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俳優・勝地涼くんのこと。

『犬顔家の一族の陰謀』(2)-2(注・ネタバレしてます、か?)

2008-12-25 01:30:24 | 犬顔家の一族の陰謀
・露天風呂でエマニエルと混浴する玉男。
『月光音楽団♪』でジムで鍛えられた太い二の腕を見て以来、「胸筋や腹筋はどんな感じよ?」とここの場面に興味津々でした。結果は「少年の顔に大人の体」の台詞通りな感じでしたね。逞しくなりんさって。
私は大阪と東京とそれぞれ一回ずつ観劇したのですが、どちらの回だったか、腰に巻いたタオルがほどけそうになって(こちらが)思わず焦ったのですが、勝地くんは「てへっ♪」て感じの笑顔でしっかり結び直してました。まあ下に肌色の下着つけてたようなので、どのみち大惨事にはなりえないんですけどね。

・露天風呂周辺の岩やら壁やらに変装してた面々が次々と登場(笑)。
この頃映画が公開された『トランスフォーマー』のパロらしいですが、みんなの格好も大バカなら、こんなセット(コスチューム?)をわざわざいくつも拵えるあたりはもっとバカ(誉めてます)。
(1)でも書きましたが、日本有数の人気劇団でありながら、いい年をしてお金と手間をかけて全力でおバカ芝居に取り組む彼らの姿勢には頭が下がります。とくに体重計に化けていた敗地探偵(逆木圭一郎さん)がエマニエルの下着の重さを量るシーン(のバカバカしさ)ときたら・・・。いやもう最高です。

・服一式を持っていかれて風呂から上がれないエマニエルと、服を渡すことを条件に彼女を口説く助焦(右近健一さん)のデュエット。これはミュージカル『エリザベート』の有名な歌のパロディなんだそう。
ミュージカルに詳しくないので全然知らなかったんですが、「お湯にのぼせ~る」なんて歌詞を真面目に歌っているのと、桶で局部を隠す振り付けだけで十分に笑えます。
本当に作者と演出家(要はいのうえさん)の頭の中身を覘いてみたいです。どこからこんな発想が出てくるんだ。

・助比代が本物かを鑑定するため犬滝神官(橋本じゅんさん、二役)を訪ねる助垂(河野まさとさん)たち。
質問に答えているはずなのに「○○です、か?」と語尾が疑問系になってしまうボケ気味の神官さんの喋りがいい味すぎて癖になります。助比代の足型(の入った箱)に妙に固執するシーンのテンションもインパクト大。
古田さんもそうですが、アドリブなのか脚本通りなのか判然としない、思いつきをそのまま口にしてるかのような(演技とは思えない)喋り方につい引き込まれてしまいます。

・太郎子の(でしたっけ?)亡き夫による大量猟奇殺人の状況が語られる。
逃げ惑う人々のシルエット映像、公演の途中からなぜかサザエさん一家のシルエットに変更されました。しかもお魚くわえたドラネコまでいる丁寧さ。
サザエさんの独創的な髪型はシルエットでも誰なのかすぐわかるから便利。

・小屋でちわ子(中谷さとみさん)を襲おうとする助垂。
緊迫感あるシーンのはずですが、パンツ一丁で四つんばいになり「ムーニーマ~ン」と歌いながら近付いてくる助垂・・・別の意味ですっごい怖い!
こんなお芝居をやってのける河野さんの役者魂にはつくづく感服。でも勝地くんには絶対やってほしくない役柄だ(というかロベールも助比代も助焦も敗地も全部イヤだ)。

