・会議の席でマグロの販売についての主導権を巡り、水産部と大激論する東海林。
しかし「水産部は買い付けだけやってもらえますか」とはずいぶんな言い方。もうちょっと柔らかい表現があるだろうに。
この単刀直入っぷりは春子と通じるものがあるかも?
・水産部の社員とそのパソコンにお茶をかけてしまった美雪。立ち上がって手を動かしてた向こうがぶつかってきたようにも見えますが。
お茶かけられた男は、美雪の顔(美貌)を見てすっかりデレデレ。思えばこれまで美雪に惚れる男が浅野しか出てこなかったのが不思議ではある。
黒岩がそちらを見て呆れた顔をするのは、美雪の相変わらずなドジっぷりに対してか美人に弱い男心に対してか。
・美雪にお茶かけられた社員の「お茶を入れてくれたハケンさん、誰?」との問いに「大前春子さんです」と答える里中。
彼にお茶をついだのもこぼしたのも美雪なのは見ててわかってたはずなのに春子の名前しか出てこないあたり、前回のホッチキス対決以来すっかり春子に引きつけられてしまったよう。先にも桐島に注意されるほどに春子に見とれてましたしね。
・落ち込んで机につっぷす美雪に浅野が「森ちゃん・・・今度は?」とためらいがちに問いかけ曖昧な笑顔を浮かべる。
その声音や表情に「聞いていいのかな?」という迷いが表れている。日常生活の中のちょっとした感情表現の上手さはさすがです。
しかし美雪が何かやらかすのはもはや日常茶飯事なんですね。
・春子あてに間違って水産部の男どもからメールが届く。近くん人のメールを勝手に見るし読み上げるし。
そして男性陣の盛り上がりようが「あの大前さんに?」という感じでなかなかに失礼(笑)。春子もそっけない返信しつつ顔がほころんでるんですが。
しかし送信者「魚田潮」「岸野帆立」「浜田紀之」(紀→海苔)って、名前で水産部に配属決まったような人たちだ。
・「このメール全部森ちゃん宛てじゃない?」「それなら納得ですねえ」。小笠原さん正直すぎます。
「私に来たメールです!」って春子の怒り方(口の開き方)がコワい。返信の文面といい――だんだん面白い人になってきてます。いや、「くるくるパーマ」呼ばわりや大前体操に現れるように、もともとが面白い人なのか。
「余計なお世話じゃ、こら」以降の文面が気になります(笑)。
・会議が終わったところでいっせいにパソコンのメールをチェックする人々。そして「あれっ!?」って表情・・・いったい浜田さん以外の人のメールにはどんなこと書いてあったんだ。
・お昼が一人で食べられないという美雪。こういう女性って割にいるそうですね。
初日には販売二課のハケンの子たちと一緒に食べてましたが、買い出しの件で爪弾きにされてから今までどうしてたんだろう。毎日買い物忙しくて食いっぱぐれてたのか?これは少し後のシーンでコンビニのおにぎりで済ませてた(マーケティング課の部屋で?)のが判明。
・黒岩も一人で食べられない人だと見込んでお昼に誘う美雪。日頃あれだけキツいこと言われてるのにこたえてないらしいのはすごい。
そして一瞬満面の笑顔になってしまう黒岩。初めて彼女の可愛い部分を見ました。男だらけの環境でつっぱってるがために彼らの輪に馴染めず、だからと言ってハケンの女の子たちにもプライドゆえに混ざれず・・・。彼女も結構不器用な人なんでしょうね。
・エレベーター前で美雪に声をかけようとする浅野。
「食べる相手いないなら浅野くんに声かけなよ(ハケンから正社員、しかも女性から男性を誘いにくいだろうけど)」と感じつつ見てただけに、浅野くんから行くか!?と思ったら口を開きかけたところで里中に先を越されてしまう。
この「頑張って声をかけようとする→先越されてがっかり」という感情の流れが、台詞なしでも表情の動きで十二分に伝わってくる。先の「森ちゃん・・・今度は?」の場面もそうですが、こういうさりげない部分に彼の演技力を感じます。
一ツ木さんがエレベーター乗ってきた時も「また一人増えた・・・」(その分美雪との距離がなお遠くなる)って顔してます。
・春子のオフについて質問する里中。例のフラメンコ疑惑を確認したかったのかと思いきや(里中はそのつもりだったかもしれないけど)、ハケンの仕事してない時は海外放浪してるとの情報が。
「寂しくないんですかね」との美雪の疑問に「寂しいなんつーのはね人間の持つデリケートな感情だよ。一匹狼なんか感情なんかないから」と東海林は答えますが、ハケンを人扱いしないというのとは別次元で、孤高に生きる春子の人間離れした強さに敬意を抱くようになってるのが伝わってきます。
・何だかんだで春子の話題を楽しげに語る東海林。そんな東海林の姿と春子の孤独をうかがわせるプライベートに複雑な面持ちの里中。里中に自分のおかずを分けてあげる美雪。美雪と里中をちょっと寂しげに見つめる浅野。
微妙な五角関係?が社食のテーブル上に展開されています。
・里中への接近を阻むため美雪を自分たちの派閥に引き入れる女子ハケンたち。まあハンサムで人当たり柔らかく、ハケンにも丁寧な態度で接する里中がモテるのは無理からぬところ。
思えば美雪が使い走りの件で総スカン食ったのは、里中と同じ部署にいることへの嫉妬もあったんでしょうね。美雪を他の男に引っつけてしまおうというのが腹黒い。
しかし「合コンによるお婿さん探し」が主な活動内容だという彼女たち、前回黒岩が「男の気引きたくてハケンやってるのよ」と美雪を批判してましたが、その評価はこの「おしゃれ派閥」にこそ当てはまりそうです。
