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俳優・勝地涼くんのこと。

『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazar-』(4)ー0

2024-11-29 22:15:20 | ガンダム00

 前回で映画版のレビューは一応終了なのですが、『ガンダム00』という物語自体をもう少し深掘りしてみたくなったので、来週以降でまたつらつら感想を書き綴ってみようと思います。勝地くんもデカルトも登場頻度少なめになりそうですが(汗)。

 というわけで、お付き合い頂ければ幸いです。


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『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazar-』(3)-11(注・ネタバレしてます)

2024-11-22 08:56:16 | ガンダム00

・エンディングテーマの後に再び物語が。西暦2091年のどこかの島らしい海沿いの風光明媚な場所。そこに立つ家の一室で主と客人とが会話している。
いくつものコンピューターのモニターが並ぶ間に金管楽器が立てかけてあったりして、この部屋の主がひたすら研究人間というだけではないのだと思わせる。客人の後ろにもコントラバスっぽいケースが立てかけてあるし、そばには描きかけの絵もあって、むしろ非常な趣味人といってよい。というかイオリアさんどれだけ多才なのか。
この客人、声といい顔といい(顔は大分大人びてはいるけど)明らかなリボンズ・アルマークと同じ遺伝子の持ち主。エンディングの声のキャストで彼の名前が「E・A・レイ」であることが確認できます。これは声優さんつながりで初代ガンダムの主人公アムロ・レイを意識した名前ですね。

・客人は部屋の主=イオリア・シュヘンベルグのさまざまな発明を「我々人類を豊かにする大変な技術だ」と褒める。リボンズの顔と声で「我々人類」と言われるとちょっと変な感じ(笑)。

・しかし褒めたあとに続けて「でも、君は人間嫌いで、こんな孤島にひとりで過ごしている」とツッコむ。人類に役立つ研究をさまざま発明し、後世にイオリアの名前が一応残っていたところを見るとせっかくの理論を人嫌いがたたって表に公表していなかったわけではなくちゃんと形にして役立ててはいた模様(そのわりに少なくとも顔が有名じゃないのはまさに人嫌いで孤島に引きこもっていたゆえだろう)。
だからこれは人類に役立つものをさまざま発明するほど人類のためを考えてるわりに人間嫌いとは矛盾していないか?という意味でしょうね。

・友人の言葉にイオリアは「私が嫌悪しているのは、知性を間違って使い、思い込みや先入観にとらわれ、真実を見失う者たちだ。それらが誤解を呼び、不和を呼び、争いを生む・・・わかりあわせたいのだよ、私は」。
このイオリアの言葉は巨大ELSの中で刹那とティエリアが言っていたこととほとんど一緒。刹那たちが正しくイオリアの意思を継いでいることがわかります。

・一気に西暦2364年に。地球・月・ELSの花を緑色の点線のようなものがうっすら繋いでいる(脳量子波?)。そしてその花びらの一つの上に稲光のような線が二本走り、花びらとその下には何らかの機械というか施設が取付けられている。
少し後でわかるように、人類は外宇宙へ乗り出すへあたっての橋頭堡としてELSの花を利用しているそうなのだが、これってELSの体の上にじかに設置しているってことじゃ?人間だってときどき小鳥が頭や肩が止まりに来る程度なら微笑ましいと思えても、頭の上に巣を作られて複数の鳥がしょっちゅう出入りするとなればいかに鳥好きの人でも我慢できないのでは。
それを許しているELSはものすごく寛大なのか、鈍いのか、そのどちらでもない(そういった人間的尺度を超越している)のか。

・その施設のそばを飛行するピンク色の機体。そこに「ごらんください。地球連邦が誇る最新鋭外宇宙航行艦「スメラギ」の雄姿を!」という実況中継の声とおぼしき音声が流れる。
「スメラギ」という名称は明らかにソレスタルビーイングの指揮官だったスメラギ・李・ノリエガにちなんだ名称ですね。50年前にソレスタルビーイングの映画が作られるくらいで当時ソレスタルビーイングは一種ヒーロー扱いになってたようなので(加えてELSとの対話を実現させることで人類を滅亡の危機から救ったのがソレスタルビーイングのガンダムマイスターの一人なのも知られているのかも)、その指揮官の名前が外宇宙航行艦につけられたとしてもそう不思議ではない。
あとビリーがこの艦の建造に関わっていて、過去の女の名前をこっそり付けたのではという意見を見たことがありますが、これもありえるかも。

・「数時間後、この船は外宇宙に向けて、長い長い航海へと旅立つのです!」 これが初航行ということか。アポロ11号月面着陸くらいの人類史上に偉大な一歩ということですね。

・「乗組員は長旅に耐えられるよう、すべてイノベイターで構成されています」。身体能力や寿命の関係で仕方ないとはいえ、イノベイター以外の人間はどれだけ望んでも能力があってもこのプロジェクトからははじかれてしまったということで、普通人とイノベイターの間に軋轢を生みそうではある。
逆にイノベイター側から見れば、辛い苦しい仕事はイノベイターに回ってくる、差別だ、とも取れるかもしれない。変に衝突が生まれてないといいのだけど。

・「全人類の4割がイノベイターとなった今、さまざまな問題をクリアし、我々はついにこの時を迎えたのです!」。何かしら周囲に指示を与えてるぽい女性の顔はかつてELSに融合された少女のもの。水島監督のインタビューによると、彼女がスメラギの艦長なんだそう(※1)。当時は右半身が結晶化していた彼女だが、今は顔の右側面と右側の髪の毛がうっすら銀色がかってる程度。体もそんな感じだろうか。
しかし彼女、50年経つのに見た目が当時と全く変わらない。イノベイターは人間の半分くらいのペースで年を取るらしいのに、さすがに若すぎるのでは?もっとも彼女の場合ELSと融合しているのでまた少し条件が違うのかもしれない。ラストで登場する刹那も全然年取ってなかったし。
ところでELSと融合して生きている人間て彼女のほかにもいるんでしょうか。研究所に彼女が収容されていた時の感じだと、ELSに融合されてともかくも生き延びたまれな事例という感じでしたが。またELSと融合した人間は人格的にはどの程度ELSの影響を受けるのか。彼女の家族は彼女を変わらず受け入れられたのか。いろいろ気になるところです。

・「私も専従特派員として、この船とともに出発いたします!」この言い方だとスメラギに乗るのではなく、別の船で同行するのだろうか。外宇宙航行に耐える船がこの時点でそうそうあるとも思えないので、言い方のニュアンスだけでこの艦に乗り込むと見た方がよいか。
そして笑顔で話すレポーターの後ろをティエリアが飛んで行く。一瞬驚くが、これはティエリア本人ではなく、ティエリアタイプのイノベイドでしょうね。イノベイドも今なお現役で人間の発展を支えているわけだ。
ちなみに映画の中では出てきませんが、小説版によるとこのレポーターの名はイケダ三世。ファーストシーズンからずっと登場している(映画にも出てる)フリージャーナリストでカタロン構成員だったイケダの孫だそうだ。確かにもじゃもじゃ頭が似ている。このイケダ三世もこの艦に乗るもしくは別艦で同行する以上は当然イノベーターなんでしょうね。

・「それではここで1200人の乗組員を統括する最高責任者、クラウス・グラード氏のコメントをお聞きください」。ここで「Live」と書かれた別画面が現れ髪も髭も白いが矍鑠とした老人が映る。
80才を超えているだろうにそうは思えない若々しさ(60代くらいに見える)と全員イノベイターのはずのこの計画の責任者というところからすると彼もイノベイターになったのか。ただ最高責任者であって艦長ではないから、この艦に乗船するわけではないのかも。このコメント映像も別画面なのは艦の中にはいないという意味合いなのかもしれないし(もちろん艦内の司令官室的な場所という可能性もある)。
ただ彼がイノベイターになったとするとシーリンは?一緒にイノベイターに覚醒できていればいいが、そうでないと寿命や見た目の年齢が離れてしまう。人類の4割がイノベイターという状況のもとで夫婦・恋人同士の片方だけがイノベイターになってしまったというような事例は多発しているのだろうな。

・ここでスメラギ艦内の映像が引いていってテレビに映っている画面となり、そのテレビのある家の様子に切り替わっていく。画面の右上に「JNN」の文字。これはかつて沙慈の姉、絹江・クロスロードが勤めていたテレビ局の名前。地球連邦成立、アロウズによる徹底的な情報統制などの激動を経て、50年以上経っても健在なんですね。

・テレビをつけっぱなしにしたまま、オルガンを弾く老女の姿。質素だが綺麗に片付いた室内。オルガンの上には古い集合写真と花瓶にさした一輪の花(もちろん例の花)がある。オルガンが面している窓の向こうには山脈と草原が見え、一見してアザディスタンだとわかる。
これが年老いたマリナだというのは明白ですね。しかし世紀の大事業の生中継、旧友といっていいクラウスもテレビに映ってるのに関心ないのかな。逆にいよいよ人類が外宇宙に乗り出していくということでこの時代の礎を築いた刹那を改めて思い出し、彼や人類への思いを込めて一曲弾きたくなったのかしら。

・花の咲き乱れる小道を歩いてくるパイロットスーツ姿の人物の足が映る。歩く時にガシャンと金属質の音がする。パイロットスーツが青いことからいってもこの人物が誰なのかすぐわかる。
しかしマリナ大分人里離れた所に住んでるのね(近所に建物が何もない)。そんな行き来しづらい場所ではなさそうだけども。

・ここで初めてオルガンを弾く老女の顔がはっきりと映る。目を閉じ穏やかな微笑みを浮かべる顔は年はとってもマリナ・イスマイールのもの。
オルガン上の集合写真は中年のマリナを囲んで正装した20代くらいの男女6人が映っている。おそらくカタロンの施設でマリナが面倒を見ていた子たちの成人した姿ですね。マリナの誕生祝いとかそういった席に集まってくれた時の写真でしょうか。

・何か気配を感じてオルガンを弾くのを止めたマリナは真顔で少し考えてから「どなた、かしら?」と立ち上がる。この時も目を閉じたままなことから目が悪いのだろうとわかる。動きもよろよろと大儀そうで、彼女の年齢を感じさせる。
しかし「どなた、かしら?」の声が老女としか聞こえない。これマリナの声優さん?演じ分けが凄すぎる。

・「ごめんなさい、私、目が不自由で」。この年の取り方、弱り方からして彼女がイノベイターになってないのは明らか。この映画の一番優れたところの一つはあれだけ他人とわかりあいたいと望んでいたマリナをイノベイターに覚醒させなかったこと。
デカルトの例でもわかるように、イノベイターとしての能力があったら他人とわかりあえる、受け入れられるわけじゃない。肝心なのはイノベイターであるかどうかより、わかりあおうとする心の方だというのがマリナの存在をもって示されています。

・「マリナ・イスマイール」といつものフルネーム呼びで声をかける刹那。しかし何もいわずいきなり家に入ってくるのか。マリナのことだから家にチャイムとか鍵とかなくて誰でもいつでも入ってOKな状態にしてても不思議ないですし、ファーストシーズンで突然夜中にマリナの寝室を訪れた刹那らしいっちゃらしいですが。
それにしても入口で声くらいかけてもなあ。まあマリナとの50年ぶりの再会の第一声が「ごめんください」ってのもアレなんですけど。

・「そ、その声は、まさか」。驚きながら正面に向き直るマリナ。彼女の前に立ついつもの青いパイロットスーツの刹那。しかしそのスーツは微妙に銀色味を帯びている。
カメラが上にパンしていって刹那の顔の鼻くらいまでを映し、肌もうっすら銀色がかってること、髪は完全に銀色なのを示す。近づいてくる足音がまたガシャンガシャンいってるし。彼もまたELSと融合したのがわかる場面。あの女の子も歩く時こんな音するのかな。

・「こんなにも長く時間がかかってしまった」「すれちがってばかりいたから・・・」。うっすら微笑むマリナ。「だが、求めていたものは同じだ」とマリナの手を取る刹那。
「君が正しかった」今まで聞いたこともないほど穏やかで優しい声音。マリナを「君」と呼ぶのもこれが初めて。今までは「あんた」「おまえ」、ファーストシーズン最後の手紙の中では「あなた」だったのが、対等ないしは目下の者に対する一定の敬意と親しみを込めた二人称である「君」になった。
マリナは涙を流しながら刹那の手を両手で包み「あなたも、間違っていなかった」という。「俺たちは」「私たちは」二人で「分かり合うことができた」。最後の一言を同時に言いながら微妙に声がそろわないのがかえって自然。
どちらからともなく抱き合う二人。これは恋愛感情的な意味合いではないでしょう。むしろそうした誤解を生まないために最後マリナを老女設定にしたのかも。二人の間の、そして二人が他者に向ける感情はもっと人類愛的な、というより神の愛に近いもの。一人の人間に対して向けられるものではなく、フェルトが刹那を指して「あの人の愛は大きすぎるから」と言ったのがまさにそれ。
マリナも同様に個人に向けるには大きすぎる愛を持っている。飾ってる写真が家族写真じゃないことからいっても(刹那を待ってたからとかではなく)独身だったんじゃないかなーと思ったらやはり小説版で「彼女は結婚もせず、子ももうけなかった。ひとりの子の母になるより、アザディスタン王国に住む全民衆の母になることを選んだのだ」とありました。
二人は同じように人と人とがわかりあえる世界を切望し、人を愛した。そうした同士愛というべきものがずっと二人の間にはあったのだと思います。最後の抱擁は目指すものは同じでも方法論が違うゆえに共に歩むことはできなかった二人が最後に「わかりあうことができた」ことを示すもの。
お互いに恋愛的な関心ではないからか刹那はマリナが年老いたことへの動揺は(恋愛感情があるなら、50年経ってるのだから年を取っていることはわかっていても実際目の前にすると変わりぶりにそれなりにショックを受けたりするだろう)全くなく、マリナも刹那が半分金属化してることへの動揺はない。マリナの目が見えてたら、彼の銀色の姿に一瞬だけ驚いたあと平然と受け入れる、彼の外観など気にしてないのがより浮彫りになったと思うのでちょっと残念。

・外に止まっているクアンタの全身が小さな花で覆われてゆく。もはや役目を終え、花という平和のシンボルの一部になったということでしょうか。
小説版によると、刹那が去った後も世界各地で争いはなくならず、大戦に発展しかけた時はクラウスとシーリンの息子が世界の歪みを正すために戦火に身を投じ、彼に共鳴してビリーとミーナの間に生まれた子供も参戦し、ソレスタルビーイングの誰かしらも彼らとともに戦ったとのこと。
戦いを止めるための機体であるダブルオークアンタが刹那ごといなくならなければ戦いを止められていたのか。そうした戦いもイノベイターの数が増えるなかで相互理解が可能になってなくなっていったのだろうか?正直人間同士がわかりあうより、基本的には非好戦的で意思の統一が取れているELSとわかりあう方がまだしも楽なような気もします・・・。

・クアンタが花で覆われるラストシーンの端にセカンドシーズンの最終回と同じく英語でメッセージが書かれている。「Peace cannnot be kept by force. It can only be achieved by understanding」。平和は武力によっては維持できない。それは理解しあうことによってのみ達成される。アインシュタインの言葉だそうです。

 

(※1)―『機動戦士ガンダム00と、二つの「対話」(前編)』(https://ascii.jp/elem/000/000/574/574526/3/)


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『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazar-』(3)-10(注・ネタバレしてます)

2024-11-15 17:36:33 | ガンダム00

・情報の奔流に苦しみ叫ぶ刹那にティエリアはこの情報の奔流は自分とヴェーダで受け止める、彼らの本質を、思いを、受け止めろと言う。
苦しみに耐えて目を開いた刹那に数々のヴィジョンが映る。宇宙空間を遥かに進んでゆき、少し木星に似ているある惑星がクローズアップされ、さらにその中深くへ視界が潜っていく。
赤っぽい海の中で生まれた無数の結晶状の生物。その結晶同士が緑色に輝く光でうっすら繋がっているのは脳量子波なのか。やがて小さな太陽の下の厚い雲を抜けた遥か下方(海で生まれた生物が陸地に上がった?)、小さな結晶がたくさん融合してある程度大きな結晶体を形成する。そうした結晶がいくつも存在している世界に稲光が走る。
惑星が何度も自転し(何年何十年も時が過ぎたという表現でしょう)惑星の表面に大きな目のような物が現れ縦方向にリング様のものも現れる。長い年月の間にELSはさらに融合を繰り返し、ついに惑星全体がELSになったということなのでしょう。彼らの最繁栄した時期でしょうね。