・絶妙のタイミングでちわ子を助けに飛び込んでくる玉男。しかも意外にも腕っぷし強し。おおヒーローっぽい!と思ったら、「一番格好よく登場できるタイミングを待っていたんだ!」(うろ覚え)のような発言に萎える。
自分が格好つけるためにガールフレンド?に怖い思いさせるな!それを自分の口からあっさりバラすな!
そのうえ騒ぎを聞きつけて下男の猿兵衛(前田悟さん)がかけつけてくると、「助けてくれ猿兵衛!助垂さんに暴力をふるわれた!」(超うろ覚え)みたいに言いつけたために、坊ちゃん可愛さで怒った猿兵衛がすでに玉男にボコボコにされた助垂をさらにボコボコに。
もともとは助垂が悪いとはいえ玉男ひでえ。しかも猿兵衛が助垂を殴るのを冷ややかな笑顔を浮かべて眺めている。
その表情につい「絶対ブラック桃太郎の生まれ変わりだ。犬顔家に復讐するために蘇ってきたんだ!」とか(二度目の観劇の時に)思ってしまった。もうさわやかどころの話じゃないです玉男さん。

・小屋で並んで死体で発見される柴子(村木よし子さん)と助垂。
しかしその死に様たるや、柴子はSMの女王様のような衣装で、助垂は「ムーニーマ~ン♪」の時のブリーフ姿で、二人とも尻に鍬が刺さっているという・・・。こんな死に方絶対イヤだー。
後に明かされるこの死に方に至った状況もあまりにアホらしくて(笑)。

・実は現場にずっと潜んでいたという敗地探偵登場。今度の変装は漬物桶(笑)。
初登場時の公衆電話にはじまる変装シリーズの中でこれが一番好きかも。話しながら顔にかかる白菜をいちいちかきあげる仕草がたまらなく笑えます。
そして肝心の時には居眠っていて結局何も見ていないという・・・。「敗地大五郎」という名探偵・明智小五郎を意識したネーミングからして、金田のライバルとして推理合戦を繰り広げても良さそうなキャラなんですが、実際はこの通り。やはり「敗地」という名前が悪かったか。
事件の起こる現場に次々先回りしていることを思うと、実は有能なんじゃないかと思われるだけに惜しい。

・犬顔家の呪われた歴史として語られる劇中劇がなんと『桃太郎』+『泣いた赤鬼』+『花咲かじいさん』+・・・―あと何だっけ―をミックスしたような物語。
この劇中劇のメンツはみんな本編とのダブルキャストですが、同じ役者が演じてる役(たとえば木野花さん演じる太郎子と赤鬼)は前者が後者の生まれ変わりとかそんな設定があったりするんでしょうか。
玉男がちょっとそれっぽいくらいでみんな二つの役の間にとくに関係性はうかがえないですけどね。犬とロベールが同一人物である必然性なんてないよなあ(笑)。
花咲かじいさんが犬(古田さん)に向かって「大阪芸大の頃からおまえが恐ろしかった」「野田(秀樹さん)に擦りよりやがって」などと言い出すのには場内大爆笑。私怨入ってますよ~。

・勝地くん演じる桃太郎の腹黒さがすさまじい。表情が(一応)さわやかが売りの玉男とは全く違っている(パンフレットの稽古場写真、衣装をつけてなくても表情で玉男なのか桃太郎なのか十分判別できます。さすが)。
勝地くんはかねてよりインタビューなどで、悪役をやってみたいと話していますが、たぶんこれが初悪役ですね。唇の片端を吊り上げた不敵な笑いといい鋭い眼光といい太い声音(特に「死ね」の場面)といい、実にブラックです。
さらに刀を鞘にしまうときの刀裁きが見事。殺陣も結構いけるんじゃ(『里見八犬伝』でもなかなかいい感じだったけど)。
今度はぜひ「いのうえ歌舞伎」に出演して殺陣を存分に見せていただきたい――と思ってたら2009年上演予定の『蜉蝣峠』への出演が決まりましたね!(勝地くんも『Stage Actors 08』での木村了くんとの対談で、今度の舞台ではガンガンアクションやりたいと力強く語っていました)。
公式サイトでポスターの写真を見る限りでは黒桃太郎をも超えるワルそうな雰囲気・・・。しかも脚本がクドカンさんとあって目下大期待中です。

(つづく)


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