about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『ハケンの品格』(2)-12(注・ネタバレしてます)

2008-03-14 02:26:24 | ハケンの品格
〈第七回〉

・のっけから名刺でかるたをする春子と桐島部長。美雪が札を読み上げるほか、二人の取り札の数をホワイトボートに記録する人がいたり、大勢(営業部全員?)で勝負を眺めてたり。
後でこれが桐島部長発案による「楽しく名刺を整理する方法」だったことが明らかになります。部長自らそれじゃあ、みんな仕事しないわけだ。よく春子がバカにせず付き合ってるなあ。むしろノリノリ。

・桐島の載った社内報を見ながらやたらおべんちゃらを言うのはいかにも東海林らしいが、「「部長の休日」じゃなくて「部長の品格」ってタイトルに変えた方がいいんじゃないですかね」には笑った。ちょっとメタ視点入ってますね。
この写真が後の剣道勝負の伏線になっています。

・春子に札をかっさらわれた桐島が、「うるさいんだよお前は!集中できないだろうが!」と東海林に怒鳴る。部長、マジになりすぎです。勝ったのに気をよくして「どう、もう一回お手合わせ」なんて台詞も本来の目的をすっかり忘れてます。

・今回ナレーションが「彼女の辞書に不可能とヒューマンスキルの文字はない」。
「残業」が「ヒューマンスキル」に変わったのは、前回で残業しちゃったからですね。

・コンペの企画書のダメ出しを春子に頼む里中。正社員がハケンに、しかも上司が部下にダメ出し頼むというのも東海林が言うとおりアレですね。
しかし見方を変えれば、立場に関わらず相手の才能を素直に認め、頼ることのできる柔軟性は彼の武器と言えるのかも。
ただそれを武器として活用するにはまだ力が足りない。そのあたりが今回のストーリーの軸であり、その前フリ的エピソードを冒頭で出しておくのが上手い。

・里中の企画書をパラパラめくって中身を検分するときの春子の目が怖すぎる。それも笑える方向性の怖さ。こうした変顔を美人女優さんがごく自然に演じてることに妙に感心してしまいました。
その後のダメ出し台詞の立て板に水のごとき流暢さといい――何度も書いてますが本当篠原さんはすごい。

・春子のダメ出しに聞き耳を立てていた社員たちがいっせいに企画書を書き直しにかかる。あの黒岩さんまで。
そして東海林が企画書の「3つのT」を説明してると春子がすぐ後ろに出現(横からぴょんと出てくるのが「出現」と言う感じ)して、今にも文句つけたそうな顔で立ってるのが面白いです。あんな近距離で、しかも文句言って踵を返したところで髪で(わざと)東海林の顔叩いてくし。
春子も東海林も相手を構いたくてしょうがないようにも見える。前回の失敗があるってのに。

・里中の「米・プラスティック」の構想。第一回の米の市場調査が彼に米への興味を促したのか。リサイクル・環境問題への配慮も実に里中らしい。

・里中の弱腰を批判する春子に例によって東海林が文句をつける。
その時の「(里中が)また迷子の子犬みたくなっちゃったじゃねえか」と言う表現に笑う。30歳になる男がこんなに可愛いというのもねえ(まあ勝地くんもきっと30になっても子犬系なんだろなという気はしますが)。
しかし小泉さんビジュアルも雰囲気もはまりすぎです。ご本人もこういう人なんだろか。

・春子が企画を出す気がないと聞いた東海林が「よかった・・・それならいいんだ」と本気でほっとした顔をしてる。実は春子に企画を出される→負けるのを危惧してたんでしょうか。

・「とうかいりん主任」「だいぜん、しゅんこさん」の音読みバトル。回を追うにつれ、週替わりネタの目玉が春子のびっくり資格より二人の言い争いのバリエーションに移ってきてる感があります。このへん、視聴者の反響を見ながら調整していってるんでしょうね。
「俺だって何でいつもここにいるんだかわかんないよ!」という東海林の台詞も、「働かない会社だな」同様、視聴者の疑問(ツッコミ)への回答ぽく聞こえますし。あるいは大泉さんのアドリブか?