・さらに年月が流れるうち、彼らにとっての太陽が巨大化して彼らの星を飲みこむほどになりさらに爆発する(恒星が寿命を迎える時、小~中くらいの星なら巨大化してから小さく萎み、大きな星なら巨大化した後大爆発=超新星爆発を起こした後に萎むかブラックホールになるかする)。小型のELSが次々焼き尽くされる中、巨大な球形のELSは命からがら炎から脱出。
最初これは燃え尽きようとする惑星から脱出したELSの群れだと思ってたんですが、少し後でティエリアが「彼らの母星は死を迎えようとしていて」と言っている。ここで燃え尽きてしまっていたなら「死を迎えた」になるはず。つまりあの炎から脱出した球体はELSと一体化した彼らの母星そのものだったっぽい。瑪瑙のような縞模様がなくなってるのは太陽の炎熱のために水分が蒸発した他の変動があったためだろう。
惑星そのものもそこに一体化したELSも何とか無事で、太陽もすでに爆発してしまったのならこれ以上膨張した太陽に焼かれることもない。なぜなお母星は死を迎えようとしているのか。おそらくは太陽がなくなってしまったゆえでは。太陽が近くに存在する惑星上で誕生した生命体だけに、人類同様太陽なしでは長く生息できないのでしょう。
母星ELSから球形ELS(いわゆる巨大ELS)が分離するシーンの少し前に白い小さな星が縦に光を放っていますが、おそらくあれが超新星爆発後に萎み白色矮星となった元太陽で、あの弱弱しい光ではとてもELSの生命の糧には足りない。というわけで新たな太陽を探して惑星ごと移住するために探査隊として巨大ELSを送り出した、という流れなのでは。

・旅だった巨大ELSはさらに小さい光(より小さい球形ELS?)を4つ分離させる。少しでも早く移住先を見つけるために手分けして探そう、ということなんでしょうね。
そうしたうちの一つが木星に辿り着いてエウロパを見つけ地球に飛来し、ここは良さそうだと巨大ELSを呼び寄せたものと思われます。

・ELS誕生から旅立ちまでの歴史を離れて見ている刹那とティエリア。「そうか、彼らの母星は死を迎えようとしていて、生き延びる道を探していたのか」とティエリア。「繋がることで、一つになることで、相互理解をしようとしていた・・・」と刹那。
彼らが語りながら見ている前で、ELSがつぎつぎ小惑星にとりついている。地球みたいな星に取りつき、あっと言う間に星全体が銀色に埋め尽くされてしまう(中に生命体がいたならどうなってしまっただろう?)。クアンタが対話に成功していなければ遠からず地球もこうなっていたのかな。
あの銀色の星にそのまま住みつかず、地球方面にやってきたということは、ELSが住みやすくするための侵食が仇になってかえって彼らにとっても住める環境じゃなくなってしまったのか。それともあの星だけではELS皆が暮らすには足りず他にも惑星が必要だとなったのか。
小説版によると「エルスたちは惑星に取りつき、自分たちの住環境を整えるために侵食を開始するが、その惑星は彼らの荷重を支えきれず、金属の皮膜に全体を覆われ、死へと向かった」とのこと。

・「行こう、彼らの母星へ。俺たちは分かり合う必要がある」という刹那に「いいのか?」とティエリアが尋ねる。
長い旅になるのは必定、しかも誰も行ったことのない宇宙の果て。ティエリアが一緒だとはいえ不安で孤独な旅になる。そしてフェルトにもマリナにも、ソレスタルビーイングのクルーにも二度と会えなくなるかもしれない。
イノベイターの刹那は年の取り方がゆっくりのはずだから何十年単位の旅にも耐えられるだろうが、普通の人間は寿命が尽きてしまうかもしれないので。それでもいいのか?という意味の質問でしょう。

・「いいも悪いもない。ただ俺には生きている意味があった」。
前半と後半が繋がってないような回答ですが、「いいも悪いもない」とは、行きたい行きたくないという感情はさておいて自分には行くという選択肢しかありえない、迷う余地はないということ。これは自分にしかできない、自分がやるべき仕事であり、それが自分の存在価値、「生きてる意味」である、というのがこの言葉の指すところでしょう。
すでにアレハンドロ・コーナーの野心を挫き、その背後にあったリボンズ・アルマークの野望を実質彼の傀儡であったアロウズごと葬り去った。刹那の人類に対する貢献度はとてつもなく大きいはずですが、刹那にとってはなお幼い頃に両親を殺した、その後も誤った信仰のために、ソレスタルビーイングに入ってからも自分たちの信念のために、やむなく人を殺してきた自分を赦すには足りなかったのだろう。
ようやく相手を殺すのでなく和解する、わかりあうという形で戦いに幕を引くことができた。ずっと“わかりあいたい”と望み戦争根絶を目指してきた刹那は初めてそれを果たせたことに今までにない充足感を覚えたのはないか。
だからこの相互理解をより深く確かなものにするために、ELSの本当の真髄部分と対話しなくてはならない(今回対話した巨大ELSはあくまでも出先の部隊の指揮官クラスなので。脳量子波を通じて地球圏で起こったことは筒抜けでしょうが、やはり親善大使が出向いて直接話をすることに意義がある、という意味合いと解釈してます)。
刹那にとっては辛くともやり甲斐のある、自己肯定感を与えてくれるミッションだということですね。「生きている意味があった」と口にする時の刹那の声に万感の思いが滲んでいます。

・「みんな同じだ。生きている」「生きようとしている」。刹那とティエリアの声に重ねてその頃のプトレマイオス。ELSに激しく侵食されたサブブリッジで今にも自分たちも飲み込まれそうな状況の中寄り添って立つイアンとリンダ。モニター越しに両親の危機を見つめ泣きじゃくるミレイナ。娘を少しでも安心させようとするのかリンダが穏やかに微笑んでいるのが切ないです。
それでもかすかに涙ぐんで何か話しているのは別れの挨拶と強く生きろといった励ましを口にしてるのでしょうか。

・巨大ELSの外へ出ようとするクアンタ。ソードを使って脱出口を開けようと構えると、自動的に脱出口が開く。ELSが開けてくれたのは明白ですが、和解したにもかかわらず穴開けて出るつもりだったのか(苦笑)。

・「だが、なぜこうもすれちがう」と刹那の独白。機体の半ばが侵食されたハルートからマリーが、ついでアレルヤが宇宙服で脱出。その最中に機体が爆発。吹き飛ばされる二人。アレルヤ脱出直後だけど大丈夫だったかな。

・「なまじ、知性があるから、些細なことを誤解する」「それが嘘となり、相手を区別し、」「わかりあえなくなる」。
ELSの外に出た刹那がソードを投げ捨てると少し離れた前面に丸い輪のような空間が浮かぶ。続いて刹那は何らかのシステムを起動させる。
その頃サバーニャは片足を失いながらもなお交戦中。「アニューとだってわかりあえたんだ。おまえらとだって!」戦いながらもロックオン的には和解の意思があるようだ。
イノベイド、つまりは姿は人間と変わらず、しかも自分自身でも人間だと思いこまされていた―メンタリティが人間と変わらなかったアニューと金属異性体を同列に相互理解可能と考えるロックオンもすごい。それだけアニューとわかりあうのが困難だったというか、彼女がイノベイドとして覚醒させられてしまい、話が通じなくなった時の絶望感が大きかった(彼女の正体をうすうす察していたとはいえ)裏返しなのかもしれませんが。

・高軌道ステーションで文字通り額に汗して懸命に働く沙慈。沙慈が作業してる数十メートル後ろでモビルアーマー?が宇宙空間に向かってくりかえし射撃している。たぶん向こうに見える星屑みたいなのがELSなんだろうな。結構危険なのねここ。そのころ脳量子波遮断施設で祈るように手を組むルイス。生きるために、周りの人を生かすために、皆がそれぞれの場所で自分にできることを一生懸命やっている姿が心に沁みます。

・目の前の丸い空間―ゲートに入ってゆきそのまま姿が消えるクアンタ。最初ELSが用意した異空間への入口(木星に突如出現し大勢のELSが現れた穴=ワームホールのような)なのかと思ったのですが、ゲートの周囲にクアンタの部品が固定されているのと、さっき刹那が何かシステムを立ち上げていたあたりからすると、これもクアンタの機能の一部なんでしょうね。
小説版によると「GNソードビットを機体前方に集めて、円形のフィールドを完成させる。そのフィールドは、ビームを防ぐためのものではなく、量子ジャンプを行うためのゲートだ。」とのこと。

・クアンタが消え、ゲートも消えた後にGN粒子が青白く輝く二つの輪になり波紋のように広がってゆく。この二つの輪は∞(無限大)のようにも英字のO(オー)を二つ並べたようにも見える。このシーンで気づきましたが、おそらく作品名であり刹那の機体名でもある00(ダブルオー)はGNドライブを二つ積んでいる=ツインドライブであることからの命名ではなく(というかそちらは後付け)、無限大の能力を秘めていることを示唆した名前だったのでしょうね。

・波紋の広がりを契機としてか、ELSがいっせいに戦闘も侵食もやめて一か所に集まってゆくのをパイロットスーツ姿のコーラサワーがぽかんと見ている。無事でよかったわ。不死身伝説は無事継続中だった。

・目の前の機械類がELSに呑まれつつあったイアンとリンダ、結晶化したELSがすぐ頭上に迫っていたマネキン、その後方奥の離れた場所に立って寄り添いあっているビリーとミーナ、みな侵食が突然止まったことに驚く。
ミーナが「ビリー、見て!」と驚きの声をあげ遠くを指さす。ビリーは「なんという現象だ」と息を呑み、マネキンもプトレマイオスのクルーもみな呆然。「これって・・・」「嘘だろ?」「これは・・・」。
すぐ後のシーンで彼らを驚かせた「現象」とはELSが花の姿になったことだとわかりますが、最後のフェルトだけは少し驚きのニュアンスが違う気がする。フェルトもこの後のマリナと同様その花が何の花なのか、なぜ和平の意思の象徴としてこの花が選ばれたかを察したからでしょうね。スメラギがフェルトの方を見てるから彼女もこの花の由来をわかっているのかも。

・大統領たちもアザディスタンの王宮に避難していた人たちも皆驚きに目を見張る中、バルコニーに立つマリナは穏やかな中に強さを感じさせる笑顔で「見えるわ刹那、あなたの思いが。そう、たったそれだけのことで、世界は一つになるのね」。
ここで青空にうっすら浮かぶ月に少し離れて黄金色の大きな花が咲いている姿が初めて映る。ずっと宇宙空間のシーンが続いていたので、久しぶりの青空が本当に晴れ晴れとしたハッピーエンドの空気を盛り上げます。
パンフレットの水島監督と脚本の黒田氏の対談によると「一輪の花はTVシリーズの時から、平和の象徴としてOPやEDを含め、平和や命を象徴するものとして繰り返し描いてきましたから」(監督)、「刹那の根源的な部分にエルスが触れた結果があの花なんです。戦場で花を踏みつけにするようなところからスタートした少年が、“花”の大切さを示す、というのがポイントかな、と。」(黒田氏)とのこと。

・宇宙空間から見たELSが集まった花の姿。少し向こうに月、さらにその先に地球。結局ELSはこの場所に定住したということでいいんでしょうか。太陽さえあれば惑星に依る必要はないのかな。
滅びに瀕した故郷を脱出してボートで流れ着いた難民に「上陸は認められません。でも我が国の領海内でボートのまま生活することは許します」と言ってるようなもんじゃないのかこれ。この場合難民の方がよほど強いのに、よく不利な条件で納得してくれたよなあ。
まあ生身(彼らにとっては)のまま宇宙空間を移動できるくらいだから、別に苦にならないのか。ここに定住と決まれば母星呼び寄せてもいいんだし(惑星なんて大きなものが丸ごと移動できるのかという疑問はありますが)。

・そしてELSが戦闘も侵食もやめ花の形に集まったのは刹那が巨大ELSの中に入り対話に成功した時点ではなく、刹那が量子ジャンプで彼らの母星へと旅だったあとだった。
つまりジャンプする距離は長くとも一瞬で刹那は母星ELSにたどり着き、ここでも対話を成功させ、その時点をもって地球人とELSの和平が結ばれたということなのか。巨大ELSと対話した段階で停戦くらいしてもいいと思うのだが。その数分?の間に死んだ人もいるだろうに。
そういえばクアンタムバーストが発動したにもかかわらず、セカンドシーズン終盤のトランザムバーストの時のように、この宙域の人間たちの心が繋がりあったような気配はない。巨大ELSの中が閉ざされた空間だったということか、クアンタムバーストはトランザムバーストに比べ(より威力は強力になってるんだろうが)指向性が強くてELSに対してのみ対話のチャネルが開かれたということなんだろうか。

・サバーニャのコクピットから出てきたロックオン(とハロたち)が驚いた顔で、アレルヤとマリーは抱き合いながら笑顔で、中央のおしべ?から脳量子波を放っている金色の花を見つめる。
スメラギやフェルトも笑顔、大統領やマネキンは厳しい表情から泣き出しそうな笑顔に変わる。この時点でまだマネキンはコーラサワーの生存を知らないんじゃないかな。
そして変わらず穏やかな笑顔のマリナの姿を最後にエンディングが流れる。ここで映画が終わったと勘違いした人も多かったのでは。一応物語に決着はついてるし。


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『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazar-』(3)-9(注・ネタバレしてます)

2024-11-08 07:20:37 | ガンダム00

・苦戦の続く連邦軍。それでも冷静かつ迅速に指揮をとり続けるマネキンが、通信の着信音に「パトリック!」と声音が変わる。珍しく動揺が明らかで彼女がなんだかんだ言ってコーラサワーを愛しているのを感じます。
「いやあ、ドジりました。幸せすぎて不死身じゃなくなっちゃったみたいです」と困ったような笑顔で頭をかくポーズのコーラサワー。「死んでも帰るんだよ。大佐の元に!」と言ってた彼が死を覚悟するんだからいよいよやばいんだろうと思ったら案の定コクピットにはすでにELSが入り込んでるのが見える。
「今すぐ脱出しろ!」と当然マネキンは指示するが、やはり困ったような笑顔で「それが、無理なんです」といううちにもどんどん侵食度が上がってゆく。すでに脱出しようにもハッチが開かないんでしょうね・・・。

・「でも、ただでは死にませんよ」と明るく不敵な笑顔に変わる。「こいつだけでも道連れにして!」と明るい調子で叫ぶコーラサワー。ここで外からの視点に変わり、コーラサワーのMSがMS型のELSと組み合ってるのがわかる。
そしてコーラサワーの機体が赤く光る。トランザムで限界点を超えて自爆するつもりなのが明らかで、マネキンが目をつむり顔を背ける。一連の二人のやりとりは、この変則的な夫婦の深い愛情と信頼を感じてとても好きなシーンです。

・「うわあああー!」と覚悟の叫びをあげたコーラサワーだが、自爆しようとしたタイミングで遠くから粒子ビームが飛来してELSを撃ち抜き爆発、その勢いで開いたハッチからコーラサワーは投げ出され、間抜けな叫び声とともに飛ばされてゆく。不死身伝説ふたたび。やっぱりコーラサワーはこうでないと。
そのあとロックオンの戦闘シーンが映るのでコーラサワーを救ったのは彼か?と思いかけたが「来たか!」と振り向きざまに言うロックオン、続いて画面に映るハルート内でハレルヤが「遅えんだよ!」と嬉しそうに不敵な笑顔で叫んでいるので、やっぱり刹那のクアンタですね。モビルスーツモードで戦っていたグラハムも「待ちかねたぞ、少年ー!」と嬉しそうな笑顔でアップで叫んでいる。まさに真打登場の趣き。

