ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

吹き寄せの味~第470回田辺寄席

2008-08-17 00:54:49 | 田辺寄席
遅くなりました。

17日の日曜は、田辺寄席・昼席ヘ。

開口0番・・・・桂文太・・・・・・「せ」・・「船場」

船場、上方落語に出てくる大店(オオダナ)の集まる町であるが、
名前の由来は、「着船場」からの「船場」。大阪湾が迫っており、「千波」
馬を洗う「洗馬」とか、諸説色々あり。

その当時、北浜あたりまで船が行き来しており、
大阪では、八十八島と言って、たくさんの島、野洲があったらしい。
中ノ島、堂島、福島、都島、四貫島、松島、姫島、出来島、桜島など・・・。
今も島のつく地名は多い。

船場は、北は土佐堀川、南は長堀川、東西は東横堀川、西横堀川に
囲まれた、南北2km、東西1kmの小さな区域。
明治以降は、高麗橋通りには、高級呉服商、伏見町には唐物(貿易)
道修町には薬種商、本町には繊維呉服商が多く集まり、
それでも、日本経済の80%を動かす、天下の台所。商人の町でした。

今は、東京一極集中で、神奈川、愛知、福岡に並ばれるぐらい凋落した大阪。

せめて、落語ぐらいは、発祥の地として、
上方の伝統と誇りは持ち続けたいですなぁ。


一、桂ちょうば・・・・・・・・・・・・「平林」

寿限無が、小学校の教科書に載っていて、
生徒全員が、諳んじていると。
福読本に、「延陽伯」があったりして。

しかし、頼り無なさそうな定吉。
「タイラバヤシ・か・ヒラリン・か。イチハチジュウのモークモク・
ヒトツとヤッツで、トゥ・キ・キ」これだけ、覚えれるなら、
最初に「ひらばやし」さんを忘れるかと、思うのは私だけか。

でも、忘れるから、この「平林(タイラバヤシ)」が生まれたと。

きっちりした話しぷっりに、しっかりとした笑いが生じる。
この単純なる、話しで次々ヘと進むのは、ちょうばさんの実力。

春団冶師匠以外の中堅実力噺家が演じる「平林」を聴いてみたい。
単純な話しほど、上手、下手が、くっきりと出そうですな。


二、桂吉坊・・・・・・・・・・・・・・・・「稲荷車」

いつものかわいい顔で登場。
今、繁昌亭の昼席に出ていて、終演後のお見送りの際、
よくお声をかけていただきます。特に今週は、
「お兄ちゃん、夏休みで、出ているの」
「上手やったなぁ。卒業したら、プロになんの」
なんと答えて良いのか・・・と。

話しは、産湯稲荷さんへ・・・
先ほどの船場の話しでは無いが、少し離れると、
さぞ、寂しい処だったのだろう。
しんしんと冷えた、夜空が目に浮かぶ。

よろしいのは、祝いの宴を開いておる所へ
お金を忘れた旦那が、角の米屋で聞いて尋ねて行くところ、

遠くから、連中の酒宴の賑わいが聞こえてくる・・。
その場になって、音が大きく。路地に出て、小さく。
鳴物を使っての遠近感は、上方落語ならでは。

計算された音響効果はまさに、総合舞台芸術ですな。

22年後の50才になった吉坊師匠が、
どんな年のとり方をしているのか、今から楽しみでおます。


三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・「大江山酒呑童子・大蛇太夫」より

なんとも笑いの少ない芝居噺。
これができるのは、文太さんだけ。
やろうと言うのも、文太さんだけ。

ダイコン20本漬けるのを、芝居好きのうどん屋に手伝わす。

歌舞伎など、知らない知識、知らない世界を多少垣間見れるのは
文太師匠の落語の良いところ。
文太師匠主催の田辺寄席は、上方落語の大事典ですな。


四、月亭遊方・・・・・・・・・・・・・・「酔いどれ交番所」

正統派の中へ、遊方さんのはちゃめちゃが殴り込み。
大師匠の可朝さんの分まで・・・熱演。

天王寺あたりの、酔いどれのはなし。
交番に、繰り返し来てはの、珍事件。

耳を引っ張って、交番に連れてくるが、
最後は、髪の毛をひっぱり、遊方さん大暴れ。
その後、はなしに戻っても、息は、ハァ、ハァ・・・と。

体力落語、いつまでやれるのか、オリンピックでは無いが
体力の限界に挑戦ですな。


五、桂米二・・・・・・・・・・・・・・・・「千両みかん」

品のある、船場のご大家という雰囲気、たっぷり。

若旦那が、みかんを食べるシーン。
あんなに、リアルに食べる噺家さん見たことが無い。

そうですな、「千両みかん」と言うだけに、
この噺の、主役は「みかん」。
色艶、袋のふくらみ、みずみずしさ、もっとスポットを・・・。

大阪に、居ながらにして、京の匂いを満喫。
上品そのもの、京の落語家、米二さんでした。



第470回・田辺寄席
2008年8月17日(日)午後1:10~
阿倍野青少年センター


一、桂ちょうば・・・・・・・・・・・・「平林」
二、桂吉坊・・・・・・・・・・・・・・・・「稲荷車」
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・「大江山酒呑童子・大蛇太夫」より
四、月亭遊方・・・・・・・・・・・・・・「酔いどれ交番所」
五、桂米二・・・・・・・・・・・・・・・・「千両みかん」

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