力だと親は思っていないようです」(福島さん)

 

 必然的に、子どもは世の中の大人を信頼できなくなる。カウンセリングをすると、「こんなに自分の気持ちをわかってくれる大人がいたなんて」と驚く子どもたちもいるそうだ。どんな家庭で育っているか、がよくわかる。

 「子どもたちには、選択肢がないと思いつめず、どこかに自分を救ってくれるマシな大人がいるはず、と学校や近所で周りを見渡してみてほしい」(福島さん)

 

 厚生労働省によれば、昨年度に対応した児童虐待件数は、過去最多の12万2578件。前年度より1万9292件増えた。虐待死は前年度比で13人増の84人だった。厚労省で同調査が始まったのは1990年。その年、1101件だったことを考えると現在は120倍となっている。

  実際に虐待件数が増えているのか、虐待を通報する意識が高まったからなのか、はわからない。しかし、虐待の対応にあたる児童相談所の職員数は1000人程度しか増えていない。圧倒的な人手不足だ。

  32年間、児童相談所に勤務し、現在は『子どもの虹情報研修センター』のセンター長を務める川崎二三彦さんは、児童相談所の職員たちの苦労をこう代弁する。

 「“虐待かも”という通報が児相に入れば、必ず対応しなければいけません。手遅れとなって子どもに被害が及べば責任を問われ、批判にさらされます。

  今は『189』に電話をすると、近くの児相につながるシステムが構築され、通報しやすくなっていますが、たった1人の子どもを助けることも簡単なことではありません」

  例えば、「近所のどこかから子どものひどい泣き声がする」という通報があった場合、まずは子どもがどこの誰かを特定しなければいけない。…

それだけでも大変な作業だが、多くの親は虐待行為を否定し、「しつけだ」などと主張するため、虐待か否かを判断するのが難しい。

  さらに、児相職員が虐待の加害者である親から暴力を受けるケースも決して珍しくない。身の危険を防ぐため、警察官の援助を受けざるをえない事例も相当数にのぼるという。

 「私も暴力を受けたことがあります。深刻な虐待で、命の危険さえある子どもを職権で保護したのですが、“おまえらにそんな権利があるのか!”“国家による誘拐だ!”と反発する保護者との面接は9時間に及びました。その途中で暴行を受け、眼鏡も吹っ飛びました」(川崎さん)

 ■虐待は世代連鎖する

  子どもを保護したあとは、子どもの心理的なケアをし、保護者とも話し合いを続け、子どもを親元へ返せるかどうか慎重に検討していく。どうしても親が育てるのが不適切と判断された場合は、里親への委託や児童福祉施設入所などの対応も必要となる。

 「児相の統計によれば、“虐待されている”と子ども本人が通報してくるのは約1パーセント。96パーセントは近所や先生など周りの人からです。言い換えれば、周りが気づいて連絡してくれなければ、虐待はエスカレートします

 

 中学生くらいになると、家出や非行、自殺などの行動を起こすこともあり、事態は複雑かつ深刻になります。

 

 親はよく、“自分はもっとひどい暴力を親にふるわれたけれど、今ではこうしてきちんと仕事をしている”と言ったりしますが、よくないと思っていても実際、自分が叩かれて育つと、暴力を介さずに子どもと接する方法がわからないんです」(川崎さん)

 

 虐待は世代連鎖する可能性も高いのだという。…


午前中は晴れ間も出たのですが、天気は下り坂。
道北方面では低気圧が急速に発達するようです。
こちらまで影響があるのでしょうか?

今日のようすです。

 



 


すべての子ども・若者たちに寄り添う社会であってほしい

2017年12月08日 | 教育・学校

 

教育無償化が閣議決定。
  180人と通行人が耳を傾けた、
  子どもたちの率直な想いとは

 すべての子ども・若者たちに寄り添う社会であってほしい

    ハフポス 村尾政樹  2017年12月08日

 

   12月8日、政府の教育無償化に関する政策パッケージが閣議決定されます。保育園では無償化の前に待機児童の解消を求める声や、私立高校と大学の高等教育では所得や成績の条件など議論が起きています。あなたは教育の無償化について、どのように感じますか?

 

   そのような中、子どもの貧困への理解を求める「第3回あすのば全国集会」が12月3日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・渋谷区)で開かれ、ひとり親や生活保護家庭、児童養護施設で育った子ども・若者が登壇。政府や各党の国会議員、各府省の担当者など参加者180人へ向けて、今まで育ってきた環境で困ったことや現在の対策への心境を打ち明けました。今回は、その全国集会と「入学・新生活応援給付金」への協力を呼びかける街頭募金の様子を一部紹介します。是非あなたも子どもたちの現状や率直な声に想いを馳せてみてください。

 

 

すべての子ども・若者たちに寄り添う社会であってほしい

  定刻10時。全国集会は、中心となって企画した大学1年生の高原さんによる挨拶からスタートです。

  高原さんは、メディアでも「子どもの貧困」が多く取り上げられて社会の関心が高まる一方、一部の現状が報道されることによって、ほかの子どもたちの苦しさが理解されなかったり、子どもたち自身もあきらめようとしていることに対して「こんなことで苦しいと思ってはいけないんじゃないか」と声をあげづらい現状があるからこそ、このような場をつくって現状や率直な想いを共有したいと話します。

続いて、高校生と大学生の3人からは「子どもの声」について発表です。

    高校3年生の武田さんは1年間、進路選択で伴走し続けてくれた人へ感謝の思いを手紙につづり「寄り添ってくれる人がいなければ、大学に合格できた今の私はありません」と語ります。

   大学1年生の花城さんは過去の経験や周りの人への感謝とともに、子どもに寄り添うことについて「政策などの形としての支援を模索するだけではなく、もっとその根本にある、一番大切なことなのでは」と話します。

   大学4年生の吉田さんは学習支援ボランティアの経験から、世帯の年収だけで線引きをすると少し多いだけで支援が受けられなくなってしまうことや、親子関係が良くない場合に自分でお金を工面しなければいけないなど対策の問題点を語り、「貧困であるないにかかわらず、すべての子ども・若者に必要な対策をしてほしい」と訴えます。

 時には涙も流しながら勇気を持って伝えようとしてくれる登壇者の声を、会場の参加者は静かに耳を傾けます。

  次は、子ども・若者世代によるパネルディスカッション『今まで困ってきたこと、必要なもの』が始まります

   登壇者は、すばるくん、にょん、まなか、りょうたくんです。みんなは、少し緊張した様子。コーディネーターの村井さんが会場を和ませながら、話題が展開されていきます。

 今の子どもたちの実生活を、私たちはどれくらい知っているか

 にょん『母子家庭で育ちました。父親と遊びに行く子が多い高校にいたので、インスタのストーリーとか見ると友達の「お父さんとデート」みたいなのがうらやましかったです。』

