プラスチック、劣化で温室効果ガス放出 米研究
AFPBB News - 2018年8月2日
【AFP=時事】プラスチックの劣化が進むと、メタンやエチレンなどの強力な温室効果ガスが放出されることが分かったとする論文が1日、米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された。プラスチックの劣化はこれまで、温室効果ガスの発生源としては考慮の対象になっていない。
研究では、プラスチック製の飲料水ボトルや買い物袋、食品容器や工業用プラスチックなどのあらゆるプラスチック製品を対象とする実験を実施した。
その結果、「温室効果ガスを最も多く放出する」プラスチックはポリエチレンだったと、論文は指摘している。レジ袋に使われているポリエチレンは、生産量と廃棄量が世界で最も多い合成高分子化合物だという。
プラスチックによって環境中に放出される有害な温室効果ガスの濃度に関しては、研究者らはまだ推算結果を示していない。
論文の主執筆者で、米ハワイ大学マノア校(University of Hawaii at Manoa)海洋地球科学技術学部のデービッド・カール(David Karl)教授は、これを明らかにすることが不可欠だと主張する。80億トン以上に及ぶプラスチックが地球を汚染しており、その大半がリサイクル可能なものではなく、さらにはプラスチックの生産量が今後20年で倍増することが予想されるからだ。
「プラスチックは気候に関連する微量ガスの発生源となる。プラスチックの生産量および環境中の蓄積量の増加に伴い、このガスが増えることが予想される」と、カール教授は説明する。
「この発生源は、地球規模のメタンとエチレンの循環を評価する際にはまだ考慮に入れられていないが、重大な影響をもたらす可能性がある」
プラスチックは有害な化学物質を水中や土壌中に放出することがすでに知られている。
温室効果ガスは史上最高水準まで増加しており、地球の気温と海水面の上昇を引き起こし、世界各地の沿岸地域を脅かしている。 【翻訳編集】AFPBB News
世界のプラごみ、年3億トン発生 環境への流出で損害1兆円超
共同通信社 - 2018年8月4日
世界でプラスチックごみの発生量が増え続けて年間3億トンを超え、環境中に流出して観光や漁業にもたらす悪影響などの損害が年間約130億ドル(約1兆4千億円)に上るとの報告書を、経済協力開発機構(OECD)が4日までにまとめた。プラスチックごみは一部が焼却やリサイクルに回るが、投棄や埋め立てで環境中にたまる量も増えており、2050年には約120億トンに達すると予測している。
OECDは「プラスチックの使用量増加や不適切な廃棄が環境に深刻な影響を及ぼしている」と指摘。使用抑制のため、レジ袋などの使い捨て製品の有料化や課税を各国が導入する必要があるとした。
毎日新聞
世界で輸出される廃プラスチックの半分近くを受け入れてきた中国が、国内の環境対策で昨年末から輸入を大幅に制限した影響が世界各地に広がっている。受け皿としてタイやマレーシアなど東南アジアで廃プラ輸入量が急増しているが、これらの地域では処理量に限界があり、中国同様に輸入制限の動きも広がる。中国の政策転換で、2030年までに世界で1億トン以上の廃プラが行き場を失うとの推計も出ている。
最近、プラスチックごみについての記事をよく目にするようになってきた。
それだけ、ことの深刻さがうかがえる。
日本ではごみの分別が行われ、適切に廃処分されているというが、日本はこれらの主要輸出国なのだ。今やプラスチック製品そのものから、自動車などの製品の重要な部分でプラスチックが使用されているのが現実だ。
生分解性を持ち、リサイクルの効くバイオ・プラスチックを低コストで作れるような研究を強力に進めるべきだろう。木材を原料にしてつくる革新的な新素材「セルロースナノファイバー」の研究開発も進んでいる。軽量、高強度、なおかつバイオ由来で生分解性を持ち、リサイクルも可能な新しい先端材料に、大きな期待がかけられている。