・いつものクールな表情で飛んで行く刹那。目の前に浮かぶティエリアが「対話のために、ELSの中枢に向かう必要がある」という。会話が共有されているのか「俺に任せな!」と頼もしくロックオンの声が割り込んでくる。
クアンタの背後からあらわれたサバーニャが派手に盾を展開。両手に銃を構え、「行くぜ、ハロ!」と声をかけ二体のハロが「了解了解」と羽をぱたぱたさせて答える。
ロックオンはモニター状で複数の標的に狙いをつけ「乱れ撃つぜー!」の声とともに派手に撃ちまくる。ビームの数もELSが爆発する火球の数も多数。迫力ある戦闘。先の見えない戦いに力が尽きかけているように見えたロックオンとサバーニャの完全復活シーン。

・その後ろを飛んで行く飛行形態のハルート。「いいか、反射と思考の融合だあ!」悪い笑顔で叫ぶハレルヤは一瞬後に真顔で「わかっている」とこたえる。ハレルヤとアレルヤが激しく入れ替わっているというか共闘しているのはわかるんだが、忙しいなあと思わず笑ってしまう。
マリーも真顔で「了解!」と答える。次の瞬間モニターの「HARUTE」の文字が「MARUT」に変わり赤く発光する。「行くぜええー!」とのハレルヤの叫びとともに今度はマルート・モードに入ったハルートの無双シーン。
MSの姿に変わったハルートが、大量のミサイルを飛ばしながら戦場を駆け抜け次々ELSを屠っていく。その爆発の眩しさに巡洋艦内の人?が目を覆うほど。
「これが超兵の力だ!」「ちがう、未来を切り開く力だ!」とハレルヤとアレルヤ。ハレルヤとアレルヤ、マリーも加わった超兵三人の圧倒的な強さに魅了されます。

・ハルートの圧倒的な攻撃と、防壁を展開しつつ攻撃を加えるサバーニャ。巨大ELSの前面にELSがほぼいなくなったのを見てロックオンが「刹那!」と叫ぶ。
刹那が前に出て巨大ELSに向かっていこうとするが脳量子波の波動を受けて呻く。ティエリアが「刹那!」と声をかける。ELSからの攻撃に対し防壁を出して防ぎながら、「俺は戦うために来たわけでは・・・」と釈明しようとする刹那。あきらかに仲間とわかる連中がELSを撃ちまくってる状況で言っても、とちょっとツっこみたくなりました。

・そこへ無数のビームを撃ち刹那周囲のELSを倒しながら現れたのはグラハム。「何を躊躇している!生きるために戦えといったのは君のはずだ!」「たとえ矛盾をはらんでも存在し続ける!それが生きることだと!」
グラハムの言葉にうなる刹那。右足に被弾しながらも敵に向かっていくグラハム。この二人ががっつり共闘する日が来るとはなあ。
グラハムはトランザムモードになって巨大ELSに向かっていく。他にも数機トランザム状態でELSに向かっていく機体があるのはソル・ブレイヴス隊のみなさんだろうか。

・「行け、少年!生きて未来を切り開け!」刹那は決意したように巨大ELSに向かって突っ込んでゆく。火星周辺での戦闘の時もそうでしたが、最後に駆け付けて刹那のピンチを救うのはグラハムなんですよね。
グラハムはこの後もう一度、最後の最後でも刹那を救い、彼の背中を押す役割を果たします。

・スメラギは「頼むわね、刹那、ティエリア」と呟いたあと、ミレイナに汚染状況を確認する。「15%!」 やはりプトレマイオスも無傷ではすんでないか。
プトレマイオスは援護のためか緑に発光しながら光線ビームを撃ち続けている。「連邦艦隊の損失55%!」とフェルトの報告が入ったところでその連邦から通信が入る。
「クジョウ」と呼びかけたのはマネキン。「カティ、もう少しだけ持ちこたえて」というスメラギに「勝機があるというのか?」とマネキンは驚きの声をあげる。「いいえ、ないわ」「何だと?!」「でも、希望はある!」
この言葉にマネキンは押し黙る。彼女は何のために通信してきたんだろ。人類を救えなかった残念だ的なお別れでも言うつもりだったのだろうか。勝機はないが希望はあるというのも戦術予報士にあるまじきいいかげんな言いぐさだが、確かなことが言える状況でもないですしね。

・左腕を失ったサバーニャはそれでもあきらめずトランザムモードに。再び多数の目標に向けて花火のように乱れ撃つロックオン。アレルヤはMS型のELSに取りつかれかけていたMSを見て助けに向かう。
もう間に合わないというハレルヤにそれでも行くさと答えるアレルヤ。アレルヤがELSを攻撃したおかげでパイロットは身一つで宇宙に投げ出されひとまず命拾い。「てめえの行為は偽善だ!」「それでも善だ!ぼくはもう命を見捨てたりしない!」
ファーストシーズンでもソレスタルビーイングとして初めて武力介入でない純粋な人助けをしたのはアレルヤでしたね。彼らもまたトランザムで巨大ELSに向かっていく。

・また脳量子波をくらいたじろぐ刹那をティエリアが叱咤。トランザムでELSの中枢へ侵入するという刹那を、トランザムは対話のための切り札だとティエリアが止める。
しかし相手の攻撃をかわすのが精一杯、防戦一方の状況に焦れた刹那はついにトランザム。ティエリアが叱るが巨大なビームをクアンタは放出し、ビームを剣のようにして「このまま表面を切り裂く!」と宣言、超巨大な球体ELSの体表に斬りつける。
メメントモリ攻略戦(2回目)でもダブルオーライザーのビームを巨大剣のようにして攻撃していた。今回は映画「ソレスタルビーイング」のライザーソードを地で行くような。しかしまさに未来を切り開くための大技、という感じなのに完全には成功しないのもメメントモリの時と同じなんですよね・・・。

・クアンタのビームソードは超巨大ELSを途中まで切り裂きかけるが、剣が表面を上っ滑りし、表面に大き目の亀裂を作るに留まる。これはELSが攻撃を受け流したためだった様子。
刹那とティエリアがともに愕然としかけたところに「少年!」の声が響く。再びグラハム・エーカー。ELSにコクピットまで侵食され、さらにMS形態のELSにのしかかられながら、グラハムの機体は赤い彗星のようにその亀裂にまっすぐに向かっていく。
「未来への水先案内人は、このグラハム・エーカーが引き受けた!」。格好いいなあグラハム。

・「これは死ではない!人類が生きるための・・・!」と叫びながら疑似太陽炉を臨界突破させるグラハム。そしてまさに閉じようとしていた亀裂の隙間に飛び込み、一瞬後に超巨大ELSの内側表面近くが爆発を起こす。
「あの男・・・」とつぶやく刹那。いいシーンなのに思わず笑っちゃいました。グラハムもずっと「少年」呼びだったけど、「あの男」はひどいだろう(笑)。
まあグラハムが刹那を名前呼びしても違和感あるように、刹那がグラハムをここでいきなり名前で呼んでもそれはそれで変な感じですが。

・「刹那!」とティエリアに促されて爆炎の跡を見るとグラハムが飛び込んだ箇所に綺麗に侵入口程度の穴が開いている。「突入する!」とクアンタは穴の中へと潜入。
内部は赤っぽい空間が続く。ELSは金属異性体で飛び交うファングのような小型ELSも、MSや巡洋艦に擬態したELSもみな銀色をしていた。なのに超巨大ELSの内部は色も形も金属っぽくない。まあ人間だって表皮の色と体内の色は違いますけど。

・フェルトはクアンタが超巨大ELS内部に突入したことを報告。艦の汚染状況は44%を超える。その時振動が艦を揺るがす。GNフィールド再展開不能に。
「総員、退艦準備をして」と沈んだ声でいうスメラギにフェルトが「いやです!」と即座に反発する。「クリスの時のように、またのけものにする気ですか?」「今度こそ、全員で生き残るんです!」
これだと自分だけでなく他のメンバーも艦長であるスメラギを残して退艦するのは認めないという言い回し。フェルト自身のことはともかくまだ十代だろうミレイナまで残らせるのはいかがなものか。と思ったらミレイナ自身が「ミレイナも残るです!」と意志表明。
スメラギも含め一人残らず退艦、全員で助かるという選択肢はないのかなあ。実際ここで退艦しなかったためにサブブリッジのイアンとリンダはELSに飲み込まれる寸前までいったし。確かに艦を捨てたから生き残れるとは限らないけれど。

・若い二人の言葉にスメラギは正面を向く。ラッセも不敵に笑ってみせる。「そうだ、あきらめるのはまだ早い!」「最後の最後まで信じましょう!」男女の声がするのはイアンとリンダ。「その通り!」と答えたのはロックオン。
「俺たちは、ソレスタルビーイング!」力強く叫びつつ戦うロックオン。アレルヤ「切り開くんだ」マリー「未来を!」ハレルヤ「明日を!」。なんとハレルヤがまともな台詞を。なにやら感慨深いものがあります。
彼らの言葉を受けてスメラギは「そうね、信じるわ、刹那を」。結局退艦しようがしまいが、できることは自分たちの身を守りながら刹那がELSと対話を成功させるまで生き延びることだけなんですよね。

・ELS内部のクアンタは青や赤の光の奔流のような空間を進んでゆく。一方連邦軍は「汚染状況70%と少しです!」報告したそばから連邦軍の旗艦のモニターが結晶化したELSに破壊され、ついに司令室にELS侵食。
叫び声をあげる軍人たち。マネキンも思わず立ち上がる。もうほとんど詰んでますね。

・さらに侵入しつづける刹那は「あれだ!」というティエリアの声に目の前の巨大なピンクの球体を見つめる。「これがELSの中枢・・・」中枢から丸っこい小さめの球体(クラゲっぽい感じ)がいくつか近寄ってくるが攻撃の意思は見られない。
「我々を迎え入れるのか」と呟くティエリア。実際クアンタが巨大ELSの内部に入ってから一切攻撃がない。刹那が斬りつけ巨大ELS表面の傷が閉じたスピードを思えば、グラハムが開けた穴だってその気になればすぐ修復してそのまま刹那たちを飲み込むこともできたでしょうがそれをしていない。外での攻防の激しさ、人間側の追い詰められっぷりとの落差がすごい。
彼らが戦いのためではなく対話のために来たというのが(表面切り裂いたり穴開けたりしたにもかかわらず)伝わったということでしょうか。

・刹那はクアンタムシステムを作動。「クアンタムバースト!」の声とともに機体が緑色に発光。刹那「これがラストミッション!」ティエリア「人類の存亡をかけた、対話の始まり!」。
ELSの側も中枢部分がラッパのように膨らんで光を放つ。流れ出す大量の情報。そこに「わかりたい、わかりあいたい」というマリナの声と王宮にいる彼女の姿が重なる。
人類の命運を決するのは戦いではなく話し合い。せっかく映画仕様の新しい機体が出たのにほとんど戦闘せず意思疎通のために機体が光ったり脳量子波のやりとりだったり。大きなスクリーンで格好いい戦闘場面を見たかったという観客的には不満が多かったろうことは想像に難くない。
そうした不満が寄せられることは覚悟のうえで監督他制作陣が(その分刹那以外の戦闘シーンを充実させることでバランスを取りながら)〈相互理解による終戦〉を描ききった心意気に痺れます。


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『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazar-』(3)ー8(注・ネタバレしてます)

2024-10-31 20:54:23 | ガンダム00

・一方の戦場。「数で圧倒される!」とアレルヤ。「あきらめるかよー!」と叫ぶロックオン。これだけでも頑張っても味方が不利なのがわかります。
ELSが防衛線を次々突破してゆくなか、プトレマイオスクルーの表情も険しい。マネキンも艦隊の損失が30%と聞いて苦し気に顔をゆがめる。同じ報告が聞こえていたらしくビリーが「この短時間でそんなに」と驚きの声をあげる。
そのとき艦に衝撃が走りビリーとミーナがややバランスを崩す。よろめくミーナを支えるビリー。ちょっとカップル感があります。

・「どうした!」問いただすマネキン。「大型砲塔がELSに汚染されました!」最大の武器が無効化。いやもっと悪い状態に。
「汚染区画を破壊しろ!拡大を防げ!」と動揺の色を隠して指示を出す。部下が「虎の子の兵器が」と悔し気ながらパージを実行しようとする。いよいよピンチが加速しています。

・そしてついに「ELS、絶対防衛線を突破!」この報告にマネキンが再び顔を悔し気にゆがめる。ここでボーカル付の歌がBGMで流れる。いよいよ悲愴感が加わります。
「行かせるかあー!」と叫んでELSに向かっていくアンドレイ。大き目のELSを実体剣で十字に斬りつけるがその剣から侵食されてしまう。それでも「私は市民を守る、連邦の軍人だー!」との叫びとともにトランザムシステムを限界まで稼働させ中規模ELSを道連れに自爆。
その脳裏に寄り添って立つ両親の姿が浮かぶ。両親が守ろうとしたものを自分も守るという戦闘開始時の意思を見事に貫きましたね。

・刹那の意識は故郷の大地に立って、ファーストシーズンの頃の外見で不毛の地に一輪のみ咲いている花を見つめている。これはかつてフェルトからもらったのと同じ花。
彼は当時あの花を思いのほか大切にし、ダブルオーのコクピットにも持ち込んでいた(そのせいで機体が損傷したさいに失われてしまったのだが)。これから戦場に向かおうという彼にとっては平和の、自分が守りたいものの象徴だったのでしょうね。
こうして花の咲く場所に意識が移動していることから刹那にとってあの花が今も重要なシンボルとなっているのがわかります。

・空を見上げた刹那は次の瞬間現在の刹那の年齢になってアザディスタン王宮の避難所に立っている。避難民の間をオートマトンのような機械が行き来しているのだが、いまやオートマトンが平和利用されてるのだろうか?形が似てるだけの別物?

・シーリンが避難民に水を配り、マリナが小さな女の子から地元の花(さっき刹那が見ていたのと同じ花)をもらい笑顔で香りをかいでいる。それを不思議そうに刹那は見つめる。
ここでマリナとあの花を結びつける描写が出てくるのは、クライマックスに向けて〈ELSがあの花の形になったのは刹那がフェルトを想っている証〉という観客の誤解を防ぐ意味だったのかなと思います。“フェルトが”くれた事が重要なのではなく、人が人を大切に想う気持ちの象徴(少女がマリナに花をあげたのも少女のマリナへの好意の印だろう)だよという制作側からのメッセージかと。

・いきなり宇宙の高軌道ステーション上に意識が飛び、作業車から決然とした表情で降り立つ沙慈の姿。こんな形ですが彼は本来望んだ宇宙での仕事に戻ってきたわけですね。

・脳量子波遮断施設で一人物思わし気に座るルイスを遠くから見守る刹那。宇宙空間で苦戦中の仲間たち。何も手を出せず哀しげに見守るしかできない刹那。
回りが暗転し、「なあにしてるんすか」と声がする。振り向いてかすかに、ほっとしたように微笑む刹那。ちょっと怒った顔のリヒティが「みんなまだ必死に生きてるんすよ」といい、隣にやはり怒り顔のクリスが現れ、「世界を変えようとしてる」という。ついで眼帯のロックオン(ニール)が現れ「言ったはずだぜ刹那。おまえは変わるんだ。変われなかった俺の代わりに」と告げる。次第に遠ざかりぼやけてゆく三人の姿に手を伸ばそうとした刹那のまえに六角形のケースに入った花(かつてフェルトにもらった花そのもの)が現れる。
ここで登場した三人の仲間はファーストシーズンで命を落とした。セカンドシーズンでは仲間は誰も死ななかったが(ティエリアは肉体的には死んだが彼に取って肉体の死は死ではない)、大切にしていた花は失われた。
今度こそどんな命も取りこぼさない。「生きている、そうだ、おまえはまだ、生きているんだ」というロックオンの声に刹那が意を決した顔になるのはそうした思いを新たにしたゆえではないでしょうか。

・涙を流しながら刹那の手を握りしめていたフェルトはその手がふいに動きこぶしを握りしめたのにはっとする。目を開けた刹那を見てフェルトは「刹那!」と叫びながら彼に抱きつく。
回りに飛んでいる光る水滴が何かと思ったらフェルトの涙が無重力(軽重力?)状態であたりに浮いてたんですね。綺麗な演出。
フェルトの肩を刹那が軽く抱き寄せる。恋愛的な意味ではなくとも、彼を想い続けたフェルトがちょっと報われた感があります。