 村井さん『あすのばで副代表やっています。子どもの貧困の状況はよく語られるけど、そもそも、今の子どもたちの実生活って私たちはどれくらい知っているのでしょうか。どうですか、インスタのストーリーって知っていますか?(笑)

 今の子どもや若者が友達とどんな暮らしをしていて、何にお金を使って、何の優先順位が高くてみたいなことをあまり分からないまま、善し悪しを私たちは語ってしまいがちですよね。』

 にょん『ディスカッションのテーマとしては、私はそもそも自分が何に困っているのかに気づけないんです。無意識に困っていたと思うけど、後々、大事になってから色んな人に助けてもらうことがありました。

 最近、困りごとっていうのに気づけたのは、一番は進学のこともそうですし、あと、いま20歳で次の1月が成人式なんですけど、振り袖の問題が結構大きくて、振り袖ってすごく高くて20~30万くらいするんです。最初に見積もりに行ったところは70万とか出されました。みんなが着ているのに私は着れないんだっていうことを、その額を見たときに感じてしまいました。』

 頑張った結果だけじゃなく、頑張ろうとするプロセスも認めてほしい

 りょうたくん『高校3年生です。学校ではアカンことは「あれはダメ」、「それもダメ」、「アカン」、「だからアカン」って直ぐ説教されます。けど、良いことをしても「頑張ったね」とは言われるけど、なかなか認めてもらえない。ダメなところはよく見つけるのに、なんで良いとこは見つけてもらえないのかなって思います。』

 村井さん『例えば、テストで100点や90点だと「良くできた」となります。でも、70点や60点だと「何でこれできなかったの」、「できなかったとこは後でやっといてね」と言われるだけで、どこまで解けているかをなかなか見てくれませんよね。』

 すばる『児童養護施設で育ち、大学は中退しました。おれは頑張ることも重要なことだと思っていて、でも、頑張るまでたどりつけない人もいます。それは、少しでも頑張ったことを周りに認めてもらえる環境があったかが大きいと思ってる。

 最初は小さな頑張りで、それが積み重なって、大きな頑張りになって結果を出すことにつながります。頑張った結果だけじゃなくて、頑張ろうとしているプロセスにいる子もしっかり認めてあげることで、その子の可能性が広がると考えています。』

 にょん『私は、頑張り方があんまり分からないんです。何というか、がむしゃらにがんばってしまう。それを続けてきたら、今度は休むことが分からなくなっちゃって。休まないと頑張れないのに、その休むことすらできない。結局、自分がどうしたいのかが分からなくなっちゃいました。』

 

村井さん『相対的貧困という「あたりまえ」の暮らしに届くか届かないか。その「あたりまえ」に届かせるために、がむしゃらに頑張って、乗り越えた先に見える世界ってどうなんでしょう。

 そのままがむしゃらにいけるのかなとか、休みのない人生って豊かなのかなって思いますよね。問題を取り除くことは大事なことだけど、その先にどのような私たちの社会であってほしいのかも考えながら対策を進める必要があります。』

 新しいあきらめを生まない、実感を持てる柔軟な制度や対策の推進を

 まなか『生活保護家庭で育ち、現在は一人暮らしをしながら大学に通っています。私は「頑張る機会を奪われてきた」とも思っています。頑張っても報われなかった過去があったときに「どうせ頑張っても無理なんだろう」って思うし、ようやく頑張ろうと思えても、そのときには機会を奪われてしまっています。』

 りょうたくん『来年の4月から奨学金で進学します。給付型奨学金は、所得など基準が厳しくて、僕の学校ではほとんどもらえる人がいませんでした。だからといって裕福な訳ではないんです。「なんやこの制度、結局おれらあんまり利用できへんから意味ないやん」って友達が言ってたことが印象的で。給付型奨学金を広く使えるようになったらいいな。』

 村井さん『制度をつくって、新しいあきらめを生んでしまったら意味がないですよね。色々と議論や制度設計などありますが、徐々にでも子どもたちが実感の持てるものにしていくことができれば。』

 まなか『私も入学時に制度を活用しようとしましたが、対象だったのにケースワーカーに断られてしまいました。主観を押しつけられるのも困るし、役所はきっちりしすぎなところもあると感じています。柔軟な制度や対応が必要だと考えています。』

 他にも登壇者からさまざまな意見が交わされ、あっという間の1時間が経ちました。

 想いを代弁。みんなと同じ日常を送るためにどれだけの神経をつかっているか

   最後の提言では、大学3年生の今井さんが登壇。彼女は、あすのばの給付金を届けた子どもと保護者約1000人のアンケート自由記述欄に向き合い続け、想いを代弁する文を作成してきました。

 『給付金を支給していただき、ありがたい気持ちと対象になるという現実の厳しさにも触れました。何とか子どもの進みたい進路に「いいよ!」と言ってあげられるように気を引き締めて生活し、いざとなれば頭を下げて回る覚悟をしています。

   親のプライドで子どもには最低限、困らないように食べさせ、着せ、学校にも通わせてきたので、子ども自身は深く、真剣に現状はわかってないかもしれません。私自身も口に出してしまうと心までくずれ落ちそうです』

  『給付金をいただいて、新生活にむけての順調な計画を立てて動くことができました。ありがと ございます。ただ新生活が始まってから貯金はいくらかしていたのですが、やはり助けてくれる人がいないことからの精神的、金銭的な不安はたくさんあります。頑張って就労している人は僕を含む新社会人の中にはたくさんいると思うので、もっと制度がしっかりしたら良いなと思います』

   今井さんは、子どもや家庭の声を紹介しながら「子どもたちは日常生活の中で、何らかのサインを出しているはずです。もちろん、なんてことないふりを完璧にできる子もいると思いますが、みんなと同じ日常を送るためにどれだけ神経をつかっていることでしょうか。少しでも寄り添える人が増えることを願っています。」と伝えました。

 広く社会に呼びかけて、これからも理解の輪を広げていきたい

   全国集会終了後、学生たちは新宿駅に向かいました。給付金への協力を呼びかける街頭募金をするためです。この街頭募金には、お金を集めるだけでなく子どもの貧困について理解してくれる人を増やしたい願いもあります。

   2年前、はじめてこの街頭募金を企画した大学2年生の工藤さんは『今まで、募金だけじゃなく差し入れまでくれる人もいました。私たちのことをそこまで知らないのに、わざわざ。今日も街頭に立って、子どもの貧困に関心のある人が増えた気がして、ここ2年でだいぶ変わってきたと思います。』と話します。

 全国集会とともに、今回の街頭募金を企画した高原さんの声を紹介します。

 「集会やSNSだと限られた人にしか情報が届かないけど、街頭だと色んな人に情報や想いを届けることができると思って今回は企画しました。集会に登壇した人だけでなく、街頭に立ったみんなの想いを呼びかけることができました。

