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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『犬顔家の一族の陰謀』(2)-3(注・ネタバレしてます、か?)

2008-12-29 01:13:03 | 犬顔家の一族の陰謀
・湖から突き出している(たしか)四人分の足。「ヨキ・コト・キク」ならぬ「モン・クワ・ナス」の「門」の見立てだそうで、映画『犬神家の一族』で一番有名かもしれない(偽)佐清の足が湖から突き出しているシーンのパロディですね。
しかしなぜ四人?それも助比代らしいのがいないうえに、女物の下着着けてるのがいるような?(この時点であんな展開がくるとは思いもしなかった(笑))。
そこへ『デスノート』のリュークもどきが現れ、「千の風になって」の替え歌を歌い、それに合わせて8本の足がシンクロのごとくに踊ってみせる。歌詞も踊りも不謹慎きわまりない(苦笑)。
リュークが直立不動のまましっかりマイクを構えて歌っているのが笑えます。なまじ歌上手いだけになおさら。

・洞の中での太郎子と玉男の会話。ここで回想が入り助比代がブラジルで受けた手術の実体?が明らかに。
原作の珠世(女)を玉男(男)に変えたのに、珠世と結ばれるはずの佐清は男設定のままで、どうなるのかと思ったらこんなオチですか!しかし女ならいいってものじゃないしなあ。
とはいえ本人に向かって「犬顔のニューハーフは無理」とはっきり言い放つ玉男はさすがにひどい。財産目当てで玉男と結婚しようと性転換したわけじゃなく、もともと玉男を好きでそこまでしたんだから、受け入れるのは無理でももうちょっと言いようってものがあるだろう。
まあさわやかにひどくてこそ玉男、という気はしますが。

・助比代がいなくなった今、財産を手に入れるべく、「こうなったら自分が玉男の妻になる!」と宣言して襦袢姿で玉男に強引にせまる太郎子。
当然拒絶して逃げる玉男。助比代よりはまだまともな相手じゃないかという気もするけども、それでもやっぱり年の差がアレすぎますな。
逃げる玉男と追う太郎子の攻防はロビー、廊下、男子トイレにまで及び、中継カメラが状況を舞台上のスクリーンに映し出し、わざわざ「LIVE」の文字まで入る凝りよう。
にもかかわらず、なまじタイミングを上手く撮ってあるだけに、「前もって録画した映像」説が公演中後をたたず、そのうちロビーを走るあたりで「生中継です」(うろ覚え)と書いた札を掲げているスタッフも映すように。
結局台風の日に台風情報を記したフリップ?を映して以来、「まぎれもなく生中継」であることが明らかになりましたが。毎回これライブで撮るのも大変でしょうに。しかもストーリー的には特別必要なシーンというわけでもない(舞台の外に出る必然性はない)。それをあえてやっちゃうところがネタものの醍醐味ですね。
男子トイレのシーンではしっかり玉男が用を足していたり、追ってきた太郎子にあわてて外へ逃げる玉男を「ちゃんと手を洗ったかー!」と叫びながら追いかけたり、ほんとくだらなくてツボです。

・存在は紹介されつつ、というか犬顔家の相続人の一人で事件の鍵を握ってそうなくせに、まるで影の薄かった赤沼千鶴の娘・静香=大地マヤ(中谷さとみさん、二役)が意外な形で登場。こうしてみると結構原作の展開に沿ってるんですね。
彼女が助比代を殺す直前に、助比代が心情を語る場面はちょっとホロリときた。助比代の悲恋関係はこの爆笑芝居の中で、一応ギャグの一貫でありながらも何だか切なくて感動的でさえあります。
一度は死のうとした「彼女」(あえてそう書く)が生き直そうと決めた直後に殺されてしまう(それも決意を語った相手に)というのもまた切ない。

・正体を暴露されたマヤ=静香が玉男を人質に取る。うーむ玉男弱々。
その時静香と玉男は実は姉弟なのだと衝撃の事実が知らされる!思わず「姉さん!」「弟!」と盛り上がる二人ですが、直後単に静香の気をそらすための嘘だったことが明かされる。
ここで静香のみならず玉男まで「ずるい!」と怒っているのがツボ。はじめて玉男を「いいやつかも」と思いました(笑)。

