「しんぶん赤旗」2025年4月30日
睡眠改善や血圧を下げたりするなどの効果があるとされるGABA(ギャバ)がたくさん入ったトマト、食べたことありますか? 遺伝子を改変された「ゲノム編集食品」のひとつです。そうとは知らずに食べたかも? 地方議会で消費者が購入時に判断できるよう表示を求める意見書が徐々に広がっています。県議会で意見書が採択された岩手、静岡を訪ねました。(都光子)
富士山の裾野にある静岡県富士市。「NPO法人ふじのくに学校給食を考える会」代表の小櫛和子さんは2021年にゲノム編集食品のことを知り、驚きました。「遺伝子操作された食品がまた登場してきた」と危機感を感じたといいます。
小櫛さんが学校給食に携わるようになったのは、わが子が通う学校で給食にプラスチック製容器が導入されるというニュースでした。「プラ容器には添加物が含まれていて、子どもたちが毎日使う給食には使わないでほしいと教育委員会に働きかけた」と「考える会」を立ち上げるきっかけを語りました。
富士市は市内すべての小中学校が自校直営方式でした。38年間市民活動を続けてきたことで今も直営方式が続いていることが小櫛さんの自慢です。
問題点を知る
ゲノム編集食品について、小櫛さんは2021年末、隣の富士宮市で有機農家の団体が開いた学習会に参加し、安全性はじめさまざまな問題点があることを知ります。
ゲノム編集トマトを開発した企業が全小中学校の子どもたちにトマトの苗を提供するという動きに、富士宮市とともに「ゲノム編集トマトを受け取らないで」「ゲノム編集食品を給食で使わないで」と教育委員会に働きかけ、両市とも承諾しました。
こうした取り組みのなか、ゲノム編集食品についてもっと知りたいという声があがり、22年9月3日、富士市で東京から講師を招いた学習会を開催しました。
基本的な権利
「偶然、私たちも静岡市内で同じ日に同じテーマで学習会を開いたんです」。そう話すのは環境団体「プラムフィールド」の馬場利子さんです。
馬場さんは30年以上前から子どものための安全な食べ物の共同購入をしてきました。チェルノブイリ原発事故がおきたとき、浜松放射能汚染測定室を設け、安全な食べ物かどうか自ら測定しました。「安全かどうか知って選ぶことは基本中の基本。私たちの権利」と馬場さんは強調します。
同じ日に学習会を開いたことがきっかけで、横につながることに。まずは学校にゲノム編集トマトの苗を持ち込ませないことを県内すべての自治体に働きかけました。
さらに、国にたいし表示をさせるよう求める意見書を地方議会で決議させようと働きかけが始まりました。
「まずは県議会で採択させて弾みにしたい」と議員に働きかけ、23年10月に「ゲノム編集技術応用食品の表示等を含めた消費者への情報提供の在り方について検討を求める意見書」が採択されました。
その後地元の市議会にも多くの仲間が働きかけ、24年3月、富士市、富士宮市、浜松市が、同年6月静岡市、焼津市、同年9月吉田町議会で意見書があがりました。
小櫛さんは「議員さんも含めて多くの人がまだどんな食品なのか、どのような技術なのか知らない。一緒に学びましょう、という呼びかけをもっともっと広くやっていきたい」
馬場さんは「国は食料危機をあおってハイテク技術食べ物をつくろうとしている。同じお金を使うのであれば今ある農業を守ることに使ってほしい。それが環境を守ることにもなる」と強調しました。
※ゲノム編集食品とは 狙った遺伝子だけを破壊して望んだ性質に変える技術を用いた食品。収量の多いイネ、肉厚な魚や牛、アレルギー物質の少ない卵などが研究・開発されています。政府は遺伝子組み替えとは違うものだから表示はしないとしており、消費者団体などから表示を求める声があがっています。
ようやく晴れたが少々寒い。
なにせ道東では10㎝の雪が積もったとのこと。
明朝の最低氣温は氷点下になるらしい。
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