   今日、私が街頭で伝えたかったことは、入学・新生活って嬉しいというのか、期待が大きい方が良いと思っていて、それでも、何かが足りないことで子どもたちは不安になってしまうことです。私は母子家庭で不自由なく暮らしているように感じても、働き詰めの母親がいました。母親が辞めたいって話していても、辞めさせてあげられない自分がいて。

 そういった気持ちを理解してくれる人がいてくれるだけでも違うと思います。お金やモノだけでなく、理解者が必要です。募金だけじゃなくて、子どもたちが困っていることや、応援してくれている人のメッセージも集めて、理解の輪が広がることを願っています。』

   彼ら彼女らの声に、私たちはどのように応えていくか。今回の教育無償化の議論も、どのような方向にすすんでも子どもたちを裏切らない、温かい社会からのメッセージとして子どもたちに届く日のことを夢見ています。


最高裁大法廷NHKの受信料制度を合憲と判断

2017年12月07日 | 事件

<NHK受信料>徴収の「お墨付き」 同時に重い責任も

      毎日新聞社  2017年12月7日

 ◇最高裁判決 「受信料義務」追い風

  NHKの受信料制度を合憲と判断した6日の最高裁大法廷判決は公共放送の意義を正面から認め、受信料の仕組みを「合理的」と判断した。NHKは徴収の「お墨付き」を得た形だが、同時に重い責任を負ったと言える。受信料の値下げを見送り、インターネットも活用した「公共メディア」の実現を目指す姿は、民放各局の目には「肥大化」と映る。ワンセグ機能付き携帯電話の取り扱いなど未消化の論点も残り、世界有数の巨大メディアを巡る議論は続く。【伊藤直孝、犬飼直幸】

 

 「表現の自由の下で国民の知る権利を充足させるために採用された仕組みで、憲法上許容される立法裁量の範囲内」。6日午後3時過ぎ、最高裁大法廷。退官を約1カ月後に控え、最後の判決言い渡しとなる寺田逸郎長官はほぼ満席の傍聴席に向かい、受信料制度の意義を述べた。

  判決は、放送法や受信料制度の成り立ちが表現の自由を掲げる憲法理念と合致すると指摘。放送法がNHKを「民主的・多元的な基盤に基づいて自律的に運営される事業体で、公共の福祉のための放送を行わせる」と位置づけていると解釈し、受信料制度は「公共的性格を財源面から特徴づける」とした。一方で、憲法が同様に保障する「契約の自由」を制限するか否かは明確には触れなかった。

  NHKは受信料の意義を「特定の利益や視聴率に左右されず、公平公正・不偏不党の役割を果たせる」と説明しており、これを最高裁も追認した形だ。…

だが、予算や人事で国会の制約を受けるNHKには「政治に弱腰だ」との疑問や批判がつきまとう。あるNHK幹部は自分の経験として「時の政権与党と、視聴者である市民の両方を見ながら危ういバランスを取ってきた」と振り返る。判決は「公共性」について詳しい定義をしておらず、NHKは予算基盤の保障と引き換えに重い宿題が課せられたと言える。

  契約上の争点について、最高裁は大筋でNHK側の訴えを認めたが、契約拒否者に「申込書が到達した時点で契約が成立する」との主張は退けた。このため、未契約者に支払い督促などの法的手続きを直接取ることはできず、契約を拒み続ける人には今まで通り裁判を起こして契約承諾を求める流れとなる。

  とはいえ、最高裁が受信契約を法的義務と認めたことで、契約拒否者が裁判で勝つ見込みはほぼなくなった。さらに消滅時効(5年)は判決確定まで進行しないことになり、テレビ設置から長期間契約を放置すると、多額の支払いリスクを背負う。未契約者に与える心理的影響は大きく、受信料徴収に追い風になることは確実だ。

  15人の裁判官で受信料制度を違憲とした判断はなかったが、追加の立法の必要性を示唆する少数意見はあった。鬼丸かおる裁判官は補足意見で、受信契約の詳細が放送法に規定されていない点を挙げて「契約の自由という大原則の例外であることを考えると、本来は契約内容まで含めて法律で定めることが望ましい」と指摘した。家族や居住形態が多様化する中、受信契約が世帯を単位としている点についても疑問を投げかけた。…

判決では解決されない課題も残る。例えば、携帯電話のワンセグ機能を巡る訴訟だ。NHKはテレビがないワンセグ携帯所持者にも契約を求めてきた。これまで出された1審判決では、3件が受信料支払いの義務を認め、1件が否定している。いずれも高裁で審理中で、今後、最高裁が統一判断を示す可能性が高い。

  ◇ネット拡大、議論必至

  NHKは、不祥事が続いた2004年以降、受信料の不払いが急増し、法的措置を開始した。収入は回復し、16年度は6769億円と3年連続で過去最高を更新。16年度末の繰越剰余金は957億円に上る。79%に達した支払率のさらなる向上に向け、NHKは上田良一会長の諮問機関の答申を踏まえ、電力会社やガス会社などに居住者情報を照会できる制度も検討中だ。最高裁の合憲判断の後押しを受け、財政基盤はさらに安定しそうだ。

  そうした中、NHKは「公共放送」から、ネットも活用した「公共メディア」への転換などに支出がかさむとして、18〜20年度の次期経営計画案とともに検討していた受信料の値下げを見送る方向だ。「値下げ見送り」の新聞報道を受け、国会では11月28日の衆院予算委員会で「剰余金があるならば、視聴者に還元すべきで大変残念」(希望の党の後藤祐一氏)と疑問の声が早速上がった。

  NHKが「公共メディア」の実現を急ぐ背景には、若者を中心にスマートフォンなどでのネット視聴が進む状況への危機感がある。その対応策の柱となるのが、19年度開始を目指す番組のネット常時同時配信だ。…

NHKは今夏、スマホやパソコンで常時同時配信だけを利用する世帯からの「ネット受信料」徴収に意欲を見せたが、民放などから「NHKがさらに肥大化する」と反発を受け、先送りを9月に表明。当面は、すでに受信料を払っている世帯への無料サービスとする考えを示した。ただ、NHK幹部は「いずれはネット視聴だけの世帯が拡大する。テレビ視聴世帯との負担の公平を保つために徴収しないわけにいかない」と明かす。

  判決も、ネット時代を意識し「放送をめぐる環境の変化が生じつつあるとしても(受信料制度は)合理的」と判断した。政府関係者や民放幹部は「NHKが受信料を値下げせずに、放送を超えた拡大を図る中で、ネットで果たす『公共性』とは何か、放送・通信全体を見た根本的な検討が必要だ」と強調する。

 ネットの反応

匿名さん 2017/12/03

 NHKがスクランブル化すれば全て丸く収まる問題。民放を見たいからテレビを置いてもテレビがあるからNHKに金払えという主張の方がおかしい。NHKが見られないテレビを作るとかしてほしいものだ。

 匿名さん 2017/12/03

 飼い慣らされた判事に過度の期待も出来ないけど、勝手に垂れ流す電波で受信料を強制徴収って魂胆は気に食わん。せめて、スクランブルできちんと管理させるべき。

 匿名さん 2017/12/03

 NHKと契約しなくても他の民放が見られる方法をNHKは提案しろ!!契約するだけならまだしも、NHKが勝手に決めた受信料を文句も言わずに払えと言うから反発が起きる。

 匿名さん 2017/12/03

 そもそも受信料支払いは義務じゃないからね。

 匿名さん 2017/12/03

 何台もテレビがあって何人もが見ている家庭と、一人暮らしとが同じ料金ておかしいでしょ。これが公平とはとても言えない!

