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里の家ファーム

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健康維持に一役、食品成分表

2016年01月28日 | 日記・エッセイ・コラム
 
農産物の機能性表示食品で注目された温州ミカンの「(M)三ケ日みかん」(商品名、「青島」は品種名)=岐阜県内で
 
 
アミノ酸成分表編を含め4冊で構成される日本食品標準成分表

 子どもたちの学校給食の栄養指導などで基礎的なデータとして活用されている「日本食品標準成分表」2015年版が文部科学省から公表された。日本人の食生活の変化に合わせ、15年ぶりに収載食品を大幅に増やした。「干しヒジキに含まれる鉄分が製法の変化で減少」など家庭でも活用できる内容が充実。インターネットでも公開されており、ぜひ読んでみたい。

 ●ベーグル、空揚げも

 日本食品標準成分表は日常的に利用されている食品の栄養素の組成を知る絶好のテキストで、これまで10年版が最新だった。15年版の作成にもかかわった渡辺智子・千葉県立保健医療大教授(栄養学)によると、大きな特色は、最近の食生活の変化に伴って食べる機会が増えたベーグルやキウイフルーツ、調理後の豚カツ、空揚げなど新たな食品が大幅に増えたことだ。

 日本の伝統的食品を代表する刺し身(マアジ、サンマ、ヒラメなど)や天ぷら(サツマイモ、キスなど)も新たに載り、小麦アレルギーへの注目から、米粉パンや米粉麺も載った。健康志向で注目される植物のアマニやエゴマの栄養組成も新たに加わった。

 ●調理で栄養変化

 読み物としてもおもしろい。渡辺さんは特に3章の資料編を読むことを勧める。たとえば、調理によって栄養成分がどう変化するかが分かり、腎臓に障害のある人は、摂取制限が必要となるカリウムの残存率を知ることで健康維持に役立つ。

 食に関する知識も豊富になる。水道水に含まれるミネラル量は地域ごとの記載があり、このうち「カルシウム量」は九州・沖縄が北海道や東北より約6割多い。また、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は10年版に比べて8〜9割も減った。

 雑誌「医と食」副編集長で管理栄養士の平川あずささんによると、資料編にはスーパーで新しく見かける野菜や果物がどんな品種の交配で誕生したかの記述もあり、「食の基本知識を得る上でも有用だ」と話す。

 ●ミカンに「機能性」

 平川さんは温州ミカンに注目した。静岡県内のJAが「骨の健康に役立つ」として昨年秋、「体にどのようによいか」を表示できる「機能性表示食品」として消費者庁に受理されたからだ。機能性成分のβ−クリプトキサンチン(色素の一種)の含有量は100グラムあたり1700〜2000マイクログラム(マイクロは100万分の1の単位)だが、他の品種のミカン(セミノール、せとか、はるみなど)にも約700〜1400マイクログラム含まれ、1個あたりで比べると温州ミカンに相当するミカンもあることが分かる。

 15年版はネットでエクセル版で無料公開されており、平川さんは「食品中の栄養素を多い順に並べ替えて、グラフにすることもできる」と話す。また渡辺さんは「エクセルの英語版も公開されているため、今後、国際的にも活用される機会が増える」とみる。

 カット野菜の栄養組成、有機食品と通常食品の栄養の差異などは収載されていないため、今後の課題となる。【小島正美】


釜の違いでヒジキの鉄分に差

 興味深いのは鉄分の優等生と言われた干しヒジキに含まれる鉄分が製造時の釜の差で異なることが分かったこと。文部科学省政策課資源室によると、干しヒジキは釜で煮沸したあと乾燥される。鉄釜を使うと100グラムあたりの鉄分は約58ミリグラムなのに対し、ステンレス製釜は約6ミリグラムと10倍近い差があった。最近の釜はほぼステンレス製のため、ヒジキの鉄分は従来の約10分の1となる。

 これに対し、事業者で組織した「日本ひじき協議会」は日本産ヒジキの鉄分については、文科省の測定値を否定していないが、「韓国産や中国産ヒジキはステンレス製釜なのに100グラムあたり約48ミリグラムの鉄分がある。国内で流通するヒジキの約8割は海外産なので、ヒジキの鉄分は高いとみてよい」と反論し、海域や環境で鉄分がどう変化するかをさらに調べる方針だ。


日本食品標準成分表

 各種食品の栄養素を詳しく載せた唯一の公的データ。1950年に初版が出て以来、改訂を重ね、今回は5年ぶり7回目の改訂。収載食品は2010年版の1878品目から2191品目に増えた。15年版(589ページ)は1章の説明、2章の成分表、3章の資料編から成る。他にアミノ酸、炭水化物、脂肪酸に関する独立した成分表編があり、全4冊で構成する。