goo blog サービス終了のお知らせ 

about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『ハケンの品格』(2)-5(注・ネタバレしてます)

2008-02-18 01:50:54 | ハケンの品格
・里中の携帯に浅野経由で美雪から連絡が入る。
「(ハケンは)会社がどうなろうと、どうだっていいんだよ」と東海林が口にしたそばから、私用中にも関わらずツネさん発見の報をよこした美雪の行動が彼の理論を鮮やかに否定する。
このとき里中は「もしもし浅野くん」と電話に出て「ツネさん恵比寿にいるって」とだけ告げたので東海林が美雪の功績を知るのはもうちょっと後ですが。

・ツネさんに「お話だけでも聞いていただけないでしょうか」と懸命に頭を下げる美雪。
みんなが来るまでに帰られては困るので繋ぎに出たのでしょうが、単身初対面のツネさんを(ファンのおばちゃん達の凝視の中)説得に動いた美雪に驚いた。一人で外食するどころの勇気ではないはず。
正社員が上司との飲みを放り出して駆けつけてくるのはわかるとして、合コンそっちのけでの無料奉仕・・・。スキルはまだまだでも志は正社員にも負けない立派な職業人のものですね。

・小笠原の話を我が事のように大げさな口調で話してツネさんに取り入ろうとする東海林。
しっかり店を替えてツネさんと飲む約束を取り付けた東海林を、美雪が「さすがですね」と言うと浅野はちょっと寂しげな笑顔で頷く。
先に浅野が「小笠原さんが言ってたこと、そのまま言ってるよ」と苦笑しつつ美雪に話しかけたとき美雪は無反応だった。彼女が東海林の交渉術に感心していて(このあたりにも彼女の資質が見える気がします)、自分のことなど眼中にない、というのを感じ取ったんでしょうね。

・お茶を持ってきてくれた春子に「おう春ちゃん」と反応するツネさん。「お知り合いで?」と尋ねる東海林、内心「またしても・・・」の心境なのでしょう。

・ツネさんを遠目に見ながら「森ちゃん、お手柄お手柄」と浅野が誉めるのだが、ついで「本っ当に森くんのおかげだよ。ありがとう」と里中が微笑むと、美雪は「主任・・・」と笑顔で恥じらう。
いつもいいところを里中に持っていかれる浅野、この時は出遅れなかったのになあ。報われないですね。

・2000円のランチに毎日行く気でいる「おしゃれ派閥」のメンバーたち。ハケンの給料でこの余裕、みんな実家住まいなんですかね。

・春子と美雪が「友達」の何たるかについて話す。
社食のシーンで「春子は友達いなさそう」(第一回冒頭のアンダルシアの場面で、春子に大勢の友達がいるのは明かされてるわけですが)と皆の意見が一致してたことが、「その春子が友達と呼ぶのはどんな人間か?」とここで伏線として効いてくる。
春子は例によって「何だそのくだらない質問」。彼女は言葉が乱暴なときの方が大事な事を話してくれている感じです。

・「おしゃれ派閥」と一緒に食事に行った美雪は、黒岩が後輩の男子たちに昼食を奢っているのを目撃する。美雪は食事に行くたびいろんな人を見つける。
彼らが席を立った後で、一人憂鬱そうな顔の黒岩。孤独は深いなあ。

・春子が解体ショーに立ち会わないと聞いて「大丈夫?」と不信もあらわな緑川店長。前回の信用失墜がかなり響いている模様。
しかし春子をこのプロジェクトから(企画書作ってもらいながら)締め出そうとする東海林、桐島に言われたことなど完全無視ですね。
ツネさんを口説き落とした交渉術など本来有能ではあるんだろうから、依怙地さを捨てればいい仕事するんでしょうに。

・春子に対する東海林の嫉妬はなかなかに深刻、なのだが「あのとっくりはね、ブラックホールだよ?あのとっくりからいろんなものをものすごい重力で引き寄せて自分の力に変えてるんだよ!」という難癖がわけわからなすぎて笑いを誘う。春子に遭遇してしまった時のビビりっぷりもナイス。
春子の方も、後つけてるの盗聴してるの瞬間移動してるのと罵倒されたのに、ガツンとやりこめるでも無視するでもなく「東海林さんの頭は本っ当にビッグバンですね」と「冷静にわけわからねえこと言って」いるあたり、意外と暖かな応対。
それにしても東海林は春子がらみでは冷静さを欠きすぎている。結局それが遠因となって解体ショー危うく中止?の大ピンチを引き起こしてしまうことに。

・大量に届いたマグロに圧倒された東海林は、「これ本当に全部売りさばけるんですよね?」「デパートの本社からも視察に来るらしくて結果出さないと」などと余計なことを言ってツネさんを怒らせてしまう。
もう現物が届いてるんだから売りさばくよりほかないわけで、内心不安だろうともこちらの事情(ツネさんに言ったって仕方ない)などは胸にしまってツネさんに気持ちよく仕事してもらうのがベストだろう。
「らしくない」売場面積の計算間違いもそうですが、春子への対抗意識からくる焦りが、彼の技量を鈍らせてしまっている。