 匿名さん 2017/12/03

 国民に「選択権」が無い状態は違憲だと思う。テレビ所有=NHK支払い義務では、「嫌ならテレビを買うな!」と言っていることと同じ。五輪中継のタレ流しに使う予算があるのなら、スクランブル放送に切り替えろ!

 匿名さん 2017/12/03

 こんな独占的な悪法がまかり通ってること自体がおかしい NHKがテレビを作ったり1局しかないのならまだわかるが、いい加減時代に合ってない

 匿名さん 2017/12/03

 NHKと契約しなくても他の民放が見られる方法をNHKは提案しろ > 至極同感。見たくないもの見なくていいのは当然。勝手に垂れ流して拒否権認めないのは犯罪。

 匿名さん 2017/12/03

 自分達は禊も改善もせず、現代に合ってない主張をするNHK。NHKの契約や徴収のやり方もゲスくて大嫌い。 見てもいないし見たくもないものを勝手に映して金払えなんておかしい。映らないようにしろ!

 匿名さん 2017/12/03

 うん、まぁ、NHK受信料の支払いが無駄な出費にしか思えないから、今後機会があったらテレビは捨てようかと思う。テレビなくてもネットで十分生活に困らない時代だしね。NHKしね

 匿名さん 2017/12/03

 契約自由の大原則を最高裁判所が否定するなら司法の終わり。

 匿名さん 2017/12/03

  契約に違反されたら契約解除すれば良いだけだろ??電波垂れ流すのやめれば良いだろww違反を知りながら電波垂れ流すのは勝手だが、その状況に契約の有効性を認める根拠はない。

sato  2017/12/03

 視聴しないのに受信料を支払うことは通常、法の上では適法であっても必要としない人に支払要求することは違法性があるし、現代にあった適切な法律に改正することが不可欠である(他国ではあり得ないことでは?)

 匿名さん 2017/12/03

 テレビを設置した日が明記されていない契約書は放送法違反。

 匿名さん 2017/12/03

 そもそも、放送法自体が、間違った法律。憲法や道徳違反と思われる。サービスを享受して料金を支払うことが、自然の摂理。払う矛盾になぜ気づかないのか?単純にNHKを見たい人が払う。それだけで充分でしょう。


誰かとともに生きていく

2017年12月06日 | うつ・ひきこもり

孤立へ向かう子どもたち。本当の自立は、誰かとともに生きていくこと

 誰かとともに生きていくことは、決して身近な家族や友人だけではありません。

   ハフポスト   2017年12月01日

 村尾政樹

1990年、兵庫県神戸市生まれ。北海道大学教育学部卒。社会福祉士。母親を自殺で亡くした経験から、自殺対策や子どもの貧困対策の推進に従事。進まない子どもの貧困対策への危機感から2015年に上京。全国で先駆的な取組みを行う支援者や研究者、学生たちと「公益財団法人あすのば」を設立し事務局長に就任。札幌市子ども・子育て会議委員。NHKスペシャル「見えない“貧困”~未来を奪われる子どもたち~」など出演。新聞掲載、講演登壇多数。

 

  11月、子どもの貧困や奨学金について話し合う行事で、生活保護やひとり親家庭で生活する3人の高校生と出会うことができました。

 「おばあちゃんと一緒に暮らしていて学校のお金など迷惑をかけてしまっているのでは」

 「借金を抱えてでも高校に進学できて、進学の夢を考えることができて、私は幸せです」

「困ってることや『助けて』が言いづらいのは、言っても何も解決されないと思うから」

   彼らは、参加者へ率直な想いの声を伝えてくれました。一人の高校生が、不思議なぐらい現実を受け入れている様子で淡々と話す一方、育ってきた過去を話し出すと言葉に詰まり涙する姿に胸が痛みました。

   前回は、ひとり親家庭で育った内山田のぞみさんのインタビュー「いつもがんばっているあなたへ。困っている気持ちを受け止めて」を寄稿しました。「困っていれば困っている、辛かったら辛いって思っていい」。彼女は学生時代に、ちょっと貧乏でも、すごく貧乏でも、子どもが困っていることを先ずは受け止めて寄り添ってほしいと社会に伝えてくれました。

 みんながひとりぼっちで生きていく社会

   しかし、講演会などで子どもの貧困についてお話させていただくと、必ずと言っていいほど「それは贅沢じゃないのか」というご意見もいただきます。先日も、支援者の人から食料支援につなげようとしたら甘えになるからと地域の人に反対されたお話をうかがいました。

私たちは、今までにない自由な時代を生きることができています。ライフスタイルも多様化し、自分の人生を自分で決められる社会です。

   一方で、私たちは自由である代わりに、自助努力や個人へ向けられる責任は重たくのしかかっています。だからこそ、大きな災害が起こらない限り、公助や共助などを必要とすることは贅沢や甘えとして受け取られがちです。

   厚生労働省の国民基礎調査によると、児童のいる世帯の平均所得は約700万円で、6割を超える世帯が生活に「苦しい」と感じています。そのように、例えば正規の仕事で且つ両親共働きでも何とか暮らしていくことのできる家庭が少なくない社会情勢で、ひとり親家庭で非正規の仕事をいくつもかけもちしながら無理を重ねて身体を壊すまで働き続けている人がいます。

   その道は、自分で選んだのか、そうせざるを得なかったのか。どちらかに関係なく、自分の命と生活は自分で守ることが「自由のルール」として根深く存在しています。

そのような中で子どもたちは、本来、全員にひとしくあるべき経験までも我慢や諦めを強いられ、困っていることや助けてと言えない。自立に向かっているというより、孤立に向かっているようにしか私は感じ取ることができません。

  しかも、それは、きっと経済的に苦しい環境の子どもや子どもだけではありません。みんながひとりぼっちで生きていく社会。私たちは、今までにない「自由」な時代を生きていかなければいけないのかもしれません。

