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俳優・勝地涼くんのこと。

『ハケンの品格』(2)-14(注・ネタバレしてます)

2008-03-22 02:44:10 | ハケンの品格
・ハケン弁当に米・プラスティックが利用できないかと思いをめぐらす里中を東海林は複雑な表情で見つめる。
自分が結果的に里中を出し抜いていること、それを里中に秘密にしていることによる二重の罪悪感。
日頃強気な東海林だけにその沈んだ様子が痛々しく思えます。

・「いつもは無駄話ばかりの東海林主任が今日はとても静かなので、もしかしたら死んでるのかなーと思いまして。」 
ひどい言い草(笑)。要は元気がない東海林が心配だったんだろうに。気配りの人里中より先に東海林の様子が変なのに気づくあたりも、東海林のことを気にかけてるのがうかがえます。
まあ実際この方が「喧嘩友達」な東海林を元気づける効果はありますね。「ミラー越しにガン飛ばすのやめろよ」「生きてるよ。勝手に殺すな」とか春子に文句つけてる時の東海林は明らかに生き生きしてますからね。

・全然車のいない広い道で髪を振り乱しながら安全確認する春子。
どんどん春子がおもろい人になっていく(笑)。春子の顔を魚眼レンズ状態に映してるのも。

・いきなり車がエンスト。これって春子の点検不足(彼女の失敗)なんですかね。
みんなに「直せて当たり前」という態度を取られ、自動車整備士の資格はないと言えずに無理やり直そうとする春子。プライドが邪魔をして言い出せなかったというより、「頼まれると断れない人」のようにも見えます。
毎度の「びっくり資格」登場パターンのあえて裏をかきつつ、春子の人間味を見せる。脚本の緩急にまたも脱帽。
そういや最終回、東海林に(新たにとった)資格証明書をつぎつぎ見せるシーンに自動車整備士がなかったのは意外。

・すでに夜、いっこうに車は直らずさまざまな部品が散らばってるありさまにもかかわらず、美雪も里中も「春子先輩に不可能の文字はありませんから」「でも解体じゃないので。車が動きさえすればいいですから」と春子が車を修理できることを疑ってもみない。
東海林だけが「おまえ、取り返しのつかない事になってない?」「お前ほんと大丈夫か?ほんとに自動車整備の資格もってんだろうな?」と不安を口にする。
美雪や里中が春子を一種の超人、人生の師とみなしているのに対して、東海林は春子の実力を認めつつも一人の女、喧嘩相手としても仕事仲間としても対等の存在(春子そのものでなく「ハケン」という身分に対しては差別的発言をするけれど)として見ているのが、彼らの態度の違い(何でも出来て当然、人間なんだから出来ない事だってある)に表れている。
そして春子も、彼女は車を直せて当然という態度を皆がとった時、東海林の方をちょっとすがるような眼差しで見ている。
エレベーターで遭難した時も、バレンタインイベントの大失敗で土下座した時も、春子のピンチの時にはいつも東海林が一緒だった。彼女が弱い一面を見せ(そうにな)る相手はいつも東海林なんですよね。

・「(自動車整備の資格を)持ってませんが、何か」「私はそんなこと一言も言っていませんが、何か」の「何か」二連発。
しかも事態を悪化させた責任上、今回は18時を回っても(残業しても)修理にいそしんでるのかと思いきや「精一杯手は尽くしました。残念ながら6時になりましたので、失礼致します」とさっさと帰ってしまう。
残業しない代わりに定時までにきっちり仕事を終わらせる春子が、仕事を残して職場放棄した!「精一杯手は尽くしました」って「努力したこと」を「出来ないこと」の言い訳にした!
どちらも今までの春子では考えられない。「ほったらかしにして、おまえ、逃げるのかよ」と言う東海林の方に理があります。

・いつもの春子の体操を一緒にやりだす美雪。それを皮切りに、浅野・小笠原・近くんが次々参加。浅野くんの手がちゃんと伸びてないところや首の動かし方が何かコミカルなのは(勝地くん的に)狙ってやってるのか天然でああなのか(笑)。
そして腕の伸びなさ加減では近くんがさらに上回る。なんかぴょこぴょこしてて可愛いです。

・ハケン弁当の企画から手を引くよう里中たちに告げる東海林。若干声が上ずってるのに(直前の「パクリ」発言にびくっとしてるところにも)、セキュリティ問題の時にはなかった彼の罪悪感が感じられる。
しかし企画書を東海林に持ってかれて「あ、でも・・・」と弱弱しく抗弁する里中が・・・。ハケン弁当の企画あきらめないと言ったんだから、もっと毅然と抵抗せねば。新人の浅野だって「それは、森ちゃんの企画ですよ」とちょっと上ずりつつもきちんと反論しているぞ。
その後も「森くん、ごめんなさい」って力なく謝っちゃってるしなあ。