・「ダブルオークアンタで出る」という刹那に、ずっと不安気な表情だったスメラギは数瞬あってきりっとした表情に代わり「お願い」と言う。
ついさっきまで意識不明だった刹那に起きて早々戦わせることへの葛藤がありつつも彼が最後の頼みだという思い、刹那が出ていかなければ刹那自身も含めソレスタルビーイングの仲間も人類も死んでしまうとの思いから決意を固めたのが、この短い無言の表情変化から読み取れます。

・スメラギの了承を得てクアンタに向かう刹那のあとを涙を拭いながらついてゆくフェルトが画面に映りこむ。彼女の哀しげな表情はやはり目覚めて早々刹那が戦うことへの不安とそれでも彼を止められない止めるわけにいかないことの哀しさがあるのでしょう。

・ティエリアの意識データをクアンタのターミナルユニットに転送したことを告げるミレイナ。ティエリアの映像が出て「感謝する、ミレイナ」と告げる。ミレイナは唐突に意を決した様子で「アーデさん、ミレイナはアーデさんがどんな姿になろうとも、アーデさんが大好きです!」とまさかの告白。
最初に「アーデさん」と呼ばれた時点でティエリアがちょっと驚いたように瞬きしている。実体ではなくデータの状態なのに表情が豊かです。
このタイミングでミレイナが告白したのは、ミレイナ自身も生き残れるかわからないから今言わなくちゃという思いに加えて、刹那が目覚めたのはフェルトがずっとそばで付き添って祈り続けたのが通じたからだと(恋愛脳のフェルトらしく)想像したがゆえに、フェルトの愛が刹那を救ったように自分の愛で今から刹那とともに死地に向かうティエリアを守るんだという気持ちがあったんじゃないかな。

・「アーデさんが大好きです!」のあたりでは画面がクアンタがいる格納庫に移っていて、最終調整中だったイアンが「何だとお!?」と大声をあげる。これ相手がティエリア(イノベイドというのみならず今や実体さえない存在)だからではなく、誰であっても娘の想い人ならこの反応なんでしょうね。
隣のリンダは対照的に「あらあら、よかったわねえ、素敵な彼氏ができて」とにこにこ顔。こんな時だけにちょっとほっとする一幕。
イアンが「リンダ!」と叫んだあとに「笑いごっちゃないだろ」と文句をいうのは顔の向き的にクアンタに乗り込もうとしている刹那に対してですね。刹那も口元がちょっと笑ってるので。

・刹那がクアンタのシステムを立ち上げるとティエリアのミニ版が立体映像(全身図)で現れる。腕組みなんかしてるのがティエリアらしいというか。

・「すみませんでした!」と声をかけてブリッジに戻ってきたフェルトに「ここはいい、刹那のところに戻れよ」と優しい声音でいうラッセ。
刹那のところといっても刹那についてクアンタに乗れという意味ではなく(乗る場所もないだろうし)、発進する瞬間までそばで見送れという意味だろうか。「行け」でなく「戻れ」というのも、刹那のそばがフェルトの居場所と言いたげな優しさを感じます。
ラッセの中では二人は相思相愛になったのかな。そして大事な戦力のはずのフェルトがブリッジにいなくていいというのは、ここからはもう刹那次第で、プトレマイオスにできることはほとんどないという意味なのかもしれません。

・ラッセの言葉に「・・・大きいから。あの人の愛は大きすぎるから。私はあの人を想っているから。それでいいの」。半分独り言のように言ったあとで、フェルトはラッセたちの方を見て微笑む。これはフェルトが刹那への恋を諦める―彼から女として愛される可能性を諦めるという一種の失恋宣言ですね。
意識不明の刹那の手を握りつづけ、意識を取り戻した彼に抱きついたら肩を抱き寄せられたという、一般的には両想いになったとも見えるシーンのあとになぜ?と思える台詞ですが、「あの人の愛は大きすぎる」─グラハムが言っていたように「人と人とがわかりあえる道を模索しつづけ、ELSにすらそれを行おうとする」刹那の博愛的態度に、彼の愛情は一人の女に向けられるものではなく全人類、異星人にすら注がれる神の愛にも似たものだと悟ったということでしょう。
ただ「私はあの人を想っているから。それでいいの」という言葉が示すように、フェルトは嘆いてはいない。むしろそれほどに大きな愛を抱きうる素晴らしい人物に出会い愛したことを、誇りであり幸せだと感じているんじゃないでしょうか。

・この時スメラギが何か思うところがあるような表情でフェルトを見ている。フェルトの台詞が以前自分が「彼のことを、想ってあげて」と言ったのを受けてのものと気づいて、〈彼のことを想っているだけで幸せ〉だという境地にフェルトが辿り着いたと察したのでは。

・スメラギがミレイナの「ELSが再び防衛線を突破!サバーニャ、ハルート、交戦中です!」との言葉に表情を引き締める。フェルトもすっかり仕事モードの顔になってクアンタの射出準備を進める。
けれど刹那の顔がモニターに映り、「了解した」と一言告げたとき、フェルトの表情が一瞬切なげに揺れる。直後の淋し気な微笑も含め、悟ったつもりでも悟り切れない微かな躊躇いが切ない場面です。

・「ダブルオークアンタ、刹那・F・セイエイ、出る!」いつもの発進シークエンスですが、初のクアンタ発進シーンだけに、そして00シリーズ最後の出撃シーンだけに特別丁寧に描いている印象です。
赤と緑系の光をまといながらダブルオーが宇宙に飛び出してゆく。視覚的にも美しいシーン。

 


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『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazar-』(3)-7(注・ネタバレしてます)

2024-10-24 21:14:40 | ガンダム00

・ビリーとミーナの会話。「ELSの行動から推測するに、彼らは異種と同化することで、知識や意思の共有化を図ろうとしている。巨大な一つの存在になろうとしているんだ」「肥大化した固体内で意思を共有するためには脳量子波が必要・・・」「だから彼らはイノベイターの因子を持つ存在に惹かれた・・・」。
この会話は、二人はELSには人類に敵対する意志がない、むしろ友好的なのだが、それゆえに人類と理解しあうべく人間が使う道具(金属)や人間そのものと同化しようとする行為が結果的に人類を脅かしてしまっているとの仮説を立てているように聞こえる。
彼らの仮説を大統領ら連邦の重鎮は知っているのだろうか。先に大統領が「たとえ他者を傷つける結果になったとしても」と発言したのを〈彼女はELSには害意がないのを知っていたのでは〉と書いたが、やはり彼女はビリーたちからの報告によってELSには人類に積極的に敵対する意志はない可能性が高いことを知っていたのだろう。
しかし彼らのコミュニケーションの取り方が人類には害となり、しかもそれを彼らに伝える手段がない以上、彼らを殺すしかない(殺さずに追い払えればベストだろうが、火星調査隊の末路からすればまず不可能)。人類を守るための苦渋の決断だったのだと思います。

・↑の話の途中でいきなり抱きつくミーナ。「こんなときにどうしたの・・・」「こんな時だからこそわかりあいたいのよ。ELSだってそう、触れることで変わろうとしているのかも」。
ミーナはまじめにELSを分析した結果としてそういっているのか単にビリーにせまる口実?として適当に口にしているのか。たじたじしてるばかりで無抵抗のビリー。完全に勝負あった感じですね。
「未来を変えるわ、あなたの気持ちも・・・」「・・・やさしくしてください」「ラージャ♪」そしてキスをするミーナ。果たしてこの場でキスだけで済ませてくれたのか気になるところ。

・ELSが地球圏に到達するまであと七日。何か打つ手はないのかと聞くアレルヤにスメラギは「あるわよ、そのためには刹那の回復と、それから・・・」と言葉をつまらせる。
そこで場面が変わり、イアンとリンダの夫婦が登場し新しいガンダムも現れる。オープニングで前振りされていたダブルオークアンタがようやくお目見え。
まあ映画版で新しい機体が出るのは元々お約束みたいなものだし、特に今回は刹那のための新しい機体が存在することを最初に種明かししているので、その機体が登場するまでの戦闘では負ける&ダブルオーの機体が損傷するのはネタばらしされてるに等しいですね。

・新しいガンダムに驚きとともに見入るアレルヤとマリーにロックオンが新しい刹那の機体だとして型番まで説明してくれる。
なんでロックオンはこんな詳しいんだ?と思いかけたが逆で、アレルヤとマリーはELSが現れるまでソレスタルビーイングを離れていたから他のメンバーが知ってる話を知らないわけですね。

・クアンタ調整中に刹那が脳を損傷したときいてショックをうけるイアンたち。スメラギは自分は刹那が目覚めると信じていると気丈に話すところへ「僕からも頼みたいことがある」とノートパソコンの画面に現れたのはティエリア。
「アーデさん!」と嬉しそうな声をあげてミレイナがノートパソコンの場所へ飛んでくる。ほんとティエリア大好きなんだなあ。

・ティエリアの要望はヴェーダの小型ターミナルユニットをクアンタに搭載すること。「ELSから送られてくる情報をヴェーダを使って制御する。GNドライヴ、ヴェーダ、イノベイター、イオリア・シュヘンベルグが求めたこの3つで来たるべき対話を実現させる」。
このティエリアの提案がなかったらいかに刹那が目覚めてクアンタでELSとの対話に挑んでもデータ量をまた受けきれずに今度こそ脳がショートしたかもしれない。ティエリアが一緒だったから、つまりは先の戦闘でティエリアが肉体を失っていたから可能だった作戦。

・スメラギは全員に通達を流す。トランザムで最大加速でELSとの接触をはかる、「これがソレスタルビーイングの、いえ私たちに残されたラストミッションよ」。
確かに失敗=死だから失敗すればラストミッションになるが、生き残った場合でもこれでソレスタルビーイングは活動終了なんだろうか?刹那がELSの母星に旅だった後他のメンバーがどうなったのか全然明かされてないからなあ。

・ELSの大群が絶対防衛線に接近。まもなく射程距離に入るという。部下の人が「最初の賭けには勝てたようですな」とマネキンにいう。これはELSが想定通りのコースをl来てくれたことを指すんでしょう。

・マネキンは粒子ミサイルの発射準備とELSに取り込まれないための対策を指示。そこにコーラサワーからの通信が。「行ってきます、大佐」「准将だと何回言えば・・・」お決まりのやりとりの途中でマネキンは言葉を切る。
いつになく覚悟をにじませる穏やかな笑みを浮かべるコーラサワーは一瞬おいてにかっといつものように笑う。マネキンは瞳を揺らしながら「死ぬなよ」と口にする。了解です、と敬礼して通信を切るコーラサワー。
そのあとも数瞬マネキンは黙って目を伏せている。次の瞬間には前を向いて毅然とするのですが。二人それぞれの愛情の示し方が胸に迫ります。

・マネキンの指示のもと長距離ミサイルの一斉射撃がなされる。発射された大量のミサイルが飛ぶ様子が赤い光線のように描かれるのだが、色合いもラメがかってきらきらしている効果も映像的に迫力がありつつ美しい。殺人兵器なんですけどね。

・ミサイルがELSに取り込まれないようにELSに当たる前に爆発させるシステム。「全弾命中!」と言っているのはすべての爆発が相当数のELSを巻き込んでいる、無駄弾がなかったことを指しているのだろう。
しかしその赤い炎をかなりの数のELSは通り抜けてくる。BGMもあいまって絶望的な迫力を醸し出しています。

・「何らかのフィールドを展開した模様!」「まさか!わが方のGNフィールドの特性を理解して!?」 相手の性質を真似るELSの能力がここでも発揮されています。

・部下たちの動揺をさえぎるようにマネキンは大型粒子砲の発射準備とモビルスーツ隊による近接戦闘を指示する。相手を取り込みにかかるELSを相手に近接戦闘は危険が多いような気がするのだが。
それ以上にモビルスーツ隊を矢面に立たせるということはそれだけコーラサワーの生命を危険にさらすということ。まあ安全地帯に置かれるなどコーラサワーも喜ばないでしょうが。

・全モビルスーツに出撃命令。ELSに取り込まれないようフィールドを展開する指示も下りる。出撃する中にはアンドレイ・スミルノフの姿も。「戦力差はざっと10000対1、状況は最悪だ。しかし守ってみせる。父と母が求めたものを!」アンドレイもすっかり父親を認めるようになって。
このシーン最初は出撃途中だからか逆さまだったのが普通の向きに変わる演出が、そのきりっとした表情もあいまって魅力的です。

・ソル・ブレイヴス隊出撃にさいしグラハムが皆に訓示。皆に命をかけてもらうことになるといったあとに「だがあえて言おう、死ぬなよ」。皆は「了解!」と返事をし敬礼。やはりグラハムは一匹狼より部下を従え慕われてる姿が似合いますね。
ソル・ブレイヴス隊が他の部隊に比べ後から戦場に現れた気がするのは訓示に時間をくっていたからかな。

・脳量子波遮断施設では壁の複数のモニターにいろんな映像が映っている。どうもドラマのようだが、見ている人たちの不安そうな様子からすると、彼らはドラマではなくその下に流れるELSとの戦況を知らせるテロップの方を見ている様子。そりゃあ人類存亡の危機にドラマ見る気にはなりませんね。
そんな中ルイスは画面を見ずに不安そうな顔でうつむいている。彼女が案じているのは地球の命運なのか沙慈個人なのか。

・大型粒子砲のチャージ率がカウントダウンされる中砲口の前をモビルスーツが飛び交っている。しかしチャージ100%となりマネキンが掃射開始を指示し、実際に発射された時にはビームの軌道上にいてうっかり吹き飛ばされた機体などというものは見えない。
ほんの発射間際まではそのへんに飛び交っていただけに、統制の取れ具合が際立ちます。

・大型粒子砲のビームは超大型ELSに真っ向から当たり貫通する。全体から見れば小さな穴を開けたにすぎないが、旗艦の司令室には歓呼の声が沸き起こる。
数の上では圧倒的劣勢、しかもかかってるものは全人類の命という、勝ち目が薄くかつ責任重大すぎる戦いを余儀なくされている人々からすれば無理もないところ。

・マネキンは「粒子砲で攻撃しつつモビルスーツ隊も同時攻撃、掃討作戦に移る!」と指示をとばす。
セカンドシーズンで掃討作戦に定評のあるリント少佐の冷酷残忍なやり口に嫌悪感を抱いていたマネキンがここで掃討作戦を指示する。「掃討作戦に移る」と口にする時に一呼吸おいている、少し顔の険しさが増すのはリント少佐のことを思い出して少し嫌悪感を感じたのかも。
大統領もですが、日頃は宥和政策、敵味方とも死者を最小限に抑えることを旨としている人たちもELSに対しては冷徹な皆殺し主義に走ってしまう。これまでのELSとの経緯、人類の存亡がかかっていることを思えば無理もないんですが。

・モビルスーツ戦。クローズアップされるのはコーラサワー。横向きに流されるような格好で大き目のELSの真正面に出てしまい、あぶない!と観客の側があわててしまうが、「死んでも帰るんだよ!」と闘志をみなぎらせ、友軍機数機がELSを砲撃してくれたおかげで無事脱出、「大佐のもとに!」と叫ぶ。
これ仲間が助けてくれなければ危なかったやつですね。いつも陽気で不敵なコーラサワーにしていつにない悲愴感をいくぶん漂わせてます。

・複数のELSが数体ずつ合体して銀色のモビルスーツ姿に。マネキン「融合することでわれわれの情報を!」ビリー「だとすればこちら側の武装も・・・!」これに先だって一体モビルスーツが大き目のELSに食われるところが出てきてるので、あそこが「融合することで情報を得た」場面でしょうか。 
ビリーと隣のミーナも宇宙服姿なので後方ではなく戦艦に乗ってるぽい。後のシーンを見るにソレスタルビーイング号の中、それも司令室のすぐ後ろの部屋でした。

・ビリーの懸念通り、モビルスーツELSはビームもミサイルも撃ってくる。驚きのあまりもあってか従来のELSには善戦していたモビルスーツが次々倒されていく。
花火のようにいくつも小爆発が起きている戦場を俯瞰で見るショットにソル・ブレイヴス隊が参戦。戦況を見て「隊長!」と焦った声をあげる隊員。おそらくはモビルスーツ同士が戦っている状況、銀色の方がELSの変身なのも見て取っての(彼のモニターに映っているのは光線と爆発の応酬だけではあるが)言葉だろう。
グラハムは「うろたえるな!」と檄を飛ばした後、「とはいえ、相手がガンダムタイプとは!」。「とはいえ」の時点では真顔なのが「ガンダムタイプ」と口にするときに不敵な笑顔になる。中身はELSでもガンダムと戦うとなるとやはり腕がなってしまうのか。