 「助けられてあたりまえの存在」から「自立を強いられる存在」に

  1998年に厚生労働省が発行した児童養護施設などで暮らす子どもを支えるための「児童自立支援ハンドブック」では、支援のあり方について以下のような記述があります。

 「一人ひとりの児童が個性豊かでたくましく、思いやりのある人間として成長し、健全な社会人として自立した社会生活を営んでいけるよう、自主性や生活技術、就労習慣と社会規範を身につけ、総合的な生活力を主体的に営んでいくことであって孤立ではないから、必要な場合に他者や社会に助言、援助を求めることを排除することではない。

むしろ、そうした適切な依存は社会的自立の前提となるものである。そのためにも、発達期における十分な依存体験によって人間への基本的信頼感を育むことが、児童の自立を支援する上で基本的に重要であることを忘れてはいけない。」

 

しかし、実際にはそのような考えまでいたらずに子どもたちへ自立を押しつける現状があります。

 

 私の弟が児童養護施設で育ったことから、社会的養護を経験して家庭復帰できなかった人たちの語りを聴かせていただくことが学生時代にありました。そのときに感じたことは、施設で育った子どもたちは措置を通して「助けられてあたりまえの存在」から「自立を強いられる存在」になってしまうことです。

 これは、施設で暮らす子どもだけではなく経済的に苦しい環境で育つ子どもたちにも同じことが言えるかもしれません。子どもの貧困に関する記事で「頑張らない、頑張れないではなく、頑張るしかないんだ」というコメントがありました。本来は十分な甘えや依存関係を経験しながら成長する子どもが、貧困によって「自立」を強いられる。

 方針で厳しく育てる家庭もありますが、気をつけなければいけないのは、その道しか選択肢や可能性がなくなっているということです。

 本当の自立は、誰かとともに生きていくこと

  今を生きる多くの人は、家族や学校、地域など色んな「しがらみ」から自由になりました。一方で、必要な「つながり」までも失いつつあります。果たして、本当に私たちは自由になれているのでしょうか。

  子どもに限らず、人間は常に依存関係(つながり)を持ちながら日々の生活を送っています。そういった意味で、本当の自由は誰かと一緒になし得るもので、本当の自立は、誰かとともに生きていくことではないのでしょうか。そこには互酬性(お互いさまの関係)も必要ですが、「情けは人のためならず」ということわざがあるように、人への想いは巡り巡って自分に返ってくる互酬性もあります。

  私も母親を亡くしてから独りで生きていかなければいけないと、ずっと思ってきました。大学を卒業する直前、ある人から「まぁくんが助けてと言えないことを、私は知っている」と言われ、孤立しそうな中で弱みを見せて頼ることができました。その弱みを見せて人を頼る経験が、孤立から自立への道を開いてくれた気がしています。

 「綺麗事」ですが、人間は人と人との間で成り立つ存在です。そして、誰かとともに生きていくことは、決して身近な家族や友人だけではありません。改めて「私の知らない誰かも一緒に生きている」という原点に立ち返り、私たちの社会にそびえ立つ「ひとりぼっち」がなくなることを切に願っています。

 


”忖度”裁判を許さない”目”を・・・

2017年12月05日 | 事件

伊藤詩織さんと元TBS記者の裁判始まる 空席を見つめた2分間、彼女は何を思ったか

   性暴力被害を訴えて…

 ハフポスト日本版 渡辺一樹 2017年12月05日

  

  意識を失っている間に性行為をされ、極めて重大な肉体的・精神的苦痛を被ったとして、ジャーナリスト・伊藤詩織さんが元TBS記者の男性ジャーナリストに対し、慰謝料など1100万円を求めている裁判の第1回口頭弁論が12月5日、東京地裁(鈴木尚久裁判長)であった。

原告・詩織さん側と、被告の男性側がそれぞれの主張を述べた。

   訴状によると、原告側は「2015年4月4日午前5時ごろ、原告が意識を失っているのに乗じて、性行為をされた」「原告が意識を取り戻した後も、押さえつけるなどして性行為を続けようとした」と主張。こうした行為が「不法行為」になると訴えている。

 損害の大きさについては「突然事件のことを思い出したり、街中で被告に似た人物を見ただけで吐き気を催してパニックを起こすという症状が現在に至るまで続いている」と主張。「身勝手な行為によって極めて重大な肉体的・精神的苦痛を被った」として、1100万円の損害賠償を求めている。

 被告側は争う姿勢を示している。

 閉廷後、詩織さんが裁判所の前で報道陣の取材に応じた。

 刑事事件の手続きは、いったんは逮捕状が出たが、逮捕直前に「取りやめ」となる異例の展開を見せたあと、不起訴となった。そして検察審査会も「不起訴相当」と判断して終結した。

 詩織さんは、なぜ民事裁判をおこしたのか。裁判に何を期待するのか——。

 「いままで、どういった議論がなされて、不起訴になったのか。検察審査会でも、どういった議論、どういった理由で不起訴相当の結果が出たのか全く分かりませんでした。よりオープンな議論ができる場になるのかなと思っています」

 「個人的にも、まったく何が起こっているのかわからなかったので、それをしっかりフェアな形で話し合っていただくのは、とても重要だと思っています」

 風邪気味だという詩織さんは、少しかすれた声でそう話した。

 民事裁判は、その行為が「犯罪にあたるかどうか」が問われる刑事裁判とは別ものだ。民事で裁判所がどんな判断をするかは、まだわからない。

 「裁判所命令でしかいただけなかった証拠、たとえばホテルのセキュリティカメラの動画といった証拠もいただけると以前、約束していただいたので、それが出てくるのを待っています」

 詩織さんはこう期待を込める。

 きょうの法廷では、原告側には詩織さんら5人が座った一方、被告側は空席だった。

 日本の民事裁判は、お互いが主張と主張をぶつけ合う場だ。だが、実際には、主張は書類の形で提出されて、法廷の場では「陳述します」というだけの素っ気ないやり取りが続く。

 第1回口頭弁論には、訴えられた被告側は出廷しないことも多い。本人や代理人がいなくても、答弁書は陳述されたという扱いにできる。

 詩織さんは、裁判の冒頭、テレビカメラが法廷を撮影する2分間、身じろぎもせずに、被告側の空席をまっすぐ見つめていた。

このとき、何を思っていたのか——。記者たちの「囲み取材」が終わったあと、そう尋ねた。

 「一瞬...ここにいらっしゃったら...。私はどういう...、どう感じていたのだろうと思ったりしましたね」

 詩織さんの頭をよぎっていたのは、そのとき、もし「相手」がそこに座っていたら...という思いだったという。

 街中で似た人を見かけただけで体調が悪くなる、そんな状況下で、相手と直接向き合うのは、精神的な負荷が非常に大きい。事前に「もしかしたら被告側も来るかもしれない」と伝えられ、覚悟はしてきたという。だが、実際には誰も出廷しなかった。詩織さんは「不思議な気持ちだった」という。