・「そういうことはそのねじまがったかぶりものをストレートパーマにしてから言ってください」 
ここまで来るとほとんど天パいじめですねこりゃ。

・春子に東海林の下でハケン弁当の企画を手伝うよう命令を出した桐島は、春子が意外にあっさり従ったことに、「どっちの味方につくか興味あったんだがね。」と穏やかな笑顔で腹黒い発言をする。
前回のことで単なる作業機械に収まらない春子を危険視するようになった桐島は、爆弾となりうる彼女を東海林側(体制側)に引き入れようとしたのだろう。春子が拒んだ場合、状況によっては彼女を(なまじ有能であるだけに社にとって害となるくらいなら)切ることも考えていたかもしれない。
だから春子が「ハケンは指示された仕事をするだけです。誰の味方でもありません」と自ら作業機械宣言したことに安堵の?笑顔を見せる。
ただこの後春子は(わざと?)東海林を怒らせて早々にマーケティング課へ戻ってくる。これはこの件については「里中の味方につく」という意志の表明なのか。

・東海林に突然玉の輿の見合い話が。上司にひっついて愛想振りまいてるとこんなラッキーがふってわくこともあるんですねえ。しかし「おまえのギャグ聞きたいから見合いしたいそうだ。」ってあんまり嬉しくないような。

・東海林が桐島から見合いの話を聞かされているバックにたびたび映る黒岩さんの表情に動揺の色がある。この直後里中に「あの企画、譲っちゃっていいの~?今度は頭取のご令嬢と縁談だって。どんどん差がついちゃうわね」とちょっと吐き捨てるようなトーンで話すのも彼女の嫉妬を感じさせる。
ただそれが東海林への愛情から出てるのか、同期の(あまり誉められない形での)出世への反感から出てるのかが微妙。ドラマツルギー的には「愛情」と言いたいところだが、この後東海林と黒岩の関係にはっきりした変化が見られなかったからなあ(夜のオフィスで二人きりで話す場面に匂わされるだけ)。
一方里中が複雑な表情をしてるのは、東海林が春子を好きなのを知ってるからでしょうね。

・「とっくり!会議室にお茶入れて」 
にわかに春子に用を言いつける東海林の声の上擦り方に、内心の慌てっぷりとその裏にある春子への情がよく表れている。

・「よかったら、お見合いする前に、これ、かけてください」とシリアス顔で東海林にメモを手渡す春子。東海林と里中はてっきり春子の携帯番号かと思うわけですが、実際には美容院の割引券。電話でなくストレートパーマを「かけてください」なわけですね。
このへんは脚本の台詞回しの上手さ。第4回で取り上げられ、今回終盤と次回でまた取り上げられる「春子の携帯番号」をめぐるエピソードの前振りにもなっている。
しかし東海林をからかうために美容院の割引券を仕込む春子―実は東海林のことが気になって仕方ないんじゃあ。

・企画を召し上げられたにもかかわらず東海林のプレゼンのために、マーケティング課をあげてハケン千人へのアンケートを実施しようとする里中。
人が良いのを通り越して情けなくさえ見える彼の態度は、さすがに浅野たちから「なぜそこまで?」の疑問の声があがるほど。
しかしここでマーケティング課主導でアンケート調査から弁当の試作品作りまでを行ったことが、後に思いがけず企画がマーケティング課の手に返ってきた時にものを言った。「情は人のためならず」か。

・「食べた人が幸せになる食品を作りたい」という入社当時の志を今も持ち続けている(会社生活を続けるなかで薄らいでいたものの「ハケン弁当」を機に復活した)のは立派。
「誰がプレゼンをやったっていいじゃないですか。実現することを第一に考えたいんです」という考えもそれ自体は筋が通っている。
しかし、だったら前回の美雪の名前を残すための騒ぎは何だったのだろう。「誰がプレゼンをやったっていい」と思っているのなら、東海林や春子の言う通り里中の名前で出しておけば、企画はもっとスムーズに通り美雪が立場を脅かされることもなかったのに。
ハケン弁当の企画に熱中するにしたがって、発案者の名前を出すことより企画を実現させること最優先に気が変わったのかあるいは妥協したのか。
結局振り回された美雪こそいい迷惑。まあ「森くん、僕のわがまま聞いてもらえますか」と言ってるあたり自覚はあるらしい・・・。肝心の美雪も「里中主任って素晴らしい人ですよねえ」と喜んじゃってるし。

・春子はアンケートを取るには不向き、という話の流れで「オーラすごすぎるし」(近くん発言)はいいとして、「顔怖いし」(浅野くん発言)はひどい(笑)。春子結構傷ついた顔しています。
そういえばマーケティング課は春子以外は親しみやすいタイプばかりですねえ。実は(春子も含め)美男美女率高いし。

・ハケン女性二人がお弁当を食べてるのをつい覗き込んでしまっても、気持ち悪がられるどころかおかずを食べさせてもらっちゃう(しかも「お口あーん」状態で)里中のモテ男っぷり。
ルックスのみならず新入社員なみに初々しく礼儀正しい態度がそうさせるんでしょうね。あのハケンさんたちも里中が「主任」と呼ばれているのに驚いたことでしょう。

