【わんちゃんの独り言】

毎日の生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたこと、思いついたこと等々書き留めています
(コメント大歓迎デス・・・・・)

戦争を詠む 朝日新聞朝刊朝日歌壇より(毎週日曜日掲載)

2024-07-28 | 日記
2024年7月掲載分より
朝日歌壇の入選歌(選者は永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、)より、戦争を詠んだ歌を、わんちゃんが独断で選り抜きを。
☆⇒共選作

馬場あき子選
☆ウクライナの平和を願ふメッセージカード受けたり無言館出口(鹿嶋市)大熊佳世子
古い古い日本の織機がガザで織ったラストカフィーヤ我が胸に抱く(東京都)岩下 章
【評】ラストカフィーヤは中東のヘッドスカーフ。太陽や砂から頭や顔を守る布。ガザにあった日本の古い織機で織りあげたところが凄い。
戦争を知らない世代という我ら核兵器なき世界も知らず(さいたま市)鈴木 俊恵
【評】戦争を知らない世代からの言い分。下句に衝撃。
出征の父に向ひて挙手の礼二歳の吾は涎掛けして(蒲郡市)古田 明夫
米軍の上陸翌日叔父戦死読谷村の喜名という地で(船橋市)佐々木美彌子
慰霊の日九十二歳が礎(いしじ)にて強く発する「戦争はやだ」(長野市)祢津 信子
二週間生き延びられたら偉業だとロシアの突撃兵は言いたり(観音寺市)篠原 俊則
【評】現実を体験した言葉として真摯(しんし)に受け止めたい。戦争はこういうものだ。
沖縄忌は義勇兵役法公布の日少年兵の動員決めた日(石川県)瀧上 裕幸
沖縄戦慰霊の詩をばそらんずる仲間さんに向き思わず礼する(飯田市)草田 礼子

高野公彦選
☆ウクライナの平和を願ふメッセージカード受けたり無言館出口(鹿嶋市)大熊佳世子
【評】戦没画学生の絵を展示する無言館(長野県上田市)の、平和への願いの強さに感じ入る作者。
さんぽ中「九条守れ」のデモありて犬といっしょに列に加わる(川西市)市森 晴絵
九条を守り守られ八十年戦争知らずに生きてきた日々(高崎市)野口 啓子
被曝牛を飼い続ける人の五千日、野太き声が今日も地を這う(福島市)美原 凍子
☆辺野古にも南西シフトにもふれず首相は追悼すませ帰京す(宇都宮市)手塚 清
【評】沖縄慰霊の日(6月23日)の首相の行動

永田和宏選
礎(いしじ)には百八十と一名を新たに刻みし今日慰霊の日(神奈川県)高橋 静一
二階級特進しても“上等兵”伯父の墓標を蟻這いのぼる(神戸市)松本 淳一
【評】命と引き換えの二階級特進。二等兵としての伯父の死を思う。
☆辺野古にも南西シフトにもふれず首相は追悼すませ帰京す(宇都宮市)手塚 清
島よ帰れ島を還せと鐘鳴らす海霧ふかき納沙布岬(仙台市)沼沢 修

京都短歌:朝日新聞朝刊 永田 淳選
三歳時舞鶴攻める米軍機山の彼方に見た記憶あり(綾部)斎藤 靖行
【評】幼児の微かな記憶。後から考えたら、あれは舞鶴を攻撃していたのだと気付く。戦争をリアルに知る最後の世代。
忽然と脳裏かすめし軍服の匂い手触り父の日の夕 (山科)馬場 俊明
【評】父の記憶と分かちがたく結びついている戦争の影。父と聞くと反射的に思い出してしまうのだろう。