「裁判は、お互いに事実を述べ合う場なので、(本人でなくても)どなたかには向き合いたかった...。なので、空の席を見て、少しやりきれないというか、そうですね...。どこに気持ちを向けていいのか分からなくなってしまいました。ただ、意外と、考えていたよりも(席と席の)距離が近かったので、本当にそうだったときのことを考えると......」

 原告席から、被告席までの距離は数メートルだ。

 詩織さんはこう語る。

 「ただ、もしできるのなら目を見て伺いたいと思っていたけれども...」

 「自分の目の前で見たときに、お会いしたときに、自分がどういう反応になるのか想像ができなくて......」

 2017年5月、顔と実名を公表して被害を告白した。

 その声がきっかけとなって、性暴力の被害者支援、刑法の改正、警察・検察のあり方などの多くの議論が巻き起こった。

きょうの法廷にも大勢の傍聴者や記者が集まった。ただ、5月当時の緊迫した記者会見とくらべると、詩織さんは時おり、やわらかな表情も見せていた。空気は変わっただろうか。

 「本当に、一番最初の5月に裁判所に来たときの気持ちとまったく違って...。あのときに司法記者クラブで見た顔は、やっぱりすごく『見られている』感じがしたんです。けど、今回は一緒に見守ってくださっている方も沢山いたので、気持ちは全く違うものでした」

 詩織さんはこんな風に話すと、裁判所を後にした。


 

裁判も”忖度”が横行しています。
無実を訴える死刑囚をサッサと死刑執行してしまった政府側に借りを作った司法が”忖度”・・・・・?。
十分あり得る話です。
厳しい”目”が必要です。

今日は比較的穏やかな天気でした。
これは2日か3日の積雪。
今季一番の降雪となりました。


有効求人倍率の罠

2017年12月04日 | 社会・経済

曽和利光氏 有効求人倍率の上昇は“少子高齢化”対策の失敗

     日刊ゲンダイ 2017年12月4日

 「この春、大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高です」「正社員の有効求人倍率は調査開始以来、初めて1倍を超えました」――。

   安倍首相がアベノミクスの成果を誇るたびに口にする常套句だ。雇用環境が劇的に改善したかのようだが、厚労省によると、9月の正社員有効求人倍率(季節調整値)は1.02倍に過ぎず、1倍超えは全都道府県の半数のみ。最低の沖縄は0.48倍、それに次ぐ高知は0.70倍に沈んでいる(いずれも原数値)。やっぱりデタラメなのか。採用シーンに20年以上携わる「プロ人事」である人材研究所代表の曽和利光氏に実情を聞いた。

 

■雇用環境の実態を見るなら「離職率」

   ――安倍首相は過去最高水準の企業収益を理由に、「正社員になりたい人がいれば、必ずひとつ以上の正社員の仕事がある」と繰り返しますが、実態はどうですか。

 そもそも、雇用環境の実情を見る上で有効求人倍率を持ち出した議論は雑駁な印象です。確かに、数字の上では有効求人倍率は上がっています。ただ、それは好景気の結果というよりは構造的な人手不足によるもので、少子高齢化対策がうまくいっていないためです。

    ――労働人口はこの20年で800万人以上減っています。

  分母が求職者数、分子が求人数だとすると、分母にあたる若者は減る一方なので有効求人倍率は相対的に上がります。雇用政策の成功によって有効求人倍率が上がっているわけではありません。2008年のリーマン・ショック以降の不景気で企業が求人を絞っていたため、こうした社会構造の変化による人手不足が表に出てこなかっただけなのです。景気動向に左右されるのは中途よりも新卒採用なのですが、この大きな流れで見れば新卒の就職率が上がるのも当然です。

――新卒の求人状況はどうですか。

  リクルートワークス研究所の調査結果によると、18年3月卒業組が対象の大卒求人倍率は1.78倍で前年とほぼ同水準です。大卒求人倍率で1.6倍を超えると売り手市場と呼ばれます。しかし、従業員数5000人以上の大企業の求人倍率は0.39倍で、圧倒的な買い手市場です。1番人気の金融業は0.19倍。広告やウェブ、IT系の情報サービス業は0.44倍。一方で、製造業2.04倍、建設業9.41倍、小売りなどを含む流通業11.32倍。業種によって大きな開きがある。

  就職できればどこでもいいということであれば、職に就けるのかもしれません。しかし、求職者と求人側のニーズに明らかなギャップがある中で、それをないまぜにして平均化し、景気が上向いて幸せな就職が増えていると結論付けるのは乱暴でしょう。学生が殺到するいわゆる大企業の場合、競争率はおおむね100倍。100人の求人に対し、1万人が受験している状況です。

 ――狭き門です。

  毎年50万~60万人ほどの学生が就職活動する中、大企業に入社する学生は10万人ほど。およそ8割の学生が中小企業に就職するのですが、大半の学生が難関の大企業を含め、トータルで100社以上も受験します。エントリーシートを書き上げるだけでも、1社あたり2~3時間の労力がかかるんです。

  求人倍率が表しているのは最終的にどこかに就職した結果の数字に過ぎず、そこに至るまでの苦労が加味されていない点でもピンときません。雇用環境の実態を見るために追わなければいけない数字は求人倍率ではなく、離職率の方でしょう

成長戦略の柱の観光サービス業は人手不足で減速

    ――入社3年以内の離職率が中卒7割、高卒5割、大卒3割といわれる「七五三現象」は改善しているのでしょうか。

   足元でいえば、変化はありません。景気が良くなって希望通り、あるいは希望に近い仕事に就けたとなれば定着率は上がるはずですが、頭を抱えている企業は少なくありません。早期離職をテーマにしたイベントを開くと、企業関係者がかなり集まります。特に飲食サービス業の早期離職は5割を超えます。

   ――そうした業種は過重労働が相次いで発覚した影響もあって、ブラック企業のイメージが定着しています。

  事件化したケースもあり、「飲食=ブラック企業」という見方はありますね。世間の厳しい目にさらされ、営業時間や人員配置を見直したり、職場環境を改善した企業は少なくありません。政府は観光立国を成長戦略の柱に位置付けていますが、その軸である観光サービス業は採用にメチャクチャ苦しんでいる。マーケットがどんどん広がる成長産業なので人材ニーズはあるのに、人手不足で出店が追いつかない、出店しても手が回らずにサービスが低下する、客離れが始まる、そうこうしているうちに減速する……。こうした事例がそこかしこで起きています。