・太郎子の口から次々と連続殺人の真相(ほとんどが信じ難いような事故)が語られる。助垂と柴子の死のシチュエーションとか無理ありすぎです(笑)。
そして間接的には金田のノート(デスノート)が元凶だったという・・・。実はこれまで依頼された事件全部、このパターンで金田が死者を増やしてたんじゃ?
個人的には「助焦に好きな音楽を尋ねたら「ボレロ」だと答えた→「Oh、ボレロ」=「溺れろ」」という展開の強引さに爆笑しました。こんな質問してる場面なんか全然出てこなかったじゃないか。何とすがすがしい後付け。
観劇後しばらく「ボレロ」を耳にするたびに笑えて仕方なかったです。

・助焦の直接の死因となった電気ウナギによる感電ショック事件、なぜウナギの名前(コウイチ)までいちいち紹介されるのかと思ったら、堂本光一さんの舞台『SHOCK!』にかけてあったんですね。なんと細かい(笑)。
元ネタが『SHOCK!』であることを示すためにウナギの名前をコウイチにしてしまうあたりのセンスが素敵です。

・ともかくも事件は解決し(したのか?)、列車で東京へ帰る金田。駅で皆が見送ってくれるのだが、その中に当たり前のようにリュークもどきの姿が(笑)。
驚いた金田が「みんな、あれ見えないの?」と指さすのに夢中で窓から身を乗り出していたら、柱に頭を強打(この時の表情のマヌケっぷりがまた絶妙)するというオチ。
しかも強打のショックでお店「おかわり亭」の看板の文字が一っこちて「おわり」になるというトドメが。ドリフのコントみたいだ。
最後までどれだけ下らない話にするかにこだわり続けた舞台でした。あっぱれ。

・上述の見送りの場面ですが、二度目に見たときには、嘘から出た真で静香と玉男は本当に姉弟だった、という会話が追加されていました。
こんな重要設定が公演途中で付け加えられたことに驚愕。しかし新たに増えた台詞を皆さん言いなれてないらしく微妙に棒読み(笑)。
観劇された方のブログによると、この新設定は私が二度目に観劇した回の前日からだったらしく、まだ台詞がこなれてなかったために勝地くんが台詞を忘れて立ち往生する一幕があったとか。
結局クドカンさん(たしか)が上手く繋げてくれたらしいのですが、回りの役者さんも勝地くん本人もさして慌てるふうでもなく朗らかに笑ってたそうです。
ネタものなればこそでしょうが、それにしても勝地くんも舞台度胸がついたもんだなあ、と何だか感心してしまいました。

・カーテンコール。気軽に客席に手を振ってくれる役者さんもいらっしゃる中、勝地くんは先程までのおバカ芝居はどこへやら、生真面目に深々とお辞儀を繰り返していました。
舞台挨拶などでもいつも丁寧に客席に頭を下げる勝地くんらしいなあとしみじみ嬉しくなりました。

・これも人様のブログによれば、東京公演中の日曜日は幕間に役者さんによる罰ゲームが行われることがあったそう。
ちなみに初回が勝地くん(稽古に遅刻したため)、二回目が中谷さとみさん&保坂エマさん(不明)、最後は木野花さん(鼻の頭を黒くするメイクを何度か忘れたため)。
勝地くんは「青春スター野見山玉男、デビューだ!」みたいなのぼりをしょって森田健作氏の「さらば涙と言おう」を熱唱したとか。普通にロビーでやってたので回りにお客さんが群がっちゃって大賑わいだったらしいですが、そんな状況でも歌の合間にギャラリーに爽やかな笑顔で手を振ったりしてたそうな。
これは「勝地涼」ではなく「野見山玉男」としての行動ですね(上で書いたように気安く手など振れずに丁寧にお辞儀するのが勝地くんなので)。こんな罰ゲームでも(だからこそ?)ちゃんと役柄になりきっている。彼は生粋の役者さんですね。

 


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