・ツネさんの骨折で解体ショー中止の危機にあって「だから俺は反対だったんだよ」などと手の平返す販売二課の面々。
そんな彼らを黒岩は「あんたたち最悪。船が沈みかけたらさっさと逃げ出すわけ?」と非難するが、マグロミーティングで東海林がいきなり前言を撤回して解体ショーを決めたときの反応を見るに、東海林のワンマン加減は少なからず同僚・部下たちの不満の種になってたんでしょうね。要は人望がない。
同じ状況でも里中だったら、美雪を先頭にマーケティング課全員自分から全面協力を申し出ただろう。現に里中が「マーケティング課は全面協力するから」と言うと後ろで全員が頷いてますし。東海林のためというより東海林に協力する里中のため、なんでしょうね。
あとで美雪は「私、里中主任と東海林主任の友情に感動してるんです」と言いますが、状況からすれば「東海林に向ける里中の友情の厚さに感動した」ってことですし。

・春子の協力をきっぱり拒む東海林。ハケンの、それも天敵の春子に頭を下げたくないのは無論のこととしても、直接の部下たちにも「力を貸してくれ」と頼むこともできない。
自分を恃むところが大きくしばしば大言壮語する東海林ゆえにこんな時は自分自身を追い詰めてしまう。
春子は里中に「大前さんも協力していただけますか」と言われたとき「業務時間内であれば」と答えてますが、彼女なら自ら解体ショーをやる(業務時間外になってしまう)以外の解決法も見つけられたでしょうか。

・春子に力を貸してほしいと、直接自分には関係ないのに「僕からもお願いします」と頭を下げる浅野。いい子ですねえ。
そしてさっき「マーケティング課は全面協力するから」の場にはいなかった近くんも「今日は僕も手伝いますから」と申し出る。彼は東海林に対しては腹を立ててるはずなので、やはり里中のため、なんでしょう。

・午前2時にいまだ店に詰めていた緑川店長の「ツネさんの代役ってどんな人?」と尋ねる口調が、一種躁状態な明るさから「まだ見つかってないのかよ!」の激昂へと変化。そのコントラストゆえに迫力と悲痛さが満ちている。
東海林を殴りかねない様子の緑川を止めに入る里中も「中里君」呼ばわりされても訂正できない勢いです。
そして東海林の萎れ方が、日頃偉そうな彼を見慣れているだけに何とも痛々しい。

・一人夜のオフィスで東海林が何か書き物をしていると、里中が差し入れを持って帰ってくる。
そっと書いていたものを書類?で隠す東海林。退職願なんだろうなと匂わせる(実際そうなのが後で明かされる)。
「残念、ヤキソバパンは売ってなかった」の軽口に始まり、東海林を励まし気を引き立てようとする里中。いい人ですねえ。

・朝の「カンタンテ」で春子とママが男談義。春子が里中を「顔はいいんだけど仕事できないんだよ」、東海林を「仕事はできるんだけど・・・ハケン差別者?」という評価なのは意外。
超仕事ができる春子から見ても東海林は「仕事はできる」に入るんですね。緑川店長に「東海林くんという人間は大丈夫なのか」と聞かれたときは「さあ」と答えたというのに。
そして部下に人望のない東海林より人を動かす人望はある里中の方が「仕事できない」という評価。また里中についてのプラス評価が顔の話だけで彼の人柄に触れていないのは、彼の人間性には大して興味を持ってないゆえのようにも思える。
逆に東海林については(マイナス評価なりに)人間性について言及していて、どんな意味にもせよ春子が東海林の人柄に興味を持っているのが感じられる。里中は「あの人」なのに対し東海林は「あいつ」呼ばわりなのも、嫌ってるというより屈折した親愛の情を感じます。
ママたちと話してるときの春子は会社にいるときとは別人のような柔らかい表情と口調なのが印象的。

・「カンタンテ」を訪ねてきた里中を一目見たママが「あら、あたしのタイプじゃない人」。これは失礼な(笑)。
里中が春子に会いに来たのは「解体師捜しに力を貸してくれ」かと思ったら「デパートに謝りに行くのに、店長に信頼の厚い春子に同行してほしい」だったんですね。
春子のいう通り「ハケンの私に頼むのは筋違い」なんですが、それはわかったうえで精一杯の選択だったわけですね。

・「東海林さんは辞表をポケットに入れてんだよ!あんなに会社を愛してる人いないんだ!何とか助けたいんだよ!」 
あの里中が初めて春子に(というか他人に)本気で怒鳴る。表情も涙交じりの声も台詞の内容も子供のよう、というか捨てられた子犬(これ、よく勝地くんに用いられる形容でもあります)のようでそれだけに心情に溢れているのが胸を打つ。それでも去り際に「大きな声出してすみませんでした」とママに謝る遠慮深さはやはり里中。
ママは「春ちゃん、いいの?」と尋ねますが、里中に同情しただけではなく、根は人の好い春子が里中の必死の申し出をはねつけたことで彼女自身の心に傷を残すことも心配したんじゃないでしょうか。
しかし「会社を愛してる」がゆえにハケンを差別する東海林の救済をハケンの春子に要請せざるを得ないというのもまた皮肉な。

