「しんぶん赤旗」2025年3月24日
国公立大学よりもさらに高い学費を負担させられている私立大学の学生たち。「アルバイト漬けで何のために大学に入ったのかわからない」「高校3年になる妹がいる。シングルの母にこれ以上負担をかけたくない」「自分だけでなく友人の多くも苦しんでいる」と、学費負担の軽減のために声をあげています。(都光子)
日本私立大学教職員組合連合(私大教連)が主催した学費負担軽減と私大助成の増額を求める院内集会と議員要請行動(13日)に、関東や関西の私立大学に通う学生が10人以上参加しました。
龍谷大学(京都市)4年の貴兄(きあに)アニタさんは「アルバイト漬けで大学での授業が受けられなくなっている友人がいる。20代後半の友人は、学費負担に耐えられないかもと結婚や出産をためらっている」と話し、「実は私自身も大学院進学をあきらめた当事者」だと経済的負担の苦しい現状を発言しました。
貴兄さんは政策学部の研究で世界の教育事情などを学ぶために行ったフィンランドで驚いたと言います。「高等教育も無料で、いつでもだれでも学べる環境がある。日本と大違い」。これがきっかけで、日本の高い学費に疑問を感じ始めました。
1月初め、同大学教授の奥野恒久さんら教職員が呼びかけ、学生と共同して「限界を超えている日本の学費」と題した講演会を開催しました。
東京大学教授の本田由紀さんが日本の高等教育における私費負担が67%で、OECD平均(31%)と比べて極めて高く、高等教育への国の支出が少なすぎる構造を明らかにしました。
貴兄さんは「家庭環境の違いで学べないことはおかしいことなんだ」と分かり、苦しい現状を伝えたいと、東京での院内集会と議員要請行動への参加を決めました。
院内集会に参加した京都橘大学学生自治会委員長の西野佑太朗さんは「私学助成を求める署名を集めているときに、保護者に話を直接聞きました。とくに私大は学費が高すぎるという声をたくさん聞いた」と発言。西野さん自身、下宿するより安いからと自宅から2時間かけて大学に通っていて、学ぶ時間が奪われていると言います。
院内集会後、貴兄さんと西野さんは私大教連の教職員とともに国会議員の部屋をまわり、「(高い学費に)入ることさえできない人がいる」など教育の機会が奪われている実態を伝えました。
西野さんは「この1年、東大など国立大学の学費が値上げされている。本当に高等教育の無償化を国会で議論されているのか疑問。負担軽減のために策を講じてほしい」と語りました。貴兄さんは「私たちの声を聞いてくれる議員もいるんだということがわかってよかった。今度は私たちの声をどう生かしていくのか、動向をしっかり見ていきたい」と話していました。
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米ハーバード大 多様性確保へ
授業料免除対象を拡大 年収3000万円まで
「しんぶん赤旗」2025年3月19日
【ニューヨーク=時事】米ハーバード大は17日、世帯年収が20万ドル(約3000万円)以下の家庭の学生について、今秋から授業料を全額免除すると発表しました。対象者を拡大することで中所得層からの入学を増やし、多様性を確保したい考えです。
世帯年収が10万ドル(約1500万円)以下の場合は、食費や住宅費、交通費など学生生活に必要な全費用を同大が負担します。これまでは世帯年収8万5000ドル(約1270万円)以下に限られていました。今回の変更で、全米の約86%の家庭が対象になります。
同大のガーバー学長は「学生たちが遭遇する背景や経験、視点の幅が広がり、知的成長と人格形成を促すことになる」と意義を強調しました。
米国の大学はこれまで、人種的少数派を選考で優遇する「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」を採用し、学生の多様性を保ってきました。ですが、連邦最高裁は2023年、同措置が法の下の平等に反し「違憲」だと判断。ハーバード大などは対策の見直しを迫られていました。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、同様の動きは既に他の大学で広がっており、ペンシルベニア大やマサチューセッツ工科大(MIT)なども20万ドル以下に対象を拡大しています。
「アッ、一桁違う!」いや、それ以上だ。
兵器を買うより人を育てよ・・・・・❕