 ――もったいないですね。

   こうした企業にとって、2020年の東京五輪までが大きな成長のチャンスです。これからの時代を担う企業に人が集まるのが理想的ですが、人気企業といえば成熟企業ばかり。これは持論ですが、すべての成長企業は不人気企業なのです。採用人気度は事業成長の後からついてくる。成長セクターに優秀な人材が集まれば、経済成長に結びつく可能性があるのに、非常に残念です。

 ■ミスマッチの温床は経団連「採用指針」

 

   ――本気でヤル気があるなら、政府はそのあたりを手当てした方がいいですね。

  このままでは機会損失の放置になりかねません。ただ、就職のミスマッチに拍車を掛ける要素のひとつが、経団連が定める「採用選考に関する指針」です。

   ――16年卒業組から見直され、19年卒業組の就活スケジュールは前年同様、3月に説明会、6月に面接、10月に内定が解禁されます。

大企業はいつ始めようが確実に採用できるからいいですが、解禁時期の後ろ倒しは中小企業にとってものすごい打撃です。大半の学生が競争率100倍なのに大企業を目指すので、スタートを遅らせた分、志望者が少ない中小企業はより短期間で採用活動をしなければなりません。どうしたって、雑な採用にならざるを得ない。

   学生側にしても、社名を聞いたこともない、企業研究もロクにできていない会社を慌てて受験して、駆け込み入社するなんてケースは珍しくない。これでは早期離職は減るどころか、増えかねない。納得のいかない就職は低パフォーマンスにつながり、企業の生産性にも影響します。

   ――就活解禁はいつごろがベストですか。経団連が会員の大企業を対象にしたアンケートでは、「説明会や面接開始時期の規定は削除すべきだ」が最多の42・1%を占め、「指針を廃止し、自由な採用活動を認めるべきだ」は9・0%。過半数が「採用指針」を支持していません。

完全フリーで各企業に任せるべきです。就活論争でよく持ち上がる「学業を阻害しない就活」というお題目は、その通りだと思います。すると、何月がいいのかという議論に陥りがちですが、問題はスタート時期ではなく、企業の選考方法にあるんです。人気企業は学生をふるい落とすために、読みもしないようなエントリーシートを課したり、平日昼間に説明会を実施したりして学生の時間を奪っています。

  選考手法の研究は進んでいて、ネット上で10分程度でできる適性検査は妥当性が高いといわれている。文章で適性を判断するのは難しいんです。説明会も平日夜や土日に開催したり、あるいはネットで動画配信すれば済む話でしょう。現行の仕組みが円滑な就活を阻害して早期離職を招き、雇用環境を悪化させる悪循環に陥っています。 (聞き手=本紙・坂本千晶)

 

 ▽そわ・としみつ 1971年、愛知県豊田市生まれ。京大教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業「人材研究所」を設立し、代表取締役社長に就任。「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)など著書多数。


スタートを切るにあたり、「みんなと同等」「みんなの中で恥ずかしくない」というスタートラインに立つための費用

2017年12月03日 | 社会・経済

ダイアモンド オンライン 2017.12.1

 貧困の子どもたちに「奨学金にはない温もり」を伝える給付金とは

   みわよしこ:フリーランス・ライター+

 

 学生支援機構の対極に
   経済状況が前提の民間奨学金

  2015年6月、「子どもの貧困対策センター・公益財団法人あすのば」が発足した。2013年6月、「子どもの貧困対策法」が国会で全会一致のもとで成立してから、ちょうど2年後だった。「あすのば」が発足直後から、募金・寄付を財源としてスタートさせた入学・新生活応援給付金事業(以下「あすのば給付金」)は、2017年度で3回目となる。今回は、この民間の試みの現状と課題を紹介する。

 

 あすのば給付金の特徴は、徹底して「ニードベース」(受け取る側の事情を重視)であることだ。条件は、家庭の経済力が薄いこと、あるいは児童養護施設や里親のサポートから外れることのみ。家庭が生活保護世帯または住民税非課税世帯であれば、応募資格がある。現在、児童養護施設や里親のもとで暮らしており、来年度からの自立生活を予定している場合も、応募資格がある。この他に、災害被災などによって大きな影響を受けた子どもたちのための特別枠もある。用途には制限はない。もちろん、返済の必要もない。

  この対極にあるのは、学生支援機構が来年度から本格的に開始する給付型奨学金だ。これから大学進学を予定している高校3年生を対象としたものだが、条件は「高い学習成績」または「教科以外の学校活動などで大変優れた成果を収め、おおむね満足できる学習成績」となっている。

 「高い学習成績」の基準は、評定平均4.3以上。学力や将来性が期待される高校生だけが対象となる、典型的な「メリットベース」(投資効果を重視)だ。しかも機会は、大学進学時のみ。大学進学が現実になる時期より前に子どもが経験し得るハードルは、想定されていない。高い潜在能力を持ちながら家庭環境などの影響で成績がパッとせず、同じ理由で部活などでの活躍もできていない高校生も、対象として想定されていないだろう

  あすのば給付金の場合、小学校入学・中学校入学・中学卒業・高校卒業等の4種類が「新生活」として想定されている。「高校卒業等」は、今年度末の高校(またはそれに準じる学校)卒業だけではなく、次年度からの大学・短大・専門学校等への進学予定を含んでいる。高校卒業後に浪人するなど、ストレート進学ではないケースも想定しているのだ。

  ちなみに現在、生活保護世帯からの大学進学を認めるための施策が政府内で検討されているが、生活保護のもとでは、就労可能な18歳以上の子どもが浪人することは認められていない。

2016年度は、2257人の子どもたちが給付の対象となった。2017年度の目標は「2000人」ということだ。給付金額は、3万円(小学校入学)~6万円(高校卒業等・災害被災の場合)。趣旨は「あなたのことを想っている人が『ここにいるよ』というメッセージ」とともに給付金を届けること(「あすのば給付金」応募案内ページ)だ。

 「あすのば」代表理事・小河光治さんは、あすのば給付金の活動が始まった当時のことを思い起こして語る。

 「『あすのば』を設立して初年度の2015年の年末、活動に関わっている学生たちが全国各地で街頭募金を行い、給付金の呼びかけを始めました。当時の学生たちは『あなたのことを想っている人がここにいるよ』という多くの方々の温かい気持ちも添えて給付金を届けたいと、真冬の街頭で声を枯らして募金を呼びかけました。彼らの思いが大きく拡がっていることを、とても嬉しく感じています。入学や新生活をスタートするのに困る子どもがゼロ人になることを目指して、政治や行政にも働きかけていきます」

  一人ひとりに手渡される、「多額」という感じは受けない現金は、どのような意味を持っているのだろうか。

 子どもの「入学」と「新生活」を
      劇的に変える3万円の力

  雑誌『通販生活』で有名なカタログハウスは、あすのば給付金活動を、2015年の発足当初から支援している企業の1つだ。『通販生活』誌上で読者に募金を呼びかけ、企業としての寄付も行っている。2016年度は、約2万6000名の読者から7000万円を超える募金が集まった。