・一人部屋で物思いにふける体の春子の携帯が鳴る。
机の上の携帯をいつにない性急さで確認する仕草に、マーケティング課の誰かからの連絡だと思ってた(解体ショーの行方が気になっている)のがうかがえます。

・集まったお客さんにマグロ解体ショーの中止を知らせ、謝りまくる東海林とマーケティング課の面々。
本当に販売二課のメンバーは誰も(「船が沈みかけたらさっさと逃げ出すわけ?」と彼らに怒った黒岩さんまで)手伝いにきてはくれないんですね。マーケティング課はハケンの美雪まで休日出勤してるのに。
それにしても部長や東海林がお客さんも見てる前でデパートの重役たちに頭下げるのはなあ。そういう事は奥でやりましょうよ。

・皆が頭下げまくる中マグロ解体ショー開催のアナウンス。もうちょっと早ければみんな無駄に頭下げずにすんだのに。
それ以前にまず誰かの携帯(二日前の夜にかけてきた美雪の番号はわかるはず)に連絡してあげないと、中止するって言ったり開催するって言ったりでお客さんが困ります。マグロの準備もあるから春子一人じゃセッティングできないだろうに・・・。
まあここからはコメディパートととして「そんなばかな」とツッコみつつ笑っておくのが正解でしょうね。

・結局春子が何とかするんだろうとは視聴者みな思ってたにしても、自らマグロをさばくというオチを当てた人はいたのだろうか(笑)。確かにツネさんと知り合いということは一緒に仕事した経験がある可能性はあったわけで・・・。
日頃無口・無愛想な春子とは対極のような対面販売でもそこはスーパーハケン、見事にやってのけます。
春子が出てきた瞬間から緑川店長ガッツポーズ入ってます。きっと以前春子がロビンソン百貨店に来たときも、こんな風に颯爽と彼を救ってくれたんでしょうね。
そして東海林ももはや悔しがるどころか穏やかな笑顔→泣き顔になっています。ここで彼にとっても春子がジャンヌ・ダルクになったんでしょうか。

・東海林が退院したツネさんに会いにやって来たとき、ツネさんは春子と話し中。春子の服装、借りた包丁を返しに来たところからすると、解体ショー当日(土曜日)の夕方らしい。
「またどっかで会おうね」という、サバサバしてるけど暖かな二人の交流、今まで見たこともないような春子の笑顔と優しい口調は、先の解体ショーと並んで、里中の言う通り自分は春子をまるで誤解していたのだと東海林に強い印象を与えたに違いない。
怪我と仕事に穴をあけたことで「もう引退時か」と気落ちしていたツネさんを春子が励ます姿は、ショーに穴をあけそうになって会社を辞める覚悟でいた自分を春子が救ってくれたことに重なったでしょうし。

・休日出勤の手当てはいらないという春子。「あれはビジネスじゃないからです」。
先に里中に「ビジネスと私情を混同させるのはやめてください」と言ったように、彼女は友達のためにやった行為を私情としてきっちり線を引いた。
そして彼女の言う友達とは、ずっと一緒にくっついている関係ではなく、普段はお互い腕一本で世を渡りつつ、まさかの時には協力しあえる関係を差すわけですね。
自分が思うのとは違う友情の形を見た里中も美雪もそれぞれが深い感慨を受けているのが表情でわかる。「以上ですが、何か?」といういつもの口癖も暖かく響きます。
この時桐島が春子と一ツ木に向ける穏やかな笑顔の間に一瞬鋭い表情になるのですが、自分の規範をかっちり持っていて金でも情でもコントロールできない春子に警戒心を感じたのでしょうか。

・「おしゃれ派閥」のメンバーに美雪は自分の心境を話して「一人で頑張ってみます」と宣言する。待たせたうえで言うんでなければもっといいんだけど。
通りすがりに美雪の言葉を聞きながらも、自分は奢り目当ての男性社員と合流して昼食に行く黒岩は、自分が持てない強さを持つ美雪に少し眩しさを覚えているようです。

・正面から春子に彼女を誤解してた、ハケンを信用してなかったことを詫びる東海林。
それはいいのだが、「部長から聞いた」と言いつつ、特別手当を断ったことしか聞いてなかった東海林はなんかとんでもない方向に誤解を。あの場に東海林がいなかったのがこんな伏線になっていたとは。
一つには相手が自分に惚れてると誤解したからこそ、こうも急激に軟化したんですね(自分のプライドが満たされる展開だから)。しかしいきなりキスまで行きますか。

(つづく)

 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ハケンの品格』(2)-4... | トップ | 『ハケンの品格』(2)-6... »

ハケンの品格」カテゴリの最新記事