・「ハケンの、ハケンによる、ハケンのためのハケン弁当~」という一ツ木さんのリンカーンばりのスピーチ?が声裏返りまくり。
真面目に読んだのでは寒くなりかねない台詞を、声のトーンで上手く笑いにつなげている。安田さんさすが。

・アンケート回収の場で「あなたもハケンなの?」という美雪への質問に、「これ、彼女のアイデアなんですよ」と笑顔でさらっと答える浅野。おお美雪への好感度1アップだ。
その横で「ハケンってカタカナで可愛いですね」と言われて「それ、僕がカタカナにしたんですよねえ~」とにやけつつ自慢する近くん。街頭アンケートのときも、「写真撮らせてください」とハケン女子の持ってた弁当でなく女子本人にカメラ向けようとして里中にたしなめられてたり、近くん結構女好きですね。奥さんが怒るぞ。

・カンタンテで、踊る春子を見つめる東海林。その眩しそうな切なげな表情が、台詞の一つもないのに胸を打つ。

・「私は顔が怖いんです。それが何か?」 やっぱり根にもってたんだ(笑)。
今回の場合、顔より東海林の隣に来るなり踊るときのような仕草で腕をばっと横にふって体を斜めにした動作の方が怖かったです。

・「今日は喧嘩はやめよう」といつになく神妙な声音で話し出す東海林。
改めて春子の気持ちを確認にきたのだろうと思いきや(結局はそれが目的でしたが)、お見合いを喜んでる振りをして春子に焼きもちを焼かせようとする。素直じゃないなあ。
一方春子は「あの人は髪も心もストレートです」「あなたより里中主任の方が人間的に素晴らしいからです」と柔らかな口調で里中を持ち上げる。
確かに春子は里中を認めてはいますが、彼が現時点では上に立つ人間として甘すぎるのもわかっていて、だから「泥舟」呼ばわりしたりもしてる。
いささか誉めすぎの感もあるこれらの台詞は、ひょっとすると東海林が見合い相手を誉めた意趣返しに、里中を誉めて東海林に焼きもちやかせようとしたとか?素直じゃないなあ。

・東海林に求められるまま彼の悪口を並べたてた春子が、最後に「一つだけ誉めてあげたいところがありましたが・・・」と言うと、東海林が「どこ?」と尋ねる。
頼りなげな声のトーンと「どこ?」という子供っぽい語彙、勢いこんだ感じが、東海林の切実な気持ちを伝えてくれる。少しでも春子によく思われたいんだ・・・。

・東海林が「この縁談断ろうかと思ってる」というのに対し、春子は会社べったりの東海林に断れるはずがない、と冷たく返す。
この場面での春子の一連の発言はいつものような正社員を批判する言葉のようでいて、「結局あなたは、部長の言いなりで結婚するんです」のあたりなど、出世のために恋人に切り捨てられかけた女の恨み節めいて聞こえてくる。
素直じゃない二人の腹の探り合いは、第4回にも匹敵する見応えがあります。

・「俺がほんとに結婚したいのはおまえだ!」発言に、美雪はあわてふためくが眉子は目を細めて微笑っている。
少し前に美雪が「お見合いの自慢しに来たんですかね」と言った時も、何か言いたげに溜息をついていた。彼女は最初から東海林の「用件」を察してたんでしょうね。
リュート(ともう一人の男性)がフラメンコギターで結婚行進曲を奏でるのも、彼のキャラに合った洒落た演出。

・お勘定するにあたって「勝ち組ですから」と言う東海林。
これまでの話の流れ(春子と結婚したい)にも関わらず、去り際に再び縁談を受け入れるような台詞を吐くのが、「勝ち組」という言葉とは裏腹の敗北宣言のように響きました。翌朝出社した春子に声をかけようとしてかけられない姿も切ない。

・頭取から直々に電話が来たと聞いた東海林はあわてて自分のプロポーズに対する春子の返事を確かめようとする。
春子にはっきりフラれたなら(とっくにはっきりフラれてる気もするが)他の女に行くよ、と言ってるようなもので、いわば二股。春子に対して大分失礼な話ではある。
会社人間の東海林が出世コースより春子を優先させようとしてるだけでも、彼にしてみれば最大級の勇気を要する行為なんでしょうが。

・縁談がまとまった旨を桐島から知らされた東海林は泣き笑い顔。「ありがとうございまーす!」と勢いよく告げる声もやけくそ気味。
「東海林くん、おめでとう」と祝いを述べる黒岩女史の声には、やや皮肉めいた響きがあり、他の販売二課の男性社員がにこにこと東海林を誉めそやす側を通り過ぎる浅野くんは明るい笑顔を、隣の近くんは面白くもなさそうな顔を見せている。
それそれの表情や声に彼らの(東海林に対する)感情が表れているのが秀逸(とくに、どんな顔してようがストーリーには何の影響もないはずの浅野・近ペア)。

・「ハケンのアイデアが社内コンペの最後まで残るなんて・・・」と感慨深げに語る一ツ木さん。
勝手に逃げたり辞めたりするハケンにさんざん振り回されるのが日常なのに、ハケンたちの事を心から案じてくれている。いい人だなあ。

(つづく)

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