・あちこちで小爆発が起こっているなかで、画面の左やや下から右上に向かって小さい光球が次々発生して一直線に伸びてゆく。ソル・ブレイヴス隊が飛んで行くルートなのはまず間違いなく、飛行形態を中心とする彼らの無双ぶりが心強いです。

・そこからモビルスーツ形態に変身してのさらに戦闘。グラハムの目の前で部下が被弾して?死亡。「イエーガン!」と叫ぶだけでなく手を伸ばしているグラハム。部下思いの彼らしい。「あえて言ったはずだ・・・!」との呻きも哀しい。

・部下に促され指定されたポイントを振り返ったグラハムは密集していたELSが巡洋艦に擬態するのを見る。「巡洋艦までもか!」ますます絶望感が増してきます。

・巡洋艦が二隻沈黙との報告にさしものマネキンが苦し気に一瞬目をそむける。しかしすぐ気を取り直して陣形を立て直すよう指示。「チャージまでの時間を!」というのは次の粒子砲を撃つまでの時間稼ぎをしてくれということですね。
「出力55%ですが、撃てます!」との部下の声に「敵の気勢を削ぐ!」と現時点での発射を命じる。ELSに気勢とかそういう感情あるのかな。

・出力55%とはいえ結構な太さの光線が巨大ELSに突き刺さる、と見えたがELSはビームを屈折させて回避。さしものマネキンが驚愕の表情で立ち上がる。
ミーナ「ビームを屈折させた!?」ビリー「学習しているんだ」。ELS側の戦略の解説・推察となるとこの二人が導入されるイメージ。
これ出力100%だったら結果は違ってただろうか?たぶん同じだった気がするし、どちらにせよ100%を待ってられる状況でもなかった。先にビーム貫通で歓声が上がったことやチャージまでの時間稼ぎをしようとしたことからも、この粒子砲が最大の希望だったんだよなあ。これが不発に終わった時点でみんな心折れても無理ないところ。
マネキン的にも打つ手なしだったろうが、それで沈黙するわけにいかないのが司令官のつらいところ。

・一部の戦線が突破される。声もなく眉をしかめるマネキン。「行かせるかあー!」と叫んで立ち向かうアンドレイ。懸命に戦う中、思わぬ方向から粒子ビームが飛んできて敵を倒す。
「あの粒子ビームは!」そこへサバーニャとハルートが現れる。アレルヤ「ELS侵攻の防衛行動に移る」ピーリス「了解!」そこでアレルヤの表情が変わり、「理屈なんかどうでもいい!やるだけだあー!」わかりやすいハレルヤ。にやりとした表情だけでわかりますね。

・「たとえ刹那が来なくても・・・全力で狙い撃つ!」 力強く語るロックオンに二人のハロも羽をぱたぱたさせて「ヤルッテ、ヤルッテ」と賛同。ちょっとなごみます。
ハロの操作する強化版の盾が巧みに動いて防衛、狭間をハルートが抜けてゆくスピード感溢れる戦闘です。

・「ソレスタルビーイングです!」という部下の報告に一瞬マネキンはそちらを見た後意思の強い表情で前を向く。
ほっとしたような顔はしないものの完全に手詰まりの中現れた彼らに新たな希望を多少なりとも感じているんでしょう。

・プトレマイオスもまた砲撃開始。スメラギがイアンに調整の状況を聞くと「もうちょいだ!」と答えがかえってくる。
横のモニターには医務室で眠り続ける刹那とガラス越しに彼を見つめるフェルトの姿。最終決戦の最中にフェルトが持ち場を離れているのは、彼女がそばで呼びかけ続けることが刹那を起こせるかもしれないと期待してか、それとも死ぬかもしれない戦いだからフェルトが刹那のそばにいられるようにとの配慮か。おそらく前者のような気が。
スメラギは刹那の復活を信じ、彼を対ELSの切り札と期待しているはずなので、生き残る気があるのに優秀な戦況オペレーターのフェルトを任務から外すのは勝つためにそれに優先する事項があるからだと思えるし、配慮というならより年の若いミレイナがイアンたちと一緒にいられるようにしてあげるのが先という気がするので。

・突然苦しみうめきだした刹那にフェルトが驚き案じて名前を呼ぶ。刹那は夢で少年兵だった頃のことや、家族をテロで亡くした少年時代のニール(初代ロックオン)、マスード・ラフマディーなどを次々に見、苦悩に悲鳴をあげ、死にゆくロックオンや抱き合って死に直面するリヒティとクリス、彼らに伸ばそうとした自分の手は血まみれで刹那は繰り返し絶叫する。
苦しみもがく刹那を見るフェルトは意を決して扉を開け中へ入る。

 


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『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazar-』(3)ー6(注・ネタバレしてます)

2024-10-17 20:23:50 | ガンダム00

・ソル・ブレイヴス隊の女性パイロットが通信ごしに粒子供給を受けさせてもらってることの礼を述べるのに対し、ラッセも笑顔で助けてもらった礼だと応じたあと、真面目な顔になって急いで来たのに味方が全滅とは残念だったなと労いの言葉をかける。
その声音にも気遣いと死者を悼む気持ちが滲んでいる。これに対しパイロットは言葉にならない呻きをもらす。言葉にならないあたりに彼女の無念のほどがうかがえる。味方とはいえない、けれど戦場で戦う者同士の緩やかな連帯感と共感を感じさせるシーン。
指揮官であるグラハムがソレスタルビーイングから通信が入った時に嫌そうな声をしてたくらいで、ソル・ブレイヴス隊も全体としてソレスタルビーイングにあまりいい感情は持ってなかったんじゃないかと思うんですよ。
ただこうやって直接ではないものの顔を見せて話をし、相手を気遣い、少しなりとも同じ艦内で過ごした後は以前にはなかった親しみもわくだろうし、戦場で対立することがあったとしても問答無用で引き金を引くのでなくその前に話し合おうとするんじゃないか。戦いをなくすために必要なのはコミュニケーションだと感じる場面。よく「同じ釜の飯を食った仲」というのもそれですね。

・「まったく、なんて無茶をするの」とスメラギがあきれた顔と声で誰かに話しかけている。そんなに緊張感のない感じ。
刹那?でもさっきまだ意識不明で呻いてたよね?と思ったらなんと相手はティエリア。「僕にとって肉体は入れ物にしかすぎない。それにあの時にはああするより他に方法はなかった」。
ああそうか、ティエリアはセカンドシーズンで一度身体を失ってもヴェーダ上の存在として生き残って今回改めて受肉したんだった。だったらまた肉体を失ったというだけで彼にとっては死じゃないんだよな、と腑に落ちた。
ティエリアにとっては自分は本当の意味では死なないとわかったうえでの無茶だったけど(ただELSの攻撃というか意志の疎通は、刹那をみてもわかるように精神にも大きな負担をかけるので、ティエリアはその点大丈夫だったんだろうか。逆に大丈夫だったからこそ、ヴェーダの大容量のシステムがあればELSの情報の奔流に耐えられると確信したのかも)ロックオンやアレルヤは本気でティエリアが死んだ、刹那を守るためとはいえ彼を見捨てたと思って悲しみと罪悪感にさいなまれていたんじゃあ。

・真剣な表情になって「刹那の容体を教えて」というスメラギにティエリアは真顔のまま「ELSとの意識共有を図ったとき、相手の膨大な情報量を受け止めきれず、刹那は脳細胞にダメージを負った」。脳細胞の再生治療は施しているが、意識や記憶に障害が残る可能性があるとのこと。
ELSの情報量が膨大になるのは彼らが群体だから、一個一個が経験したことを全体が共有し、そもそも変形・融合を繰り返すことからいってどこまでが個体かという線引きも曖昧な存在だからなんでしょうね。

・意識が戻らず苦し気な顔で眠りつづける刹那を、ガラス越しに流れる涙を拭きもせず見つめ続けるフェルト。そこへグラハムがやってくる。
「人と人とがわかりあえる道を模索しつづけ、ELSにすらそれを行おうとするとは。未来を切り開く、それが君の戦いなのだな、少年」。すでに刹那は20代前半で少年という年齢ではないのだが、グラハムは最初に会ったときの印象のまま少年と呼び続ける。最初は刹那を「クルジスのガキ」と呼んでいたサーシェスも、セカンドシーズンで4年後の刹那に会ったときには「クルジスの兄ちゃん」と言い換えていたのに。
きっとグラハムにとっては模索を続け自分を変革することを恐れない刹那は、未来を切り開いていこうとする大きな前途、伸びしろのある存在―少年としてずっと映ってるんじゃないかな。
まあグラハムが「青年」といいかえたり、「刹那」と名前で呼んだりしたらそれもちょっと変な感じですが。

・グラハムの言葉に彼は刹那に何か思い入れがあると察したフェルトは「あなたは?」と問いかける。グラハムは自嘲するように「かつてガンダムを超えようと愚行を繰り返した男だ。だがやはりその考えは間違っていた。私が超えなければならないのはこの少年だ」。
この二人のツーショットは何だか意外な感じですが、後から振り返ってみればここでの会話、というかグラハムの台詞が刹那の意識が戻ったのちにフェルトがある心境に至るための伏線になってるわけですね。

・「しかし友軍の危機に間に合わずそして少年を助けることもできないとは・・・」と苦し気な表情のグラハム。
彼としては無念でしょうが、正直間に合ってしまっていたらいかなグラハム、いかなソル・ブレイヴス隊といえどELSに壊滅させられていたような気がします。
ガデラーザやラファエル、サバーニャ、ハルートの善戦がELSの数を多少なりとも減らしていなければ、そしてティエリアが刹那を救出するためにELSに侵食された機体に触れ自分まで侵食されたように、友軍機がまだ侵食されている最中でそれを救おうとしたならば、さすがに無事では済まなかったでしょうから。
しかし今は意識不明とはいえ刹那のことはちゃんと助けてくれてますよ。

・木星から新たなELS出現との知らせ。しかもこれまでと比較にならないデカい球体状のが一ついる。回りに星屑?による輪まで存在していてそれ自体が一つの惑星のようです。もう外観だけでこれどうやって倒すのという絶望感があります。
ちなみにELSが木星から現れる際の穴ですが、劇場版パンフレットの水島監督と脚本の黒田氏の対談によれば、「(ELSは)母星が滅ぼうとする中、新たな居場所を求めてワームホールを使いながら宇宙を旅しているんです。木星の大赤班(ママ)にはワームホールの出口があるんですね。」とのこと。あれワームホールだったのか。

・新しい球状巨大ELSは具体的には月と同規模の大きさだとか。報告受けた大統領ももはや固まっちゃってます。それでもすぐ冷静さを取り戻して「すぐに対策を」と指示をするのはさすがです。
対策って何をどうすればいいんだという感じはありますが。火星調査隊はデカルト含めて全滅しちゃったし・・・。

・連邦の報道官(と思しき見た目からアニュー風のイノベイドな人)が新たな巨大ELSの出現と地球への接近を告げる放送を行う。空港?のテレビでそれを見てる人々がみんな口を開けて硬直してる。まあ死刑宣告みたいなものですからね。
この時点でどの程度一般市民にELSのもたらした被害について知られているかは微妙ですが。

・テレビ放送は「市民の皆さまは各機関の指示に・・・」と続く。一般市民はみんなどこかしらに避難する措置が取られるんでしょうね。そんなに避難場所があるのかな、そもそもELS相手にどこなら安全なのか。
脳量子波遮断施設は脳量子波は遮断してくれるだろうけど、デカルト以外の火星調査隊の人々が艦ごと襲われたのでもわかるように脳量子波を使える人間に優先的に向かってくってだけで脳量子波を使えない人間に全く手を出さないわけではない。
あれだけ数がいたら脳量子波使えない人間にだって多少群がってくるでしょう。それとも脳量子波を使えない人が金属を一切身につけてなければ大丈夫かな?

・大統領の両脇を歩く連邦の幹部の人たち?が市民の避難の手筈やあんな巨大なELSに対処できるのかといったことを話している。
「現に起きてしまっているんだ。我々は対処しなければならない。市民を、この地球を守らなければならないんだ」。白髪の紳士が穏やかかつ哀しい顔と声で告げる。こういう人物に組織の上にいてほしいですね。

・アザディスタン王国の夜。ベランダで悩ましい顔で外を見ているマリナにシーリンがやってきて声をかける。一緒に国民の保護のために動いている関係上でしょうが、こうして王宮で二人が一緒にいる姿は久しぶりでちょっと嬉しくなります。

・議会や軍の動きがあわただしくなってきたと告げるシーリンに、「おそらく、戦い」とマリナは真剣な顔をする。
対ELSであっても戦いはしたくないと考えるのか、話を聞く限り人間側に多くの犠牲が出そうなのを危ぶんでいるのか。

・「絶対防衛線を張り巡らせELSの侵入を阻止します」と今後の軍事作戦について説明しているのは火星調査隊の派遣について説明してたのと同じ軍の指揮官ぽい人。
説明を聞くかぎり、三段構えで防衛線を展開するにあたり軍の全艦隊を投入しているように聞こえる。まあ木星探査船の破片などでない、本格的にELSの大群が地球にやってきたらその時点で人類滅亡はほぼ免れ得ないので、全戦力を惜しみなく投入するのも無理ないか。

・作戦司令官はマネキン。セカンドシーズンでスミルノフ大佐はじめ高位の軍人が軒並み戦死し、火星調査隊壊滅でキム中将も殉職した今、生き残ってる中で前線の指揮を取れる能力があり、階級・戦績の双方で最も上なのはマネキンなんだろうか。まだ40前だと思うのにすごいな。

・「准将が視察中でした外宇宙航行艦は擬装をすませ前線司令部として本作戦に参加します」。ソレスタルビーイング号が旗艦になるわけですね。
まだ内部状況の30%は未知数の艦を前線に持っていくのはちょっと賭けのような気もするのですが、先に木星探査船の姿で現れたELSとソレスタルビーイングが交戦したさいに、その把握しきれてない30%の部分にあったと思しき機体(ラファエルガンダム)が勝手に飛び出していったのをマネキンは目撃している。
もしかしたらまだ何か、対ELSで役に立つようなものが眠っていていざという時に動き出してくれる、そんな一抹の期待があったりしたのかも。それこそ賭けですが。

・「ELSが進路を変え絶対防衛線を回避した場合は」と質問したのはさっきの白髪の紳士。それに対する答えは「地球は壊滅的な被害を受けます」。二の矢はないということか。もう一人の若い議長補佐役?が「神に祈るしかないということか」とつぶやいたように本当神頼みの域ですね。

・しかしそこに大統領が「神ではなく、私たちがやるのです。生き残り、未来を切り開くために。たとえ他者を傷つける結果になったとしても」と力強く語る。
この「未来を切り開く」というのは先にグラハムが刹那の戦う理由を評した言葉と一緒。この大難局にこの人が世界のトップで本当に良かった。
しかし「他者を傷つける結果」の他者とは誰だろう。軍の人間はみな「私たち」の側だろうし、地球の人間は皆守るべき対象のはず。普通に考えれば他者=ELSとなるのだろうが、本当は傷つけたくはないという気持ちの滲む言い回しからはこの人がELSを悪意ある存在とは見ていないように感じ取れる。
彼女はアレルヤとマリーが危惧したように意思の疎通が上手くできないだけで人類に害意がない可能性を想定しているのでは。ただ悪意がなかろうと結果的に多くの人間を傷つけ殺している以上倒さざるを得ない、そういう意味だろうか。

・「地上に危険が及ぶ心配はありませんが、万が一に備えシェルターへの避難をお願いします」との声に従い、不安げな顔の人々が地下へと降りてゆく。
アザディスタンでは案の定これ以上シェルターに入れないという問題が。広場もすでに人で埋め尽くされこのままでは暴動の危険も、という部下の人たちに「王宮の全ての施設を開放して市民たちを受け入れてください」とマリナは命じる。
彼女らしい判断。「姫さまも避難を」という部下に「いいえ、私は市民たちの無事を見届けます」と答えるのも。
ただ王宮が市民の避難場所たりうるならマリナは最初から避難してるようなものではないのか。まあシェルターとちがって強力な遮蔽物もないのでELSが襲いかかってきたら普通にやられちゃいそうですけどね。