・「おしゃれ派閥」の子たちに髪を巻かれたことを春子に弁解する美雪を男性社員二人がへらーっとした笑顔で見ている。
冒頭部分でのメール攻勢といい、今回美雪モテまくり。社内恋愛、とくにハケンのそれについてが今回のテーマの一つだからでしょうね。
・マグロミーティングの席で東海林の意見(販売二課は全員一致でこれを支持)に、春子が挙手も振り返ることもせずに反論を述べる。しかし東海林は「出すぎたことを言うな」とは言わず彼女の意見を真剣に吟味している。
美雪や近くんハケン組もオブザーバー席ながら同席していて、前回に比べハケンの地位が格段にアップしてるのが感じられます。販売二課の女子ハケン二人がいないので、里中が同席させたいと申し出たからなんでしょうけど。
・マグロの解体ショーの魅力を力説する小笠原。それ感想だけで提案になってないよ、と内心ツッコんでたら黒岩も同様の言葉を。
しかし大先輩の小笠原に対するには失礼な口の聞き方。出世競争から脱落したロートルの小笠原が周囲から軽んじられてるのが感じられます。
対して東海林は即座にマグロの解体ショーを支持する。変わり身の早さはいかにも彼らしいが、解体ショーが春子の指摘したマグロの一般家庭での需要の高さにはまること、先日(春子のおかげで)拡大した百貨店ルートを早速利用するチャンスであることばかりでなく、二話後で明かされる小笠原への義理立てのゆえもあるのでしょう。ことさら小笠原ばかりを称揚するのは春子への嫌がらせだろうけど。
・「ザッツ・マグロ・ショー」の企画書を猛スピードで作成する春子。
この企画名って彼女が考えたんだろうか。後々繰り返し登場する東海林の文章センスの匂いがしますが。
・春子が里中に企画書を渡すと東海林が横から引ったくって内容を検討する。親しいとはいっても里中に対して失礼な行動ではある。
春子の東海林を睨むような視線(いつもだけど)、里中にだけにっこりと挨拶する動作も、東海林の無礼を咎めてるようでもある。
しかし企画書作りからマグロ解体師の手配まで、ショーの一切をマーケティング課が仕切ってる感じなんですが。本来彼らの業務は第一回のような市場調査なのでは?販売二課は何してるんだ?
・「私も先に失礼してもいいでしょうか」と断る美雪。
ハケンなのに社員と一緒に残業が当たり前みたいになってるんですね。まあ(珍しく)忙しい時ではあるんだけど。
・「森ちゃん、何であんなケバいグループに入ったんでしょうかね」とボヤく浅野。そりゃ孤高を貫く春子以外のハケンと固まろうとしたらあの子らしかいないからですが。
美雪が合コンとか行くの、誰かに取られちゃいそうで嫌なんでしょうね。
・無駄話してる浅野と小笠原の間に割り込むように小笠原に仕事を頼む里中。彼にしては意外と押しの強い行動。ほっとくといつまでも遊んでそうですからね小笠原さん。
「ががががくーん」となる小笠原さんを浅野くんがちょっと支えるようにする。この二人のやりとりは、おじいちゃんと孫みたいでなんか微笑ましいですね。
・エレベーターで春子に合コンについての話をふるハケン女子たち。何と大胆な(笑)。
「昔?」と春子の声の尖る春。男も女も関係ないスタンス(彼女くらいスキルが突出してると本当に関係ない)で仕事する春子ですが、女として終わってる扱いされるのは一応不本意らしい。これも女心か。
・合コン中に「マグロの神様」ツネさんを偶然発見する美雪。
内心退屈してたんでしょうが、周囲に対する目の配り方やネットで見たツネさんの顔をちゃんと覚えてるなど、存外彼女は優秀な職業人の資質は持っていそう。
すぐにツネさん発見を春子たちに知らせ目下の業務に繋げようとするのも。ツネさんとの遭遇は偶然でもそれをビジネスチャンスに変えたのは彼女自身。
しかしマグロ解体師ってああやってファンがついて「囲む会」やっちゃったりするもんなんですかね。
・「あの子(春子)は店長にコネがあるみたいだから、そこを上手く使え」と言う桐島に素直に「わかりました」と返す里中と「俺はごめんですね」と返す東海林。
春子を立てようとする人の良さが理由にせよハケンの能力を引き出せる(彼のために働きたいと思わせる)里中と、道具と切り捨てられず人間として認識してるがゆえに春子に意地になり、さらにはこれまでも多くのハケンが辞めていく原因を作ってきた東海林のどちらを、桐島は内心で評価していたでしょうか。
・「ハケンは赤の他人ですよ。(中略)俺、家族と仕事したいんですよ。」 第一回のラストに続いて東海林がハケンに反発する心情を吐露する。
入社式の時のエピソードなど、東海林が桐島をヨイショするのも、実は本心なのかもしれないなと感じさせます。根はかなりレトロな男なのですよね。
逆に優しすぎるのが玉の瑕のような里中の方が、目の前にいるハケンを受け入れ一緒にいい仕事をしていこうとする意味で、時代の変化を認めまいとする東海林より合理主義者といえるのかも。
このシーン、語る東海林たちを映すアングルからカメラが下がっていって、カウンター下で話を聞いている春子を捉える。春子が今はまだまだ天敵と言ってもよい東海林の心情を知り、咀嚼しているのがわかりやすく示されている。
(つづく)
p.s. 現在発売中の雑誌『CM NOW』の「春薫る スウィートスウィート 新作6CM」という特集でキットカットCM撮影のメイキングが載っています。勝地くんが写ってる写真は一枚だけですが、かなーり格好良いです♪ 一応お知らせ。