・東海林がセキュリティシステム見直しを提言した警告書の件で桐島からお褒めの言葉を。第二回で出てきたエピソードが今になって再び取り上げられ今後のストーリーの伏線として機能するのにちょっとしたカタルシスを覚えた。
この警告書横取り事件に表れる東海林の考え方は会社の考え方でもあることが、このあとの展開ではっきりしてゆきます。

・東海林が近くん&春子の功績を自分の手柄にした件に対し、腹を立てる美雪と近くん、平然としている春子、春子と近くんに報いるべきだと東海林をたしなめる里中。
このそれぞれに異なる反応が、このあと同じくハケンである美雪の企画の扱いにもそのまま反映されてゆきます。

・春子の「また来るわよ!」の言葉の直後に東海林登場。ついさっき「二度と来ない」って言ったばっかりなのに(笑)。
そして美雪の「頭くるくる」発言に文句をつける。ポイントはそこかい。

・ハケンは時給以外の名誉や見返りを求めてはいけない、という春子の意見に全面賛成する東海林と反論する里中。
春子と東海林はハケンと正社員という立場は違えど、両者をきっぱり区別する考え方は一緒。しかし今回の話の中で春子はこれまでかたくなに守ろうとしてきた(でも少しずつ破れ目の生じていた)ハケンとしての立場を少し逸脱することになる。
おそらくその原因は里中への「期待」にあったんじゃないでしょうか。

・浅野は美雪が企画を出すことを支持し、里中に企画書の存在を告げる。彼が美雪への好意と、里中の影響もあって、美雪を「ハケンだから」と別枠で扱ってないのがよくわかる。
しかし「僕にできることがあったら手伝うから」って浅野自身は企画書書かないのか。

・美雪のアイデア「派遣弁当」。「ハケンが安心して食べられる安くて美味しいお弁当があったらと思って」との彼女の言葉は、第三回の2000円ランチ、第五回のハケンは社員食堂の割引が使えない話、第六回の義理チョコなど、食べ物関連でのハケンの懐の痛み具合を示すエピソードの集大成という感じ。
ストーリーが収斂されてゆく感覚が心地好い。

・「企画はお前の名前で出せ」「どうして」「だからあ~」。8年から会社にいながら里中の空気の読めなさは大したもの。
おそらく彼は本当に正社員とハケンの区別のあり方が理解できない。雇用形態が違うのはわかる、しかしそれは違いであって優劣ではない。そう考えている。
それは少し後で「ハケンの名前で企画を出すこと自体おかしいだろうが」と部長に言われて「そうでしょうか?」と首をかしげ、里中の名前で出すべきだという東海林の言葉にも「やっぱり間違ってるよ」と答えるところにも表れています。
そして本来は里中の考えこそが人としての正論なんじゃないか。能力や勤務態度でなく「派遣であること」を理由に正社員と区別―正社員より低い存在と見なす―のは職業差別である。ましてやこの場合「社内外を問わず」と要綱にあるのに機会を奪われているのだから。
現在の会社組織では東海林が言うとおり里中の考え方は通らない。しかし人としての正論が通用しないならそれは会社のあり方の方が間違っているのではないか?
あまりにも人の良すぎる里中のキャラの描き方は、このテーマを問い質すために用意されたもののように思えます。

・東海林の企画「ツネさんVSハルちゃんどっちが解体うまいでショー」。
本気でこの企画一ヶ月暖めてたのか?なのに「タイトルに全く知性を感じません」の一言であきらめちゃっていいのか?「ハルちゃん」の写真もいつのまにとったのやら。

・小笠原さんが派遣弁当の企画に関して、定食屋で話を聞いたらどうかと提案する。
マグロ解体ショーや塩むすびの時は単なる感想や雑談を東海林なり里中なりが企画の形にしてくれたが、今回の発言はちゃんと理の通った「提案」。
第五回の事件を通して、彼がかつてのようなやる気を取り戻しているのがその生き生きした表情からもうかがえます。

・「ようじ屋」と近くんの意外なつながり。「保育園のパパ友達」というのはハケンならでは、とは言わないまでも一般の男性会社員ではあまり生じないたぐいのコネであり、一つの企業に長く留まらないぶん社内の関係調整には不利なハケンの、一面での優位性を提示しているシーンです。