・電話を通じてのシーリンとクラウスの会話。「やはり政府は戦う道を選んだわね」「ああ。しかし私は大統領の判断を指示する。私たちの望む平和は、人類が存続してこそ得られるのだから」。
この会話の内容からすると、やはり大統領が言っていた「他者」とはELSのことだったよう。宥和政策を掲げてきた大統領としては相手が外宇宙生命体であっても戦闘という手段を選びたくなかったということですね。先に火星調査団がELSと交戦したのは、あくまでも調査目的で火星に向かった軍がELSの攻撃を受けたため迎撃を余儀なくされたという位置づけなのでしょう。
「まずは生き残ること、存在すること」というシーリンにクラウスは頷いて「そのためなら、私は銃を手にする」。クラウスの言葉にシーリンもうなずく。
元はカタロンの中心的構成員だった二人ですが、連邦議員となった今は大統領の宥和政策に同調し、基本戦いを避けるスタンスになっている模様。武器を手に戦っていたカタロン時代でさえ、クラウスは基本他人を信じよう避けられる争いは避けようとする穏健派でしたしね。

・軌道エレベーターを防衛するために民間から有資格者を募集する放送。人革タワー低軌道リング脳量子波遮断施設で放送を聞く沙慈とルイス。
ルイスは沙慈を見て静かに「行くのね」と言い、沙慈は意思の強い目をして頷く。「この世界を、そして君を守りたいから」。ルイスは少しはっと目を見開いてから穏やかに微笑む沙慈を見て、ちょっとうつむいた後に少しさびしげな微笑みを浮かべ、沙慈の左手に右手を重ねて「気を付けて」と一言告げる。
ELSが出現して以来怯えるシーンばかりだったルイスがようやく笑顔と心の強さを見せたシーン。あいかわらず静かに覚悟完了している沙慈のいい男っぷりもすごい。
行きたい気持ちはあるけどルイスを置いていっていいものか迷う沙慈にルイスが「行って」と後押しするのでなく、最初から沙慈は行くと決意していてそれを口にするより前にルイスが察して確認するという流れ。セカンドシーズンでの試練を乗り越えた二人の間の揺るぎない信頼関係が窺えます。沙慈の左手薬指に指輪が光っているのも眩しい。
しかし脳量子波遮断施設ってタワーの上にあるんですね。地球の外の方が適しているのかしら。

 


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『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazar-』(3)-5(注・ネタバレしてます)

2024-10-10 20:37:40 | ガンダム00

・火星宙域に到着した調査隊の指揮官はキム中将。なぜこんな危険な任務に志願したのか、という部下の質問に中将はスミルノフ大佐の名前をあげ、「出世欲に取りつかれた私の人生だが、人類の危機となれば一度くらい彼のように生きてみたいと思ったのだよ」。
ここで大佐の名前が出てくるのが胸熱。クーデターに参加したとの誤解に基づき、汚名を着せられたまま元々折り合いの悪かった実の息子に殺された(大佐は最後まで息子を守ろうとしていた)大佐の人生は客観的には幸せだったといえないかもしれないが、自分に致命傷を与えた息子の命を救おうとした(実際に救った)大佐の最後の表情は穏やかだった。
その生きざまがこうしてキム中将みたいな人にも影響を与えてるくらいだし。少し後にまた大佐によって人生がかわる程の影響を受けたある人物の立派な死にざまが登場します。
しかしなぜキム中将前髪がひとすじだけ長いんだろう。高級軍人らしくなくてちょっと意外。まあアロウズの最高司令官だったカタギリ(ビリーの叔父)も後ろ髪が長かったですけどね。

・「様子を見ても埒は明かない」と勝手に一機だけ先行するガデラーザ。しかし「放っておけ。これで敵の真意もわかる」と中将は容認。先にいい台詞言ったばかりですが、この人も結局最高司令官同様、デカルトは囮役という認識なんでしょう。
デカルトの方も自分に対する周囲のそうした見方を理解していて、そのうえで利用しようとしている。お互い利用しあうだけの、同じイノベイターでも刹那とその他のプトレマイオスクルーの間のような信頼関係を築けないこの人も何だか気の毒だ。

・ELSの攻撃をGNファングで迎え撃つデカルト。「このもののけどもがぁ!」
デカルトの台詞はちょっと時代ががってるというか大仰なものが多いのですが、とくに目立つ台詞がこれ。もののけという表現につい笑ってしまいますが、彼がELSをただただ怪物とみなしている、意思の疎通を図ろうとする気持ちが微塵もないことを端的に示した台詞なんですよね・・・。
ここからの戦闘シーンはとにかく動きが目まぐるしく迫力満点。明るい赤を基調とした光線の軌跡も美しい。

・「頭に響くんだよ!叫んでばかりで!」ファーストシーズンの時から思っていたのだが、ソーマ・ピーリスが使っていたような脳量子波を遮断できるパイロットスーツをなぜアレルヤやデカルトは着用しないのか。
当時の人革連が作れたものを人革連を内包する連邦軍、テクロノジーで彼らの上を行くソレスタルビーイングが作れないとも思えない。確かに超兵を生み出した超人機関を有する人革連はその点で開発にアドバンテージがあったかもしれないけれど。
まあデカルトの場合は脳量子波を利用しての囮役を期待されてるので脳量子波を遮断したら意味がないかもしれないが(小説版ではデカルトについて「脳量子波を遮断していた専用のパイロットスーツ」という文章があるので、あれでも着用していたらしい。あまり役に立ってないような)アレルヤは謎。別に脳量子波で誰かとコンタクトすることを望まれてたわけではないうえ、戦場でピーリスとかち合うたび戦闘不能に近い状態に陥ってたというのに。

・ガデラーザ以外のMSも善戦するものの、次第にELSに取りつかれる機体が増えていく。しかもMSに取りつかれるとあっという間にコクピットおよび中のパイロットまでが金属化してゆく。
これは恐ろしい。普通にミサイルやビームを撃ち込まれたとか実体剣で斬りつけられたとかで爆発炎上する方がまだしも覚悟が決まるというか、未知の生物に体が徐々に侵食されてゆくというのはとんでもない恐怖だよなあ。

・MSが取り込まれてゆくのを見てキム中将はELSを敵対勢力と断定する。「対話の可能性をさぐる」という名目通り、戦闘行為が始まってはいても、ここまでは一応完全に敵と見なすことはせずにいたわけですね。
ただ「対話の可能性」のあるデカルトにまるで対話の意志がなかった、むしろ最初から叩き潰す気満々だったわけで、その内心が脳量子波を介してELSにも伝わった(デカルトにELSの思いが「叫び」としか感じ取れなかったように細かいニュアンスはわからなかったろうが、強い敵意と拒絶の感情は何となく感じ取れたのでは)ことが事態を悪化させたような感もあります。

・航宙巡洋艦に接近するELSに対して大量の迎撃ミサイルを発射。しかし量で勝るELSはミサイルに取りつき金属化、巡洋艦に接地?してどんどん侵食してゆく。
キム中将は総員脱出ポッドに移動するよう命令を出すが、とりわけ大型のELSが飛来し、巡洋艦にがっつり取りついて一気に金属化を進める。悲鳴をあげながらどんどん金属の結晶に飲み込まれてゆくクルーたち。
中将は「認めん、これが現実だと・・・」と驚愕の目を見開きながら足から頭へと侵食されてゆく。この状況で悲鳴も上げず意味のある台詞を残せたこの人はさすがに指揮官だけあるというべきか。

・「母艦が取り込まれた・・・?」 デカルトの表情も声音も驚きだけでない悲しみのようなものがある。
周りの軍人たちとの間に信頼関係がなかったとはいっても、突出した能力を持ちながら脱走を企てるでもなくモルモット扱いになんだかんだ甘んじていたこの人は根っからの軍人であり、軍への忠誠心も帰属意識も強かったのだと思う。
自信を漂わせた冷笑でも苛立ちでも苦痛に呻く顔でもない、こんな人間的な表情をデカルトが見せたのは初めて。人間を劣等種よばわりしたり何かにつけ敵対的態度ばかりみせたりしてるこの人を嫌いになれないのはこういうところ。

・しかしすぐに平常心を取り戻したデカルトは「ここで死ぬ気はない、一網打尽にする!」と母艦およびもう二つの巡洋艦も次々に大火力で撃ち抜き、爆散させる。
この時「これは味方殺しではない!すでに彼らは・・・」と戦いつつ口にする。誰が聞いてるわけでもないのでこの台詞は自分自身に言い聞かせるためのもの。それだけ全員死んでるはずとわかっていても友軍を攻撃することに抵抗感があったんでしょうね。
それは仲間意識なのか一種の職業的倫理観なのか人命尊重的な方の倫理観なのか。個人的には職業的倫理観─軍人たるもの味方を意図して攻撃するなどとんでもないという認識が一番強かったんじゃと思っています。

・ELSにしつこく追われ、「この野郎ー!」と叫ぶデカルト。台詞がだんだん短絡的になってきた。難しいことを考える余裕が無くなってきたというか、何か追い詰められ感があります。

・前方に激しく射撃を行うガデラーザを側面からやってきたデカいELS(母艦を潰したのと同型のやつ)が抱きしめるように包み込む。ELS的には本当に抱きしめてるつもりだったりして。一気にガデラーザにも侵食がすすむ。うわあ。

・ひときわ強い「叫び」をくらったデカルトは激しく呻きながら両手で頭を抱える。ほとんど戦闘不能状態。すでにデカいELSに全面覆われているガデラーザにさらに周辺を飛び交うELSが密集してきて渦を巻くように球体状にガデラーザを包み込む。
小説版ではELSによって脳に受ける不快感を「無数の蜂や蚊に、四六時中まとわりつかれているような感覚」と評しているが、この場面は本当に巨大な蚊柱みたいに見える。これ中のデカルトはたまらないだろうな。

・そこにガンダムたち登場。「連邦の艦隊は・・・」という刹那の声はいるはずの艦隊の姿が見えないことを訝しんでるんでしょうね。そして蚊柱発見。「これは・・・!」。
艦隊の姿は見えず無数のELSによる蚊柱がある、中に何かしらの機体がいるのは察せられただろうから(「やつら一体何を!」というアレルヤの台詞からすると、アレルヤは何で渦巻いてるのかわからない=中に機体が包囲されてるとはわかっていないのかも?小説版だと「ダブルオーライザーのコンピュータがその中心にある物体を解析し、それが地球連邦軍の開発した新型のモビルアーマーであることを示す」とあるので刹那はわかってる模様)、ELSに取り込まれまくって連邦艦隊全滅という結論にすぐたどりついたでしょうね。
観客的にはガデラーザが完全包囲されてからすぐのタイミングなので、ワンチャンデカルト助けてもらえるかと期待が高まった場面ではありますが。

・毛糸玉から糸がほどけるようにELSが線状に分離してガンダム4機に向かってくる。ガンダム3機はそれぞれらしい戦い方で迎撃。しかし倒したそばからどんどん次がくる物量でまるで勝ちが見えない。
その中で一人攻撃せず前に出る刹那は例によってELSの叫びが響いてくる中に人間のうめき声も(おそらくは通信機能によってではなく精神感応によって。小説版だと「デカルト・シャーマンの叫び声が刹那の脳裏に響いた」とあります)聞きつける。
「俺の声が聞こえるか?逃げろ、逃げるんだ!」 やはり刹那は球体の中に機体が取り込まれているのに気づいていた。しかし逃げるよう呼びかけるだけということは刹那にも具体的にしてやれることはないのね・・・。どう考えても逃げられる状況じゃないのになあ(コクピットがまだ無事だったとしてもあの包囲を抜けて脱出できるとは思えない)。
刹那の声が聞こえているのか頭を抱えて身をよじって悲鳴をあげるばかりのデカルト。その身体がどんどん結晶に覆われてゆく。あーもうこれ助からないやつだ。

・鼻から血を流し眼球を見開いたまま叫び続けるデカルト。ヘルメットは無事にもかかわらず顔面の皮膚を突き破って結晶の先端がつぎつぎ現れる。身体を外から取り囲むだけでなく、すでに体内にまで侵食したELSが身体を突き破って出てきた感じ。
そしてガシャンというガラスが砕けたような音。結晶ごとデカルトの身体が砕けたということでしょうか。他の人もこんな内から侵食されて死んでいったんだろうか?みんな外側から全身覆われる描写はあっても内から身体を突き破られる描写はなかったと思うのだが。イノベイターだからこそ?

・すべてが終わったことを察し刹那が「連邦のパイロット・・・」と辛そうに口にして一瞬目を伏せる。そういえば刹那はデカルトの名前も知らないままだったんですね。
刹那は彼が自分と同じイノベイターだと気が付いていただろうか。連邦軍にイノベイターとして覚醒した人間がいること、今回の火星調査隊に彼が参加していることはヴェーダを通してわかっていただろうし、通信回線を通じないで(たぶん)逃げろと呼びかけていたので気づいてたんじゃないかな。
イノベイターとして覚醒したゆえに他の仲間との間にも若干の懸隔を感じるようになっていた刹那にとっては初めての同胞ともいえる相手だったわけだが、それを失ったという感覚が彼にあるのか。たぶんイノベイターだから仲間という感覚はなく、ある意味種族は違ってしまったけど、何年も共に戦ってきた、志を同じくできるソレスタルビーイングの仲間こそが同胞だと思ってるような気がします。

・しかしデカルトの死を嘆く間もなくELSは周辺を飛び交う。刹那は「各機攻撃を中止!撤退しろ!ライザーシステムで高濃度GN粒子の意識共有領域を作る!」と指示をとばす。
全体の戦況に関わることを提案ではなく指示。スメラギの見解も待たずに。それだけ時間が切迫している証でもありイノベイターの自分にしかわからない感覚があるからということでもあるんでしょうね。

・刹那の言葉を聞いたスメラギが「そんな機体でトランザムを!」と驚きと不安の声を発する。「そんな機体」とは今ダブルオーライザーはGNドライブを搭載せず粒子貯蔵タンクのエネルギーで動いてる、本調子には遠い状態だからですね。

・目が金色に輝き、ライザーシステムを起動させる刹那。「おまえたちは何者だ?何を求めてここに来た?答えろーー!!」と絶叫する刹那。次の瞬間精神世界?で全裸状態でELSの意識に?飛び込んでゆく刹那は奔流のように押し寄せるELSの意識?に逆に押し流される。
現実世界においてはダブルオーライザーにELSが取りつき侵食が進んでゆく。頭を抱えて苦しむ刹那。これじゃデカルトの二の舞じゃないか。
フェルトの報告を受けてスメラギは「至急刹那を回収!急いで!」と指示をとばす。デカルトと違うのは刹那にはいざとなれば身体を張って助けに来てくれる仲間がいるということ(まあデカルトの場合は友軍の方が先に壊滅してしまったので、いざとなればデカルトのために身体を張る意志のある人間がいたのかもわからないんですが)。この時もティエリアとグラハムらの救援がなければ死んでいました。

・仲間たちが刹那を助けに向かうが相手の数が多すぎて近づけない。自然と背中合わせになる三者。
「ダブルオーの粒子残量が尽きます!」切迫したフェルトの声。モニターの残量表示は0。これはヤバすぎる。
左足、右肩、頭部とELSに引っ付かれているダブルオー。しかしガデラーザなどに比べると侵攻が遅いような気もする。ELSの方も友好的な呼びかけを発している刹那には期待するところがあって無理に取り込みにかかっていないとか?

