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水野和夫氏-「資本主義が壊れ民主主義も終焉を迎える」

2017年05月29日 | 本と雑誌

       日刊ゲンダイ 2017年5月29日

  近代システムは終わり「閉じた経済圏」の時代へ

  前作「資本主義の終焉と歴史の危機」がベストセラーとなったエコノミストの水野和夫氏が、新著を出版した。「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」(集英社新書)で描かれる世界経済、世界秩序は衝撃的だ。無限に貪欲な資本主義が行き詰まった先に、ゼロ金利とテロリズムの“常態化”があり、これは「新たなシステムを模索すべき」という警鐘でもあるという。経済の観点で捉える資本主義と民主主義の関係性。資本主義終焉の先にあるものとは――。

 ■無限の要求に応えるのはもう限界

  民主主義とは国民に1人1票の参政権のある政治形態ですが、経済的に言い換えれば「誰もが自分の欲求を追求してよい」という体制です。しかし、人々の欲求は「無限」。「無限」の欲求に応える生産力がなければ、民主主義のもとでの社会秩序は維持できません。

  だからこそ、生産力増強に適した資本主義が、民主主義とともに両輪となって近代システムは続いてきました。生産力を向上させ、所得や消費を増やし、経済を成長させ、民主主義体制のもとで保障された国民の「無限」の欲求に応え、秩序を維持する――。しかし、こうした近代システムそのものが限界に達しているのです。

 なぜなら、フロンティアが消滅し、「資本主義の終焉」を迎えた今、利潤の極大化が不可能となったからです。利潤率の近似値である長期金利が、「ゼロ」になっていることからも、それは明らかです。

  この時代の変化を無視した末路が、東芝であり、オリンパスであり、三菱自動車。経営者が「3日で利益をつくれ」などと命令して、資本を無限に増やそうとした結果、コケてしまった。

   そもそも資本主義は、資源国や途上国の犠牲のもとでしか成立しない「欠陥商品」です。富を「中心」に「蒐集」した結果、「周辺」が犠牲になることへの異議申し立てが、アメリカでの9.11同時多発テロや近年の欧州でのテロなのです。その悲鳴を無視して資本主義を延命させたせいで、テロリズムによって先進国の社会秩序は危機に瀕しています。秩序維持をうたう政府は民主国家を放棄し恐怖をあおって治安を維持する「安全国家」(セキュリティー国家)に変貌し始めました。これぞ、まさに近代システムの終焉です。

■国民国家を超えた単位を構想

 ――英国のEU離脱やトランプ大統領の誕生は、暴走する資本に対して「強い主権国家」を国民が求めた動きだともいえる。だが、水野氏はフロンティアが消滅したポスト近代には「閉じた帝国」がふさわしいと考える。

  トランプ大統領の誕生は国民が「閉じる」選択をしたともいえます。しかし、もはや一国単位では、リーマン・ショックに象徴されるようにグローバル資本の暴走にもテロリズムにも対抗できません。だとしたら、現状の国民国家を超えた単位のシステムを構想していかなければなりません。それが本書で示した「地域帝国」というビジョンです。近代が終わろうとする今、EUのような規模をもった地域帝国が「閉じた経済圏」を構築することが生存のためには必要なのです。

 ――では「閉じた帝国」しか生き残れないとすると、日本はどうしたらいいのか。

 日本は米国ではなくEUと手を結ぶべき

  フロンティアが消滅すれば、経済を「無限」に膨張させていくことは不可能です。それでも利潤を得ようとする資本は、「より速く」、すなわち高速回転で経済活動を行うようになりました。

  しかし、ビッグデータに必要なサーバーが大量の電気を消費するように、経済の高速回転には大量の化石燃料が必要です。

  見落とされているのは化石燃料の採掘にもエネルギーが必要だということ。シェールオイルのような採掘の効率の悪いエネルギーが注目されていること自体、枯渇の一歩手前にいることを示しています。エネルギー不足で「移動」が困難な時代がやってくれば、経済圏が「閉じてゆく」のは必然。エネルギーや食糧を自給しながら、大きく成長しなくても社会を維持できる「閉じた経済圏」を日本は構築しなければなりません。