  現在発売されている『通販生活』2017年冬号には、『通販生活×あすのば 18年入学準備金カンパ』という特集記事が掲載されており、子ども時代の記憶が鮮明な若者・子育て中の親・貧困状態を経験した大人・研究者など多様な立場から、貧困の影響が語られている。

  中学生の子どもを持つシングルマザーの1人は、子どもの中学入学に備え、必要な資金を貯金していたが、制服を購入するのが精一杯だった。しかし、「あすのば給付金」の3万円が給付されたため、子どもが参加したい部活の用具やユニフォーム一式を買い揃えることができたという。子どもは、中学入学と同時に部活に参加して熱中し、小学校時代はやや問題があった生活態度は大きく改善されたという。

自らも両親の離婚・貧困状態の幼少期を経験した作家の津村記久子氏は、この中学生のエピソードを「子どもは機会を与えられることにこそ意味があり、その経験によって良い人間になろうとするものではないか」「現在の日本において新入学にかかる費用は、おそらく両親が揃っていて父親が健康で働いているか共働き、という想定のもとに設定されている」という意見と共に紹介している。

  それでは、あすのば給付金はどのような用途に使用されているのだろうか。

 パソコンなしでは授業も受けられない
        
あらゆる「スタート」に費用が必要

 あすのば給付金(あすのば入学・新生活応援給付金)の案内ページ。今回の受付期間は2017年12月20日まで(消印有効)

 「あすのば」は、給付金を受け取った人々などを対象に、アンケート調査や聞き取り調査を行っている。アンケート調査によれば、想像しやすい給付金の用途は以下のようなものだ。

 ・学校生活に必要な服装(制服・体育着・上履き等)

・学校生活に必要な物品(ランドセル・カバン・学用品)

・学習に必要な物品(教科書・副読本)

・部活の用具・ユニフォーム

  用途はさらに、新生活を開始するにあたっての「アパート契約」「家賃」「冷蔵庫・洗濯機、生活用品」、進学に必要な「入学金の一部」「大学学食でのプリペイドカード」「実習服・実習用具」、進学の次のステップのための「検定」「将来の資格試験のための積立金」と多岐にわたる。

  ちょうど、生活保護費からのパソコン購入を「自立更生目的」と認めなかった東京地裁判決(朝日新聞記事)が話題になったばかりだが、あすのば給付金の用途の中には「タブレット」「電子辞書」という回答もある。現在の高校生・大学生の学びの実態を知っていれば、タブレットも電子辞書も、もはや必需品に近くなっていることは疑えないだろう。理工系の大学教員たちからは、「大学1年ではパソコンを持っていることを前提に授業を行いたいが、購入できない学生も多く、苦慮している」という意見が聞かれることも多い。

  また、「入学式の洋服」「就活用のスーツ」という回答もある。現在、「入学する」「就職活動を始める」というスタートを切るにあたり、「みんなと同等」「みんなの中で恥ずかしくない」というスタートラインに立つための費用がどうしても必要になっているという事実を、年長世代は認めざるを得ないのではないだろうか。「いや、私の若いときは……」という意見は、あくまで、その時・その場所・その人の経験だ。「今」「そこ」「この子」には当てはまらない可能性の方が高い。

民間ゆえの限界を超え
    「温かさ」を届けられるか?

  2015年に発足して以来、あすのば給付金の財源は民間の寄付だ。しかし発足当初より、位置付けは「行政などの入学・新生活を支援する制度の拡充を目指したモデル事業」となっている。最終的な目標は、公共が公的な位置づけで行う制度にすることだ

  公的制度にすべき理由は数多い。その一例をあげれば、民間では「必要とする人に確実に情報を届け、申し込めるようにする」という一点だけを実現するのも困難だ。都道府県ごとの給付金の申し込み状況には、貧困の状況や人口が同等の県の間でも、10人以下~100人以上と差がある。経済的支援を必要とする親子に情報が届くかどうかが、その親子に給付金が届くかどうかを大きく左右してしまっているのだ。

  このような「情報格差」を放置しない自治体もある。たとえば沖縄県は、2017年3月、就学援助のCMを制作した。テレビ2種類・ラジオ1種類のCMは、就学援助の内容を社会に周知し、差別的な視線を周囲から軽減することに役立っているだろう。自治体が取り組めば、状況は変わると期待できる。

  最後に、あすのば給付金を受け取った19歳の施設出身者の声を紹介する(アンケート調査より)。

 「施設で暮らしているとき、退寮後に絶対に1人暮らしがしたいという強い希望がありアルバイトで貯金を貯めて進学、1人暮らしを果たしました。大学に通学をしながら1人での生活とアルバイトをしていくのは思った以上にハードでした。少しでも月々の生活費の補助があったならば、こんなにアルバイトをしなくても大学生活に集中できるのに、と思うこともありました。給付型の奨学金が他にも増えてくれることを願っています。あすのばのご支援にはとても感謝をしています。ありがとうございました」

  自治体が動けば、状況が変わり、ニーズが掘り起こされる。そのときに必要になるのは、一民間団体が集める民間の寄付とはケタ違いの、より多くの資金だ。クリスマスを迎える今月、子どもたちと若い人々に資金を贈る喜びを味わいたい温かな心が日本社会にあふれ、税、寄付、その他の方法によって充分な資金が用意される近未来を望みたい。(フリーランスライター みわよしこ)


鯖(さば)缶ってすごい!

2017年12月01日 | 食・レシピ

手軽で安くて美味しくて健康的!

     NAVERまとめ2017年12月01日

 ■鯖缶はなぜこんなに人気なのか?

いつでも安定した価格

 鯖缶といえば100円〜200円で購入できる庶民の味方

いろいろなメーカーから販売されていて、安いものだと1缶100円前後から売られていたりします

魚コーナーでサバを買うよりも断然安い

食べたい時にすぐ食べられる手軽さ

日本水産をはじめ大手の売上高は前年を3~5割上回る

 高い栄養価

 さばに豊富に含まれる魚の脂(オメガ3)のEPAやDHAには「免疫力向上」や「血液サラサラ」「中性脂肪の減少」「アルツハイマー改善」など様々な効果が確認されています

疲労回復に効果があるビタミンB2をはじめとするビタミンB群やナイアシン、ビタミンDといった栄養分がサバ缶の中にはギュッと凝縮されています

さば水煮缶の汁には、ビタミンB群やビタミンCなど水に溶ける成分が入っているので汁ごと使いましょう

 ダイエット効果も

 サバ缶ダイエットの根拠となる成分は、EPA(エイコサペンタエン酸)という物質

さば缶に含まれるEPAが「痩せるホルモン」の分泌を促進してくれる