・刹那がいよいよ危ないと見たティエリアが背中合わせの状態を外れて一人先行。「セラヴィー!」の声とともに上のコンテナ部分をパージ。
「僕にも脳量子波は使える!」目が金色に輝く。ティエリアの脳量子波に引かれてELSは彼を追ってゆく。
一方パージされたコンテナ部分は人型に変形してセラヴィーガンダムリペアとなる。何が「セラヴィー」なのかと思ったらこういうことか。ここからのティエリアの活躍はすさまじいです。

・ラファエルにELSを引き付けつつ、新たな敵がほぼいなくなったダブルオーにセラヴィーを遠隔操作で近づける。
サバーニャとハルートが加勢してくれるのへ「刹那を頼む」「対話のためにも刹那をやらせるわけにはいかない!」と言葉少なに拒絶。その意図と覚悟を察した両者は、まずはロックオンが、つづいてアレルヤがラファエルに背を向けダブルオーの方へと向かう。
少ない言葉でも意志を悟って何も言わず、ティエリアを見捨てざるを得ない辛さを堪えてティエリアの思いを受け継ぐ。共に過ごし共に戦ってきた日々の蓄積を感じさせる場面。

・力づくでコクピットの部分を剥ぎ取ろうとするティエリア。ダブルオーの機体に触れたとたんにセラヴィーがELSに侵食され、その苦痛に悲鳴をあげ、さらにラファエルに取りついてきたELSからの苦痛にも悲鳴を上げる。
苦痛がダブルというのは想像するだにきつい。それでも作業を続けてついにコクピットブロックを掴みとって宙へと放る。
この時のコクピットの扱い方が“そっと”と表現したくなるような優しい動き。中に刹那がいるのだから当たり前ではあるんですが、そこまでの動きがいかにも力づくだっただけに(頑丈な機体から最重要パーツを剥ぎ取ろうというんだからこれまた当然)、そのコントラストで刹那への気遣いが際立ちます。

・コクピットをそばまで来ていたサバーニャがキャッチして(この仕草も優しげ)、援護するようにそばにいたハルートとともに離脱する。
「刹那を回収した。これよりトランザムでトレミーに向かう」とプトレマイオスに通信で告げるロックオンの声音が苦い。ティエリアを見捨ててゆくという意味ですからね。
二機が去ってゆくのを見届けたティエリアはすでに顔以外の全身をELSに覆われながらもうっすら微笑んで「トランザム」と一言告げる。その声とともに機体に取りついたELSごとラファエルは自爆。少し離れた位置でやや小さく爆発しているのはラファエルというかティエリアと連動しているセラヴィーだろう。
二つの機体を同時に操り、身体が動かなくなっても意志の力だけでトランザムを起動させられたのはイノベイドのティエリアならでは。無抵抗状態とはいえダブルオーの装甲を手で破壊してコクピットを引き出せたのも代々怪力が持ち前のティエリアの機体だからこそだろうし。
何より彼以外だったらここで完全死亡でしたね。イノベイドにして今や実体はヴェーダの中に生きる精神体、身体は半ば借り物のティエリアだから魂まで死ぬことはなかったわけで。

・ティエリアの犠牲にもかかわらず、なおもサバーニャとハルートを追ってくるELS。その時アレルヤが「ピーリス!」と一言叫ぶと逆方向へと引き返してゆく。ELSは脳量子波が使える二人の方を追ってゆく。
アレルヤが自分だけならともかくマリーまで犠牲になるような行動に出たことに驚いたが、マリーでなくピーリスと呼んだように、ハルートに乗っている時はマリーでなくピーリス、恋人ではなく一蓮托生の戦友という認識なんでしょうね。
マリーも何も聞かず「了解!」と力強く答える声音が戦士としてのそれ。そしてティエリアの覚悟を見せられたあとだけにアレルヤもマリーも自分たちを犠牲にしても刹那だけは守らなくてはの思いなんですね。
もし仮に刹那を回収したのがハルートの方だったら、ロックオンが盾になって二人は苦渋の思いで離脱したことでしょう。というか、刹那の回収をロックオンが担当した時点で最悪ハルートが自分たちの脳量子波を餌に囮になる暗黙の了解があったのかも。

・ハルートが囮になったにもかかわらず、なおもサバーニャの方にもELSの追手が。ハロたちが防御壁を操作してくれる中何とか離脱を図ろうと苦戦するロックオン。しかしついに盾も破壊されてピンチ。
そこへまさかの援軍が。誰かと思えば飛行形態の機体がいくつか。ということはあの男か!との期待にたがわず現れたのはグラハム・エーカー率いるソル・ブレイヴス隊。
グラハムとソレスタルビーイングの共闘って何気に初めてですよね?敵味方なく連携したブレイクピラーの時もグラハムいなかったし。
ファーストシーズンとセカンドシーズンで二回刹那と戦を繰り広げてるにもかかわらず、この人はあんまり敵という印象がないです。民間人の生命を守るとかどうでもよくてただガンダムと戦うことで頭がいっぱいだったある意味戦闘狂なんですが。武士道マニアで正々堂々を重んじたり、部下思いだったりするからかな。

・他機を先行させたグラハムは飛行しながら人型に変形。おおグラハムスペシャルだ!他の機体もそれができるのかできないのか、と思ったらハルートの周囲を囲むように(援護している?)接近した4機もいっせいに人型に。
「敵との接触をさけて応戦せよ」とのグラハムの指示通りに、ソレスタルビーイングの3機があれだけ苦戦したELSにおそらくは一機もつかまることなく確実に屠ってゆく。ガンダムタイプの機体じゃないのにこの強さは何なのか。
多くはないがそれでもガンダム(4機)よりは多い6機の編成と機動性を生かして、一機が追われれば他の機体がそれを横から狙い撃ち、今度はそちらに向かおうとするのをまた別の機体が狙い撃ち、という集団戦法が見事にはまっている感じ。グラハムの指揮官としての有能さも窺えます。

・そして再び飛行形態になっていたグラハムの機体がまた人型に変形するさい強烈なGに耐えながらブレーキをかけELSの背後に回りこみ、機体を回転させながら粒子ビーム砲で一気にELSを屠る。
ガンダムは機体自体が一種チート的な強さを持っているのに対し、グラハム率いる部隊は常にグラハムを筆頭にパイロットの技量および肉体的な負担に耐えうる精神力(グラハムがGに耐える場面はこれまでも何度か描かれている)がその強さの根本にある感じがして実に格好良い。
一戦終えたグラハムが疲弊しきって肩で息しているようなのもリアル感がある。

・ELSは殲滅されたわけではなく、また蚊柱のように球状にまとまって渦を巻いている。その姿を遠巻きに見るソル・ブレイヴス隊。
「ええい、何を企んでいる!」と叫ぶグラハムのもとにソレスタルビーイングから通信が。音声のみで姿は見えないが、内容からいってもこの声はスメラギでしょうね。

・無事にサバーニャが着艦、刹那を保護したプトレマイオスは粒子攪乱ミサイルなるものを発射して、ELSを足止めする間に離脱。あらかじめ合流ポイントを教えてあったソル・ブレイヴス隊をも収容する。
プトレマイオスについて離脱するシーンを見るとソル・ブレイヴス隊は6機全て大きな損傷もなく無事。なまじ脳量子波を使ってない(使えない)からELSが積極的にたかってはこないにしろ凄いです。

 


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『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazar-』(3)-4(注・ネタバレしてます)

2024-10-03 10:01:29 | ガンダム00

・ソレスタルビーイング号の司令室で対面するビリー&ミーナとマネキン。こうしてみるとビリーすごく背が高いんだな。

・そこにマネキンに呼ばれたデカルトがやってきて敬礼する。その首や手首には例の金属はない。
マネキンの命令がきいたのか、モルモット扱いは大分軽減された模様。デカルトの態度が以前より礼儀正しくなった気がするのはマネキンへの感謝があるのかも。

・と思いきやビリーとミーナにはあいかわらず塩対応。「ミスター・イノベイター」というミーナの呼びかけがデカルト・シャーマンとしての人格はまるで無視されてるようで面白くなかったのか。
変質した木星電波の解析をミーナから先に頼まれていたデカルトは「一介の兵士に無茶を頼む」と言いながらも「あれは「叫び」です」と解答する。しかし「誰かを呼んでいるの?」というミーナの質問には「それを調べるのは、あなたがたの仕事ですよ」と皮肉っぽく笑って「それでは失礼します」と勝手に出ていってしまう。
「叫び」とわかっているだけ刹那の「わからない」よりは前進してるようでもあり、彼がイノベイターとして刹那より優秀なのでは?と思ったりもするのですが。ただ理解できないものを無理やり自分の常識にあてはめてカテゴライズせず保留にする、という刹那の態度こそが真にわかりあうためには必要なのかもしれません。

・エレベーターの中で「劣等種が」と吐き捨てるようにいうデカルト。その直後に強い脳量子波に襲われ頭を抱えてエレベーター内でのたうちまわる。どこか広い施設にいるルイス(沙慈も一緒)も頭を抱え、機体のそばにいたアレルヤとマリー、刹那もはっと驚いている。
沙慈が周りを見回すと、他にも頭を抱えて苦しんでる人がたくさんいる。脳量子波を使える人間の密度の多さからすると、ここは例の脳量子波遮断施設である可能性が高いだろうが、遮断施設内でもこんなに影響を受けるのか。まあルイスが一番はじめに暴れた時に比べればまだましな感じなので、遮断されている結果この程度で済んでるのかも。
軍人として訓練も受けているデカルトが彼ら以上に苦しんでいるのは、ソレスタルビーイング号にいるはずの彼がより木星に(ELSに)近い位置にいる+すでにイノベイターとして目覚めているので脳量子波がより強いはずだからわかるとして、宇宙空間、地球(のちに脳量子波遮断施設が人革タワー低軌道リング上にあると説明される場面が出てくるので、正確には地球外というべきか?)の沙慈たちより木星に近い(たぶんデカルトよりは遠い)はずの刹那たちが苦しんでる様子がないのは謎。
刹那は先にELSと戦った時にはやはり頭痛や眩暈に襲われ、00の腕が浸食されて以降は苦しみのあまり意識を失うほどだったのに。まああの時は真正面から向かい合い侵食すら受けていたので距離が近すぎたからと仮定しても、今回はマリーたちも含め苦しまなさすぎる。
プトレマイオス2改にはそれだけ頑丈な脳量子波遮断が施されてるのか(脳量子波を増強させるGN粒子を長年研究してきた組織だから、脳量子波を遮断する技術もそれだけ優れているのかもしれない。だとするといよいよ後述のアレルヤの件が謎なわけですが)。
それ以上に可能性が高いのは、彼らがELSに対して慎重派であること。彼らはストレートにELSを敵とみなしていない。地球のイノベイター予備軍の人たちは積極的敵意はないとしても、彼らを恐れるだけで話し合おうとする意志を持ってはいない。ELSに多少なりとも好意的な刹那たちはELSに害意がないだけ苦しみを感じずに済んでいるのかも。
知らない人が近づいてきた時、単に知らない人と見るか(刹那たち)、不審者とみなすか(脳量子波の強い一般人)、さらには敵とみなすか(デカルト)で、受ける圧迫感・恐怖感が全然違うようなものというか。

・ここで半身をELSに覆われ眠り続けていた例の少女が目を開き、その目が金色に光る。彼女がイノベイターとして覚醒したことを示すシーンと思われますが、この後の戦闘~ELSとの和解に彼女は全く関わってこない。この間彼女はどうしてたんでしょうね。
研究所の人たちも当然彼女が目覚めたことには気づいたろうから、地球に接近しつつあるELSへの対処法の手がかりを求めて彼女にあれこれ質問したり、人類存亡の危機だけに人体実験まがいのことまでやっていてもおかしくないですが。

・木星の一角に巨大な黒い穴が生じ、小惑星などが吸い込まれていったあげく衛星のイオ、ガニメデが砕け散る。巨大な重力場が発生して木星のリングも消滅。ものすごい大惨事。誰もが信じられずにいるのだからどれだけ常識外なのかがわかる。
悪気はなかったとしてもこの破壊力。握手しようとしただけなのに相手の手を握りつぶしちゃったみたいな事になりそうで、ELSとの対話の困難さが予想されます・・・。

・頭痛をこらえて司令室にやってきたデカルトは巨大スクリーンに映る光景を見る。霧のようなものが晴れた中から大群のELSが現れる。同じものを見ているプトレマイオスクルーも呆然とするところへ刹那がかけつけ、ELSの地球圏到達までの時間を算出するよう求める。
いつになく急かしてくる刹那の様子に急いで計算にとりかかったフェルトは、程なく95日という危機的数字をつきとめる。来たるべき対話に与えられた時間は三か月だけかと呟くスメラギにたいし、刹那は一言「行こう」という。ラッセがそれに賛同。
ソレスタルビーイングの今後の方針が決まった瞬間。

・ELS接近の報に紛糾する連邦議会。これを機に軍備増強しようと狙う勢力、それを宥和政策への反動だと責める勢力。地球までは来ないだろうと楽観視したがる人など。
こんな事態でも人間、特に後方の非戦闘員は党派争いに走ってしまう。ブレイクピラー事件もそうですが、いざというときに立場を超えて手を取り合えるのは現場で命を張っている、さっきまで殺しあっていたはずの軍人たちの方なんですよね。
自分の、味方の、そして民間人の命を守るには何が最適かという問いをリアルタイムで突きつけられ続けているからこそでしょう。

・視察を終えて地球に戻る途中のマリナたち。彼女の外遊がまだ終わってなかったことにちょっと驚いた。マリナの独り言で「ようやく話し合いがまとまり、市民たちを故国に返すことができるのに」。珍しく(?)彼女の外交がまともに実を結んだ模様。
コロニー公社が最終的にマリナたちを暗殺するほどに手離すまいとしていた労働者たちの帰国を認めたのは暗殺計画が明るみに出てしまった弱みがあるからか、それともまだ裏があるのか。
コロニーと地球、木星の位置関係がわからないですが、位置によっては地球より早くELSの侵攻を受けかねないとしたら、コロニー開発どころではなくなったからという可能性も。

・クラウスから聞いた議会の紛糾ぶりを伝えるシーリン。毒舌の彼女が楽観視したがる人の気持ちもわかるといい、「私たちにできることをしましょう」というマリナに「そうね」と穏やかな(ちょっとあきらめたような)笑顔で同意する。
シーリンがマリナのいう事に素直に同意する場面がなかなか思い出せないのでこれは画期的。どう対策を立てていいかもわからないELSという強大な敵を前にしては本当にできることをささやかながらやっていくしかない。
一種のあきらめがシーリンを普段なら意見が異なるであろう他者に対しても寛容にさせている気もします。

・大統領らの会話。軍縮が仇となった、現在の兵力でどこまで戦えるか、といった話の中、軍の最高司令官(らしい人)がやってくる。ELSがそれてくれる可能性は脳量子波に惹かれる特性上、量子型演算システムであるヴェーダがあるかぎりまずない、火星空域に調査隊を派遣した、ELSに意志があるなら(これはミーナたちの理論を踏まえた話だろう)対話の可能性をさぐるべくデカルトをそこに編入したと告げる。
かえって彼の脳量子波がELSを引き寄せないかとの質問に、だからこそ、彼を餌にしてELSのコースをそらさせるのだと答える。この理屈だとヴェーダを内包しているソレスタルビーイング号も地球から遠いところにやってしまえばいいということにならないか。
イノベイターは使い捨てにできても、おそらくはアロウズの覇権時から人間生活を支えるインフラと化しているのだろうヴェーダを切り捨てることはできないのか。最終決戦時にはソレスタルビーイング号を最前線に投入していたが、艦ごとヴェーダが破損する危険があったんじゃ。
まああの時はもうここで負けたら地球滅亡という状況でしたし、有事に備えてヴェーダのシステムはあちこちにバックアップがあるようですけど。

・対話の可能性をと言いつつあからさまにデカルトを犠牲にするような作戦に補佐官らしい人が「非人道的だと非難されませんか」と声を高める。
「非人道的だ」と憤るのでなく世論から責められるのを恐れてるだけかい、と思いかけたが、司令官の発言を聞いたあとの苦渋の表情を見るに、彼自身の良心が痛んでもいるのですね。
デカルトは軍人であり民間人を守るのが責務、盾になる覚悟は当然あるし我々は軍人である以上やらねばならないという司令官。確かに説得力はある(この人自身が何かの時には盾になれる覚悟があるならの話ではあるが。この後の場面で名前が上がるセルゲイ・スミルノフ大佐はまさにそういう人だった)。
宥和政策を掲げるくらいで人道派であるはずの大統領も結局これを容認してしまう。「我々には60億以上の生命を守る義務がある!」と言い切られれば確かに1個人の犠牲で済むならと思ってしまわざるを得ないのだが。