・春子ほど孤高を貫きはしてないものの、ハケンらしくちょっと皆から距離を保っているドライな近くんが、里中と小笠原に頼まれたとはいえ比較的あっさりと美雪の企画に協力する。
やはり最初の警告書騒動で再び東海林およびハケンの手柄が正社員に奪われる状況への怒りが強まってるからなのでしょう。

・ようじ屋でのリサーチ中、子供のもんた(紋太?)くんが泣き出し、それを聞きつけたお母さん(まちゃまちゃさん)が登場しマーケティング課の一行を追い返そうとする。
ここの場面を予告で見たとき、てっきり彼女は近くんの奥さんなのかと思ってしまった(地震の場面とチョコ談義の中で彼の家庭・奥さんの話が出たあとだったので余計に)。
しかし定食屋のおかみさんとしてはすごいビジュアル。保育園の送り迎えがパパ担当(パパ友達という表現からして)ということはママはよそで働いてるのだろうか。今まで店のシーンで見かけたことないし。

・春子が謎の歌?でもんたを泣き止ませる。春子いわく「お母さんの胎内にいる音を歌にしてみました」。さすが助産師。
そしてお母さんは同じ歌を口ずさみながら奥へ引っ込んでゆく。何かが通じ合ったらしい。

・派遣弁当改めハケン弁当の企画書を誰の名前で出すつもりかとの春子の問いに、小笠原が「森美雪とマーケティング課の仲間たち」との名称を提案。
「仲間たち」の牧歌的響きは置いとくとして、新人の浅野はともかくベテランの小笠原までハケンの美雪の名で企画書を出すことに抵抗がないらしいのに驚いた。世代的に小笠原は同僚や後輩がリストラされてハケンが取って代わるのを経験してるはずで、東海林のようなハケン嫌いになっていてもおかしくないのに。
ハケン・社員問わず若い子はみな孫みたいなスタンスなのかも。前に美雪も「小笠原さんといると自分がハケンだってこと忘れる」といってましたしね。この里中にも似た「人情」が彼が出世できなかった原因な気がします。
余談ながら小笠原が名称案の2つめ(「大前春子は除く」)を口にするとき浅野くんと近くんがこくこく頷いてるのが何か可愛いです。

・里中がこれまでの話の流れにもかかわらず「発案者は森くんなんだから、森くんの名前でお願いします」と言ったとき、浅野がちょっと驚いた顔をしてる。
わざわざ席を立ち春子を正面から見据えて発言する里中のいつにないはっきりした語調に強い信念のようなものを感じたのだろうか。

・春子は里中のパソコンあてに「里中賢介」名義にした企画書を送信する。
後の桐島との会話でわかるように、春子はこの後の里中の行動とそれが引き起こす事態を予測していた。いっそ里中を経由せず直接企画書をコンペに提出してしまえば騒ぎを防げたかもしれないのに(もちろん上司である里中に一旦提出するのが筋でしょうが、状況いかんでは横紙破りもするのが春子なので。企画の中身についてはちゃんとチェックを経ているし)。どうも春子はわざと里中に最終決断の余地を残すことで彼を試していたように思えるのですが。
ただ企画がコンペ上位に入った時点で「あれ里中主任の名前で送ったのに」「夕べ森くんの名前で送り直しました」というやりとりがあるので、春子がすでにデータ送ってた(里中が上書きした)ようでもある・・・。

・「部長、匡子と企画の最終打ち合わせでイタリアンレストランに行ったよ」。
東海林が黒岩を名前で呼び捨てにしてるのが発覚。まあ同期だし特に不自然でもないけど、黒岩さん的には東海林に名前呼びされてドキドキしちゃったりもするんだろうか。存外女っぽい人だからな。 

・「考えてみたらさ、あのとっくりが来てからろくなことねえんだよな。部長の寵愛を一身に受けていたあの頃の自信と誇りはどこへ行ったんだよ」と現在の自身を慨嘆する東海林。
まあ「寵愛」うんぬんは自分でいう事なのであてにはなりませんが、彼が春子がらみだとおよそ平常心を欠いてしまうのは確か。それがツネさんの怪我やバレンタインイベントの失敗にも繋がっている。

(つづく)

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