about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『犬顔家の一族の陰謀』(1)-2

2008-12-17 00:41:35 | 犬顔家の一族の陰謀
さて肝心のお芝居についてですが・・・「あとに何も残らないお芝居を目指した」と脚本・演出のいのうえひでのりさんが語ってましたが、確かに(笑)。
何かを学んだり感動したり、という作品では到底ないですね。

いや、ある意味感動的ではありました。大の大人、それも演劇界に相当の名をなしているような人たちが、結構な金と手間をかけてやることがこれか、と(←誉めてます)。
パロディにつぐパロディ(というより全編そればっか)、しょーもないコスプレ・下ネタ・歌詞のオンパレード。そもそもストーリーそのものがすでにしょーもない。いや本当にもう、バカじゃないの?(←絶賛してます)。
正直大好きですこの作品。ぜひもう一度、いや何度でも見たいものですが、全編パロディ三昧だけに権利関係でひっかかりがあるらしく、WOWOWやスカパーでの放映はおろかDVD化さえされていません・・・。残念無念。

ついでに書くと、パンフレットとそのおまけまでしょーもないです。
大学ノートを模したパンフレットは子供の落書きのようなイラストこそあれですが、稽古場の写真やキャストのインタビューなど、ごくパンフレットらしい有意義な情報も満載。

(個人的に一番大きかった「情報」は、2004年の舞台『シブヤから遠く離れて』に始まって三回勝地くんと共演している小泉今日子さんが寄せてらしたメッセージ中の一文。
「舞台の楽屋で「キョンキョン、やっぱりカワイイねぇ!」と言ってくれたチョイ悪オヤジ風のお父さまはお元気ですか?」。
勝地くんが『はなまるカフェ』他でお父さんについて語っているのを聞くかぎりにおいては昔ながらの無口で頑固な親父様な印象だったんですが、チョイ悪オヤジ風?うーむ) 

・・・なのですが、漏れなくついてくるのが角川文庫の『犬神家の一族』を模した文庫本と勝地くん、もとい野見山玉男のマルベル堂風白黒ブロマイド一枚(6種類あるうちのどれかが入ってくる)。
この写真が、いかにも「青春スター」風の表情とポージングで写っていて(笑)。よくあれだけうさんくさい笑顔を浮かべられるものだ(←感心してます)。

そして文庫本の中身はというと、舞台のノベライズではなく、座付き作家の中島かずきさんをはじめとする諸氏による、探偵・金田真一の事件簿というべき短編集なんですが、その方向性は「メイド荘の惨劇」「恋の呪文はスケキヨヨキケス」といったタイトルから推して知るべし(微苦笑)。
そして巻末の「新感線文庫発刊に際して」なる挨拶文や「文庫目録」まで徹底してパロりまくり。最後の最後まで手を抜かないきめ細かな仕事にはため息がでます(感心半分呆れ半分)。

この「~発刊に際して」文中の、「 「こんなのがあったらおもしろいのでは?」という思いつきを、実現可能性や予算などの冷静な検討を飛び越え、「それおもしろい!」という愉快反射のみで決定してしまう」という一文に、このパンフ一式の、そして舞台そのもののの精神がそのまま凝縮されているように思えてなりません。
いつまでも新感線の皆さまには「愛すべき阿呆」で居続けてほしいです。


p.s. 今回ブログを書くにあたり、かの新感線のジンクスについて検索してみたところ、どうも「新感線で主役をやると太る」が正解の模様。
そうか、主役でなければ大丈夫なのか。染五郎さんは主役だったし、新感線の看板役者・古田新太さんも言わずもがな。

ちなみに今回の主演・宮藤官九郎さんの場合、あの針金のように細い体はジンクスなど全く寄せ付けなかったようです。
『未来講師めぐる』の頃に「子供の頃は太ってた」という話をどこかで見聞きした記憶がありますが、今となっては信じがたいよなあ。

 

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