 


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『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazar-』(3)-3(注・ネタバレしてます)

2024-09-26 21:33:58 | ガンダム00

・例の人革領の研究所に大統領特使としてキム中将とともに現れたのはクラウス。おお出世して。

・「見てください」とビリーが示した映像は、半身が銀色の金属の結晶でおおわれた例の女子学生。侵食が体半分で済んでいて死んでないというのは彼女がある意味融合に成功した証だったのか。
ここではじめて「地球外変異性金属体」=ELSという名称が登場することに。ここで研究対象となっているのは彼女だけのようだが、やはり人革領の太陽光発電施設でELSに取りつかれた人たちはどうなったのか。みんな助からなかったとしたら、ELSに変われるのはやはり一握りということか。

・ビリーはクラウスに、イノベイターになりうる資質のある人間を脳量子波を遮断する施設に避難させるよう連邦議会で提案してくれと頼む。ミーナの仮説がすでに確定情報に近いものとして発言されている(いちおう推論という言い回しではあるが)あたり、彼女がビリーに頼んでいた資料は無事入手され、裏付けがとれたのでしょうね。

・ビリーがELSが人間以外の何かと融合し繁殖速度が急激である可能性を示唆する。こういう場合、本当にそういう事態がすぐ後に起こるんだよなあ。

・イノベイターになって以来刹那が出会った頃のだれにも心開かなかった刹那に戻ってしまったようで不安だ、彼に何をしてあげられるかと悩むフェルトにスメラギはおだやかな、少し悲しい笑顔で「彼のことを、想ってあげて」という。それがわかりあうために必要なことだからと。
この台詞、ちょっと聞くと具体性のない曖昧な言葉に響きますが(何をしてあげるか悩む時点ですでにフェルトは刹那のことを充分想っている。その上で何ができるかと悩んでるわけで)、実際に何かをするわけでなくても常にずっと相手を想い続けることそれ自体が相手の力になる、相手を理解したいと心から想い続けることでその想いはいつか自然と通じる時が来る(想いが通じる、理解しあえる事がイコール相思相愛になる事ではない。後述するようにスメラギとビリーだって、ずっとスメラギを想ってきたビリーの気持ちがスメラギに通じ、スメラギが悪意を持ってビリーを利用したわけではないとビリーが理解したうえで疎遠になりましたし)という、マリナの生き方にも通ずるこの作品の根幹をなすキーワードではないかと思います。
しかしスメラギは一時が嘘のようにすっかり落ち着きましたね。セカンドシーズンで本式にソレスタルビーイングに復帰すると心を決めてからは酒を飲む場面もめっきり出てこなくなりましたし。

・「まーた考え事ですか?」と笑いながらパジャマ姿でマネキンと二人分のグラスを運ぶコーラサワー。あの帽子がなんとも。この人これで30代も後半?なんですよね(笑)。
しかし広くて豪華な家だこと、さすが連邦軍の高官、と思いかけたがなんとなく部屋のレイアウトに見覚えが。これリボンズたちイノベイドが暮らしてた?場所=ソレスタルビーイング号の中ですね。視察に来てそのままここに駐留してるわけだ。コーラサワーの寝巻があまりにカジュアルなんで自宅なのかと思ってしまった。

・また同じような異性体が地球を襲う可能性を案じてパソコンに向かい調べものをするマネキンに対して、そんな偶然何度も起きない、もし起こるようなら地球は完全に悪い宇宙人に狙われているとにやりと笑うコーラサワー。
宇宙人といえるかは微妙ながらELSは単なる金属破片ではなく理性も意志も持った知的生命体だったわけで、ある意味彼の目の付け所は的を射ていた?

・コーラサワーの言葉にふっとやわらかく笑うマネキン。「お前といると真面目に考えることが愚かしく思えてくる」。彼女が気を張り詰めすぎないためにコーラサワーがいい息抜きになっている。貴重な存在ですね。

・ちょっといい雰囲気になったところで、マネキンの顎に手をかけキスしようとするコーラサワー。マネキンも目を細め応じようとするが、そこへ緊急通信が入ったため「どうした!」と押しのけられるコーラサワー。
床に倒れてお尻さすってるのが何とも(笑)。この報われなさこそコーラサワー。

・施設内の未確認のハッチが開いて機体が飛び出していったとの報告。映像を見ると赤いGN粒子をふりまきながら一直線に飛び立ってゆく謎の物体。
どんな機体か形状も見えませんが、マネキンは「トランザム!」と叫ぶ。この船がもともとソレスタルビーイングのものだった(正確にはソレスタルビーイングの実働部隊とは対立関係かつアロウズの黒幕でもあったイノベイドたちの旗艦でしたが)こともからめると、ソレスタルビーイングの秘密兵器が眠っていて、ソレスタルビーイングの意を受けて動き出したと即座に解釈したことでしょう。
現在連邦軍とソレスタルビーイングは敵対関係ではない、むしろ緩やかな協力関係とも言えるものの明確な味方でもない(マネキンはセカンドシーズンの最後で〈ソレスタルビーイングはアロウズを倒した功労者ではあるが、武装放棄しない限りは危険な存在〉だと宣言している)以上、今は連邦軍の管理下にあるこの船が実質的にはやはりソレスタルビーイングの支配下にあることを突きつけてくるようでまあ面白くはないですよね。
観客にとっても、このトランザム状態の機体が敵なのか味方なのか、それが発進したことはソレスタルビーイングにとって吉なのか凶なのか現状わからずハラハラするくだり。続いて空っぽになった何らかのカプセル複数が映され、とくにその一つが大写しになるのも緊迫感をあおる。
結果を見れば、このカプセルの中で新たな肉体を眠らせていたティエリアが、ヴェーダの中にいた精神を新しい肉体に接続させ、ガンダムを動かして刹那たちの応援にかけつけたという実に頼もしいシーンでした。

・プトレマイオス2改に近づいてくる謎の船。映像を見て「連邦の輸送艦か?」と口にしたラッセに「違う」と答える刹那。
フェルトが案じるような顔をしているのは謎の船が接近しているという事実にではなく、船の正体を即座にある程度察してしまう刹那がまたみんなから浮いてしまっている、彼が遠い存在になってしまうことへの不安ゆえでしょう。

・謎の船が破壊されたはずのエウロパという事実─少し前に皆で確認しあった内容からすれば刹那が出会ったリボンズが本物のリボンズでなく木星探査計画に参加していたリボンズタイプのイノベイドに金属異性体が擬態したものだったのと同様、エウロパに擬態したELS─を知って出撃するガンダムマイスターたち。
共にガンダムハルートに乗り込んだマリーとアレルヤ。出撃を前に謝るアレルヤに、さっきの話が本当なら私も狙われる、この船の人に迷惑をかけるわけにはいかない、とマリーは厳しい表情と声で答える。
アレルヤが謝ってるのはセカンドシーズン以来のマリーを戦場には出さないという約束をまた破らざるを得ないからで、それを受けてのマリーの答えは自分で納得して戦いに出ることを決めたんだから気にするなという意味。
迷惑をかけられないから、と言う表現は意に反してやむなく戦うかのようですが、ハルートが複座式になってる時点でもはやマリーも一緒に戦う前提にされてる(アレルヤとマリーもそれを受け入れてる)んでは。

・「ガンダムハルート、アレルヤ・ハプティズム、ソーマ・ピーリス、迎撃行動に向かう」と答え出撃するアレルヤ。
セカンドシーズンでもそうでしたが、ガンダムに搭乗する時はマリー・パーファシーじゃなくてソーマ・ピーリスなんですね。パイロットを務めるときは軍人時代に戻るみたいな感覚でしょうか。

・無数の尖った金属片が襲いかかってくる。ハルートが攻撃のために撃ったミサイルを逆に取り込み同化してミサイルの姿に変わりハルートを追ってくる。なまじ攻撃するとかえってこちらの兵器を取り込んでその能力をわが物とするという・・・ものすごく嫌な相手ですね・・・。

・ELSの攻撃をかわすものの繰り返し「叫び」が聞こえるたびに硬直してしまいよけるのが精一杯の刹那。ついには戦線離脱するもELSは脳量子波に惹かれてダブルオーライザーを追ってくる。
ソードを取り込まれ、よりダイレクトに伝わってくる叫びに苦しむ刹那。そこへ一際大きな尖ったELSが正面から突っ込んでくる。絶対絶命、と思われたところで何者かの攻撃がこれを迎撃。さらに数多のビームが刹那の周辺のELSを次々撃墜する。
そこへ勇壮なBGMとともにダークグレーのごつい機械の手が(手の部分だけが)現れ刹那の機体を掴んでELSに汚染された左腕を引きちぎり宇宙空間に放り投げるとELSごとビームで消滅させる。
この力まかせの容赦ない戦い方、手のごつさが武骨な巨体を想像させるあたり、まさかの「彼」が来てくれたのだ、とテレビシリーズを見てきた人ならわくわくしたことでしょう。

・手が飛んでいった先にガンダムとおぼしき機体。その全身像が映るより先に顔面の一部がアップとなりそこに「Raphael Gandam」の文字が。ソレスタルビーイングのガンダムの機体は多くが天使の名前・階級名から命名されていますが、今までで一番のビッグネームでは。
続けて全体像を映しつつ両手(マニピュレーター)が本体、というか本体らしい細身の機体が両肩に乗せた巨大なコンテナにドッキングするのを見せる。
優美と言いたいような機体にその機体を重みで押しつぶしそうな巨大かつ武骨なコンテナを乗せてるというフォルムのシュールさが、「やっぱり彼だなあ」(かつて敵から「デカ物」と呼ばれた機体=ガンダムヴァーチェに乗っていた)と改めて感じさせてくれる。

・さらにトランザムで赤く機体が染まり、ロックオンとアレルヤの危機をたちまち救って、さらに木星探査船をも巨大粒子ビーム砲で刀のように船体を切り裂き爆発させる。ガデラーザに続く無双シーンで、その圧倒的強さにロックオンとアレルヤもぽかんとなってます。

・プトレマイオスの面々もまだぽかんとしてる中で、いち早く笑顔になり、「ノリエガさん、あの機体は!」と声を掛けたのはミレイナ。真っ先に「彼」に反応したのがミレイナというのは、のちの「告白」シーンの伏線ですかね。

・ミレイナの言葉を受けて「彼が来てくれたんだわ」と言いつつもスメラギの表情は固い。嬉しくないわけじゃないけど、彼が今現れた意味をまず考えてしまうんでしょうね。

・プトレマイオス2改に戻ったマイスターたち。ティエリアが入ってきた時点では緊張した面持ちだったロックオンとアレルヤは彼がヘルメットを取ったとたんに笑顔になる(とくにロックオン)。ティエリアだろうと想像はしていても、死んだはずの人間だけに顔を見るまでは信じきれなかったんでしょうね。
再会を喜ぶ間もなく、なぜELSを攻撃しなかったのかと刹那を攻めるティエリア。刹那の方も沈んだ表情でうつむいている。すぐ後のシーンでわかるようにティエリアは攻撃しなかったことを怒ってるのではなく、そこに込められた重要な意味をおよそ察してるからこそ、事情をはっきりさせるために詰問口調で問いただしたわけですが。

・攻撃しなかった理由は「わからない」という刹那に「わからないって、おまえ」とロックオンはあきれたような怒ったような声だが、腹を立ててるかに見えたティエリアは「やはり。イノベイターとしての直感ががそうさせたようだな」と高評価というか期待した通りの反応、と言いたげな態度。
ヴェーダでも彼らの目的がわからない、しかし刹那の反応からすればELSには意志があるとティエリアは断じる。一つ事態が前に進んだ瞬間。

・リニアトレインの中でELSについて語り合うビリーとミーナ。ELSと戦ったのはソレスタルビーイングでしょと聞かれて「おそらくね」と答えたビリーはどこか悲し気な遠くを見るような顔。
そこへミーナが「昔の女のこと考えてる」と突っ込みを入れ、あからさまに赤くなって動揺するビリー。ということは図星だったのか。ソレスタルビーイングの名前が出たことでスメラギを思い出すのはまあ自然ですが、彼女とのことはもう過去なのか。
セカンドシーズンのラストでダブルオーライザーのトランザムバーストによってスメラギと心を通わせ、誤解も解けて告白までしたのが、なぜ付き合わないまでも関係が終わってしまったのか。心が通ったがゆえに彼女が自分に恋心を抱いてはいないのをはっきり知ってしまったということなのか。小説版ではスメラギが死んだ恋人を思い続けているのを知ってしまった、その後少しの間は連絡を取りあっていたが次第に疎遠になったと記されてます。
ミーナはビリーとスメラギの関係をどの程度知ってるんでしょう。ブレイクピラー事件の時にスメラギは連邦軍に対し素顔をさらしていて、あのリーサ・クジョウがソレスタルビーイングの指揮官というのはすでに上層部では把握していた様子(刹那がスメラギを迎えに来た時点で彼女がソレスタルビーイングと知っていたビリーが復讐を誓いつつも彼女の正体をアロウズに報告しなかったあたりに、捨てきれないスメラギへの愛情と優しさが感じられる)。
以前からビリーに目をつけているらしいミーナならリーサとビリーが学生時代から親しかったことも調べはついていて、上の情報を合わせれば、ビリーの(元)想い人はソレスタルビーイングのメンバーと知ってても不思議ではないかも。

・ELSに意志はあると思うかとのビリーの質問にミーナは「あるわね」と即答する。根拠は木星電波がここ最近変質している、わずかだが脳量子波も検知できるからという。刹那のようなイノベイターでなくとも、旧人類の科学的叡智をもって真実に迫ることはできるのだと示すシーン。
なのだが一連の会話の間ずっとミーナはセクシーなしぐさでビリーを挑発し、ビリーはどぎまぎしながら目をそらそうとしてそらしきれず、といった駆け引きが平行して描かれる。ファンサービス+小難しい会話を少しでもとっつきやすくという配慮?

・ELSとの遭遇がイオリアの想定していた「来たるべき対話ってやつか」というラッセに対し、ティエリアは来たるべき対話とは人類が外宇宙に進出した先を想定したもので、数世紀先の予定だった、それが今起ころうとは、という。
今でも十分な準備ができてないには違いないが、これが10年前ならどうなってたことか。ソレスタルビーイングの武力介入によって地球連邦ができたのが6年前、アロウズを倒して新政府が発足しイノベイターが誕生したのが2年前、本当にぎりぎりのタイミングだったわけだ。

・起こってしまったものは仕方がない、戦うしかないというロックオンとラッセ。対して直接ELSに追い回された経験者にもかかわらず「ELSがぼくらのことをわかってないから起きた悲劇かもしれない」と慎重論を唱えるマリーとアレルヤ。
この二人は超兵であるゆえに脳量子波を含むさまざま超人的能力を有していて人間としてはいささか規格外。普通の人間との齟齬を感じることも多々あったのかもしれず、理解しがたい相手への不安が排他的攻撃的対応を生んでしまうことを身をもって知っているのでしょう。だからこその感想とも思えます。
加えて、もしかするとELSに追われたさいに敵意・殺意といったものを感じなかったんじゃないですかね。それが彼らへの好意的というか攻撃的ではない反応に影響しているのかも。

・フェルトは黙ったままの刹那に「刹那はどう思う?」と話をふり、スメラギなどもはっとした顔を刹那に向ける。ELSの声をダイレクトに聞いた、唯一のイノベイターである刹那の考えに皆の注目が集まるのは当然ではありますが、この期待はひとりの青年の身には重いともいえる。
刹那の答えはまたしても「わからない」。主人公が中盤はずっとわからないばかり言ってて態度がはっきりしない、との批判も目にしましたが、確かに映画としてのカタルシス的な意味ではその通りかも。

・ダブルオークアンタの建造状況を尋ねたティエリアは、刹那のためのこの機体が切り札になるかもしれない、という。「まさか、ELSと」「あなただって考えていたはずだ」。ふと目をそむけて「刹那に頼りすぎよ・・・」というスメラギ。
二人の頭に浮かんだプランはダブルオークアンタを介してのイノベイター刹那とELSとの対話。ただ上で書いたような刹那一人に地球の命運を託すという負担の重さをやはりスメラギとしては考えずにいられないわけですね。


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