 ――ところが、日本の近隣のアジア諸国、とりわけ中国は、いまだ貪欲に経済成長を目指している。まさに近代化の途上だ。やはり日本は米国と手を組んで「閉じた経済圏」をつくっていくべきなのか。

 米国は覇権国として、世界中に影響力を発揮してきましたが、その影響下から脱するべく、欧州はEUという「地域帝国」を構築しました。この先、EUは「閉じた経済圏」を完成させ、ロシアや中国のつくるユーラシアの経済圏、トルコが主導する中東の経済圏とゆるやかに連携するでしょう。となれば、英米の「海の国」は今までのような影響力を行使できず、「陸の帝国」の時代に移っていきます。

  だとすれば、日本が手を結ぶべきは「陸の国」EU。幸いEUの盟主・ドイツはゼロ金利国で、経済の成熟段階も、価値観も日本に近い。

■大陸に近い「九州」を将来の首都に

  でも、これは遠くのEUと貿易をせよ、という意味ではありません。「日本も陸の国と同じ方向を目指しています」というメッセージを発せよということです。中国も「陸の国」ですから今後、欧州との関係を強化していくはず。ユーラシア大陸がひとつにまとまってから日本が「陸の国になりたい」と言っても手遅れです。

 将来、日本は首都を九州に移してはどうか。明治維新のときは、「海の時代」だったから、首都は太平洋を向いている東京でよかった。今度は大陸に近い九州に首都を置く。「陸の国になるために遷都しました」と言うと、米国が怒るだろうから、本当のことは言わず「地震のない地域に遷都した」などと説明すればいい。

  日本の政治は、いまだに米国追随のままですが、米国のほうから「もう日本は必要ない」と手を引くシナリオもありえます。

――成長神話に毒された政府の「大学改革」にも疑問を投げかける。

  経済を成長させるためには「人文系の学問はいらない」「大学で手に職をつけさせろ」という議論があります。経営コンサルタントが「G型大学」「L型大学」という区分を文科省の有識者会議で提言したこともありました。しかし、500年ぶりに歴史が大きく動く今、そのような教育は、日本の未来を損なうと思っています。

 ――「G型大学」「L型大学」とは、それぞれグローバル型、ローカル型の大学という意味。トップ大学・学部に限定したG型では、グローバルに通用する高度なプロフェッショナル人材を養成する。その他の大多数の大学・学部のL型は地域経済の生産性向上に資するスキル保持者を育てると言いつつ、実質的に大学を「職業訓練校」にするものだ。

  若者に大学で手に職をつけさせたいという人は、未来がどうなるか確実にわかっていると慢心しているのでしょう。

 歴史の転換期を迎えた現在は、たとえて言えば、この先を進むレールが消えてしまったような時代です。育てなくてはならない人材は、壊れた既存のレールを修復する人たちではなく、どんな新しいレールを引き直すべきなのか、どちらの方向に進むべきなのかを根本から考えられる人たちです。そのためには、既存の仕事を習得させるだけの「手に職」型の大学教育には限界があります。

  今、求められているのは、幅広く、あらゆる学問を一通り学び、総合的に物事を考えるための教養です。アダム・スミスは、倫理学、道徳学、経済学、法学の4つを学んだからこそ、経済学の基礎を形づくることができました。

 ■発想の転換が必要

  「経済成長」至上主義から抜け出せない人たちは、私の主張を「後ろ向き」だと言いますが、歴史の歯車が逆回転した今、これまでの基準で「後ろ向き」の人が「前向き」になるのです。経済も成長を追求することで、後退する「逆説」の時代に突入しています。今まで見たことのない時代がやってくるわけですから、今あるものが「無限」に続くという発想から、転換しなくてはならないのです。

 

みずの・かずお 1953年生まれ。元三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト。博士(経済学)。現在は法政大学教授。「資本主義の終焉と歴史の危機」(集英社新書)など著書多数。


      

 それぞれの課題については共感できるところもあるのですが、肝心なところがぼけている。

 今日、ようやくカッコーがすぐ近くで鳴きました。さぁ、植えつけ時期の到来です。
1日からまたしばらく☂のようで、こりゃ忙しくなりそう。
キューリがよろしいようで…まぁだだよ!
これも古来品種「夏すずみ」「黒サンゴ」なんて問題になりません。